異世界還りの聖女様!

檸檬桃緑茶

Ⅰ-01.プロローグ(脚本)

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〇古い本
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  1章
  
  地球ゾンビパニック化 編
  
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〇荒廃したセンター街
???「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
  栄えていたであろう街並みは
  すでに荒れ果て、
???「はぁ・・・・・・はぁ・・・・・・」
  その中を小さい子供二人が
  何かから逃げるように駆け抜けていく。
???「お兄ちゃん・・・・・・」
???「もう走れないよぉ・・・・・・!!!!」
  そういって立ち止まったのは、高野杏奈。四歳。
  ずっと逃げ回っていた杏奈たちは、すでに体力の限界で、その場に立ち止まってしまった。
???「アンナ! ここで止まってはダメだ!!」
???「もう少しだけ我慢してくれ!!!」
  そういって杏奈の手を強く引いて走りだそうとするのは、高野蓮。
  8歳。
  
  小学3年生だ。
  だが、目の前から人影が現れたことにより二人の足はすぐに止まってしまう。
高野 蓮(レン)「クソ!!」
高野 蓮(レン)「見つかってしまった!!」
  蓮は、急いで来た道を戻ろうとするが・・・
  すでに敵は後ろからも現れていた。
  急いで周りを見回すが、すでに人影に囲まれており、逃げ道がなくなっていた。
高野 蓮(レン)「か、囲まれた!!!」
  蓮は杏奈を守るように抱きしめながら、
  他の逃げ道を探すが、どこにも見当たらなかった。
  敵は二人の子供に狙いを定め、
  
  一歩・・・また一歩と近づいてくる。
高野 杏奈(アンナ)「お、お兄ちゃん・・・」
  蓮も杏奈も、
  あまりの恐怖にブルブルと震えながら絶望していた。
  その時・・・・・・
???「子供を傷つけるなんて許しません!!!!」
  どこからか声が聞こえてきた。
「・・・・・・え??」

〇荒廃したセンター街
  いくら敵に囲まれ、
  絶体絶命だった蓮や安奈でも・・・
  
  この状況に驚かずにはいられなかった。
  なぜなら、声の主は突如目の前に空から現れたように見えたのだ!!!
  そんな目の前に突然現れた声の主は、14歳くらいの女の子だった。
  そして・・・・
  突然現れた女の子は、周りの状況お構いなしに敵に向かって言い放つ。
???「子供をよってたかっていじめるなんて!! 恥を知りなさい!!!」
???「私があなたたちを成敗してあげるわ!」
  そう言い放った女の子の名は吉沢奏楽。
  14歳。
  
  一応中学2年生である。
  そんな奏楽は、両腰に手を当て胸を張って威厳を出しているつもりだが・・・・・・
  小柄で華奢で身長も低く、14歳よりも小さく見えることもさながら、
  ダボダボのシスター服のような格好も相まって、
  威厳も何もかもが台無しになっていることを本人は知らない。
高野 蓮(レン)「に、逃げてください!!!」
高野 蓮(レン)「ヤツラは・・・・ 生きている人間を襲うんです!!!」
高野 蓮(レン)「だから──」
  蓮は、勇気を振り絞って奏楽に声をかける。
  すると奏楽は、蓮と杏奈の方に顔を向けた。
高野 蓮(レン)「あ・・・////」
  奏楽の顔を見た蓮は顔が真っ赤になっていた。
  それもそのはず・・・
  奏楽は・・・
  
  絶世の美少女だったのだ。
吉沢 奏楽(ソラ)「坊や!!!! 怖かったよね!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「大丈夫!! 私が助けるから・・・。 もう少し待っててね!」
高野 蓮(レン)「え? 坊やって・・・・ え???」
  "坊や"という言葉に蓮は困惑する。
  蓮と年が近いように見える絶世の美少女に、"坊や"と呼ばれたら誰だって困惑するだろう。
  そう―――。
  きっと、おかしいことではないだろう。

〇荒廃したセンター街
吉沢 奏楽(ソラ)「とまれ!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「幼い子供たちに何をするつもりだ!!! 答えろ!愚弄ども!」
  近づいてくる人影をよく見ると、物凄く顔色が悪かった。
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・ おや?」
吉沢 奏楽(ソラ)「君、顔色が物凄く悪いようだが・・・ んんっ??? あれ?」
吉沢 奏楽(ソラ)「というか・・・ 皆顔色悪いな?」
  異変を感じた奏楽は、周りを注意深く観察してみる。
吉沢 奏楽(ソラ)「これは・・・・・・」
  奏楽は、顔色の悪い人影をよくよく見てみると、顔色が悪いのではなく、すでに死んでいる者たちであり・・・
  死んだ人間が、生きている人間を襲う化け物である"ゾンビ"へと変貌した姿だということに・・・
  ようやく気付いたのだった。
吉沢 奏楽(ソラ)「え・・・? 地球に・・・ ゾンビ??」
吉沢 奏楽(ソラ)「おかしいな・・・・。 "地球"にはこのような化け物はいないはずだが・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「女神の奴・・・。 帰還先を間違ったんじゃ・・・」
吉沢 奏楽(ソラ)「余計なことを考えている暇はないな!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「ゾンビなんて!! 私の敵ではな―――」
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・んんっ??」
  そのとき、ふと異変に気づく。
  ゾンビたちは、奏楽の一定の距離を超えた辺りから、全く近寄って来ないのだ。
吉沢 奏楽(ソラ)「・・・ あれ? 近寄ってこない・・・??」
  奏楽は、試しに戦闘態勢を解いてみるが・・・・
  ゾンビたちが奏楽に近づいてくることはなかった。
  ゾンビたちはたくさん集まってきているが・・・
  一定の距離を境に誰一人近寄って来ない現象に、3人にしばしの間沈黙が訪れた。
吉沢 奏楽(ソラ)「さ、さて!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「ここは危ないから二人とも安全なところに行こうか!!」
  そう言い放ちながら奏楽は、気を取り直して次の行動に移ることにした。
高野 杏奈(アンナ)「お姉ちゃん・・・!! 助けてくれてありがとう!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「グハッッッ!!!」
「????」
吉沢 奏楽(ソラ)「コホン!!!!」
吉沢 奏楽(ソラ)「困っているときはお互い様だからね!!」
  そう言いながら両腰に手を当てて胸を張るが、相変わらず威厳は感じなかった。
吉沢 奏楽(ソラ)「さぁっ・・・!! ここは危ないから! 安全な場所に移動しよう!!」
  こうして──
  3人は、ゾンビたちのいる中堂々と・・・・
  安全な場所へと向かうために、この場から離れるのだった。

次のエピソード:Ⅰ-02.吉沢奏楽

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