ミライ

そよかぜフィリップ

第4話『おもいで、ミライ』(脚本)

ミライ

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〇黒

〇海辺

〇黒
  第4話
  『おもいで、ミライ』

〇開けた景色の屋上
島崎アイ「お待たせしました」
島崎アイ「先程、姫島ショウゴの件、確認致しました」
柳原伊知郎「ああ・・」
柳原伊知郎「島崎くん」
島崎アイ「はい、何でしょうか?」
柳原伊知郎「羽田ミライはどうしてる?」
島崎アイ「はい」
島崎アイ「勝手ながら、私の判断でまだ休ませています」
柳原伊知郎「・・・そうか」
柳原伊知郎「君のAIはどうだ?」
島崎アイ「今、信頼できるスタッフが整備しています」
島崎アイ「数日で回復するはずです」
柳原伊知郎「・・・そうか」
柳原伊知郎「絶対に破られないコードだと思ったんだが」
柳原伊知郎「やはり、あの男は侮れないな」
島崎アイ「・・・はい」
島崎アイ「私は『ソヨカゼ』時代に」
島崎アイ「ヤツの才能をイヤという程 見せつけられたので、驚いておりません」
柳原伊知郎「そのようだな」
島崎アイ「私達、同期生にとって特別な存在でした」
島崎アイ「過去形なのが残念ですが」
島崎アイ「恐らく、今回の姫島ショウゴも」
島崎アイ「ヤツに感化されたのでしょう」
島崎アイ「当時から 尋常じゃない対抗意識を持っていましたので」
柳原伊知郎「・・・ふむ」
柳原伊知郎「・・・厄介なのが、もうひとりか」
島崎アイ「今の姫島ショウゴが」
島崎アイ「危険な精神状態であるのは間違いありません」
柳原伊知郎「そうだな」
柳原伊知郎「では、島崎アイ左官」
柳原伊知郎「正式に、君に今回の任務を要請する」
島崎アイ「・・・はい」
島崎アイ「出来る限りのベストを尽くします」
柳原伊知郎「宜しく頼む」
柳原伊知郎「相手をよく知る君なら適任だろう」
島崎アイ「はい」
島崎アイ「姫島ショウゴの居場所は、 ほぼ特定しましたので」
柳原伊知郎「気をつけてくれたまえ」
柳原伊知郎「羽田ミライの同期生をひとり」
柳原伊知郎「サポートとして用意した」
島崎アイ「そうですか」
島崎アイ「有り難うございます」

〇地下に続く階段

〇研究施設の廊下
垣崎マサル.「あ、あの!」
垣崎マサル.「僕、島崎先生とご一緒する事になりました」
垣崎マサル.「垣崎マサルです!」
垣崎マサル.「どうぞ宜しくお願い致します!」
島崎アイ「え?・・ああ」
島崎アイ「よろしくね」
垣崎マサル.「あ、有り難うございます!」
垣崎マサル.「身に余る光栄です!」
垣崎マサル.「島崎先生は僕の憧れです!」
垣崎マサル.「髪型も近づけてます!」
島崎アイ「え?」
島崎アイ「あははははっ」
島崎アイ「アナタ、面白いわね」
垣崎マサル.「えっ? は、はい!・・いや」
垣崎マサル.「そんなに面白くはありません!」
垣崎マサル.「先生のお邪魔にならない様にしますので!」
島崎アイ「ふふっ・・」
島崎アイ「垣崎くんて、ミライと同期なんでしょ?」
垣崎マサル.「ミ、ミライ・・」
垣崎マサル.「羽田ミライですか!」
垣崎マサル.「そうです!」
垣崎マサル.「彼女は、見た目からは想像もつかない」
垣崎マサル.「バケモノですよ!」
島崎アイ「・・・垣崎くん」
島崎アイ「女性にバケモノは失礼じゃない?」
垣崎マサル.「あ、いや、そういう意味じゃなくて」
垣崎マサル.「モンスター、いや超人です!」
島崎アイ「・・・ふふっ、まさにその通りね」
島崎アイ「じゃあ、出かけましょうか」
垣崎マサル.「はい!」

