エピソード1(脚本)
〇学校の校舎
八月十五日 放課後──
今日は好きな人に、高橋さんに、告白をすることに決めた。
どうしよう、緊張してきた。
そろそろ高橋さんが来る頃か──
鈴木正和「・・・」
高橋みゆ「おまたせ!待たせちゃった?」
鈴木正和「あっいえ全然!」
高橋みゆ「ならよかった! で、話ってなに?」
鈴木正和「その・・・あの・・・」
鈴木正和「高橋先輩の事が好きです!! 付き合ってください!!」
高橋みゆ「えっ・・・!」
鈴木正和(やっぱりダメか・・・っ)
高橋みゆ「嬉しい・・・とっても嬉しい!」
鈴木正和「えっ」
高橋みゆ「私も正和くんのことすっごく好きで・・・! どうしよう、とっても嬉しい・・・! 嬉しい、嬉しい!」
鈴木正和(よかったぁーっ!!!!)
鈴木正和「じゃ、じゃあ・・・」
高橋みゆ「はい!お付き合い、よろしくお願いします!」
鈴木正和「こちらこそ!」
〇男の子の一人部屋
正和の部屋
とりあえず告白は成功・・・連絡先の交換も成功・・・
俺ってなかなかやるなぁ
彼女からLINEだ
「正和君、明日って休日でしょう? もしよかったら私の家に遊びにこない?なんて思ったりしてるんだけど、どうかな?」
「いいんですか!?行っていいですか!」
「やった!じゃあ10時くらいにこれるかな?」
「はい!大丈夫です!」
「ありがと~っ!楽しみにしてるね!」
鈴木正和(早速初デート!?)
鈴木正和(ヤバい、どうする?私服で会うってことだし、うわっダサいとか思われたらどうしよう 家には早めに行っといた方がいいのか?)
鈴木正和「うおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
鈴木正和「よし、落ち着いた。取り敢えず今日は寝よう」
〇女の子の一人部屋
みゆの部屋
高橋みゆ「正和君との初デートだな・・・」
高橋みゆ「これとこれと、これを着ていこう。 これはここに置いて、あとこれは──」
高橋みゆ「あ・・・」
高橋みゆ「これは絶対に隠しておかなきゃ・・・」
高橋みゆ「それじゃあ、今日もおやすみ♡正和君♡」
〇一戸建て
次の日
鈴木正和「高橋先輩~・・・いますか!」
高橋みゆ「正和君!おはよ~!」
鈴木正和「おはようございます!」
高橋みゆ「さ、入って入って~!」
鈴木正和「お邪魔します!」
〇女の子の一人部屋
みゆの部屋
高橋みゆ「ちょっと汚いけど・・・はい!ここが私の部屋ね!」
鈴木正和「おぉ~っ」
鈴木正和(すごい・・・!女子の部屋・・・!)
高橋みゆ「ちょっとぉ~?やらしいこと考えないでよね!」
鈴木正和「かっ考えてませんよ!」
高橋みゆ「あっはは!嘘だよ! 私飲み物取ってくるから、適当にゆっくりしててね!」
鈴木正和「わかりました!」
鈴木正和「・・・」
鈴木正和(やっば、くそ緊張してきたわ・・・ 落ち着かない、そわそわする どうしよー・・・)
鈴木正和(あっ先輩の本棚、めちゃくちゃ並んでるな エロ本とかあったりしてぇ?)
