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戸羽らい

#8 殺戮のゲルニカ(脚本)

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〇黒
  何故、彼女は「殺戮のゲルニカ」と
  呼ばれているのか
  それは、数多くの生命を屠ったから

〇宇宙空間
  しかし、数多くと言えど
  たかが知れている
  私が提示した条件を
  彼女が飲んだ時点で
  勝敗は決まっていた
  このゲームのために
  運営はビッグバンを起こし
  仮想宇宙を構築

〇地球
  仮想地球を構築
  生命の誕生に合わせて
  ゲルニカはそこに閉じ込められた
  脱出条件は全ての生命を
  根絶やしにすること

〇アマゾンの森
  新たな生命が生まれるたびに
  彼女の寿命は私に渡り
  生命が死に絶えるたびに
  私の寿命は彼女に渡る
  私とゲルニカは
  ミリ秒単位の寿命のやり取りを
  数十億年繰り返している
  閉ざされた時の中で──

〇諜報機関
プリカ「・・・」
プリカ「現在の収支を教えて」
  プリカ様 +4852.7465239514..年
  ゲルニカ様 -4852.7465239514..年
プリカ「まあ、そんなところよね」
プリカ「生命の誕生速度を、死亡速度が上回れるわけないもの」
プリカ「神の采配とも言えるバランスの上で生態系は成り立っていて、個人一人がどうこうしたところでそれが崩れることはないの」
プリカ「本当は一瞬で肩がつくと思ってたけど、 案外粘ってるわね」
プリカ「・・・ん?」

〇基地の広場(瓦礫あり)
ゲルニカ「おい」
ゲルニカ「見てんだろ」
ゲルニカ「弾が尽きそうなんだよ」
ゲルニカ「補給しろ」
ゲルニカ「補給補給補給補給補給補給補給補給」
ゲルニカ「ゔぁ」

〇基地の広場(瓦礫あり)
ゲルニカ「くそくそくそくそ」
ゲルニカ「くそくそくそくそ」

〇諜報機関
プリカ「もう彼女の精神も限界ね」
プリカ「それもそうよね」
プリカ「彼女は数十億年の時間を、そのまま体感してるんだもの」
プリカ「ルールの時点で、ゲームバランスもクソもない」
プリカ「一方的な試合になるのは目に見えていた」
プリカ「・・・」
プリカ「殺戮のゲルニカも、これで終わりか」
プリカ「案外、大したこと──」

〇諜報機関
プリカ「──なかった」
プリカ「・・・え?」
  あーあー
プリカ「何よこれ、映像は?」
プリカ「ちょっと運営!」
  運営です!
  プリカス マイナス500億ゥ!
  ゲルニカ様 プラス9999兆ォ!
プリカ「は?」
  退屈退屈退屈退屈退屈退屈退屈
  退屈退屈退屈退屈退屈退屈退屈
プリカ「何よこれ・・・」
  お前にアウストラロピテクスの気持ちが分かるか!
  ダックスフンドの反復横跳びはオゾン層だって踏み越えるんだ!
プリカ「な・・・」
  細菌にだって命はある!殺菌処理は命の尊厳を弄ぶ、非道徳的な所業である!
  放射能でも溶けない亀の甲羅は海が干上がりやがて肥料になる?
  知るか。亀は所詮万年しか生きられない
  人類史は一瞬だった・・・しかし、メロンソーダはクリームが溶けてからが勝負!
  消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!
  もう地球はまともな生命が住める土地じゃないんだよおおおお!
  お疲れお疲れお疲れお疲れお疲れお疲れ
  対戦ありがとうございましたァー!
プリカ「どういうこと・・・?」
プリカ「さっき映像で確認した感じだと、まだ」
  いつの時代の話だよ。戦国時代だってビームサーベルで戦ってたぞ
  時差が凄い!もう時差とかいう次元じゃないこれはレボリューションギャップだ!
  最新映像お届けします!
プリカ「へ?」

〇源泉
ゲルニカ「こちら現場のゲルニカです!」
ゲルニカ「地球最後の生命体がいるとのことで、やって参りました!」
???「tmgmajgmtpg」
ゲルニカ「これはこれは、遺伝子情報バグり散らかしてますね」
ゲルニカ「今までに一体、いくつの命を飲み込んだんですか?」
???「tmjgptjgtmjp」
ゲルニカ「なるほど。これは総力戦になりそうですね」
ゲルニカ「みんな〜、集合!」
「tmjxtptxmjtpg」
ゲルニカ「これより、ラグナロク作戦を開始する!」
ゲルニカ「全員、構えッ!」
「twjgpxmjtpx」
???「tpgjwtjmdatpgj」
ゲルニカ「トドメだッ!」

〇諜報機関
プリカ「あ・・・」

〇諜報機関
  プリカ様の全寿命がゲルニカ様に渡りました
  以上で、本日のゲームを終了します
  お疲れ様でした
ゲルニカ「ただいま」
ゲルニカ「おかえり」
ゲルニカ「時差ボケがヤバくて浦島太郎状態なんだが こちらの世界はどういう状況?」
ゲルニカ「令和だよ。人類は恐怖の大王を乗り越えたんだ」
ゲルニカ「やばっ。魔法少女が世界を救ったのかな」
ゲルニカ「こちらの世界に魔法少女はいないぞ。代わりに吸血鬼や死神がいる」
ゲルニカ「吸血鬼・・・なんだかとても懐かしい響き」
ゲルニカ「我々は吸血鬼だぞ。そんなことも忘れたのか」
ゲルニカ「しょうがないじゃん。僕の脳みそはもう容量いっぱいなんだから」
ゲルニカ「記憶に仮想領域を設けたのは名案だったな」
ゲルニカ「おかげで精神が分裂してしまったよ」
ゲルニカ「そんなこと些細な問題だ。我々は集合知を目指していたのだから」
ゲルニカ「ねえ、僕ってどんな人だっけ?」
ゲルニカ「そんなことも分からないのか」
ゲルニカ「僕は──」

〇豪華な客間
サリア「虚無」
サリア「彼女の心にはきっと、何も映っていない」
サリア「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いていると言うけれど」
サリア「彼女は覗き返してなんか来ない」
サリア「ただ吸い込んで、塵に変えるだけ」
  ────♪

〇豪華なベッドルーム

〇マンション前の大通り

〇川沿いの公園

〇東京全景

〇東京全景

コメント

  • ゲルニカの産みの親であるピカソは解釈を発表せず、解釈は勝手にしろ、どう捉えられても私は作りたいものを作る、というスタイル。作品にも通じるところを勝手に感じます。
    仮想地球を殲滅したゲルニカは同じ頭文字の昆虫のようで倒せそうにないですが、ネットワークが繋がっているところが崩しどころなのか。
    次回も楽しみです。

  • ゲルニカ嬢、ヤバすぎですね。こんなのどうにかできるのか?という展開ですが…
    VS虚無。どんなバトルになるのか、今から期待に胸がときめいております😊

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