第3話 異世界へ(脚本)
〇神殿の門
ジオ・ウールヴル「は、反逆者? 世界を滅ぼす?? ど、どど、どういうことですか??」
いきなりのことで動揺が隠せない
女神ベル「驚かれても無理はありません・・・ 何故貴方様をここにお呼びしたのか 順を追って説明しなければなりませんね」
女神ベル「外を見ていただけますか?」
ベルはそう言うと神殿の外を指差した
ジオ・ウールヴル「大きな・・・木?」
女神ベル「あれは神樹ユグドラシル 私はあの木より天啓を得て 貴方様をここにお呼びしました」
ジオ・ウールヴル「て、天啓・・・??」
女神ベル「御告げの用なものです 私が悩んでいるときにユグドラシルは 天啓を与えてくれたのです」
ジオ・ウールヴル「じゃあ、その悩みっていうのが・・・ さっきの・・・世界を滅ぼすっていう・・・」
女神ベル「はい・・・ 私が管理している世界・・・ もとは平和な世界だったのですが・・・」
女神ベル「ある日を境に闇に包まれました・・・ ある者たちの手によって・・・」
ジオ・ウールヴル「ある者・・・? というか管理してるってことは 俺が前いた世界も神様が管理を?」
女神ベル「その通りです 我々神族は各々、担当の世界があります ジオ様が元いらっしゃった世界は 別の神が担当しておりました」
ジオ・ウールヴル「じゃあ、神様って沢山いるんですね!」
女神ベル「その通りです 世界は平行的に数えきれない数が 存在しております それを管理するのが我々の責務です」
ジオ・ウールヴル「それじゃあ、神様が直接問題解決しに 地上に行くのはダメなんですか?」
ジオ・ウールヴル「管理してるってことはその世界の 異常事態とか、すぐわかるんですよね?」
ジオの質問にベルは首を横に振る
女神ベル「残念ながら、我々神族は世界への介入は 禁じられています・・・」
女神ベル「我々が直接介入することで、その世界の パワーバランスを崩壊させかねません」
女神ベル「それほどまでに我々の力は強大なのです」
女神ベル「なので、我々の代わりに世界に平和を もたらしてくれる存在が必要なのです!!」
ジオ・ウールヴル「なるほど・・・ その存在に俺が選ばれたと・・・」
女神ベル「そういうことです☆ では異世界に行ってらっしゃ~い!!」
ジオ・ウールヴル「ちょちょちょちょちょ!! ちょっと待ってください!! いきなりすぎますって!!」
女神ベル「冗談ですよ じょ・う・だ・ん☆」
ジオ・ウールヴル(この人、まじでヤバい・・・ 今、絶対本気だっただろ・・・)
無邪気な女神の笑顔に若干の恐怖を感じる
女神ベル「ではまず、これから転生していただきたい ”世界”と”そこで起きたこと”」
女神ベル「そして、”その世界でしてほしいこと”を ご説明しますね」
ジオ・ウールヴル「わかりました・・・」
女神ベル「まず、ジオ様に転生していただきたい世界は 人族と魔族が共存し魔法が発展した世界です」
ジオ・ウールヴル(人族と魔族・・・それに魔法か・・・ 俺の元いた世界と似ているな・・・)
ジオの元いた世界は人界と魔界という2つの
空間が層のようになって成り立っていた
ジオ・ウールヴル「じゃあ、その世界も人界と魔界に別れているんですか?」
女神ベル「いいえ、その世界は同じ空間に人族と魔族が共存しています 領地などの括りはあれど、ジオ様の世界の様に魔界等は存在しません」
女神ベル「そして、その世界の住人は皆、魔力を持っているため魔法を使う事ができます」
ジオ・ウールヴル「全員が使えるんですか? それはすごい!!」
ジオは驚きを隠せない
元いた世界は魔力という概念はあれど素質のある者、もしくは魔族でなければ魔法は使えなかったのだ
女神ベル「勿論、得意、不得意はありますし全ての者が賢者の用に強力な魔法を使えるわけではありませんが・・・」
女神ベル「ですが、そのお陰で世界は発展し皆が強力し合う平和な世界を築いておりました・・・」
女神ベル「ですが・・・」
ジオ・ウールヴル(???)