鈴木正和(ちょっとだけ、ちょっとだけ・・・)
鈴木正和「・・・っな!?」
鈴木正和(先輩、こういうのが好きなのか・・・ 腐女子ってやつだな おおおお・・・こんなにたくさん揃えちゃって──)
高橋みゆ「あっおまたせー!」
鈴木正和「あっちょっ!高橋せんぱっ」
高橋みゆ「!?!?」
高橋みゆ「んちょおっ!!正和くんそれっ!!とりあえずやめてっ!!」
鈴木正和「すすみません勝手に!!」
高橋みゆ「・・・引いた?」
鈴木正和「いえいえ全然ですよ!」
高橋みゆ「ならいいんだけどさぁー」
高橋みゆ「あっ麦茶でよかった? お菓子もあるから遠慮せずね!」
鈴木正和「はい!ありがとうございます!」
30分後
高橋みゆ「正和君って好きなタイプ、なに?」
鈴木正和「えっまぁ先輩みたいな人ですかね・・・」
高橋みゆ「もっと詳しく!」
鈴木正和「元気で真っ直ぐで裏表がなくて・・・優しく寄り添ってくれる人」
鈴木正和「高橋先輩みたいな人です!」
高橋みゆ「へへっ私ってそんな風に見えてたんだ」
高橋みゆ「嬉しい!ありがとうね!」
鈴木正和「はい!」
高橋みゆ「じゃあ私お手洗い行ってくる!」
鈴木正和「はーい」
鈴木正和「使ったトランプ、片付けておこうかな」
鈴木正和(たしかトランプはあの棚に・・・)
鈴木正和「・・・!?!?」
鈴木正和(なんだこれ・・・っ俺の写真が・・・)
鈴木正和「1、2、3、4・・・5、6・・・」
鈴木正和(何枚あるんだよ!?!?!?)
鈴木正和(それになんだこれ・・・ 首輪?人間用?それに手錠? 血も少し・・・落ちてる・・・?)
鈴木正和「先輩・・・」
高橋みゆ「正和君」
鈴木正和「高橋先輩!?いやっそのこれは・・・!!」
高橋みゆ「へー、見ちゃったんだ・・・ 悪い子だね」
鈴木正和「先輩・・・」
高橋みゆ「言ったっけ、私、ずーっと正和君のこと好きだったんだよ ずーっと見てた、ずーっと追いかけてた」
高橋みゆ「私ね、正和君のこと」
高橋みゆ「好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで」
高橋みゆ「愛してるんだよ」
鈴木正和「・・・」
高橋みゆ「正和君・・・こんな私は嫌い? 私のこと、愛せない?」
鈴木正和「・・・っそれは・・・」
高橋みゆ「私をこんな風にさせたのは正和君なんだし、責任取ってくれるよね」
鈴木正和「・・・」
鈴木正和「具体的に・・・どういう・・・?」
高橋みゆ「簡単だよ。私のものになってくれればいいの」
鈴木正和「・・・」
高橋みゆ「拒否するの? まぁいいんだけどさ」
高橋みゆ「ごめんね?正和君 知られた以上・・・もう放っておけないから・・・」
鈴木正和「ま、待ってください!!わかりました!!」
高橋みゆ「そんな、無理にいいよ・・・」
鈴木正和「無理じゃないです!!好きです!!」
高橋みゆ「えっ・・・」
鈴木正和「大丈夫です!僕、先輩を愛していける自信はあります!!」
高橋みゆ「正和君・・・大好き・・・」
鈴木正和「僕もです、先輩」
高橋みゆ「ごっごめんね!ちょっと、行ってくる」
鈴木正和(こんな事実があってもまだ本当に高橋先輩が好きなんて・・・ 俺も中々だよな)
鈴木正和「先輩・・・好きです・・・」
こうして、俺達のただれた関係は爆誕するのだった──
棚の中って趣味嗜好などがストレートに出ますよね、特に本棚や小物アイテム等ってww
……首輪や手錠、そして血は、なかなか肝が冷えてしまいますが
夏休みのはずの終戦記念日に学校にいる二人がすでに違和感…。告白の翌日に部屋に正和を呼ぶ高橋さん。部屋に呼んでおきながら何度も退席する高橋さん。全てが最初から彼女の計画通り(それともまさか妄想?)に思えてきてどんどん怖くなってきました。恋愛ものというより新種のホラーという感じで楽しめました。