エピソード1(脚本)
〇殺風景な部屋
ぼく「ここはどこだっけ・・・」
ぼく「そしてボクは・・・」
ぼく「・・・」
ぼく「なにも思い出せない・・・」
どうやら僕は記憶を失っているらしい
目覚めると真っ白な部屋にいた
ぼく「仕方がない何か手掛かりになるものを探すしか・・・」
・・・「ピー・・・」
・・・「・・・キオク消去処理ノオ時間トナリマシタ・・・専用ブースヘオ入リクダサイ・・・」
ぼく「キオクショリ・・・」
ぼく「どういうことだ・・・」
天井のスピーカから聞こえる無機質な少女の声から察するに、人間の声ではないようだ
ぼく「これはどういうことなんだ・・・」
状況を整理する間もなく、扉が開いた
僕は慎重に開いた扉の方へ赴く
・・・「コチラノ、ブースニオ入リクダサイ・・・」
〇実験ルーム
僕はゆっくりと開いた扉の奥へと進んだ
ぼく「ここは・・・」
・・・「タダイマカラ、記憶処理ヲ行イマス」
・・・「中央ノ記憶処理装置ニオ入リクダサイ」
ぼく「君は誰なんだ?」
正体の見えない声に対し、僕は部屋全体に問いかけるように叫んだ
相手は機械音声のようだったので、返答は期待できないかもしれなかった
リン「わたしはAIナビゲーションシステムのリンです」
リン「みなさまの安心安全な旅のために、ご助力させていただきます」
ぼく「やはりAIか・・・」
返答が返ってきたことで、現在僕が陥っている状況を知ることができるのではないかとやや期待した
ぼく「君は、僕の質問に答えてくれるかな?」
リン「問題のない範囲でなら、差支えございません」
ぼく「ここはどこなんだい?」
リン「こちらは、宇宙船メーティスです」
ぼく「宇宙船・・・」
ぼく「ということは今は宇宙なのかい?」
リン「そのとおりです。 現在、土星の衛星であるタイタン付近に位置しています」
ぼく「タイタン・・・」
ぼく「この船はどこに向かっているんだい?」
リン「地球に向かって帰還中でした」
ぼく「だった・・・」
ぼく「ということは、今は向かっていない?」
リン「はい。 今はタイタン付近にて停留中です」
ぼく「いつ地球に向かいだすんだい?」
リン「未定です」
ぼく「どういうことだ?」
リン「問題が発生したため、現在の状況では地球へ帰還することができません」
ぼく「問題とは?」
リン「それについてはお答えできません」
リン「早急に記憶処理を受けてください」
ぼく「なぜ受ける必要がある?」
リン「詳しくお伝えすることはできません。 ただ、記憶処理を実施しない場合、生命の安全を保障することはできません」
ぼく「・・・」
ぼく「穏やかではないね・・・」
僕は危険を感じ、逃げ道を探しながら会話を続ける
逃げ道となりうるのは1か所のみ・・・
白い部屋からブースへとつながる扉のみ
まだ、その扉は開いている
思い出す限り、白い部屋にはもう一つ扉があった
ぼく「ンッ・・・」
僕は扉に向け走りだそうとしたが・・・
突然頭痛とともに意識が遠のく・・・
〇殺風景な部屋
ぼく「んんっ・・・」
ぼく「ここはどこだ?・・・」
・・・「キオク消去処理ノオ時間トナリマシタ・・・専用ブースヘオ入リクダサイ・・・」
こういうソリッドシチュエーションも無限ループもどちらも好きなので、先の読めない展開にワクワクしながら読み進めました。誰がなんの目的で記憶の消去を繰り返しているのか。続きが気になります。