店主とマッチョと秘密基地

ぽむ

エピソード55(脚本)

店主とマッチョと秘密基地

ぽむ

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〇奇妙な屋台
店主「おはよう〜 アラ、どうしたの?」
ハリオ「ううぅ〜 店主〜」
ハリオ「もう行きたくないんです・・・」
店主「あらあら、どうしちゃったのかしら? 嫌なことでもあったの?」
ハリオ「絶対に!っっていう理由はないんですけど、もう何もしたくないのです・・・」
ハリオ「はぁ・・・」
店主「あら・・・お疲れなのかしらね。 ゆっくりしていって」
店主「お茶をどうぞ。」
ハリオ「ありがとう、いただきます」
ハリオ「なんかもう・・・ ふいに何処かに 行きたくなってしまうんです」
ハリオ「消えたくなってしまうというか・・・」
店主「わかるわぁ〜 ワタシもココに落ち着くまでは 放浪を繰り返していたもの」
店主「ジブンの居場所って なかなか見つからないものよ ねぇ〜」
ハリオ「そうなんですね。 ・・・」
店主「そんなに泣くほどお辛いのなら、」
店主「少し落ち着くまで お休みしたらどうかしら?」
ハリオ「それができたら、苦労しませんよ。 働かないと飯も食べられなくなってしまいますし」
ハリオ「親は病気がちで、 小さい弟もいて、稼がないといけません。 不安しかありませんし・・・」
ハリオ「やりたいこともできないし わがままなんでしょうか僕・・・」
店主「責任感がおありなのね。 偉いわ〜」
店主「でも少しは ココロを休ませてもいいじゃない?」
店主「ですから、 これをお使いなさいな」
店主「このバックパックで出かけると 時間を忘れて旅に出られるわ」
ハリオ「このカバンで?」
店主「そうよ。アナタに必要なものは この中に揃ってるわ。 これを見てご覧なさい!」
ハリオ「バッグについてる時計? 時計が止まっていますね・・・」
店主「周りをよくご覧なさい」
ハリオ「え・・・あっ!」
ハリオ「周りのすべてが止まっている!?」
店主「あなたが旅に出ている間は、時間が止まっているから 元に戻ればほんの一瞬にしか過ぎないわ。どう?」
店主「旅に出る気になった!?」
ハリオ「なぜ・・・店主、あなた方は動けるのですか? 僕も・・・」
店主「ウフフフ。秘密〜」
店主「案内は、この二人、 マッチョさんと占い師さんがしてくれるわ。 しばらく、リラックスしていらっしゃい」
店主「ただし、その時計は 手放してはダメよ。 身から離してしまうと時間が動き出してしまうの。 肌身離さず、ね」
ハリオ(不思議な品物を出すとは、噂に聞いていたけど、現代の科学で説明のつかない不思議さだ・・・)
ハリオ(騙されたと思って、話にのってみよう。 どうせ今のこのままの僕は、何もできないんだし)
  ガシッ
  僕はバッグを背負った。
ハリオ「わかりました、マッチョさん、占い師さん、よろしくお願いします」
謎マッチョさん「おう!」
謎占い師さん「では、いきますよ!」
ハリオ「はい!」

〇森の中
ハリオ「・・・」
謎マッチョさん「つきましたよ」
ハリオ「ここは・・・」
謎マッチョさん「こちらでは時間を気にしないで下さい。 元の場所に戻るまでは、時間が進みませんから、ご安心を」
ハリオ「はぁ・・・」
謎占い師さん「ところで、何がしたいとか リクエストはありますか?」
ハリオ「そうですねぇ、ココロが落ち着くまで、 のんびりしたいです・・・」
ハリオ「自然の中で本でも読んで過ごしたいというか・・・」
ハリオ「僕はもともと人混みが苦手なんです。 仕事でも人から命令されてばかりでした」
ハリオ「理不尽なことを言われても、僕は謝り続けなければいけなくて。 しかも理不尽なことをさせられたり・・・」
謎マッチョさん「それはお辛かったでしょうね」
ハリオ「ええ・・・でも稼ぐためにと ずっと我慢していました。 ようやく勤めることができたものですし」
ハリオ「そうしたら、身体が動かなくなってしまって」
ハリオ「だから、身体がまた動かせるような 僕にも出来る、という感覚を取り戻したいのです」
ハリオ「でも僕には野営をするほどの技量もなく、恥ずかしいことに、野営的な事をしたことが全くないのです・・・」
ハリオ「そういうのを一度、やってみたいとは思いました。 サバイバルみたいな、冒険というか・・・」
ハリオ「無謀でしょうか?」
謎占い師さん「我々がいますから、大丈夫ですよ。アナタをお守りしますよ」
謎マッチョさん「では、アナタを守る、 秘密基地を作る、というのは いかがでしょう?」
ハリオ「秘密基地?」
謎マッチョさん「そう、辛くなっても、いつでもそこには アナタを安らげることが出来る場所・・・」
謎マッチョさん「アナタの好きなものに囲まれて ジブンを取り戻し 静かに過ごせる場所・・・」
ハリオ「それは・・・楽しそうですね。 お願いします」
ハリオ「ありがとう」
謎マッチョさん「やっと笑顔が出ましたね。 では準備をしましょうか」
ハリオ「はい」
謎マッチョさん「これから秘密基地を作る場所を探すことにします。 移動するので、バッグの中などを、 確認してみたらいかがですか?」
ハリオ「はい、そうします」

