読切(脚本)
〇落下する隕石
私は私が強いと誇示するために隕石を受け止めて死んだ
即死だった 隕石の破片とともに我が身体は散り散りになり 英雄の欠片として拾われた
破片は壮麗な塔に納められた
こうやって死後も崇められて満足している
我「という死因にする」
〇広い和室
我「死を迎える前に大切なものを顕在化する」
我「来世はない 私は一回きりだ」
我「死んだら何も持っていけないから ひとつひとつ捨てていく」
我「死んだらスマホ使えない いつも使ってるから大切にしている」
我「作り続けてきた作品たちにも会えない」
我「死んだら絵は描けない」
我「死んだら服は着れない」
我「死んだら飯の味はわからない」
我「死んだら温泉に入れない」
我「死んだら友達と喋れない」
我「死んだらVRできない」
我「死んだらゴロゴロできない」
我「死んだらゲームできない」
我「死んだら親と喋れない 私の発生理由がつかめないままになる・・・?」
我「死んだら愛されない」
我「死んだらカラオケできない」
我「死んだら周りの人に感謝を伝えられない」
我「死んだらフランスに行けない」
我「死んだら後悔できない」
我「死んだらもうこの顔が見れないのか」
〇沖合
死までの時間を味わう
我「この死因だと家族からバカなことするなと止められるだろうし、エスパーたちが隕石そらすだろうからこの死因では死なない気がする」
我「では別の死因」
〇豪華なベッドルーム
無気力症候群で動かなくなって死ぬ
我「あー もういい」
我「さよなら」
だんだん体の動かし方を忘れていく
ふとんにとけていく
〇古い本
味わった死を踏まえて遺書を書く
我「みんなありがとう」
我「いろんなことあったけど楽しかったです」
我「最期はいい感じにまとめたくなる」
我「それでいいのか」
我「うっぜえ」
我「大嫌いでした」
我「○したいほどに」
我「はー すっきりした」
我「愛と憎しみでできてるらしいから こんな感情なるのも普通」
我「遺書かー まあ、苦しみを理解されたかったですね 感情を出してはいけない空気がしんどかったですね」
我「そのままの自分を受容されたことがなかったですね」
我「自分で自分認めたのでいいけどね もうね」
我「さよならね」
〇広い和室
死の体験を振り返り今後のアクションを顕在化する
我「もっと自撮りを楽しむ」
死ぬまでにやりたいことを書き出したらあと3回くらい人生をやらないといけないくらい欲望が溢れ出したから一旦死んでから出直そうかと思ったことがあるのを思い出しました。隕石を受け止めて英雄になってもゴロゴロできないならやめた方がいいですね。
死んだら、○○できない!と身近な生活のなかに沢山の欲望がみえかくれしているように感じて、遺書であるはずの言葉から逆に生きたいんだと分からせられました。