古城の魚雷姫(脚本)
〇水中
深海の底から荒れ狂う感情の波を観るように・・・
地底に歩みだす 私
上に飛ぶことだけが反重力ではない
私が身を捨てるほど困ってる人なんかいない
困りごとは自分で作っているだけ
困っている人すら自分で作っている
そう言って 飛び出しそうになる魚雷をなだめる
寂しさを 無力感を埋めるために 他者を作るのはやめる
外側に向かって力を出すなんて エネルギーロスだわ
もう爆弾はいらない
処理しましょう
爆弾を抱きしめると信管が外れた音がして ほどけていく
さようなら さようなら
今までありがとう
最後の大きな爆弾は私の形をしている
一番最後の手段のための爆弾ね
さようなら さようなら
今までありがとう
よく頑張ってくれたわね
あなたがいてくれるだけで十分よ
そう 何にもしなくていいのよ
解放されて微笑んだ爆弾は虹色の孤を描いて飛んでいき、きれいな花火になって消えていった
ひとりになったけれど 寂しさはないわ
爆弾が寂しさを握っていたのね
私は地底を歩んでいく
一瞬一瞬、重力を捨てていく
どこにも結果なんてない
爆弾を持つ努力はいらない
自分のことを信じればいい