壊れたスマホと店主とワタシ

ぽむ

エピソード53(脚本)

壊れたスマホと店主とワタシ

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〇公園のベンチ
ひと「なんだって! 明日のブレゼンに 出れなくなっただって!!」
ひと「おい!もしもし! いまどこにいるんだ!もしもし!」
  ブツッ
ひと「あっ」
  つるっ
  ガシャーン!
ひと「しまった、落とした拍子に スマホの画面が割れた。 通話も切れた・・・」
ひと「ヤバいな・・・ アイツと連絡取れないじゃないか!?」
ひと「ん?あんな所に張り紙が?」
  「お困りの方、なんでも修理致します!」
ひと「なんでも直せます?本当か? 時間がない。 よし聞いてみるか・・・」

〇奇妙な屋台
店主「いらっしゃい〜」
ひと「おい店主! なんでも直せるって本当か!?」
店主「ええ、本当よ〜」
ひと「俺の部下と急に連絡が取れなくなったんだ! 明日は大事なプレゼンがあるっていうのに!」
ひと「このスマホを早急に直してくれ!」
店主「お預かりしますね〜」
店主「あら〜これは すぐには無理ですねえ〜」
ひと「なんでも直すって言ったじゃないか! それは嘘か!」
店主「直すにはお時間がかかります〜 その代わりにこちらをお貸ししますから」
ひと「代替機があるのか?」
店主「こちら〜」
ひと「ガラケーじゃねーか!? 古いわ! しかもピンク!」
ひと「スマホに入ってる連絡先が わからないんじゃ 意味がないんだけど!」
店主「こちらでデータをバックアップ、 コピーしましたから、連絡は取れますよ〜」
ひと「いつの間に?まあいい」
ひと「たしかに連絡先は入ってるな・・・ 電話ならかけられるか」
ひと「背に腹はかえられない。 早く頼むよ!」
店主「はい〜 これでもお飲みになって お待ち下さいね〜」
ひと「ったく・・・ なんだあの店主は! イライラするな」
  ゴクゴク
ひと「ふぅ」
ひと「アイツに電話かけてみるか」
  プルルルル
  プルルルルルル
  「カチャ」
ひと「岡崎か!?どうした? 具合でも悪いのか?」
  スミマセン・・・
  僕にはできそうもアリマセン・・・
ひと「俺のせいか? 強く言って悪かった。 俺も出世のかかった 大事なプレゼンだったからな」
ひと「具合が悪いなら、ゆっくり休め。 心配するなよ。 後は俺がなんとかするから。 それが上司の役目だからな」
ひと「ただ、迷惑かけた人たちには ちゃんと謝ってくれよ。 俺も一緒に謝りに行くから」
  ・・・わかりました。
  しばらくお休みします・・・
  スミマセン・・・
ひと「じゃあな」
  ブツッ
ひと「ふぅ・・・どうするかな。 明日までに、なんとかしないと・・・ 今日はこれから朝まで突貫だな」
店主「あの〜」
ひと「わっ、びっくりした!」
ひと「そういえば、俺のスマホは、 いつ直るんだ?」
店主「一週間後に取りに来て下さい〜」
ひと「一週間もかかるのかよ! もっと早くなんないの!?」
店主「それ以上は無理ですねえ〜、 その代わり、コチラを、お貸します」
ひと「へ?」
サポート「あなたをサポートいたします、 メイドです」
ひと「なんだこれ!?」
店主「最新のサポート人形です。 あなたのサポートをしてくれます。コチラをおつけします」
ひと「今流行りのAI? ってみたいなやつ? まぁタダならいいけどさ・・・」
サポート「よろしくお願いいたします!」
ひと「じゃ、じゃあな・・・ よろしく・・・」

〇オフィスのフロア
ひと「これから徹夜でプレゼン資料を用意しなければ・・・」
サポート「お手伝いします」
ひと「キミが!?」
サポート「はい。 部下の岡崎様の プレゼン資料でございますね」
  カチャカチャカチャ
ひと「キミが彼のパスを? どうして・・・」
サポート「ワタクシはアナタの必要な事は なんでも知っております。 サポートですから」
サポート「こちらが資料でございます。 ついでに配布用に まとめておきましたわ」
ひと「これは完璧だ・・・ ありがとう。 今日はゆっくり休めそうだ・・・」

