St.3 青春-後編(脚本)
〇住宅街の公園
私の友達を人質に取った、女の子と向き合う
何でこんな事になったかは、分からないけど
ライト「ホントに、この水晶を渡せば。 コウちゃんを返してくれるんですね?」
アラカ「嘘はつかない、メリットもない」
ライト「分かりました、、、」
ゆっくりと近づきながら、私は考える
ライト「コウちゃんは、何処に消えたの? この子の力の正体は何?」
コウちゃんは地面に呑まれたように見えた
此処で、水晶を渡して、
今後干渉してこない保証はある?
何とか、力の正体と対策を────
アラカ「・・・・・・」
アラカ「な~にか、企んでる?」
ライト「ち、違います!」
警戒されちゃった!?
普通に水晶を渡せば、
コウちゃんを返してもらえたのに
アラカ「もういい、そこで止まって」
ライト「は、はい....」
その子は、機嫌が悪そうに私の右腕を掴む
アラカ「潜むは、『黒』 惑い・堕ちろ」
そして、何かを呟くと同時に────
「キャッ!?」
お母さんの時と同じ何かが起きた。
だけど、理解する前に意識が途切れた
アラカ「何もしてこない、警戒しすぎた?」
アラカ「まぁ、いいや。 あそこから出られる訳ないし・・・」
少女は、ベンチに座り。時を待つ
二人の少女が、影に呑まれるまでの時間を
〇黒
水に沈むような感覚
五感全てが、溶けて消えていく感覚
主人公「これが、『死』」
痛くも、辛くもない。
ただ、動けなくて、思考が途切れていく
語るは、『神話』
誰かの声が、響く
コウちゃんじゃない。──────誰?
暗闇の中で、意志が生まれ──────
思考が、その誰かと繋がる。
だから、理解できた
主人公「その力じゃ、駄目です。駄目なんです!」
どうして?
主人公「その力で、コウちゃんは救えますか?」
首を横に振るような感覚
なら、やっぱり駄目だ
主人公「巻き込まれた、コウちゃんも助けて下さい 私だけ助かっても意味ないんです!」
困惑しているのが、分かる
主人公「どうして、どうしてって────────」
主人公「そんなの、友達だからに決まっているじゃないですか!」
主人公「私がコウちゃんを巻き込んだんです!」
主人公「なら、救われるべきはコウちゃん「も」です!」
でも、、、とその『意志』は考える
主人公「アナタは、私の友達を知ってますか?」
────────
主人公「私に、優しくしてくれました。 一番の友達で、親友です!」
主人公「何にでも興味を持って、私には無いものを沢山持っていて、憧れです!」
────────
主人公「でも、寂しいがり屋で、 一人じゃ何も出来ない臆病な子なんです!」
主人公「病気の時に、一人にしないでって、 泣いちゃうような、怖がりなんです!」
でも、、、二人は救えない。どっちか────
主人公「二人共、救って下さい!!!」
────────
主人公「責任感も強いから、、、 私を犠牲に助かっても、コウちゃんは傷つく」
主人公「コウちゃんを置いて、私が助かっても、 大丈夫だよって、悲しそうに笑うんです!」
主人公「二人一緒に助けてくれないと意味ないんです!」
────────────
無理だ、無理だって、うるさいんです!
主人公「救う力がないなら、もう黙って下さい!」
主人公「救えるなら、ちゃんと二人共助けて下さい!」
────────────ごめん
主人公「ッそうですね、私も、ごめんなさい。 でも、変な希望は持たせないで」
コウちゃんを探そう、何も手掛かりはないけど
触覚も聴覚も聞かない。
喋ってる筈なのに、声が聞こえない
主人公「コウちゃん! コウちゃん!!!」
主人公「・・・・・・・・・」
主人公「私は、何をやってるんでしょうね」
コウちゃんだけでも、助けて貰うべきだった
主人公「なのに、自分が原因なのに、 私も助けて貰おうとするなんて」
主人公「私は、何がしたかったんですか?」
また、この音、、、あの水晶だ
これを、渡す話でしたよね?
