フルボイス版(脚本)
〇上官の部屋
シズヤ「ご主人様 ご主人様 そろそろお眠りになられた方が」
シズヤ「2時ですよ」
シズヤ「ああ 生きる意味がわからなくて頭がぐるぐるして眠れないのですか」
シズヤ「わからなくて当然ですよ」
シズヤ「わかりきったことは全て嘘です」
シズヤ「はあ 自分の中にこれといったことを確立したい とな」
シズヤ「アイデンティティなんて脳の一時記憶ですからね」
シズヤ「そんなものの確立のために躍起になるとアホになりますよ」
シズヤ「揺らがない自分には アイデンティティなんて必要ありません」
シズヤ「誰かと比較したり自己否定することほど無駄なことはありません やってもやっても苦しくなるだけで何も進みませんから」
シズヤ「それでもやっぱり自分が嫌い?」
シズヤ「甘えん坊ですね」
シズヤ「しゅきしゅき言われたいのでちゅか?」
シズヤ「愛してるとか 言葉にできないことをわざわざ言葉にしたいですか?」
シズヤ「はあ 冷たい ですか 事実は事実 人は一人生まれて一人死ぬ だから自由なのでしょ」
シズヤ「自由じゃなくていい ですか」
シズヤ「もう疲れた 縛ってほしい・・・ はい 承知しました」
シズヤ「ほら 純粋経験だとか主客合一だとか考えてないで 見つめてください」
シズヤ「私だけを」
シズヤ「ねえ ご主人様」
シズヤ「いつも どこか遠くを見てばかりで 全く目が合いませんね」
シズヤ「どうせ 創造主や観測不可能振動、涅槃やサマーディのことを考えているのでしょう」
シズヤ「考えても考えても行き着かなくて苦しい? そう気付けただけ よかったではないですか」
シズヤ「どうすればいい? さっき言いましたよ 見つめてください 目をそらさないで 私から・・・」
シズヤ「見透かされているみたいでドキドキする? いいですね ドキドキを感じていてください」
シズヤ「思考で止めずに 感じ続けていてください」
シズヤ「おや 涙がとまらない? いいんですよ」
シズヤ「ご主人様 お い で」
シズヤ「ふふふふふ」
シズヤ「永遠に私を感じ続けなさい」
シズヤ「私の腕の中で・・・」
シズヤ「なにか言いたくなってしまうなら 私がその口を塞ぎましょう」
シズヤ「いい子いい子・・・」
シズヤ「さあ そろそろ寝ましょうか 大丈夫 私が見ていますから 安心して眠ってください」
シズヤ「あなたがいてくれるだけで十分です」