読切(脚本)
20XX年とある国
隣国が侵略を開始し
自国は志願者を募って・・・隣国との戦争を
開始した。
〇一軒家
バン「ケイト、僕は戦争に行く!」
ケイト「どうしても、行くの・・・」
バン「君を置いて行く決断をするのは簡単じゃなかった・・・」
バン「でも・・・この戦いが僕にとって意味があるんだ」
ケイト「・・・・・・」
バンの目から決意と悲しみが滲み出る
声を震わせながら
バン「君をおいて行くことは、僕にとっても辛い・・・でも、この戦争で多くの命を守ることが、それが僕の使命なんだ」
ケイト「一人にしないで・・・お願い・・・」
バンはケイトの手を握りしめ、深く見つめる
バン「ケイト、君が強い事は僕が知っている!」
ケイト「私は・・・強くなんか・・・ないわ・・・」
バンはケイトの頬に優しく触れながら続ける
切なげな声で
バン「戦争が終わったら、必ず戻ってくる そして、再び幸せに暮らそう・・・」
ケイト「本当・・・?」
バン「ケイト約束だよ」
ケイト「うん・・・ 約束・・・」
バン「僕との約束を忘れないで・・・」
バンは深く深呼吸し、背を向ける準備をする
バンはゆっくりと玄関から離れていき、ケイトとの別れを胸に出発した
〇荒廃した街
戦場での出来事
ジェームズ「隊長! 敵兵です!」
バン「よし! 作戦通りに行こう ジェームズとノブはがれきに隠れて 敵を迎え撃つ」
ジェームズ「了解です! 隊長!」
ノブ「了解っす!」
敵兵「あいつらはどこだ・・・」
バン「敵が来たぞ! 撃てお前ら!!」
敵兵「何!?」
敵兵「ぐああぁあ!!」
バン「よし! その調子だ!」
バン「ここで敵を食い止める! ジェームズとノブはその場で待機!」
バン「敵兵が来たら僕に知らせて! 皆んなで一斉射撃だ!」
バン(敵には、悪いがこれは戦争だ・・・ 甘い事は言っていられない・・・)
奥から敵兵の影が見えた
ジェームズ「隊長!! 敵兵です!!」
ジェームズ「何かをもっています!!」
パーソン軍曹「てめーら! 良くも俺の部下を!」
パーソン軍曹「これでも!喰らえやがれーー!」
ジェームズ「たいちょおぉおお!!」
ジェームズ「ぐはっ・・・」
バン「ジェームズ!!!」
ノブ「そんな・・・バカな・・・ジェームズが」
ノブ「許さねぇー! あの野郎!!」
バン「待て!!ノブ!! 行くなぁ!」
ノブ「ジェームズは親友だぁ! 仇は討つ!」
ノブ「隊長!! 命令違反をします!!」
ノブ「おらぁぁぁあ!!」
ノブ「どうだ! はっ・・・はっ・・・」
パーソン軍曹「どこを狙っている!?」
パーソン軍曹「俺はここだ!!」
ノブ「隊長・・・・・・すんませ・・・ん」
バン「ばかな・・・ 部下二人が一瞬で・・・」
バン「チクショ!!」
パーソン軍曹「もう一人いるだろう!! 出てこいこら!」
パーソン軍曹「お前ら三人で俺の部下を何人も殺してきた 絶対許さねーー!」
バン「お前らも同じじゃないか!!」
バン「自分だけ! 苦しいなんて言わせない!!」
パーソン軍曹「それじゃ!! 出てこい! 腰抜けがぁ!」
パーソン軍曹「この戦場で残ったのは俺らだけだ!」
パーソン軍曹「一対一でやってやるよ!」
バン「分かった!! やってやるぞ!!」
互いに持っていたもの地面に投げて
腰からナイフをもった
パーソン軍曹「よし!こい!」
バン「おらぁぁぁあ!!」
パーソン軍曹「当たらねな!」
バン「ぐあぁあっ!」
バン「くそ! 腹に・・・うっ」
パーソン軍曹「おらおら! どうしたぁ!!」
バン「ああぁあ!!」
パーソン軍曹「ぐはっ・・・!」
パーソン軍曹「腕がぁ!」
パーソン軍曹の腕が地面に落ちた。
バン「あと・・・少しだ・・・」
パーソン軍曹「くそぉ・・・・・・」
バン「おおおらら!!」
パーソン軍曹「くそがぁぁあ!!」
どちらかのナイフが折れた
パーソン軍曹「くそぉ!!」
パーソン軍曹「これは! 戦争だぁ悪く思うなよ!!」
地面にあった銃をもってパーソン軍曹は
バンに向かって撃った
バン「くっ・・・」
バン「足が・・・・・・」
パーソン軍曹「死ねーー!!」
バンは弾を上手く右に避けて軍曹の懐に飛びこんだ
バン「ああぁぁぁああ! お前がぁぁあ! 死ぬんだ!!」
パーソン軍曹「ぐわああああああぁあっ!」
軍曹は地面に倒れ息絶えた
バン「はっ・・・は・・・」
バン「う・・・っ・・・・・・・・・だめ・・・だ・・・」
バン「僕は・・・絶対・・・に・・・彼女の・・・もと・・・」
バン「へ・・・いくん・・・だ・・・」
バン「約束・・・し・・・た・・・」
突如、目の前に光が現れた
バンはその光に飲み込まれた
〇一軒家
バン「ここ・・・は・・・」
バン「僕の家・・・」
バン「良かった・・・夢・・・で・・・も・・・」
バン「ケイト・・・・・・や・・・く・・・そ・・・く・・・」
風で新聞がバンの前に落ちた
バン「戦争が・・・終わって・・・15年後・・・?」
バン「ど・・・いう・・・こと・・・」
バン「ケイト・・・」
バンは家の近くに来て窓を見た
その時、衝撃的な光景を目にする
バン「そん・・・な・・・ば・・・か・・・な・・・」
ケイトの隣に知らない男性がいて
子供も一緒だった
バン「は・・・はっ・・・」
バン「これは・・・ゆめ・・・だ・・・」
バン「ははっ・・・・・・」
バン「・・・」
男は息絶えるのであった
おわり
全く生産性のない戦争をすると言う行為、こうして全てを失ってしまう人があとを絶たないと知っていながらどうして度々起こってしまうのでしょうか? 彼の魂がどんな形であれ成仏できますように・・・。
一対一の死闘を克明に描くことで、バンに感情移入した読者までもラストの絶望感をより一層鮮明に味わう羽目になる展開がお見事。戦争とは肉体の死で完結することなく、死後に彷徨う魂までも絶望という名の凶器で打ちのめす、人間から全てを奪うものであるということをあらためて痛感させられました。