第5話『あるべき、ミライ』(脚本)
〇黒
〇黒
〇巨大研究所
〇武骨な扉
〇暗い廊下
〇祭祀場
「もうすぐ・・」
「大きな光と」
〇見晴らしのいい公園
〇祭祀場
「深い、深い闇が」
〇魔物の巣窟
〇祭祀場
「衝突しようとしています」
「そして、 どちらかが消滅するでしょう」
「私達は・・」
「その人の力になりたい」
「そして、その人も」
「私達の力になってくれるはずです」
将軍「・・はい」
将軍「その人物の居場所はお判りでしょうか?」
「・・・はい、見えます」
将軍「そうですか」
将軍「では・・」
将軍「コンタクトを取ってみましょう」
〇黒
〇見晴らしのいい公園
羽田ミライ「・・・こ、こんにちは」
羽田ミライ「あ、あの」
羽田ミライ「・・・」
羽田ミライ「・・お家は、この近くなの?」
〇怪しい研究所
〇近未来の開発室
トム「・・・」
トム「アイさん」
トム「ミライは来ないんですか?」
島崎アイ「うん」
島崎アイ「今、彼女は大切な時間を過ごしてるの」
島崎アイ「もう少し、待ってあげて」
トム「そうですか、承知しました」
〇見晴らしのいい公園
羽田ミライ「・・あの」
羽田ミライ「私、好きなの・・」
羽田ミライ「この場所が・・」
羽田ミライ「ここに座って、のんびり空を眺めていると」
羽田ミライ「嫌な事が全部なくなった気がして」
羽田ミライ「・・・・・・」
羽田ミライ「もしかしたら」
羽田ミライ「キミも一緒かな・・」
〇黒
第5話
『あるべき、ミライ』
〇黒
〇開けた景色の屋上
島崎アイ「おはようございます」
柳原伊知郎「おはよう」
島崎アイ「諜報部三課からの情報、確認致しました」
島崎アイ「【最上の民】ですか・・」
柳原伊知郎「うむ・・」
柳原伊知郎「我々が以前からマークしていた」
柳原伊知郎「反社会的思想を掲げる集団だ」
島崎アイ「聞いた事はあります」
柳原伊知郎「団体を率いるのは双子の『カミシモト姉妹』」
柳原伊知郎「未確認情報だが」
柳原伊知郎「姉妹ともに人智を超越した力を持つ、 と噂されている」
島崎アイ「いわゆる超能力ですか」
柳原伊知郎「ああ、個人的には信じてないがな」
島崎アイ「・・そうですか」
島崎アイ「私は研究対象としての興味はあります」
島崎アイ「でも、 なぜシャドーに接近しているんでしょうか?」
柳原伊知郎「さあ、何とも言えないが」
柳原伊知郎「我々の仲間が掴んだ確かな情報だ」
柳原伊知郎「例えるならば」
柳原伊知郎「闇が闇を引き寄せてるんじゃないか?」
島崎アイ「私はシャドーが」
島崎アイ「そんな団体に興味を持つとは思えません」
柳原伊知郎「彼をよく知る君は、そう思うだろうがね」
柳原伊知郎「私はお互いに 潰しあって欲しいと思っているよ」
島崎アイ「それは、願ってもない事ですが」
柳原伊知郎「ああ」
柳原伊知郎「もし【最上の民】と」
柳原伊知郎「シャドーが結託する様な事になると・・」
島崎アイ「厄介な事になります・・」
柳原伊知郎「ああ、間違いないな」
柳原伊知郎「こちらとしても、何らかの手を打たねば」
〇黒
山下コウイチ.「・・・」
山下コウイチ.「シャドーってのは、アンタか?」
シャドー(影沼ノエル)「・・・・」
山下コウイチ.「き、消えた?」
山下コウイチ.「うわっ!」
シャドー(影沼ノエル)「誰だ、お前?」
山下コウイチ.「あ、あの撃たないでください!」
山下コウイチ.「あ、会って欲しい方がいます!」
シャドー(影沼ノエル)「だから」
シャドー(影沼ノエル)「お前、誰なの?」
