第三話 王国学園と対戦相手(脚本)
〇村の広場
高位魔術師2「では、私は先に王国に戻り準備を」
高位魔術師2「アンナ殿のこと よろしくお願いしますぞ」
高位魔術師「わかっていますよ」
ヤマト「いよいよ次は・・・」
高位魔術師「残るは、西あるいは北の村」
高位魔術師「どちらかの村の勝利者が相手になる」
アンナ「場所は?」
高位魔術師「通っているアンナ殿は 知っているでしょうが・・・」
高位魔術師「イサノウ王国学園。大広間です」
アンナ「あー! あそこかぁ!」
ヤマト「どんな場所なんだ?」
アンナ「行けばわかると思うけど」
アンナ「すっごい広い場所!」
〇けもの道
アンナ「ねえ」
ヤマト「ん?」
アンナ「ヤマトくんは──」
ヤマト「ヤマトでいいよ」
アンナ「ヤマトは、魔法使わないの?」
ヤマト「使わないっていうか・・・」
ヤマト「いや、使わない」
高位魔術師「・・・使えない、の間違いでは?」
ヤマト「・・・使い方を知らない、の間違いだよ」
アンナ「そうなの? 親が教えてくれなかったの?」
ヤマト「母さんは、俺の魔力が並以下と知って 諦めてたからな・・・」
ヤマト「魔法は習ったこともない」
アンナ「えー!? 魔力少なくても使える魔法はあるのに!」
高位魔術師「確かに魔力が少なくても 使える魔法はいくつかある」
高位魔術師「ただ実際、それらは 強大な魔力の魔法には歯がたたない」
高位魔術師「小さな水の魔法では 巨大な火の魔法は消せないのだ」
アンナ「そうだけど・・・」
アンナ「あ、じゃあ強化魔法は?」
アンナ「ヤマトが強化魔法を使えたら それこそもっと強くなるんじゃない?」
ヤマト「それは・・・」
高位魔術師「ものは試しだ。ヤマトくん」
高位魔術師「君の拳の強さは認める」
高位魔術師「だがもしもの時のために、 ひとつ試してみるのもいいのではないか?」
アンナ「ね? 魔術師さんも言ってるし」
ヤマト「実戦で使う気はないぞ」
高位魔術師「構わない。 それが君の信念なら」
〇けもの道
ヤマト「・・・」
アンナ「・・・」
高位魔術師「・・・」
ヤマト「はっ!」
アンナ「おおー、すごい! もう完璧だあ!」
高位魔術師「・・・」
高位魔術師(強化魔法、のはずだが、 なにか雰囲気が違う・・・)
ヤマト「さっきも言ったが、実戦では使わないぞ」
高位魔術師「ああ・・・」
アンナ「・・・」
ヤマト「どうした、アンナ?」
アンナ「わたしも、 しばらく強化魔法やめようかな」
高位魔術師「止めはしないが・・・何故かな?」
アンナ「ヤマトを見ていてなんとなく、かな」
アンナ「ヤマトみたいに戦うのが、 わたしに合う気がするの」
アンナ「ホントになんとなくだよ?」
ヤマト(確かに『杏奈』は)
ヤマト(魔法なんかない元の世界でも強かった)
ヤマト(ただ──)
ヤマト「俺が言えたことじゃないが、 いざというときは使えよ?」
アンナ「うん? それはわかってるよ?」
〇城門の下
高位魔術師「ついたぞ。 ここが、我らが国の中心」
高位魔術師「イサノウ王国!」
ヤマト「ここが・・・」
アンナ「さあ、 さっそく学園広間に案内するよ!」
〇大広間
アンナ「ここが、 イサノウ王国学園広間!」
ヤマト「すごいな。確かに広い・・・」
ヤマト「けど、ダンスに来たんじゃないぞ」
高位魔術師「確かにダンスにも使われるがな」
高位魔術師「む。 向こうも着いたようだ」
ヤマト「あれ、あいつ・・・」
