白紙の手紙(脚本)
〇けもの道
〇森の中
〇水色(ライト)
女子アナウンサー「またしても、不知火森の付近で女性のバラバラの死体が発見されました」
女子アナウンサー「死体の一部は無くなっており、獣に食いちぎられた跡も見られる事から、熊のような大型の動物に襲われたものとみられます」
女子アナウンサー「しかし、不知火の森には熊の生息はなく、人間をバラバラにするほどの動物は存在しない事から、殺人事件の可能性も拭いきれません」
女子アナウンサー「今後、警察がどのように発表をするのか気になるところであります」
〇二階建てアパート
夏目 良次郎「今日も残業でこんなに遅くなってしまった。かなり疲れたし風呂に入ってすぐに寝るか」
〇マンションの共用廊下
夏目 良次郎「なんか手紙があるぞ」
夏目 良次郎「誰からだろう?」
夏目 良次郎「部屋に入ってから確認するか」
〇本棚のある部屋
〇本棚のある部屋
夏目 良次郎「風呂に入る前にさっきの手紙を読んでみるか」
夏目 良次郎「あれ?」
夏目 良次郎「手紙には何も書かれていないぞ」
夏目 良次郎「イタズラなのか?」
夏目 良次郎「差出人は誰だ?」
夏目 良次郎「・・・」
夏目 良次郎「なぜ?千萩(ちはぎ)から手紙が届いてるんだ」
夏目 良次郎「それに、差し出し先の住所は不知火村の不知火キャンプ場からだ・・・」
夏目 良次郎「これは、誰かのイタズラなのか?」
夏目 良次郎「いや、あの事は俺たち7人の秘密のはずだ。他には誰も知らないはず」
夏目 良次郎「裕也に相談してみよう」
〇本棚のある部屋
夏目 良次郎「裕也、夏目だ」
「珍しいな、夏目から連絡をするなんて」
夏目 良次郎「聞いてくれて、家に帰ってきたら手紙が届いていたんだ」
「手紙?それがどうしたんだ?」
夏目 良次郎「手紙の中身は白紙だった」
「イタズラだろ、それは」
夏目 良次郎「俺もそう思ったんだ。でも、差出人を見たら」
夏目 良次郎「千萩の名前が書かれていたんだ」
「冗談だろ・・・」
夏目 良次郎「俺が冗談でこんな事を言うと思うか?」
「そうだな。でも、誰がこんな手紙を出すのだ?」
夏目 良次郎「わからない。でも、差出人の住所が不知火村のキャンプ場になっている」
「・・・」
夏目 良次郎「もしかして、あの事がバレてしまったのかな?」
「そんな事はないだろ!」
「あれからもう10年も経っている。今からお前を脅迫する意味がわからない」
夏目 良次郎「そうだよな。でも、不知火キャンプ場は連続猟奇殺人事件があってから閉鎖されたはず」
夏目 良次郎「なぜ、閉鎖されたキャンプ場から手紙が届いたのか謎だ」
「あまり深く考えるな。そんな手紙は無視しておけ」
夏目 良次郎「いや、ダメだ。これは何か俺に伝える為のメッセージのはずだ。俺は週末にキャンプ場に行くつもりだ」
「俺は仕事もあるし行かないぞ」
夏目 良次郎「これは俺は1人の問題じゃない。あの時あの場所にいたみんなの問題だ」
「・・・」
「わかった。俺からみんなに連絡をする。待ち合わせ場所は10年前と同じで不知火駅でいいよな」
夏目 良次郎「あぁ」
〇田舎の駅(看板の文字無し)
夏目 良次郎「裕也来てくれたんだな」
山中 裕也「あぁ。でも他のヤツらには連絡が取れなかった」
夏目 良次郎「そうか、それは残念だ」
相川 竜也「やっと着いたな」
白河 正弘「ここが噂の殺人鬼が出た村かぁ〜」
赤井 幸子「きゃ〜やめてよ。その話し」
相川 竜也「でも、本当の話しだぜ」
相川 竜也「10年前にこの不知火村付近で2件の殺人事件と1件の行方不明の事件が起きている」
赤井 幸子「でも、あれは動物の仕業じゃなかったのかしら?」
白河 正弘「結局は犯人は見つからず、動物に食い殺されたと言う意見もあるが、実際は不明だ」
相川 竜也「俺は殺人鬼だと思うぜ。不知火森にはたぬきや狐はいるが、狼や熊などはいない」
相川 竜也「人間をバラバラにするなんて猟奇殺人鬼しかありえないぜ」
白河 正弘「竜也の意見に賛成だ」
赤井 幸子「そんな所にキャンプに行くつもりなの?」
赤井 幸子「信じられない」
相川 竜也「だから、面白いんだぜ」
白河 正弘「その通りだよ。でも、あれから10年も過ぎて何も起こっていないから大丈夫だよ」
赤井 幸子「え〜、でも怖いわ」
赤井 幸子「千萩も怖いよね」
夏目 良次郎「えっ」
夏目 良次郎「千萩だと」
山中 裕也「夏目どうしたんだ」
夏目 良次郎「いや、あの4人グループの会話から千萩の名前が聞こえたんだ」
山中 裕也「気のせいだろ」
赤井 幸子「ねぇ〜千萩はどう思う?」
桜花 千萩「私はわからないわ。でも、殺人鬼が居たら私が退治しちゃうかも」
赤井 幸子「千萩は全然怖くないのね」
夏目 良次郎「あの子が千萩なのか・・・」
夏目 良次郎「もしかして、生きていたのか?」
夏目 良次郎「嫌、そんな事はない」
夏目 良次郎「確かにあの時・・・」
第二話に続く
白紙の手紙の送り主は誰?何故?、10年前の過ちって何?、という2つの謎が軸になりそうなお話ですね!謎が見事に散りばめられていて、次話への興味がそそられますね
死んだはずの千萩という女性の登場からよりストーリーに緊張感をもちました。彼女の存在がすべての鍵を握っているように思い、この次の展開が気になります。
「コメントがあれば続きを書く」という作者さんからの脅迫状にどうしても続きが読みたいのでコメントします。「あの時の過ち」と千萩の存在がキーポイントのようですが…。彼女が双子だったというオチじゃなきゃいいなあ。楽しみです。