山下コウイチ.「うわっ!危ないですよ!」
山下コウイチ.「や、やめて下さいよ!」
シャドー(影沼ノエル)「何で、俺の居場所が判ったんだ?」
山下コウイチ.「い、今、説明しますから!」
山下コウイチ.「撃たないで!」
山下コウイチ.「お、お願いしますよ!」
山下コウイチ.「オレ、ただの使いですから!」
〇廃倉庫
〇祭祀場
〇黒
シャドー(影沼ノエル)「・・・へえ」
シャドー(影沼ノエル)「胡散臭いけど、面白いじゃん」
山下コウイチ.「では、お二人に会って頂けますか?」
シャドー(影沼ノエル)「・・・いいよ」
シャドー(影沼ノエル)「どうやって、 ここを見つけたのか知りたいしな」
山下コウイチ.「それは、解らないです・・」
山下コウイチ.「自分はここでアナタと話せって」
山下コウイチ.「言われただけなんで・・」
山下コウイチ.「もう、やめて下さいよ!」
〇巨大研究所
〇武骨な扉
〇暗い廊下
〇祭祀場
「・・・・・」
「私達に会いに来て頂き、感謝します」
シャドー(影沼ノエル)「・・・・・」
「アナタと私達は」
「お互いに必要な存在なのです」
シャドー(影沼ノエル)「ふっ・・」
シャドー(影沼ノエル)「・・・見事なハモりだな」
シャドー(影沼ノエル)「俺が来るまで練習してたのか?」
「・・・・・」
シャドー(影沼ノエル)「せっかく、わざわざ来たんだから」
シャドー(影沼ノエル)「心に響くプレゼン、頼むよ」
「・・・・・・」
シャドー(影沼ノエル)「どうした?」
シャドー(影沼ノエル)「まさか、何も無しか?」
シャドー(影沼ノエル)「俺とお友達になりたいんだろ?」
「・・・・・・」
〇黒
?「ノエル君」
「アナタは特別な才能を持って生まれたの」
「その才能で皆を助けてあげてね」
〇祭祀場
シャドー(影沼ノエル)「・・・・・・」
シャドー(影沼ノエル)「・・・・・・」
シャドー(影沼ノエル)「ふっ・・」
シャドー(影沼ノエル)「懐かしいな・・」
シャドー(影沼ノエル)「面白いマジックだな」
シャドー(影沼ノエル)「どういう仕掛けなんだ?」
「・・・・・・」
シャドー(影沼ノエル)「・・・でも」
シャドー(影沼ノエル)「まあ・・気に入ったよ」
〇黒
〇山奥の研究所
〇小さい倉庫
山下コウイチ「お疲れ様です」
キタムラ「おう・・」
キタムラ「お前、よく無事だったな」
キタムラ「もう、会う事ないと思ってたけどな」
山下コウイチ「はぁ?」
山下コウイチ「え、なんすか?」
山下コウイチ「あのシャドーって そんなヤバイ奴だったんですか?」
キタムラ「らしいぞ」
山下コウイチ「らしいぞって、メチャ他人事っすね!」
山下コウイチ「確かに レーザー銃、何発も撃たれましたよ!」
キタムラ「はははははっ!」
キタムラ「くくくっ」
キタムラ「・・だから、お前に行かせたんだよ」
山下コウイチ「え?ちょっと!アニキ!」
山下コウイチ「それ酷くないすか!」
キタムラ「ははははっ、しょうがねえだろ」
キタムラ「俺ら、上に言われた事やるしかねえし」
キタムラ「それでお前が一番、下っ端なんだからよ」
山下コウイチ「・・・そんな」
キタムラ「でもお前、あれだよ」
山下コウイチ「なんすか?」
キタムラ「あの団体の周りにいたら」
キタムラ「今度は、カミシモト様に逢えるかもよ」
山下コウイチ「・・・あの」
山下コウイチ「その姉妹って、何者なんすか?」
キタムラ「いや、俺も一回しか逢ったことねえけど」
キタムラ「あれはホンモノだよ」
