第二話 激闘! ヤマト対アンナ!(脚本)
〇村の広場
高位魔術師「そういえば、アンナさん」
高位魔術師「魔術師は・・・?」
アンナ「あー! 置いてきちゃった!」
高位魔術師「置いてき・・・?」
???「はあはあ、ようやく追いつきました」
高位魔術師2「まったく・・・。 なんて足の速さですか・・・」
アンナ「ごめんなさい、魔術師さん」
高位魔術師2「いえ。 このくらいに追いつけない私もまだまだ ということです」
高位魔術師2「さて・・・」
高位魔術師2「そちらの少年が、 南村の代表。間違いないですかな?」
ヤマト「・・・ああ」
高位魔術師「ヤマトくん。大丈夫かね?」
高位魔術師「あまり肩入れする気はないが、 あの娘を見てから様子がおかしいぞ」
ヤマト「・・・大丈夫だ」
ヤマト(姿が杏奈に似ているだけ。 俺のやることは変わらない)
ヤマト(あのアンナを倒す。 それだけだ・・・!)
高位魔術師「では用意を」
ヤマト「・・・」
アンナ「・・・」
高位魔術師「試合・・・開始!」
ヤマト「はああっ!」
アンナ「おっと!」
ヤマト(避けた・・・!)
ヤマト「ふっ! はっ!」
アンナ「おっ! おっ! やるね、少年!」
ヤマト「ヤマトだ!」
アンナ「ヤマトくん! 覚えた!」
ヤマト(俺の拳を、喋りながら全部避けやがる!)
ヤマト「はあああっ!」
アンナ「やるやるー!」
アンナ「じゃあ、そろそろこっちも・・・」
ヤマト「がっ・・・!?」
ヤマト(俺が・・・防げなかった!?)
ヤマト(というか、 さっきの魔物の時もそうだ・・・)
ヤマト(こいつも、拳だと・・・?)
アンナ「はい! はい!」
ヤマト「くっ! がっ!」
アンナ「そりゃあっ!」
ヤマト「ぐああっ!」
高位魔術師(南村であっさり勝利したヤマトくんが 苦戦している・・・!?)
高位魔術師(いや、それも仕方ない。 彼女は・・・)
ヤマト「はあ・・・はあ・・・」
アンナ「おっ! 元気そう! 男の子はそうでなくちゃ!」
ヤマト「・・・」
アンナ「あれ、どうしたの?」
ヤマト(何故・・・防げない・・・)
ヤマト(子供の体とはいえ修行はした。 もう少し見えてもいいはずだ・・・)
ヤマト(何故、まるで見えない・・・)
アンナ「来ないなら、また行くよー!」
ヤマト「!」
ヤマト(そうか・・・!)
ヤマト(なら、なおさら 拳で負けるわけにはいかねえな!)
アンナ「はっ!」
ヤマト「うおおっ!」
ヤマト「っ!」
アンナ「わわっ!」
ヤマト(ちっ・・・!)
アンナ「惜しかったね! けど・・・」
アンナ「これなら・・・どうかな!」
ヤマト(魔法陣! ここだ!)
アンナ「わわ、やりすぎた?」
「この瞬間を待っていた!」
ヤマト「はあああっ!」
アンナ「えっ!」
ヤマト「うおおおっ!」
ヤマト「うおおおっ!」
ヤマト「うおおおっ!」
アンナ「きゃああっ!?」
ヤマト「はあ・・・はあ・・・。 どうだ・・・?」
アンナ「う、う〜ん・・・」
高位魔術師2「だ、大丈夫ですか、アンナ殿!?」
アンナ「う〜ん。ダメかなあ・・・」
高位魔術師2「そ、そんな・・・」
高位魔術師「決まりですな」
高位魔術師「勝者、ヤマト!」
ヤマト「や、やったぜ・・・」
高位魔術師「ヤ、ヤマトくん?」
〇村の広場
高位魔術師2「まさかアンナ殿を負かすとは。 あの少年、いったいなんの魔法を?」
高位魔術師「ただの拳、ですよ」
高位魔術師2「まさか!? アンナ殿も拳で闘いますが・・・」
高位魔術師「ええ、ヤマトくんは ホントに拳だけで彼女を破りました」
高位魔術師「強化魔法を使っていた彼女と違って、です」
高位魔術師2「そんなことが・・・」
高位魔術師「私も驚いてますよ」
高位魔術師「ですがこれは、イサノウ王国に 新しい風を吹かすのではないかと 思うのです」
高位魔術師2「新しい・・・風?」
高位魔術師「長年、イサノウ王国は魔力、 そして魔法を重要視してきました」
高位魔術師「それは過去の戦争で、 魔法による大勝利を収めたからです」
高位魔術師2「ええ。 ですから魔法の力は何者にも勝る」
高位魔術師「それを彼、ヤマトくんが 荒らしてくれるかもしれない」
高位魔術師「私はそれを期待しているのです」
高位魔術師2「貴殿は・・・」
〇村の広場
ヤマト「はっ!」
ヤマト「俺は・・・」
アンナ「あ、目が覚めたー?」
ヤマト「お前・・・」
アンナ「もーう、勝ったのに、 わたしの倍くらい寝てるんだから」
ヤマト「ああ、そうか・・・」
ヤマト(俺は・・・勝てたのか・・・)
ヤマト(杏奈・・・いや、アンナに・・・)
ヤマト「なあ、お前──」
アンナ「アンナ!」
ヤマト「アンナは・・・『杏奈』なのか?」
アンナ「ほえ?」
ヤマト「いや、なんでもない。 聴かなかったことに──」
アンナ「時々、変なの」
ヤマト「ん?」
アンナ「わたしは東村で生まれて、東村で育った。 そしてイサノウ王国学園に通ってる」
アンナ「そのはずなのにね。 たまに見たことない風景が見えるの」
アンナ「知らない建物。知らないお家。 そして──」
アンナ「今日、きみに会った時から、 何かを感じてるの」
アンナ「それは、きみの言う 『杏奈』に関係してるのかな?」
ヤマト「・・・」
ヤマト(『杏奈』とは完全に別人じゃないのか?)
ヤマト(俺みたいな転生じゃなくて、 生まれ変わり・・・?)
ヤマト「俺にも・・・わからない」
アンナ「そっか・・・」
ヤマト「だから──」
アンナ「うん?」
ヤマト「俺についてこいよ。 何かまた感じるかもしれないだろ?」
アンナ「え、いいの?」
ヤマト「いいんじゃねえかな?」
ヤマト「なあ、魔術師さん。どうなんだ?」
高位魔術師「気づいていたのか」
ヤマト「ああ」
アンナ「うん」
高位魔術師「・・・。 空気を読んで離れていたのだがな」
高位魔術師「さて、基本的に敗者はそこで終わりだ」
高位魔術師「だが、別にその後の行動に制限はない」
高位魔術師「ヤマトくんがいいなら、 私には止める権利はない」
ヤマト「だとさ」
アンナ「うん! じゃあ、きみについていく!」
ヤマト「おう!」
とても熱い展開でアンナさんとタッグで、これからどうなのか楽しみです!
アンナは元の記憶がない状態なんですね!
これからヤマトと冒険していくことで記憶をとりもどしていくのでしょうか😦
今回も苦戦ながらも拳で勝利を掴み取る展開、読んでいて胸が熱くなります! そして、元の世界の記憶を持つアンナさんの今後についても、とても気になります!