〇一人部屋
ひと「ふう、ただいま」
ひと(女の子が俺の部屋にいるのは 変な気分だな)
ひと「俺は風呂に入ってくるから ここで待ってて」

〇白いバスルーム
ひと「ふう、 俺は恥ずかしがる年でも ないのにな」
サポート「あの〜」
ひと「わっ!」
ひと「キミ!風呂も入れるの!?」
サポート「はい。防水仕様ですから、 洗浄に適しています。 御主人さま、 お背中流しましょうか?」
ひと「い、いや、 そこまでは、いいよ。 自分でするから!」
サポート「わかりました。 ではお食事の用意をいたします」
  パタン
ひと「びっくりした!びっくりした!」

〇一人部屋
ひと「ふう」
サポート「簡単なものだけ 用意しました」
ひと「キミ!その衣装は!?」
サポート「こちらナイトモードの衣装に変えられます」
ひと「そ、そうなんだ・・・」
ひと「それにしても、俺の好物がよくわかったな・・・」
サポート「なんでも知っています。 はい、あーん」
ひと「え、あ、いや、 あーん・・・」

〇奇妙な屋台
  一週間後・・・
店主「アラこんばんは! スマホは直っていますよ!」
ひと「店主・・・」
ひと「もう俺は、彼女のサポートなしでは、生活できない。 店主!どうしてくれるんだよ!」
店主「こちらは、オプションで使用できますよ?」
ひと「オプションだと!?」
店主「ええ、彼女は そのお使いの端末の オプションなのですよ」
店主「ですから、端末が壊れてしまうと人形も壊れてしまいます、 ご注意ください」
ひと「この端末の・・・ということは・・・」
ひと「店主! 元のスマホは、もうイラン! この端末をくれ!いくらだ!?」
サポート「御主人さま・・・」
ひと「・・・」
店主「では直ったスマホはこちらでお預かりしますね。 そちらは試作品なので、 そのままお持ち帰り下さいな♡」
ひと「本当か!ありがとう!」
店主「もし気が変わったときのために おあずかりしてますね〜」

〇川沿いの公園
ひと「ハハハ」
サポート「ウフフ」
ひと「あっ」
  バシャン
サポート「うう・・・」
  バタッ
ひと「おい!おい!起きろ! 起きてくれ!」
  その携帯のオプションですから・・・
ひと「そうか!」
  バシャーン!!!

〇奇妙な屋台
ひと「店主!店主!」
ひと「端末を水没させてしまって! 電源がつかない! 壊れてしまったのか!?」
ひと「う、うう・・・」
店主「どうしたのかしら〜」
ひと「彼女が・・・彼女が目を覚まさないんだ」
ひと「店主・・・電源がつかない・・・壊れた・・・ 直せるか?」
店主「もちろん。 なんでも直すと行ったでしょう?」
ひと「本当か!?」
ひと「直せるのか!?もういくらでも出す! 俺の全財産だすから!!! お願いだ! 彼女を治してくれ!」
店主「まあ、落ち着いて。 こちらはお預かりしますね〜」
店主「ここで少し待ってて」
店主「はい」
ひと「ああ・・・」

〇占いの館
謎占い師「おや」
店主「ごめんなさいね、もう終わり?」
謎占い師「まぁいいですよ。 お困りのようですから」
店主「この子なの」
謎占い師「アナタがそうでしたか」
店主「人形のフリは大変でしたでしょう?」
サポート「・・・」
サポート「店主、ご協力ありがとうございました」
サポート「ワタシは、部下の岡崎です とても苦しかった」
サポート「人形のフリは大変だったの。 でもとても楽しかった・・・」
謎占い師「もう元には戻れないけれど、 それでいいのですか?」
サポート「いいんです。楽しく一緒に、あのひとと過ごすことができるなら」
謎占い師「わかりました。 では魔法をおかけしましょう」

〇奇妙な屋台
ひと「あぁ!」
サポート「御主人さま〜」
ひと「あぁ良かった、良かった〜」
店主「はいこれ!」
ひと「ありがとう。大事にします」
店主「じゃあね〜」
  カッカッカッ
謎占い師「シアワセになるといいですね」
店主「そうね〜」
店主「サテ店じまいしましょ」

コメント

  • とにかく驚きの展開、そしてラストには心打たれてしまいました! 現代社会で擦り減ってしまう大切なモノを思い出させてくれますね!

  • 予想外の展開にびっくりで!めっちゃきゅんでした〜!!ドキドキですっごい面白かったです〜おしごとも大事だけどー。ね!わすれてた優しい気持ちになりました!
    ありがとうございました♪

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