第4話 恋する魂(脚本)
〇駅前ロータリー(駅名無し)
「・・・」
松井(中の人レイカ)「なんかこうして手をつないでるとさ、 ふたりがツキ合ったばっかの頃、 思い出すよね・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「あ、ああ、そうだな・・・」
松井(中の人レイカ)「ヨシくんさぁ、ツキ合って 初めてモンスターを倒した夜、 わたしになんて言ったか覚えてる?」
ひまり(中の人ヨシト)「え?なんて言ったんだろ・・・」
松井(中の人レイカ)「・・・今夜はオレがモンスターになっちゃ」
ひまり(魂)「やめえええええい!!」
ひまり(魂)「なにロマンチックムードから 下ネタぶちこもうとしてんの!?」
ひまり(魂)「現実見て! 今のお互いのカラダをよーく見て!」
松井(中の人レイカ)「・・・いいじゃない、 ちょっとくらい思い出に浸ったって」
ひまり(魂)「ふたりはよくても、 世間の目ってもんがあるの!」
通行人「ねぇちょっと・・・ あのふたり、どういう関係?」
通行人「見て!手をつないでるわよ!」
ひまり(魂)「ほらね!」
松井(魂)「・・・これ、ヘタしたら私、逮捕ですよ」
ひまり(魂)「人前ではラブラブカップルぶりを 見せつけちゃダメ!」
ひまり(中の人ヨシト)「お、おい、やめろ! あくまでも『パートナー』だ!」
ひまり(魂)「発言と行動がともなってない!」
ひまり(魂)「・・・せめて親子」
ひまり(魂)「親子って設定を演じて!」
「・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「ねぇパパ? プレミアムパンケーキ、楽しみだね!」
松井(中の人レイカ)「そうだなぁ」
ひまり(中の人ヨシト)「・・・もちろん、パパのおごりだよね?」
松井(中の人レイカ)「はっはっは、まかせておきなさい」
ひまり(中の人ヨシト)「わーい!パパだーいすきっ!」
通行人「ねぇ・・・『パパ』ですってよ!」
通行人「あー、そういう活動・・・ でもあの子、未成年じゃない?」
ひまり(魂)「待てえええええい!!」
ひまり(魂)「・・・絶対わざとでしょ!?」
ひまり(中の人ヨシト)「いや、自分なりのかわいい娘の イメージだったんだけど・・・」
松井(中の人レイカ)「わたしも、おおらかなパパを 演じたつもりだったんだけど・・・」
松井(魂)「あれじゃ私、完全に逮捕ですよ・・・」
ひまり(魂)「もっとナチュラルに! 自然な感じでお願いします!」
〇レトロ喫茶
店員「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「ふたりです!」
ひまり(魂)「へぇ・・・なかなかオシャレ」
松井(魂)「こんなとこ、あったんですねぇ」
ひまり(魂)「・・・あのー、最近ふと思ったんですけど」
ひまり(魂)「今、魂になってるアタシたちって、 他のみんなには 見えてないじゃないですかー」
松井(魂)「そうみたいですねぇ」
ひまり(魂)「でも、ヨシトさんやレイカさんには アタシたちの姿が見えてるんですよねー」
ひまり(魂)「で、逆にヨシトさんやレイカさんの魂は アタシたちにだけ見えてる・・・」
ひまり(魂)「これってなんでなんですかねー?」
松井(魂)「・・・うーん」
松井(魂)「一種の特殊能力なんじゃないかなぁ?」
ひまり(魂)「特殊能力・・・?」
松井(魂)「実は私もそのことについて 少し考えていたんですけどね・・・」
松井(魂)「きっと、他人の魂をカラダの中に 入れられる人間は この世界にあまり存在しない」
松井(魂)「逆に、他人の カラダの中に入れる魂も・・・」
松井(魂)「みんながみんな、そうすることができたら 大混乱ですからねぇ」
松井(魂)「そして、その特殊能力を 持つ者たちだけが 魂を見ることができる・・・」
松井(魂)「あくまで推測ですけど」
「・・・」
松井(魂)「なーんて・・・ オカルト雑誌の読み過ぎかなぁ?」
ひまり(魂)「いや、でも確かにそうかも」
ひまり(魂)「なんでアタシに その特殊能力があるのかは よくわかんないけど・・・」
松井(魂)「それを言うなら私もですよ・・・ しかも、特殊能力を持った人間が あの場に複数居合わせるなんて そんな偶然・・・」
「うわぁぁぁぁぁ!!」
ひまり(魂)「な、なに?」
「夢にまで見たプレミアムパンケーキ!」
ひまり(魂)「なによ!人騒がせな!」
「いっただっきまーす!!」
ひまり(魂)「・・・全然聞いてないし」
「・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「くーっ!うめぇ!」
松井(中の人レイカ)「ほっぺた落ちそう・・・!」
「生きててよかったー!!」
ひまり(魂)(・・・だから、ホントは死んでんだって)
松井(中の人レイカ)「わたしが今まで食べたパンケーキの中で 一番おいしいかもっ!」
ひまり(中の人ヨシト)「いくらでもいけるぜ!」
松井(中の人レイカ)「んー、しあわせっ!」
ひまり(中の人ヨシト)「べぇって!マジべぇって!」
客「・・・だからなんなの、あのふたり?」
客「女の子は男みたいで おじさんは女の子みたい・・・」
客「これが多様性の時代なのかしら・・・」
客「情報量が多すぎる・・・」
ひまり(魂)「一回、ふたりとも落ち着こっか・・・!」
ひまり(魂)(あー、もうほんとムリ・・・ こんなとこ誰かに見られたら・・・)
「あれ?ひまりちゃん?」
ひまり(魂)「・・・え」
菅原「やっぱり、ひまりちゃんだ」
ひまり(魂)「す、すすす・・・菅原さんっ!」
ひまり(中の人ヨシト)「・・・」
ひまり(中の人ヨシト)「アンタ誰?」
ひまり(魂)「バ、バカッ! バイト先の先輩の菅原さん!」
菅原「おいおい、冗談キツイな〜」
ひまり(魂)「よ、よかった・・・流してくれた」
ひまり(魂)「・・・」
ひまり(魂)「やっぱカッコいいな・・・」
松井(中の人レイカ)(ふーん・・・なるほどね)
菅原「こちらの方は?」
菅原「お父さん?」
ひまり(中の人ヨシト)「いえ!パートナーです!」
ひまり(魂)「おい!ヨシト、ぶっ殺すぞっ!!」
ひまり(魂)(・・・もう死んでるけど!)
〇黒
つ づ く
やっぱり、入れ替わり時に知人と遭遇する展開、定番だけど楽しいですねー!
ひまりさんと松井さんのツーショットへのヒソヒソ、ひまりさんは精神的ダメージが、松井さんは社会的ダメージが大きそうですねww