鈴蘭後宮伝

んーと

後宮入り(脚本)

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〇中華風の通り
  ここは黄国──
  皇帝が治める大国──
  その都、眞江(しんこう)から程近い街中にて──
鈴蘭「ああ、おくれちまった。 凛凛怒ってるだろうなあ」
鈴蘭「急がねぇと」
見知らぬ男性「ちょいと、お嬢さん」
鈴蘭「ああ、何ですか」
見知らぬ男性「さっきこれを落としませんでしたか」
鈴蘭「いや、私のじゃ──」
見知らぬ男性「少し眠ってもらおうか」
鈴蘭「んんっっっ──────!?」
  鈴蘭は口にあてられた手巾の匂いをかぎ、次の瞬間には意識を失っていた・・・

〇後宮前の広場
見知らぬ男性「おいっ!!起きろ」
鈴蘭「んん・・・?」
見知らぬ男性「やっと起きたか・・・」
見知らぬ男性(こいつ・・・ 薬もずいぶん前に切れていただろうに、まさか二度寝をするとは・・・ ずいぶん図太い野郎だな・・・)
鈴蘭「ああ、やはり後宮だったんだな」
見知らぬ男性「・・・・・・驚かないんだな」
鈴蘭「ああ、眠らせたということは、どこかに連れていかれるんだろうと思ったが、黄国に奴隷制度はないしな」
鈴蘭「せいぜい、後宮の口減らしだろうと検討をつけていたさ」
見知らぬ男性「・・・・・・・・・」
見知らぬ男性「・・・まあ、いい。 さっさと行くぞ」
見知らぬ男性(攫われたのに泣くどころか、検討が当たってうれしそうにしてやがる・・・)
見知らぬ男性(これは本格的におかしな女を攫ってきちまったな・・・)

〇皇后の御殿
鈴蘭(ここが後宮か・・・ さすがに大きいな・・・)
「うう・・・・・・」
鈴蘭(なんだ・・・?)
???「うう・・・ 家に帰りたい・・・」
鈴蘭「泣いてるみたいだけど、どうしたんだ??」
???「一度後宮に入ったら、年季が明けるまで出られないもの・・・ 家に帰りたい・・・」
鈴蘭(家族に売られたか、私みたいに攫われたか・・・)
???「それに、私は──家族に売られたの もし年季が明けても帰れない・・・」
鈴蘭(帰る場所がないのか・・・ これから一緒に働く身としては気の毒だな・・・)
鈴蘭「なあ、名前はなんていうんだ?」
???「葉翠(ようすい)よ」
鈴蘭「実は私も攫われて売られたんだ 年季が明けるのは同じ頃だろうし、後宮を出たら、私の家に来るといいさ」
鈴蘭(大所帯に人一人増えたくらいじゃ、さすがの凛凛姐も怒んねえだろ)
葉翠「・・・いいの? ありがとう・・・!!・・・ええと──」
鈴蘭「鈴蘭だ」
葉翠「ありがとう!鈴蘭!!」
鈴蘭「お礼なんて、要らないよ」
葉翠「それじゃあ、これからよろしくね!」
鈴蘭「ああ、一緒に頑張ろうな──」

〇屋敷の大広間
???「ちっ、鈴蘭のやつはどこに行ったんだ」
???「もうすぐアレが来るというのに・・・」
???「おいっ、祐。 いるんだろう? 鈴蘭を探して連れてこい」
祐?「全く。 姐さんは人使いが荒いっすねえ」
???「早く見つけないとやばいことになっちまう。報酬は弾む。鈴蘭を見つけろ」
祐?「はいはい わかりました── 行けばいいんでしょう、行けば」
???「あいつらよりも先に見つけなければ・・・」

コメント

  • 鈴蘭がタダ者ではないということは分かりましたが、謎が謎を呼ぶ展開で、いいところで終わってしまいました。後宮という特殊な場所や状況でどんなことが起こるのか…。これからが楽しみです。

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