第5話 彼女の夢と彼女の夢(脚本)
〇教室
藤田賢雄「しほさん、この前はすみませんでした」
三雲しほ「え!?」
三雲しほ「あぁ」
三雲しほ「デートのことね?」
三雲しほ「結局、何があったの?」
藤田賢雄「病気の友だちがいるんですけど」
藤田賢雄「容態が急変したみたいで」
三雲しほ「あぁ、なるほどね」
三雲しほ「すごく焦ってたから」
三雲しほ「ビックリしました」
藤田賢雄「す、すみません」
藤田賢雄「協力してもらってるのに」
三雲しほ「いいよ、いいよ!!」
三雲しほ「病気ならしょーがないよ」
三雲しほ「大切な友達なんだね、その人」
藤田賢雄「えぇ」
藤田賢雄「大切な”友達”・・・・・・です」
三雲しほ「そういうとこ」
三雲しほ「おねぇさんカッコイイと思うよ!!」
藤田賢雄「ホントですか?」
藤田賢雄「ありがとうございます!!」
三雲しほ「・・・・・・」
三雲しほ「ちょっと、ごめんね」
藤田賢雄「香水ですか?」
三雲しほ「うん!!」
藤田賢雄「結構、ニオイに気を遣うんですね」
三雲しほ「髪と”ニオイ”は女の命だからね!!」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
〇ビルの裏
〇教室
藤田賢雄(”ニオイ”か・・・・・・)
三雲しほ「どしたの?ムズかしそうな顔して」
藤田賢雄「なんでもないですよ」
藤田賢雄「そういえば」
藤田賢雄「前に、カレシと遊園地行くって」
藤田賢雄「言ってませんでした?」
藤田賢雄「もう、行ったんですか?」
三雲しほ「まだだよ」
三雲しほ「来週の日曜だね」
藤田賢雄「そうですか」
三雲しほ「もしかして」
三雲しほ「焼いてる?」
藤田賢雄「そんなんじゃないですよ」
三雲しほ「ふーん」
三雲しほ「あぁ、そういえばね!!」
三雲しほ「私、『恋来い!!』のドラマ決まった!!」
藤田賢雄「なんですか?それ」
三雲しほ「昔に一度ドラマやってたんだけどね」
三雲しほ「それが大好きで!!」
三雲しほ「これがきっかけで女優になろうと思ったのよ」
藤田賢雄「へぇ」
三雲しほ「興味なさそうだね」
藤田賢雄「きょ、興味ありますよ!」
三雲しほ「ホントかなぁ??」
藤田賢雄「・・・・・・」
三雲しほ「まぁ、いっか」
三雲しほ「でね、そのリメイクってカタチになるんだけどね!!」
三雲しほ「”夢”だったんだよ!!」
三雲しほ「このドラマにでるの!」
藤田賢雄「夢・・・・・・ですか」
〇川沿いの公園
藤田賢雄「はぁ・・・・・・」
藤田賢雄(俺がしほさんに手を出せば)
藤田賢雄(太希が”タバコの動画”を拡散するかもしれない)
藤田賢雄(そうなれば、彼女は・・・・・・)
藤田賢雄(彼女の夢は・・・・・・)
〇教室
三雲しほ「”夢”だったんだよ!!」
三雲しほ「このドラマにでるの!!」
〇川沿いの公園
藤田賢雄(俺は、本当にこれでいいのか・・・・・・)
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄(カスミのために)
藤田賢雄(浮気するって決めたのに)
藤田賢雄「情けないな・・・・・・」
藤田賢雄「くそ・・・・・・」
藤田賢雄「俺は、どうすれば・・・・・・」
???「あれ?藤田くん??」
藤田賢雄「え?」
浜口ユメノ「こんにちは!!」
藤田賢雄「ユメノさん・・・・・・」
藤田賢雄(浜口ユメノ)
藤田賢雄(太希の本命(おそらく)彼女で)
藤田賢雄(三雲しほの恋敵)
浜口ユメノ「こんなとこで何してたん?」
藤田賢雄「カスミの見舞いに行こうとしてたんだよ」
浜口ユメノ「そうなんね!」
浜口ユメノ「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
浜口ユメノ「もしかして、藤田くん、悩んでる?」
浜口ユメノ「たいちゃんのことで」
藤田賢雄「え?」
浜口ユメノ「たいちゃんから動画見せられたんでしょ?」
藤田賢雄「どうが・・・・・・」
浜口ユメノ「三雲しほの”タバコ”の・・・・・・」
藤田賢雄「えぇ!?」
藤田賢雄「し、知ってるの?」
浜口ユメノ「うん」
浜口ユメノ「たいちゃんの浮気相手だよね」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「そこまで知ってたのか!?」