なんで、まだ持ってるんですか?
主人公「────────」
主人公「願いが叶うなら、二人一緒に助けて下さい」
主人公「わがままでも、叶えて下さい!」
なら、継いで
主人公「ッ、何をですか?」
私の物語を
未完成の物語を継いで、希望を紡いで
〇女性の部屋
頭に思い浮かんだんだのは、
今朝の光景────
主人公「朝日が部屋を照らす、そんな日常」
主人公「ありふれた光景、私の始まり」
〇黒
紡いで、アナタの願い、希望を
主人公「私の、願い。希望は────」
主人公「二人で、コウちゃんと一緒に日常を楽しく笑顔で過ごす事です!」
さっきの光景と、単語をイメージする
水晶を強く握り、私の希望を語る!
主人公「語るは、『神話/日常』」
主人公「瞳を開ければ、光が世界を照らす!」
それでいいよ
星に願いを
〇幻想
光が収まると、視界に星が映る
ライト「コウちゃんは、何処?」
──────────
ライト「一緒に帰ろう」
視界が再び、光に覆われる。
分かるのは、手の温もりだけだった
──────────
アナタは、間違えないでね
〇住宅街の公園
ライト「ほわっっ!?」
ライト「イタタ、戻って来れたんだ」
良かった、、、コウちゃん無事みたいだし
これで、ハッピーエンド
「なるわけ、ないでしょ?」
アラカ「人の上に落ちて来て、何考えてるの?」
ライト「あ、ごめんなさいです」
ライト「怪我とか、してないですか?」
アラカ「そうね、まぁいいわ」
アラカ「言っとくけど、今回は、ほんの挨拶よ」
アラカ「次会うときは──────」
ライト「あのコレ、落ちてますよ?」
私は、例の水晶を見せる
アラカ「何でッ!?」
ライト「影から、出てきた時に落ちたんですかね?」
アラカ「ちょ、返しなさい!」
ライト「あ、はい。どうぞ、どうぞ」
アラカ「え、何かの罠? え、えぇ、何で?」
ライト「何でって、アナタのなんですよね?」
アラカ「うぅ、、、そうだけど」
ライト「なら、返しますよ?」
アラカ「いや、罠ね、罠なのね!」
アラカ「何が望み、言ってみなさい!」
普通に返すので、普通に帰って下さい
ライト「・・・納得してくれるタイプですかね?」
アラカ「え、何を命令するつもりなの?」
ライト「命令って程じゃないですけど」
ライト「アナタは、どんな願いを持ってるんですか?」
アラカ「あら、人の願望が気になるの?」
アラカ「まぁ、それくらいなら教えてあげるわ」
アラカ「私には、双子の妹がいるんだけど────」
コウちゃん「そっか、妹ちゃんの為にデスゲームに!!!」
コウちゃん「病気、治るといいね!」
ライト「、、、頑張って下さいね。応援します!」
アラカ「いや、何で人の妹を病弱設定にするのよ!」
コウちゃん「双子の姉妹、いや病弱はテンプレでしょうが」
アラカ「何処のテンプレートよ、、、」
ライト「コウちゃんの妄想は置いておいて、 アナタの願いは何ですか?」
アラカ「そんなの、妹との決着だけよ」
アラカ「私には、妹がいるのだけど お互いが、お互いのライバルなの」
アラカ「それなのに、私だけトレクト(?)だっけ?」
アラカ「その、力が与えられるなんて理不尽だわ!」
ライト「そう、、、なんですか?」
コウちゃん「そうなんだよ」
アラカ「うるさい、喋るな、、、 だから、私の願いは妹との決着!」
アラカ「同じ力で、真っ向からの真剣勝負よ!」
ライト「なるほど、じゃあ約束通り返し────」
コウちゃん「それ、私が貰っちゃ駄目?」
アラカ「────────はい?」
ライト「ややこしくなるので、返します」
アラカ「えっ!? えぇ、ありがとう」
コウちゃん「えぇ~、私もつよつよになりたぁ~い!」
コウちゃん「ねぇねぇ、私もトレット? なりたい!」
ライト「それじゃあ、一件落着なので帰りますね」
アラカ「あ、うん──────」
アラカ「今回は、私の負け」
アラカ「でも、神凪町では、こうはいかないから!」
アラカ「せいぜい、覚悟するのね!」
そう言って、彼女は去っていく
ライト「あ、名前くらい聞いておけば良かったですね」
コウちゃん「私も、不思議パワー使いたかったヨヨヨ」
ライト「お昼食べていく?」
コウちゃん「食べるぅ~!」
コウちゃん「あ、そうだ転校の話、メインイベントが!」
あぁ、色々あって忘れてました
ライト「お母さん、分かってくれるかな?」
コウちゃん「だいじょ~ぶだよ♪」
コウちゃん「いざとなれば、ウチに家出すればいいよ」
ライト「そうだね、そうするね♪」
とは、口では言ったけど、
簡単に話が通じる訳はなく
〇明るいリビング
シオン「え、転校しないでいいよ?」
ライト「え、いいの!?」
すぐに話が通ってしまった!?
