妖精王のお妃(脚本)
〇可愛い部屋
かなた「妖精王のお妃になりたい」
かなた「この現実も夢らしいし 別の夢に移動する気分で実現しないかな?」
かなた「明晰夢を自在に操る方法を忘れている だけなのかもしれない」
かなた「寝て思い出そうっと」
〇宇宙空間
花柄のドレスに身を包んだ私は妖精王のお妃
妖精王は黄金の声をしている
花と緑に溢れた優しいお城に住んでいる
小さな妖精たちが歌を習いに遊びに来ることがよくあるの
目が覚めたらお城に着いているでしょう
〇貴族の部屋
オベロン「おはよう」
カナタ「想像通りの妖精王が微笑んでいる・・・」
カナタ「嬉しいんだけど・・・アレ?」
オベロン「せっかく作った物語に没入しないのかい?」
カナタ「違和感がなさすぎる ・・・これは前世なのかも?」
カナタ「もしかして経験済みの世界なのかな?」
カナタ「もう済んでる世界しかなかったらどうしよう??」
カナタ「どこに行ったらいいんだ・・・?」
オベロン「こちらへおいで」
カナタ「考えすぎかな えいっ」
妖精王の胸に飛び込んだ
カナタ(今を楽しめばいいんだわ)
オベロン「我が妃よ どんな望みも叶えてあげよう」
カナタ「キッス♡して」
オベロン「キスをすると ここに来る前の記憶が消えてしまうが問題ないか?」
カナタ「えっ」
カナタ「何その設定 いらない キャンセル! なんで古今東西の物語って ハラハラする設定がくっついてるの」
カナタ「私の作る物語には そんなものいらない!」
オベロン「はは 冗談だよ 自分に愛されている君は素敵だね」
カナタ「えっ」
オベロン「忘れたくないくらい大事なんだろう?」
カナタ「・・・!」
〇貴族の部屋
一週間後・・・
カナタ「ここでの生活にも慣れてきた」
カナタ「なんだか『かなた』だったときのこと忘れてしまいそう・・・」
カナタ「一時記憶としての私を忘れてしまっても、いつでも一緒にいるから大丈夫ね」
〇宇宙空間
私は旅人
宇宙の旅人
ふるさとを持たず
世界の果ても持てない
帰る港は私自身だったのかしら?
個人のアイデンティティが先なのか、経験と記憶が先なのか、鶏と卵のような話ですね。明晰夢のようなメタ認知状態、一度でいいから体験してみたいです。