読切(脚本)
〇温泉の湧いた渋谷
20☓☓年 渋谷
「絶対許さん!」
未来人「時限爆弾なんて卑怯だ!」
未来人「アイツらのせいで!」
未来人「過去の渋谷に来てしまった!」
未来人「すぐに時間停止して誤魔化したが・・・」
未来人「危うくネオヘブン渋谷の歴史が変わるとこだったぞ・・・」
未来人「さっさとここを修復して一刻も早く我々の 時代に帰らないと!」
〇フェンスに囲われた屋上
葉知(ハチ)「また誘えなかった・・・」
葉知(ハチ)「でも、でも・・・」
葉知(ハチ)「あんな今どきの女の子を私なんかが誘っていいの?」
葉知(ハチ)「一緒に渋谷に行きたいなんて・・・」
葉知(ハチ)「断られたら悲しいし・・・」
葉知(ハチ)「・・・優しいからOKしてくれても渋谷で 隣が私じゃ申し訳ない!」
葉知(ハチ)「でも1人で渋谷を歩ける自信がない・・・」
葉知(ハチ)「私1人だと渋谷はオシャレ過ぎて恥ずかしくて窒息する・・・」
葉知(ハチ)「はぁ〜 せめて私が『2人』なら行けるかもしれないのにな・・・」
「おい! そこの泣いてる少女よ!」
未来人「驚くだろうが・・・我は未来人だ!」
葉知(ハチ)「・・・・・・」
葉知(ハチ)(生徒の妹・・・? 先生の隠し子・・・!? 未来の渋谷から来た未来人・・・!??)
未来人「その通りだ! まずは訳を話そう」
〇女の子の一人部屋
未来人「と言う訳で・・・」
未来人「未来に戻るために『ハチ公丸』を探して くれ!」
葉知(ハチ)「・・・・・・」
葉知(ハチ)(つまり、この子は未来のネオヘブン渋谷の激しい戦いで過去に来てしまい・・・)
葉知(ハチ)(もう時間停止が使えないから・・・渋谷で はぐれてしまった天才時空パイロット 『ハチ公丸』を私に探してほしいと・・・)
未来人「そうだ、理解が早くて助かるぞ!」
葉知(ハチ)(しかも・・・私なら渋谷の未来に全く影響がないから適任だ・・・と)
未来人「うむ、何をしても大丈夫だ!」
葉知(ハチ)「でも、それが本当なら・・・」
葉知(ハチ)「・・・未来の力で私が『2人』になれるの?」
未来人「時間を停止するより簡単だ!」
葉知(ハチ)「複雑だけど・・・」
葉知(ハチ)「渋谷に行けるなら・・・」
葉知(ハチ)「私、やってみる!」
〇女の子の一人部屋
葉知(ハチ)「おはよう/// 私!」
葉知(はち)「おはよう/// 私ってのも変だし『はち』でいいよ」
葉知(ハチ)「じゃあ・・・はち、私たちの服どう? 渋谷に行く為に買った服だけど似合ってるかな?」
葉知(はち)「ハチが頑張って選んだ服だもんね 大丈夫、ハチに似合ってるよ! あの・・・私はどう?」
葉知(ハチ)「照れくさいけど・・・ すごく似合ってて可愛いし渋谷を歩いても違和感ないよ!」
「『2人』状態は今日の夕方までだからな!」
未来人「ハチ公丸を頼んだぞ!」
〇渋谷駅前
葉知(ハチ)「来てしまった・・・ オシャレだ・・・」
葉知(ハチ)「本当に来てしまった!」
葉知(はち)「大丈夫だよ! 1人じゃない!」
葉知(ハチ)「そうだよね! はちと一緒で心強いよ!」
葉知(ハチ)「じゃあ、はちはどこ行きたい?」
葉知(はち)「あの人気のカフェとか?」
葉知(ハチ)「私も行きたかった!創作タルトが・・・」
「ねぇ、迷い犬だって!」
「ハチ公像の辺りをウロウロしてるみたい!」
葉知(ハチ)「・・・はち」
葉知(はち)「・・・分かってるよ、ハチ」
葉知(はち)「遊ぶのは後だよね」
〇ハチ公前
葉知(ハチ)「ハチ公像はここだね!」
葉知(はち)「もう、いないみたい」
葉知(はち)「でも探せばすぐ見つかるよ!」
葉知(ハチ)(ここで待ち合わせするの憧れなんだよね)
葉知(ハチ)(今度・・・また・・・なんてね)
葉知(ハチ)「早く見つけよう!」
葉知(ハチ)「私、あの子たちに聞いてみる!」