急に女神の雰囲気が暗くなっていく
女神ベル「ある日・・・ 戦争が起きたのです・・・ ”人族”と”魔族”の間で・・・」
ジオ・ウールヴル「戦争?? しかも人族と魔族って・・・ 共存しあってんじゃ・・・?」
女神ベル「実は”なぜ戦争が始まった”のか私も原因が 掴めてないのです・・・ ただ、分かっているのは人族が勝利を納めたことと・・・」
女神ベル「人族を率いていたのが”勇者パーティ”ということです・・・」
ジオ・ウールヴル「勇者パーティ??」
女神ベル「勇者を含めた7人の英傑です 勇者、聖騎士、賢者、魔法使い、僧侶、テイマー、聖女」
女神ベル「この7人は戦争を勝利に導いたことから英雄と呼ばれ、中でも勇者は新しい王として現在、その世界を統治しております・・・」
ジオ・ウールヴル「勇者が統治してるなら、その世界って大丈夫そうな気がするんですけど・・・」
女神ベル「それが、そうでもないのです・・・」
ジオ・ウールヴル「え??」
女神ベル「勇者は何故か横暴な態度が目立つようになり悪政を始めたのです・・・」
ジオ・ウールヴル「それって勇者が人民を苦しめてるってことですか?」
女神ベル「勇者が・・・というよりは勇者パーティがと言った方が正しくかもしれません・・・」
女神ベル「賢者、聖騎士、僧侶、テイマーは勇者を支持しており聖女と魔法使いとは対立をしています」
ジオ・ウールヴル「勢力的には5対2って訳か・・・ 圧倒的に勇者サイドが有利ですね・・・」
女神ベル「その通りです 今では、重税のせいで枯渇し生きていけない民が後をたたない状況・・・」
女神ベル「そして戦争に敗れた魔族は奴隷として扱われるようになり・・・ 世界のバランスは崩壊しております・・・」
女神ベル「そこでジオ様にしていただきたいことは ”勇者を倒し悪政をやめさせること”と」
女神ベル「”戦争を起こした張本人”を探してほしいのです・・・」
ジオ・ウールヴル「ベル様は勇者パーティとは別に”黒幕”がいると思ってらっしゃるんですか?」
女神ベル「はい・・・ いきなりの勇者たちの暴走・・・ 裏で暗躍している者がいると私は考えております・・・」
ジオ・ウールヴル(確かに、人々を守るはずの勇者たちが進んで民を苦しめたりしないよな・・・)
女神ベル「以上が世界に起こったこととジオ様にしていただきたいことです」
ジオは驚きが隠せなかった・・・
自分が思っていた以上に事態は深刻なようだ
女神ベル「ジオ様・・・ どうか民を・・・ この世界をお救いください・・・」
女神ベル「勇者を・・・ この世界の王を倒してほしいのです!」
ジオ・ウールヴル(勇者を倒す・・・か・・・)
ジオは迷った・・・
無理もない・・・
すでに人々のために戦い命を落とした
また転生し、辛く険しい人生を歩まなければならない・・・
簡単に”やります”とは言えない内容だ・・・
だが・・・
ジオ・ウールヴル「わかりました・・・ 俺、やります・・・!!」
神もが認める”イエスマン”は苦しんでいる人々を放っておくことなどできなかった!!
女神ベル「ジオ様・・・」
女神ベル「ありがとうございます!!」
ベルの表情が明るくなった
嬉しかったのだろう・・・
ジオも、その表情を見て笑みがこぼれた
女神ベル「では、このまま転生の儀を行いますね」
女神ベル「ですが、その前にジオ様には特別な 『スキル』をお送りします」
ジオ・ウールヴル「スキルってなんですか?」
女神ベル「スキルは簡単に言うと、その個人が持つ特殊能力のことです 今から転生していただく世界の住人は皆、スキルを1つ持っています」
女神ベル「火を操ったり、水を操ったり、様々なスキルが存在しています」
ジオ・ウールヴル「魔法とは違うのですか?」
女神ベル「魔法は魔力を消費しますが、スキルは関係ありません 特定の条件などは存在しますが基本的には本人の体力などが関係しますね」
ジオ・ウールヴル「それはすごい!! めちゃくちゃ便利ですね!!」
ジオ・ウールヴル「でも、スキルを与えてくださるっていうのは・・・?」
女神ベル「ジオ様には特別に冒険に役立つレアスキル 『鑑定Lv.神』を贈呈します」
女神ベル「このスキルは相手のレベルや状態など様々なことを見ることができます」
女神ベル「きっと冒険に役立つはずです」
ジオ・ウールヴル「ありがとうございます! 心強いです!」
女神ベル「ただ注意していただきたいことが1つあります」
女神ベル「基本的にスキルは個人につき1つです ですが、ジオ様はスキルを持ったまま転生することになります」
女神ベル「スキルは転生してから与えられる物なので、ジオ様は転生先でもう1つスキルを取得することになります」
ジオ・ウールヴル「ならスキル2個持ちになれるんですね!」
女神ベル「ですが・・・ 決してスキル2個持ちというのはバレないようにしてください」
ジオ・ウールヴル「なぜですか?」
女神ベル「スキルを2つ持っているとだけでも特別なのに、ジオ様は剣術もできて魔法も高レベルで使用することができます」
女神ベル「それだと、ひょんなことで目立ってしまい勇者たちに存在を気付かれてしまいます 不要な戦闘も起きかねませんので・・・」
ジオ・ウールヴル「わ、わかりました・・・ 注意しときます」
女神ベル「ありがとうございます」
女神ベル「それでは改めて転生の儀を行います 詳しい詳細は”協力者”を派遣していますので その者からお聴きください」
ジオ・ウールヴル「協力してくれる人がいるんですね!! それはありがたい!!」
女神ベル「すごく便りになる者です 何かあっても、お2人なら切り抜けられるはずです」
女神ベル「そろそろ時間ですね ジオ様、そこに立っていただけますか?」
ジオ・ウールヴル「ここですか?」
ベルが指を指した場所に移動した
すると・・・
ジオの回りに光が集まりだした
ジオ・ウールヴル「うわ!!」
女神ベル「ジオ様・・・ ご武運を・・・」
女神ベル「頼みましたよ 我が守護獣よ・・・ ジオ様を支えてあげてください」
〇森の中
ジオ・ウールヴル「ここは・・・」
ジオ・ウールヴル「俺、無事に転生できたのか・・・?」
辺りを見渡すと見覚えない森に立っていた
ジオ・ウールヴル(先ずはベル様が言っていた”協力者”を探すか・・・)
???「おーい!! ご主人!ご主人!」
背後から少女のような可愛い声がする
ジオ・ウールヴル「え?誰?」
驚いて後ろを振り向くと・・・
ジオ・ウールヴル「誰も・・・いない・・・」
???「おーい!! こっち!!こっち!! 下見てよ!!下!!」
ジオ・ウールヴル「下?」
声の通りに恐る恐る目線を下にしてみると・・・
メル「よう!ご主人!! 天気は快晴!!良い旅立ち日和だニャ~!!」
ジオ・ウールヴル「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ジオ・ウールヴル「え?」
ジオの思考はフリーズした・・・
to be continued