ミライ

そよかぜフィリップ

第3話『ただよう、ミライ』(脚本)

ミライ

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〇黒

〇一軒家
  こちら8号車!
  通報のあった住宅に到着!
  これから、突入します!
  一階にて
  この家の住民と見られる
  成人の男女、発見!
  両者ともに出血多量!
  死亡確認!
  2階に上がります!
  ・・・・・・
  え?
  なんでだ?
  犯人と見られる若い男性・・
  ・・・・・・
  死亡確認!
  ボールペンで
  急所を一撃・・
  ・・・・・・
  2階奥にて
  幼い女児、1名・・・
  無事保護しました・・
  ・・・いや
  ・・・どういう事だ?
  まさか、この少女が犯人を?
  ・・まさか

〇黒
  どうしてか判らないけど
  朝、目覚めた時
  泣いている時がある

〇黒

〇地下駐車場
羽田ミライ「ねえ、トム?」
トム.「なに?」
羽田ミライ「もしかしたら、 私もあの人みたいになってたかも知れない」
トム.「あの人?」
トム.「シャドーの事?」
羽田ミライ「うん・・」
トム.「そんなはずないよ」
羽田ミライ「どうして判るの?」
トム.「それは・・」
トム.「それは・・」
トム.「それは・・」
トム.「ゴメン」
トム.「僕には説明できないな」
羽田ミライ「・・・・・・」
トム.「あ、アイさんだ」
トム.「はい。おはようございます」
トム.「はい・・・そうですか」
トム.「わかりました」
トム.「すぐ向かいます」
羽田ミライ「なに?」
トム.「『赤坂文華』 という女性の死体が見つかったらしい」
トム.「シャドーの仕業みたいだね」
羽田ミライ「そう・・・」
羽田ミライ「かわいそうに・・」

〇黒
  第3話
  『ただよう、ミライ』

〇中規模マンション

〇明るいリビング
島崎アイ.「あ、ミライ、トム」
羽田ミライ「アイさん」
島崎アイ.「残念だけど、ミライの予感が当たったわ」
羽田ミライ「・・・・・」
島崎アイ.「一緒に この部屋に入ってから1時間以内に」
島崎アイ.「犯行が行われたはずだわ」
羽田ミライ「苦しんだんでしょうか?」
島崎アイ.「いや、一瞬だと思う」
島崎アイ.「もう遺体は鑑識が運んでいったわ」
島崎アイ.「部屋中、ヤツの指紋だらけね」
島崎アイ.「完全にナメられてる」
羽田ミライ「そうですか・・」
羽田ミライ「被害者の方が浮かばれません」
島崎アイ.「そうね・・」
島崎アイ.「でもこれで、ヤツの足取りは掴めた」
トム.「では、僕は現場を」
トム.「3Dレコーディングしておきます」
島崎アイ.「お願い、そうして」
トム.「完了しました」
島崎アイ.「ありがとう」
島崎アイ.「ねえ、ミライ?」
島崎アイ.「この部屋から何か解るかな?」
羽田ミライ「・・・」
羽田ミライ「・・・もしかしたら、あの男は」
羽田ミライ「・・対話を・・求め・・」
羽田ミライ「いえ・・」
羽田ミライ「すみません、解りません」
島崎アイ.「・・・そう」
羽田ミライ「はい」
羽田ミライ「あの・・私達はこの近くを調べてみます」
島崎アイ.「うん、お願い」
島崎アイ.「あ、ミライ?」
羽田ミライ「はい」
島崎アイ.「気をつけてね」
羽田ミライ「はい、有り難うございます」

〇らせん階段

〇黒

〇川沿いの公園
一般人「マイ!お昼ご飯よ」
一般人「は~い!」

〇黒
  私には
  選べる未来なんて
  なかった・・

〇川沿いの公園
「・・・ライ?」
「ねえ、ミライ?」
羽田ミライ「・・・」
トム.「聞こえてる?」
羽田ミライ「なに?」
トム.「何度も呼んでるんだよ」
トム.「うっ・・・」
羽田ミライ「えっ?」
羽田ミライ「トム?」
羽田ミライ「どうしたの?」
トム.「『久しぶり。俺が解るか?』」
羽田ミライ「え?その声」
羽田ミライ「アナタ・・」
羽田ミライ「シャドー・・」
トム.「『そう。元気そうで安心したよ』」
トム.「『君は・・羽田ミライ、か。よろしくな』」
羽田ミライ「私を殺そうとしたくせに」
トム.「『あれは、このガラクタを狙ったのさ』」
トム.「『コイツの中の情報を読んでるけど』」
トム.「『君って、スゴイじゃん』」
トム.「『なるほどね・・』」
トム.「『俺を追い詰めるだけの事はあるな』」
羽田ミライ「・・・・・・」
羽田ミライ「今、近くにいるの?」
トム.「『ああ、君を見てるよ』」
トム.「『でも、余計な事はするな』」
トム.「『このガラクタが壊れるよ』」
羽田ミライ「・・・・・」
羽田ミライ「判ったわ」
羽田ミライ「ねえ、どうして彼女を殺したの?」
トム.「『君と話す為だよ』」
羽田ミライ「ウソ・・」
羽田ミライ「そんな事の為に、人の命を・・」
トム.「『仕方ないよ。話したかったんだから』」
羽田ミライ「・・・酷すぎる」
トム.「『・・・なあ?』」
トム.「『前に会った時から君の事が忘れられない』」
トム.「『何故だと思う?』」
羽田ミライ「そんな事、知らないわ」
トム.「『ふふっ・・ねえ?』」
トム.「『君、解ってるんだろ?』」
トム.「『本当は気づいているんだろ?』」
トム.「『君はこっち側の人間なんだよ』」
トム.「『俺と向かいあった時、感じただろ?』」
羽田ミライ「何の話?」
羽田ミライ「どういう意味なの?」
トム.「『俺達は生まれながらの支配者なんだよ』」
羽田ミライ「・・・いや」
羽田ミライ「私とアナタは違うわ」
トム.「『認めたら、この世界が崩壊するか?』」