葉知(はち)「ハチ、大丈夫?」
葉知(ハチ)「任せて!」
〇ハチ公前
女の子たち「すぐ保護してあげたかったけど、いなくなっちゃって・・・」
女の子たち「どこ行ったんだろうね? ほら、手掛かりはこの写真だけ・・・」
写真には戸惑う人々をすり抜ける子犬の姿
女の子たち「そういえば・・・いなくなる時、消えたように見えたような・・・」
〇ハチ公前
葉知(ハチ)「姿が消えた・・・ 未来人だもんね」
葉知(はち)「もしかして・・・」
葉知(はち)「未来でもここは待ち合わせの場所なのかも」
葉知(はち)「姿を消して今もここにいるかもしれない!」
葉知(ハチ)「はち!それだよ!」
葉知(ハチ)(私が何をしても未来の渋谷に影響ない なら・・・)
葉知(ハチ)「未来人のワンちゃん〜! ご主人様は私の家にいるよ〜! ハチ公丸、返事して〜!」
葉知(はち)「ハチ・・・!」
葉知(はち)「私たち夕方までしか渋谷にいられないの! 早く返事して、ハチ公丸のワンちゃん!」
「えっなに?あの子ら?」
「未来人?変なの・・・」
葉知(ハチ)「今、凄く恥ずかしい///」
葉知(はち)「私もだよ///」
葉知(はち)「でもね、ハチ・・・私は・・・」
〇ハチ公前
「誰がワンちゃんだって!?」
ハチ公丸「しかもアイツがご主人様とかふざけるな!」
ハチ公丸「犬はこっちだ!」
女の子は子犬を持ち上げて見せた
ハチ公丸「この犬がウロウロしてて危ないから保護しただけだ!」
ハチ公丸「くそっ、1回しか使えない時間停止を使ってしまった・・・」
葉知(ハチ)「えっ・・・ ハチ公丸って女の子だったの・・・」
葉知(はち)「周りの人が全く動かない! 今更だけど夢みたい・・・」
葉知(はち)「アレ? じゃあ、そのワンちゃんはただの迷子?」
ハチ公丸「ゴチャゴチャ言っている場合じゃない! あと5分・・・時間が動き出したら歴史が変わってしまう!」
〇ハチ公前
未来人「ハチ公丸〜〜!!! 会いたかったぞ!!!」
ハチ公丸「お前!! 姿を消してコイツらの側にいたのか!」
ハチ公丸「すごく心配したんだぞ! 手を離すなと行ったのに・・・お前は・・・」
ハチ公丸「もういい・・・無事で良かった」
未来人「我々はすぐに未来に帰らないと・・・ 葉知!世話になったな!」
ハチ公丸「子犬のことは任せたぞ!」
2人の未来人は消えてしまい
渋谷は再び動き出した
〇渋谷駅前
葉知(ハチ)「飼い主とすぐに連絡がついたのは良かったけど・・・」
葉知(はち)「もう夕方だね・・・」
葉知(ハチ)「ゴメンね!はち・・・ もっと遊びたかったよね・・・」
葉知(はち)「・・・ハチなら分かるでしょ」
葉知(はち)「私は、『ハチ』だよ」
葉知(はち)「もっと渋谷で遊びたい・・・」
葉知(はち)「だから・・・」
葉知(はち)「今度また、いっぱい遊ぼうよ!」
葉知(はち)「ハチは『1人』で大丈夫だから!」
葉知(はち)「約束だよ」
葉知(ハチ)「はち・・・私まだ・・・」
葉知(はち)「信号、青になったよ」
葉知(はち)「一緒に渡ろう」
『2人』は手を繋いで歩いた
信号を渡り終えた時・・・
葉知は『1人』に戻っていた
葉知(ハチ)「うん・・・」
葉知(ハチ)「また遊ぼうね」
自分が二人いたら、服の趣味とかも合って楽しいだろうなぁと思ってしまいました。
彼女はもう一人の自分に勇気をもらったので、もう一人でも渋谷に遊びに行けますよね。
最後のシーンに少しの切なさというか、
余韻の様なものを感じつつ、
夕焼け空の似合う終わり方が印象的でした😌✨
ハチが女の子なのは意外性があって良いですね🙆♀️
私も、ひとりでちょっぴり心細いなと思うときがあるので、このストーリーは夢のようなお話で、こんなことができたらいいなと共感しながら読みました。また会えるといいね。