〇黒

〇開けた高速道路

〇車内
  『自動運転に切り替えました』
垣崎マサル.「そうですかぁ!」
垣崎マサル.「先生は今、羽田ミライと一緒なんですね」
島崎アイ「そうよ」
垣崎マサル.「そうですかぁ」
垣崎マサル.「同期でも、コンタクト取るのは禁則なんで」
垣崎マサル.「全然、知りませんでしたよ」
島崎アイ「・・・そう」
垣崎マサル.「彼女、元気でしょうか?」
島崎アイ「えっ・・・うん」
垣崎マサル.「そうですかぁ」
垣崎マサル.「ホント、凄い子だったなぁ」
垣崎マサル.「皆の憧れでしたよ」
垣崎マサル.「僕に無いもの、全部持ってたなぁ」
垣崎マサル.「あんなに大人しそうなのに」
垣崎マサル.「全てが、完璧なんですよ」
島崎アイ「・・・そう」
垣崎マサル.「あ、そうだ」
垣崎マサル.「でも、あれは怖かったなぁ」
島崎アイ「何かあったの?」
垣崎マサル.「はい、『ソヨカゼ』の同期に」
垣崎マサル.「ひとり陰湿なのがいたんですよね」
島崎アイ「陰湿?」
垣崎マサル.「はい・・」
垣崎マサル.「抵抗できない感じの人を見ると」
垣崎マサル.「我慢できない、イジメ中毒みたいなヤツです」
島崎アイ「・・・ああ」
垣崎マサル.「やたらとデカイヤツだったんですけど」
垣崎マサル.「ソイツが武術の訓練前に」
垣崎マサル.「別の同期をイジメてたんですけど」
垣崎マサル.「それを見た、羽田ミライがキレて!」
垣崎マサル.「その陰湿なヤツを 絞め殺しそうだったんですよ!」
島崎アイ「・・・・・」
垣崎マサル.「しかも完璧な寝技で、ですよ・・」
島崎アイ「・・・へえ」
垣崎マサル.「僕ら、皆でミライを引き剥がして・・」
垣崎マサル.「強すぎる正義感っていうか・・」

〇見晴らしのいい公園
羽田ミライ「ボク、たすけにきたよ!」

〇パチパチ
タコスケ「ボク、たすけにきたよ!」

〇ハート
夢見「あ!キミは、きのう、おぼれてたタコ!」

〇パチパチ
タコスケ「きのうは、ありがとう!」

〇見晴らしのいい公園
羽田ミライ「・・・懐かしい」
羽田ミライ「やっぱり、本は紙がいいな・・」

〇一軒家
  おかあさーん!絵本!
  はいはい、ちょっと待ってね

〇見晴らしのいい公園

〇車内
垣崎マサル.「ホントに彼女の、あのパワーは」
垣崎マサル.「どこから出てくるんでしょうかね?」
島崎アイ「・・・そうね」
島崎アイ「多分、ミライみたいな人は」
島崎アイ「脳がリミッターを解除する事に躊躇しないの」
垣崎マサル.「・・・え?」
垣崎マサル.「そうなんですか?」
島崎アイ「常に、火事場の何とか、 みたいな状態になれるんだと思う」
島崎アイ「まだ、詳しくは証明されてないけどね」
垣崎マサル.「・・・」
  『目的地に到着しました』
島崎アイ「・・・ちょっと軽い用事を済ませるから」
島崎アイ「少し待っててくれるかな?」
垣崎マサル.「あ、はい!」
島崎アイ「寝ててもいいわよ」
垣崎マサル.「・・・いやいや、そんな」
島崎アイ「垣崎くん、少し疲れてそうだから」
垣崎マサル.「・・・え、そうですか?」

〇黒

〇教会

〇教会内
島崎アイ「お久しぶりね」
島崎アイ「姫島ショウゴ」
姫島ショウゴ「俺が待ってるのは、君じゃないよ」
姫島ショウゴ「何しに来たんだ?」
姫島ショウゴ「島崎アイ」
島崎アイ「最近、アナタが暴れてるって噂を聞いて」
島崎アイ「わざわざ会いに来たんだけど」
姫島ショウゴ「ふっ・・」
姫島ショウゴ「今の俺はどこにも縛られない存在だからな」
姫島ショウゴ「俺の力を必要としてる裏の組織から」
姫島ショウゴ「引く手あまただよ」
島崎アイ「・・・そう、それはそれは」
姫島ショウゴ「なあ?」
姫島ショウゴ「俺は、お前に用は無いんだが?」
島崎アイ「アナタには無くても、私にはあるの」
島崎アイ「アナタに、ケジメをつけて欲しいの」
島崎アイ「この法治国家に生きる、一市民としてね」
姫島ショウゴ「・・・だまれ」
姫島ショウゴ「・・俺はあの男と決着をつけるつもりだ」