山下コウイチ「え、ホンモノですか?」
山下コウイチ「アニキ、そういうのに興味あるんですか?」
山下コウイチ「女と金にしか興味無いと思ってましたけど」
キタムラ「バカ野郎!」
山下コウイチ「・・すいません」
キタムラ「いや、お前も一回逢えば解るよ」
キタムラ「ああ、 世の中には本当に凄い人がいるんだな、って」
山下コウイチ「親分とは違う凄さですか?」
キタムラ「バカ・・」
キタムラ「デカイ声じゃ言えねえけど」
キタムラ「全然、比べらんねえよ・・」
山下コウイチ「・・・はぁ、そうすか」
キタムラ「あんま関係ない、この俺がこうなんだから」
キタムラ「中にいる連中にとっては・・」
キタムラ「本物の神様だろうな」
山下コウイチ「・・・そうなんすね」
〇ヘリコプターの中
山下コウイチ「失礼致します」
柳原伊知郎「ご苦労だったな」
山下コウイチ「はい、有り難うございます」
柳原伊知郎「それで、どうだった?」
山下コウイチ「はい」
山下コウイチ「相変わらず 本部は要塞みたいに固められていて」
山下コウイチ「内部に侵入する事は出来ないのですが」
山下コウイチ「シャドーが」
山下コウイチ「カミシモト姉妹と 会ったのは間違いありません」
山下コウイチ「個人的な見解ですが」
山下コウイチ「シャドーはあの姉妹に 相当、興味を持っている様に感じました」
柳原伊知郎「ほう・・」
柳原伊知郎「それは意外だな」
柳原伊知郎「まさか、 一緒に組むつもりじゃないだろうな?」
山下コウイチ「それは現時点では何とも言えません」
山下コウイチ「でも、あのシャドーという男」
山下コウイチ「噂通り、只者ではないですね」
山下コウイチ「あっという間に、銃を突き付けられて・・」
山下コウイチ「あの俊敏で隙の無い、動物的な感じは」
山下コウイチ「自分の同期の、羽田ミライ、以来ですね」
柳原伊知郎「そうか・・」
山下コウイチ「はい」
柳原伊知郎「カミシモト姉妹の 例の能力についてはどうだ?」
山下コウイチ「はい、自分はまだ直接会った訳では無いので」
山下コウイチ「何とも言えません」
山下コウイチ「でも、【最上の民】の連中にとって」
山下コウイチ「あの姉妹の言葉は 御神託に近いものがありそうです」
柳原伊知郎「ふん・・」
柳原伊知郎「まさに神、そのものだな」
〇祭祀場
シャドー(影沼ノエル)「なあ?」
シャドー(影沼ノエル)「基本的な事を聞くけど」
シャドー(影沼ノエル)「君達って、世の中をどうしたいの?」
「私達の心の中は、アナタと同じですよ」
シャドー(影沼ノエル)「ふふふっ」
シャドー(影沼ノエル)「君達、本当に俺の事、理解してるのか?」
「はい」
「アナタと共に この世界を一新したいと思っています」
シャドー(影沼ノエル)「・・・ふーん」
シャドー(影沼ノエル)「面白い事言うじゃん」
〇黒
?「ねえ、ノエル君?」
「今の世の中は理不尽な事が沢山だけど」
?「アナタが、チカラを持てば」
「それも変えられるんだよ」
?「お母さん、その時を楽しみにしてる!」
〇祭祀場
シャドー(影沼ノエル)「・・・ふっ」
〇黒
〇見晴らしのいい公園
ねえ、ミライ?
ミライ「なに?おかあさん」
なんか、イヤな事があったらね
ミライ「うん」
ココロをやわらかくするの
ミライ「え?」
ミライ「ココロをやわらかく?」
そう!やわらかく!
ミライ「え?ぜんじぇん、わかんない!」
あはっ、そうか、そうか
まだミライには難しいね
ミライ「うん、むずかしい!」
〇一軒家