シオン「ライちゃんの、やりたいことを尊重するよ?」
シオン「むしろ、アレに参加しないでくれるのが嬉しいくらいだよぉ~♪」
ライト「そっか、、、難しく考え過ぎたのかな?」
シオン「そうそう、子供だからって、 言いたい事言わなきゃ、大人に飼い殺されるよ」
ライト「お母さんは、優しいよ?」
シオン「ありがとう~」
シオン「よし! 晩御飯は、オムライスにしよう!」
ライト「オム、、、♪」
シオン「あ、卵少ないなぁ~」
シオン「買いに行ってくるから、先にお昼食べてて」
ライト「あ、それなら私も一緒に」
シオン「コウちゃん、一人にするのもね?」
コウちゃん「イチャイチャ許可がおりましたので、 ご飯た~べよ?」
ライト「、、、そうだね」
ライト「気をつけて、行ってらっしゃい♪」
「はいはい、いってきまーす」
────────
コウちゃん「ねぇ、因みにあの娘ダレ?」
ライト「お母さんだよ? ちっちゃくなって」
コウちゃん「ほぇ~、変な世の中になったんだね」
え、納得した。そんな事が!?
ライト「はぁ~、コウちゃんの適応力が羨ましいよ」
コウちゃん「えへへぇ~、頭空っぽなんで」
コウちゃん「あ、訂正、ライトの事で一杯だから!」
ライト「そうだねぇ~」
コウちゃん「そうですよねぇ~」
〇ビルの裏
迷いの路地
シオン「どうせ、聞いてたと思うけど────」
シオン「私もライちゃんも、アレには参加しない」
────────────
シオン「許される、許されないとかどうでもいい」
シオン「私の幸せを邪魔すらなら、容赦しない」
────────
シオン「今が、幸せかどうか?」
シオン「そうだねぇ、、、うん」
シオン「私は今、すごく幸せだよ♪」
「ふぐぁ・・・・・・あ、アハハ」
そっか、そうだよね、、、ごめん
〇明るいリビング
ライト「遅いなぁ、、、何処まで行ったんだろ?」
「ライト~、ちょい来て?」
ライト「あ、うん。どうしたの?」
コウちゃん「ちょい気になってさ、、、」
コウちゃん「詩音さん、卵が足りないって言ってたよね?」
ライト「うん、オムライス作るのに────」
ライト「────────アレ?」
コウちゃん「卵、10個あれば余裕よね?」
コウちゃん「やな予感するの、私だけ?」
ライト「・・・・・・・・・」
コウちゃん「お~い、探しに行くより、先に電話とか」
コウちゃん「およ、噂をすれば──────」
コウちゃん「はいは~い、月宮です」
────────────
コウちゃん「え、詐欺ですか?」
────────
コウちゃん「いやいや、おかしいですって、 だって、詩音さんが──────」
「亡くなったとか──────」