〇魔物の巣窟

〇教会内
島崎アイ「じゃあ」
島崎アイ「今、アナタが暴れてるのは」
島崎アイ「あの男へのアピールって事かしら」
姫島ショウゴ「・・・ああ」
姫島ショウゴ「一番は2人もいらないからな」
島崎アイ「・・・くだらない」
島崎アイ「本当にくだらない」
島崎アイ「アナタのせいで」
島崎アイ「命を落とした人もいるのよ!」
島崎アイ「そんなつまらない事に」
島崎アイ「何の罪もない方達を巻き込まないで!」

〇黒

〇黒
  こちら島崎
  遺体の回収をお願いします

〇荒廃した教会

〇黒

〇車内
垣崎マサル.「はっ!」
垣崎マサル.「す、すみません!」
垣崎マサル.「寝てしまいました!」
島崎アイ「ふふっ」
島崎アイ「大丈夫よ」
島崎アイ「私が寝てていいって、言ったんだから」
垣崎マサル.「あ、はい! 有り難うございます!」
島崎アイ「・・・・」
島崎アイ「じゃあ、ちょっとドライブしましょうか」
垣崎マサル.「ドライブですか」

〇海岸線の道路

〇車内
島崎アイ「ねえ、垣崎くん?」
垣崎マサル.「はい、なんですか?」
島崎アイ「今、ミライに」
島崎アイ「アナタといる事、教えていいかな?」
垣崎マサル.「あ、はい」
垣崎マサル.「別に構いませんが」
垣崎マサル.「でも 僕の事なんか覚えてるかなぁ」
島崎アイ「大丈夫、覚えてるわよ」
垣崎マサル.「そうですかねぇ」
  『今、アナタの同期の垣崎くんと一緒にいます』

〇見晴らしのいい公園
羽田ミライ「ん?」

〇車内
島崎アイ「あ、返信来たわ」
  垣崎くん
  お久しぶり、お元気でしょうか?
  私の事、覚えてますか?
  私はアナタの事を
  とてもよく覚えていますよ
  垣崎くんは
  私には無いものを
  沢山持っている人でした
  また、お会いしたいですね
  羽田ミライ
垣崎マサル.「ええっ!」
垣崎マサル.「そんな・・」
垣崎マサル.「僕なんか・・」
垣崎マサル.「いやぁ、覚えてくれてるんですね!」
島崎アイ「それは、そうよ」
島崎アイ「同期なんだから」
垣崎マサル.「いやぁ、マジかぁ」
垣崎マサル.「嬉しいなぁ!」
島崎アイ「良かったわね」
垣崎マサル.「はい!」
垣崎マサル.「有り難うございます!」
島崎アイ「ふふふ・・」
垣崎マサル.「いやぁ・・」
垣崎マサル.「あっ・・そうだ」
垣崎マサル.「・・・あ、あの」
垣崎マサル.「ところで先生」
島崎アイ「何?」
垣崎マサル.「今日の任務って、どんな内容なんですか?」
島崎アイ「・・もう終わったわ」
垣崎マサル.「えっ!」
垣崎マサル.「冗談ですよね?」
島崎アイ「いえ、本当よ」
島崎アイ「今日は楽しかったわ」
垣崎マサル.「そ・・・そんなぁ!」
垣崎マサル.「ぼ、僕、いる意味ありました?・・」
島崎アイ「充分、役に立ってくれたわ」
島崎アイ「どうも有り難う」
垣崎マサル.「・・・あ、はい」
垣崎マサル.「・・そうですか」
垣崎マサル.「・・こちらこそ、有り難うございました」
垣崎マサル.「なんか、釈然としませんが・・」
島崎アイ「ふふふっ」

〇道玄坂

〇見晴らしのいい公園

次のエピソード:第5話『あるべき、ミライ』

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