〇森の中
ハリオ「えっと、バッグの中は・・・ あっ」
ハリオ「服?確かにこれだと動きづらいか」
  ゴソゴソ
ハリオ「こんなもんか?」
ハリオ「どうでしょうか?」
謎マッチョさん「いいんじゃないですか。 強そうに見えますよ」
謎占い師さん「では行きましょうか。 あちらに広い土地がありますから、森を抜けましょう」

〇原っぱ
  森を抜けると、開けた草原に出てきた。
ハリオ「あぁ、だいぶ広い所に出ましたね」
謎マッチョさん「少し行ったところに、キャンプを張りましょう。そこなら水もありますし」
ハリオ「いいですね!」
北のマッチョさん「フシュー」
ハリオ「わっ!誰!? 怖い!」
謎マッチョさん「大丈夫です、アレは敵じゃない」
謎マッチョさん「秘密基地の設営に、手伝いに来てくれたのです」
ハリオ「そ、そうなんですか。 ありがとうございます・・・」
北のマッチョさん「フシュー!」
南のマッチョさん「おもしろそうだから ワタシも来ちゃった〜」
謎マッチョさん「騒がしてスミマセン、 設営したら退散しますから」
ハリオ「い、いえ・・・ハイ」
ハリオ(わ、悪い人達では なさそうだけど・・・)

〇野営地
ハリオ「わぁ!すごいです!」
謎マッチョさん「気に入っていただけて、良かったです。 どうぞ、お過ごし下さい」
ハリオ「ありがとう!」

〇テントの中
ハリオ「あぁ・・・落ち着くなぁ」
ハリオ「誰にも邪魔されない・・・ 僕だけの基地・・・」
ハリオ「ずっとこのままで・・・」
  バサーバサバサバサー!
ハリオ「な、何の音!?」
  僕は急いで外に出た。

〇野営地
ハリオ「あっ!」
ドラゴン狩人「おりゃー」
ちびファイアドラゴン「ギャーー!」
ちびファイアドラゴン「たすけてー!」
ハリオ「え!?」
ドラゴン狩人「お前!そこをどけ!」
ハリオ「いや、どけったって ここは僕の秘密基地・・・」
ドラゴン狩人「うるさい!」
  ガラガラ!
  秘密基地の一部が壊れた!
ドラゴン狩人「オマエもこうしてやる!」
  ガッ
ハリオ「あっ時計が!?」
ハリオ「チックショー!」
ハリオ「僕の秘密基地を壊すな!」
  俺はその辺の棒を片手に応戦した!
ドラゴン狩人「くっ、やる気か!」
ちびファイアドラゴン「どけ! ファイアー」
ドラゴン狩人「チッ、覚えてろよ!」
  バタバタバタバタ
ちびファイアドラゴン「ありがとう! あんたやるじゃん! あんたのお陰で、回復したよ!」
ハリオ「しゃ、喋った・・・」
ハリオ(この時計のおかげが。 でも壊れてるから時が進んでしまう。 早く帰らなきゃ・・・)
ちびファイアドラゴン「お礼がしたいからさ! ちょっと来てよ!」
ハリオ「はぁ・・・」

〇ファンタジー世界
ファイアドラゴン「ワシの城でパーティすることにしよう。 ワタシの大事な子どもを助けてくれたお礼をしなければ!」
ちびファイアドラゴン「ありがとう父ちゃん!」
ファイアドラゴン「ワタシの背に乗るのだ!」
ハリオ「わっ!」
  バサー!

〇結婚式場のレストラン
  ワイワイガヤガヤ
謎マッチョさん「すまないね、落ち着いてひとりで・・・ って言う希望に添えなくなってしまって」
ハリオ「良いんですよ、 これはこれで楽しいです」
ハリオ「時計を壊してしまって。 スミマセン」
謎マッチョさん「わかりました。 このパーティが終わったら 帰りましょう」
南のマッチョさん「そうよ、楽しみなさいよ! あなたが主役なんだから」
ハリオ「そんな、恥ずかしいなぁ・・・」
南のマッチョさん「アナタは、きょうのヒーローなの。 だから、いいのよ!無礼講!」
ハリオ「ありがとう・・・」
南のマッチョさん「フフフ」
  本日のヒーロー!
  彼に大きな祝福を!
  ワーワーワー!
  ヒーローバンザイ!
  ヒーローバンザイ!
  栄光あれ!

〇奇妙な屋台
店主「ウフフフ」
謎マッチョさん「よく、おやすみのようで・・・」
謎占い師さん「よほど楽しかったのでしょうかね」
ハリオ「ううぅ〜ん むにゃむにゃ・・・」
ハリオ「はっ!」
ハリオ「これは・・・夢?」
店主「サテ、どうかしらね。 少しはリラックスできたかしら?」
ハリオ「ええ。 少しは前向きに考えられそうです。 ありがとう」
店主「良かったわね〜 いつでも、いらっしゃい」
店主「お目覚めの、お茶をどうぞ」
ハリオ「ありがとう。 でもまた仕事、頑張らなきゃな・・・」
弟「にいちゃーん!かえろ!」
ハリオ「お、弟!来てくれたのか!」
弟「皆、心配してたゾォ〜 にいちゃん、身体は大事にしてくれよ!」
ハリオ「うん、帰ろうか。ごめんな。」
店主「ウフフフ、またいつでもいらっしゃい」
店主「サテ、きょうはもう店じまい しましょうかね」
店主「ね♡」

コメント

  • しんけんにキャンプしてパーティーしたくなりました〜すっごい楽しかったです〜ぼくも余裕をもって楽しまなきゃって思いました〜面白いストーリーありがとうございました〜!!

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