浜口ユメノ「うん」
藤田賢雄「・・・・・・マジかよ」
藤田賢雄「それを知ってて、まだ太希と付き合ってるのか?」
浜口ユメノ「確かに」
浜口ユメノ「たいちゃん浮気癖あるけどね・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「なんとも思わないのか?」
浜口ユメノ「そんなわけないじゃん!!」
浜口ユメノ「いやだよ」
浜口ユメノ「いやだけど」
浜口ユメノ「辞めてくれないから・・・・・・」
藤田賢雄「なんで、別れないんだ!?」
浜口ユメノ「私が本命だからって知ってるからだよ」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「あんたも、結構狂ってるよな」
浜口ユメノ「うるさいなぁ・・・・・・」
浜口ユメノ「・・・・・・ねぇ」
浜口ユメノ「三雲しほは、辞めときなよ」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「でも・・・・・・」
浜口ユメノ「三雲しほは、自業自得」
浜口ユメノ「未成年で喫煙なんて」
浜口ユメノ「やった本人が悪いよ」
藤田賢雄「ちょ!こんなとこで!」
藤田賢雄「誰かに聞こえたら・・・・・・」
浜口ユメノ「誰もいないから大丈夫だよ」
浜口ユメノ「いや、それ以前に」
浜口ユメノ「別に聞こえててもいいじゃん」
浜口ユメノ「違反してる人間が悪いんだから」
藤田賢雄「それは、しほさんについてか?」
藤田賢雄「それとも・・・・・・」
浜口ユメノ「さぁ?」
藤田賢雄「・・・・・・」
浜口ユメノ「じゃ、私は行くね」
藤田賢雄「おう」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「はぁ」
〇病室
藤田賢雄「カスミ、入るぞ」
鈴鹿カスミ「どうぞ!!」
鈴鹿カスミ「お見舞い来てくれたんだね!!」
鈴鹿カスミ「ありがと!」
藤田賢雄「おう」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「あ!!」
鈴鹿カスミ「オープンキャンパス」
鈴鹿カスミ「いっしょに行かない?」
藤田賢雄「オープンキャンパス??」
鈴鹿カスミ「医学部の」
鈴鹿カスミ「オープンキャンパス」
藤田賢雄「大学か・・・・・・」
鈴鹿カスミ「そう!!」
藤田賢雄「でも、入院してるしな」
鈴鹿カスミ「ここの付属大学ならいいって」
鈴鹿カスミ「先生言ってた」
藤田賢雄「そうか」
藤田賢雄「でも、A判定取った医学部って」
藤田賢雄「ここじゃないだろ?」
鈴鹿カスミ「うん」
鈴鹿カスミ「でも」
鈴鹿カスミ「いろんな場所」
鈴鹿カスミ「見ときたいじゃん!!」
藤田賢雄「そうだな」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「いっしょに行くか」
鈴鹿カスミ「やったね!!」
〇講義室
医者「皆さん、本日は、本学のオープンキャンパスにご来場いただき」
医者「まことにありがとうございます」
医者「本学では、全ての人に医療を届けられる人材を育てるために」
医者「恒久的に学び続けられる人材の育成を行なっています」
医者「そして」
医者「入学した皆様と、再びここでお会いできることを期待しております」
医者「では・・・・・・」
〇総合病院
鈴鹿カスミ「先生、あんなこともしてるんだね」
藤田賢雄「そうみたいだな」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「別に、答えたくなかったら」
藤田賢雄「言わなくてもいいんだけど」
鈴鹿カスミ「なに!?」
藤田賢雄「カスミは、どんな女医になりたいんだ?」
鈴鹿カスミ「えぇ?」
鈴鹿カスミ「ちょっと、賢雄!!」
鈴鹿カスミ「夢を語るのって、結構勇気いるんだよ!!」
藤田賢雄「あぁ」
藤田賢雄「ごめん」
鈴鹿カスミ「まぁ、気になるなら教えてあげてもいいけど」
藤田賢雄「教えてくれるんだ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「病院の待合室にいるときって」
鈴鹿カスミ「不安になるじゃん」
藤田賢雄「まぁな」