〇荒廃したセンター街
  『そんなものは』
  『ただの思い込みだ』

〇川沿いの公園
トム.「『・・ミライ』」
トム.「『朝、起きるたびに違和感を感じてるだろ』」
羽田ミライ「え・・・」
トム.「『ほら、当たりだ。俺には解る』」
トム.「『我々、選ばれし者同士・・』」
「ミライ!」
トム.「『・・・・・・』」
トム.「『久しぶりだね・・・島崎アイ』」
島崎アイ.「・・・久しぶりね」
島崎アイ.「でも、悲しい再会だわ」
島崎アイ.「私達の誇りだったアナタが」
島崎アイ.「こんな下劣な犯罪者に成り下がるなんてね」
トム.「『ははっ!そりゃ酷い言い方だな』」
トム.「『・・一時は愛し合った仲なのにさ』」
羽田ミライ「え?」
島崎アイ.「・・そうね」
島崎アイ.「永久に消し去りたい記憶だわ」
トム.「『ハハハハハッ、変わらないな』」
トム.「『ふっ・・まあ、話せて良かったよ、アイ』」
羽田ミライ「トム?」
島崎アイ.「まさか、 こんな簡単にハッキングされるとは・・」
島崎アイ.「悔しいけど、 ヤツの才能を認めざるを得ないわ」
羽田ミライ「アイさん、トムは大丈夫ですか?」
島崎アイ.「解らない・・」
島崎アイ.「調べてみるわ」
島崎アイ.「こちら島崎」
島崎アイ.「トムの回収をお願いします」
羽田ミライ「・・・・・・」

〇川沿いの公園

〇黒

〇広い屋上
島崎アイ「・・・ミライ」
島崎アイ「どう?気分は」
羽田ミライ「はい」
羽田ミライ「アイさん・・」
羽田ミライ「私、あの男と対峙してから」
羽田ミライ「自分ではっきり判るくらい」
羽田ミライ「精神状態が安定しません」
島崎アイ「そう・・」
島崎アイ「もしかしたら」
島崎アイ「少し時期が早かったかも知れないわ」
羽田ミライ「・・・・・・」
島崎アイ「ミライ・・」
島崎アイ「アナタは 組織にとって、とても大切な存在」
島崎アイ「そして私、個人にとっても大切な人」
羽田ミライ「・・・・・・」
島崎アイ「でも、私達には」
島崎アイ「アナタやシャドーみたいな 天才の心理はうまく理解できないの・・」
羽田ミライ「私はあの男とは違います」
羽田ミライ「一緒にしないでください!」
島崎アイ「え?」
島崎アイ「・・・どうしたの?」
羽田ミライ「・・・え?」
羽田ミライ「・・・あ・・すみません」
羽田ミライ「私は・・その・・あの男とは違います」
羽田ミライ「ただ、一緒にして欲しくない、って・・」
島崎アイ「そういう意味で言ったんじゃないの」
羽田ミライ「・・・はい」
島崎アイ「・・そう」
島崎アイ「・・・そうだね」
島崎アイ「もちろんヤツとアナタは全然違うわ」
島崎アイ「ごめんなさい、ミライ」
羽田ミライ「・・・いえ」
羽田ミライ「あの・・こちらこそ、すみませんでした」
島崎アイ「うん」
島崎アイ「・・・ミライ」
島崎アイ「何日か休みなさい」
羽田ミライ「・・・・・・」
羽田ミライ「・・・でも」
羽田ミライ「その間に新たな・・」
島崎アイ「いいから」
羽田ミライ「・・・はい、判りました」
羽田ミライ「では」
羽田ミライ「少しの間だけ、離れます」
島崎アイ「・・・うん」
羽田ミライ「あの・・アイさん」
島崎アイ「なに?」
羽田ミライ「トムの事を宜しくお願いします」
島崎アイ「え?」
島崎アイ「うん、わかったわ」
島崎アイ「ベストを尽くします」
羽田ミライ「お願いします」

〇黒

〇黒

〇渋谷の雑踏

〇開けた景色の屋上

〇見晴らしのいい公園

〇草原の道

〇空

〇黒

〇空

〇田舎道
  本当は
  今すぐにでも
  逢いたい人がいる
  けど・・

〇黒
  ああ、君を見てるよ
  君って、スゴイじゃん
  初めて会った時から君を忘れられない
  何故だと思う?
  本当は気づいてるんだろ?

〇水たまり
  ヤツに知られる訳にはいかないから
  逢いにはいけない
  だから・・
  私は・・
  ひとり・・
  ただよう・・

次のエピソード:第4話『おもいで、ミライ』

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