#7 MAXスピード(脚本)
〇野営地
フランツ兵「ミ、ミランボ将軍、あの大型戦車は一体・・・」
フランツ兵「ドヴィッヒが乗り込んでから微動だにしませんが」
ミランボ「うろたえるな」
ミランボ「あんなもの、図体がデカいだけ──」
フランツ兵「なんだ!?」
フランツ兵「急に狂ったように暴れだしたぞ!?」
フランツ兵「し、四方八方、デタラメに砲撃しています!」
ミランボ「ふ、ふははは!」
ミランボ「なんだあれは、なんて滑稽なんだ!」
〇兵器の倉庫
エディントン「があああっ、ヘルマーのやつ!」
エディントン「アレはまだ試作品だって言ったのに」
エディントン「勝手に持っていきやがった!」
プロイデル兵「開発長、どうされたのですか?」
エディントン「ヘルマーが開発途中の」
エディントン「二人乗り用大型戦車を持って行っちゃったんだよ」
プロイデル兵「二人乗り用・・・」
プロイデル兵「そんな戦車があったのですか!」
エディントン「車体の操縦者と」
エディントン「魔力の供給者を分けることで」
エディントン「通常機の何倍もの」
エディントン「機動力とパワーを実現出来るのだ」
プロイデル兵「すごい!」
プロイデル兵「それがあれば一気に戦況をひっくり返せますよ!」
エディントン「そう簡単にはいかないさ」
エディントン「試作品だって言ったろ」
〇野営地
ドヴィッヒ「ぬおおおっ!」
ドヴィッヒ「おい、車体がずっと揺れているぞ!」
ヘルマー「ドドド、ドヴィッヒ将軍の」
ヘルマー「ままま、魔力が強すぎて」
ヘルマー「コントロール出来ないのであります!」
ドヴィッヒ「ぬっ、なら、これぐらいか!」
ドヴィッヒ「なぜ魔法弾が発射するのだ!」
ヘルマー「わ、分からないのであります!」
エディントンの声「やい、ヘルマー、やってくれたな!」
ヘルマー「エ、エディントン開発長!」
ヘルマー「助けてくださいであります」
ヘルマー「全く制御出来ないのであります!」
ドヴィッヒ「ぐううっ、ひっくり返るぞ!」
ヘルマー「うわああ、であります!」
エディントンの声「はぁ、単純に燃料供給と操縦で分けられるもんじゃないんだよ」
エディントンの声「二人の魔力波をシンクロさせなきゃいけない」
ヘルマー「ま、魔力波のシンクロ!?」
エディントンの声「戦車を駆動させる魔力は」
エディントンの声「あくまで単一色でなくてはいけないんだ」
エディントンの声「だから、まずはお互いの──」
超大型魔法戦車「くっ、砲撃された!」
魔法戦車(ミランボ)「ふっ、硬さだけは一人前だな」
魔法戦車(ミランボ)「だが、いつまで持つかな」
魔法戦車(ミランボ)「もっともっと撃ち込むのだ!」
超大型魔法戦車「おい、ヘルマー、このままでは装甲がもたんぞ!」
ヘルマー「・・・いまの砲撃で」
ヘルマー「通信機が壊れたみたいであります」
ドヴィッヒ「な、なんだと!」
ヘルマー「でも、心配ないであります」
ヘルマー「操縦方法が分かったであります」
ドヴィッヒ「本当か!?」
ヘルマー「教習であります」
ドヴィッヒ「は?」
ヘルマー「教習と同じであります!」
ドヴィッヒ「むっ、な、なんだ!?」
〇教習所
ヘルマー「自分はドヴィッヒ将軍を」
ヘルマー「信頼しているであります」
ヘルマー「だから、この命を将軍に預けるであります」
ドヴィッヒ「ヘルマー、何を言って──」
ヘルマー「代わりに」
ヘルマー「将軍の命も自分に預けて欲しいであります」
ドヴィッヒ「!」
ヘルマー「相手を信頼し身を委ねること」
ヘルマー「それが、魔力波をシンクロさせる方法」
ヘルマー「この戦車の操縦方法であります」
ドヴィッヒ「・・・・・・」
〇野営地
ミランボ「ははは! 今のはいいところに入った!」
ミランボ「次で決めるぞ!」
〇教習所
ドヴィッヒ「・・・正直」
ドヴィッヒ「我には難しいことはよくわからん」
ヘルマー「はい」
ドヴィッヒ「だが、我はお前を信頼している」
ヘルマー「はい、であります」
ドヴィッヒ「我の命、お前に預けるぞ」
〇野営地
魔法戦車(ミランボ)「むっ、なんだ?」
魔法戦車(ミランボ)「くくく、今度は大爆発でも──」
魔法戦車(ミランボ)「え」
超大型魔法戦車「発射!」
魔法戦車(フランツ軍)「ぐあああっ!」
ミランボ「な、なんだ今の魔法弾は!」
ミランボ「通常戦車とは段違いの威力だ!」
超大型魔法戦車「続いて三連砲、装填であります!」
超大型魔法戦車「むっ、こうか!」
超大型魔法戦車「発射!」
う、うわあああっ!
ミランボ「れ、連射だと・・・!」
ミランボ「くっ、ひるむな、応戦しろ!」
ミランボ「放て!」
超大型魔法戦車「ドヴィッヒ将軍!」
超大型魔法戦車「うむっ、装甲強化!」
魔法戦車(フランツ軍)「ダメです、装甲に傷一つ来ません!」
ミランボ「い、一か所に固まるな!」
ミランボ「散らばって四方から──」
超大型魔法戦車「逃がさないであります!」
超大型魔法戦車「ぬっはぁ、魔力ブースト!」
ミランボ「!」
ミランボ「あの巨体で、なぜあれほど速く動けるのだ!」
ミランボ「くそぉ、撃て、撃てーー!」
〇歯車
ヘルマー「すごい・・・」
ヘルマー「ドヴィッヒ将軍、これならどこまでも行けるであります!」
ドヴィッヒ「ああ、共にこの国を守るのだ!」
ドヴィッヒ「行くぞ、ヘルマー」
〇野営地
ミランボ「ふざけるなぁぁ!」
ミランボ「認めん、認めんぞ!」
ミランボ「俺の方が強いのだ!」
ドヴィッヒ「もう諦めろ」
ドヴィッヒ「大人しく兵を撤退させるのだ」
ミランボ「黙れ!」
ミランボ「俺は、貴様を、木っ端みじんに・・・!」
ドヴィッヒ「貴様との戦いなど」
ドヴィッヒ「もはや何の興味も無い」
ドヴィッヒ「我はただ、この国を守りたいだけだ!」
魔法戦車(ミランボ)「うるさい、死ねぇ!」
魔法戦車(ミランボ)「発射!」
超大型魔法戦車「発射っ!」
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