鈴鹿カスミ「そんな、患者さんの心の不安を取り除いてあげれるような女医になりたいの」
鈴鹿カスミ「それが私の夢!!」
しかし
このまま何もしなければ
彼女の寿命は・・・・・・
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「でも」
藤田賢雄「女医だったら、診察してるから、そんなのできないんじゃないのか??」
藤田賢雄「どっちかっていうと、看護師・・・・・・」
鈴鹿カスミ「も──!!」
鈴鹿カスミ「そうやって意地悪言う!!」
鈴鹿カスミ「理屈っぽい男はモテないよ!!」
藤田賢雄「うぅ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「そういえばさぁ」
鈴鹿カスミ「賢雄の方こそ」
鈴鹿カスミ「将来、なにかやりたいこととかないの?」
鈴鹿カスミ「そろそろ、考えた方がいいんじゃない?」
藤田賢雄「将来・・・・・・か」
藤田賢雄「高校二年だしな」
藤田賢雄「でも、今は、余裕がなくてな」
鈴鹿カスミ「まぁ、忙しそうだもんね」
鈴鹿カスミ「それなのに、ごめんね」
鈴鹿カスミ「今日・・・・・・」
藤田賢雄「いや、気にすんなよ」
藤田賢雄「俺だって、来たかったし」
鈴鹿カスミ「そう?」
鈴鹿カスミ「だったら、いいんだけどね!!」
鈴鹿カスミ「じゃあ、賢雄は」
鈴鹿カスミ「このまま、俳優を続けていくの?」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「なぁ、カスミ」
藤田賢雄「別に、答えたくなかったら」
藤田賢雄「言わなくてもいいんだけど」
鈴鹿カスミ「も──」
鈴鹿カスミ「こんどはなに??」
藤田賢雄「俺の、どこがよかった?」
鈴鹿カスミ「えぇぇ??」
鈴鹿カスミ「こ、ここでそんなこと聞くの??」
鈴鹿カスミ「どうしたの??」
鈴鹿カスミ「いきなり」
藤田賢雄「なんとなく」
藤田賢雄「気になってさ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「まぁ、気になるなら教えてあげてもいいけどね」
藤田賢雄「教えてくれるんだ・・・・・・」
鈴鹿カスミ「私が、賢雄と付き合ってる理由」
鈴鹿カスミ「賢雄のことが好きになった理由」
鈴鹿カスミ「それはね・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
鈴鹿カスミ「・・・・・・」
〇病室
鈴鹿カスミ「今日は、ありがとね」
藤田賢雄「あぁ」
鈴鹿カスミ「病気にかかってる人間が医者志望だなんて」
鈴鹿カスミ「笑われちゃうよね」
鈴鹿カスミ「医者志望の不養生」
鈴鹿カスミ「なんつって・・・・・・」
藤田賢雄「気にすんな」
藤田賢雄「病気のことは」
藤田賢雄「カスミが心配しなくても大丈夫だ」
鈴鹿カスミ「えぇ?」
鈴鹿カスミ「でも、自分の病気を心配しないなんて」
鈴鹿カスミ「そんなの無理だよ」
藤田賢雄「・・・・・・」
藤田賢雄「確かにな・・・・・・」
藤田賢雄「でも・・・・・・」
藤田賢雄「大丈夫だ」
藤田賢雄「きっと・・・・・・」
藤田賢雄「きっとな・・・・・・」
〇遊園地の広場
とある日曜日
三雲しほ「やっとこれたーー!!」
神崎太希「うるせぇな」
三雲しほ「あぁ、ごめんごめん」
三雲しほ「いやぁ、うれしくてね、つい」
神崎太希「勘弁してくれよな・・・・・・まったく」
三雲しほ「ごめんよぉ」
藤田賢雄「よぉ」
三雲しほ「え!?」
三雲しほ「賢雄くん?」
神崎太希「・・・・・・」
三雲しほ「もしかして、一人で遊園地?」
藤田賢雄「・・・・・・まぁ」
藤田賢雄「そうですね」
藤田賢雄「で、ちょっと」
藤田賢雄「伝えたいことがあって」
三雲しほ「伝えたいこと?」
神崎太希「・・・・・・」
藤田賢雄「えぇ」
藤田賢雄「それは」
藤田賢雄「しほさん」
藤田賢雄「あなたのカレシが浮気してるってことです」
三雲しほ「え!?」
神崎太希「・・・・・・」
藤田賢雄「その男は、浮気してるんですよ」
藤田賢雄(三雲しほは、ここで奪う)
藤田賢雄(奪ってやる)
藤田賢雄(なんとしてでも)
藤田賢雄(絶対に奪ってみせる)
藤田賢雄(カスミのために)
複雑ですけれど、
夢を応援するために決断しましたね。
これからの展開が楽しみです。