アンナ「あ、シン!」
シン「久しぶりだね。アンナ」
シン「敗北したと聞いたが、何故ここに?」
アンナ「ヤマトに付いていくことにしたから ・・・だけど?」
シン「ほう? そして彼がそのヤマト君」
ヤマト「・・・ああ」
シン「フム・・・」
シン「・・・」
ヤマト「なんだよ?」
シン「魔力量、53といったところか。 本当に魔力は大したことないらしい」
村のエリート「そうなんですよ、シンさん!」
村のエリート「私も油断しなければこんな小僧には──」
ヤマト「なんで、あんたがいるんだ?」
村のエリート「それは──」
シン「僕が雇ったからさ」
ヤマト「雇った・・・?」
シン「勝負には魔力量が一番だ。 それは間違いない」
シン「だが、 それと同じくらい重要なものがある」
シン「情報だ」
シン「僕は、キミの最初の相手である彼から、 情報を仕入れたのさ」
村のエリート「そういうことさ」
シン「それだけではないがね・・・」
ヤマト「ふ〜ん?」
ヤマト「じゃあ、なんでまだいるんだ?」
ヤマト「情報を聞くだけなら、 ここにいる必要はないだろ?」
シン「そう、そこだ。 それでだ、ヤマト君」
シン「我々の試合。 2対2で行いたい」
ヤマト「なに・・・?」
シン「僕と彼が組む。 君は──」
シン「アンナと組んで闘う。 どうかな?」
ヤマト「それは──」
アンナ「ま、待って!」
アンナ「ヤマト、ちょっと」
ヤマト「どうした?」
アンナ「受けるの?」
ヤマト「アンナが構わないなら、 そのつもりだが・・・」
アンナ「シンは学園一の秀才で策士なの。 何か企んでないかなと思って・・・」
ヤマト「なら、それごと打ち砕く」
ヤマト「そうだろ?」
アンナ「・・・わかった」
シン「話は済んだかな?」
ヤマト「ああ。 受けるぜ、タッグマッチをな」
シン「たっぐまっち・・・?」
ヤマト「・・・2対2、受けるぜ」
シン「それでこそだ」
〇ヨーロッパの街並み
高位魔術師「では、試合は明日だ。 今日はここで休むといい」
ヤマト「ああ」
アンナ「ヤマト、また明日ね!」
ヤマト「おう。 明日は頼むぜ」
高位魔術師「では、今日は私も失礼する」
高位魔術師「アンナ殿は学園の寮かな?」
アンナ「うん」
高位魔術師「ならば、問題はないか。 私も失礼する」
〇ヨーロッパの街並み
アンナ「・・・」
アンナ「何か用?」
シン「気づいていたか」
アンナ「シン、頭はいいけど、尾行はヘタだね」
シン「ム・・・そうか?」
アンナ「で。なに?」
シン「君からも、 ヤマト君の情報を聞こうと思ってね」
アンナ「わたしは彼側だよ? 教えるわけないじゃん」
シン「いや、教えてもらうさ」
アンナ「っ!?」
村のエリート「おっと、ごめんよ」
アンナ「これは・・・!?」
シン「魔力で編まれた特殊な手錠さ。 それが付いてる限り魔法は使えない」
シン「君は強化魔法が得意だからね。 魔法と腕を封じさせてもらう」
アンナ「っ・・・!」
村のエリート「おがっ!?」
シン「足だと!?」
シン「だが!」
アンナ「きゃあっ!?」
シン「連れて行け!」
村のエリート「いてて・・・。 人使い荒いですよ、まったく」
きゃー!アンナさんピンチ!
タッグマッチの行方はどうなってしまうのか!?ドキドキです!
面白くて読み入ってしまいました!巧みな展開に、読んでいてワクワク感を強く感じます!2対2の試合、アンナさんは戦えるのでしょうか?