カオスな音楽番組

はちねこ

カオスな音楽番組(脚本)

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カオスな音楽番組
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〇シックなリビング
  とあるシェアハウスにて・・・
ぴょんさん「おはよう、上野井さん」
上野井「おはよーさん!」
上野井「ごはん、食べたー?」
ぴょんさん「うん、美味しかったー」
ぴょんさん「あ、なんか音楽番組始まりそう」
上野井「おー、おもしろそうー」
  この音楽番組で・・・
  まさか、あんなに笑うなんてね・・・

〇コンサート会場
  えー、指揮者の小谷さんです。
血色の良い指揮者「こんにちは、ただいまご紹介に預かりました。小谷と申します・・・」
ぴょんさん「あのさあ・・・」
ぴょんさん「あの人、男性の割に唇・・・」
ぴょんさん「めっちゃ、血色いいんだけど」
ぴょんさん「リップ塗ってるのかなぁ」
上野井「じゃないと、あの色はありえへんて」
上野井「もしくは、そっちの気があるんかもね」
ぴょんさん「いやっ・・・笑」
ぴょんさん「本番前なのに、辛いものでも食べたのかな」
上野井「あー、カラムーチュみたいな辛いお菓子かな?」
上野井「いや、やっぱ食べたあとに、リップ塗ってこんなに発色ええのやって笑」
ぴょんさん「うちら、音楽番組でこんな楽しんでるよ」
上野井「あなたのおかげで、おもしろいよ」
  ははは、とお互い笑い合う。
  他の住人は、降りてこない。
  もしくは、自室にいるか、おでかけしているか。

〇コンサート会場
  つづいて、バイオリン奏者の・・・
  恩智さんです!
ぴょんさん「ねぇ、音楽番組でその名字は」
ぴょんさん「致命的じゃない?笑」
上野井「アカンなあ」
上野井「ちょっ・・・」
上野井「笑い、とまらへんやん」
ぴょんさん「綺麗なおねえさんなのに・・・」
上野井「親を少し、恨むやろうなあ」
ぴょんさん「いや、もしくは結婚して、名字変わったのかも」
上野井「どう足掻いても地獄やなあ」
ぴょんさん「漢字は、いいやつやけどねえ」
上野井「てか、君のせいで集中でけへんねんて笑」
ぴょんさん「いや、だってこれはもう・・・」
ぴょんさん「仕掛けてるとしか、思えないじゃん」
上野井「笑ったらあかんやつかー」
上野井「年末に使えそうやなぁ笑」
ぴょんさん「音楽っていうか、ギャグ番組だよね」
上野井「ほんまになぁ!」
  音楽番組で、こんなに笑ったことはない。

〇コンサート会場
  しばらくして、演奏が始まる。
  案の定、血色の良い指揮者と、恩智さん、その他で集中できなかった。
  内容が、頭に入ってこない。
  カメラが一瞬、アップになり・・・
  フルートを吹いていたおじさんが、カメラ目線を向けてくる。
ぴょんさん「ちょっ・・・狙ったでしょ」
上野井「ガン見して、一周まわってかわいいかも」
  なんやかんやで、演奏が終わり・・・
  軽く、問答があったけれど・・・
ゲスおじ「うちらさぁ・・・」
ゲスおじ「そんなん、まぢムリだからさぁ」
ぴょんさん「や・・・ギャルやん」
上野井「ゲスおじが、うちらって言うのと」
上野井「ちに点々のまぢ、面白いんだけど・・・」
ぴょんさん「腹よじれそう・・・」
  そして、何事もなかったかのように、番組は終盤へと進んでいく・・・

〇総合病院
  なぜか、立派な病院がテレビに映し出される。
ぴょんさん「あれ、音楽番組は?」
上野井「CMじゃなさそう」
上野井「他の番組?」
  リモコンで、番組表を確認する。
  確かめたところ、あと20分ほど続くらしい。

〇病室のベッド
  誰かの、病室に切り替わる。
ぴょんさん「え、なになに?」
上野井「なんか、はじまる系かな?」

〇病院の待合室
ゲスおじ「なんか、うちらの演奏聞きたいって言ってた子・・・」
ゲスおじ「ここに、入院してんだよね」
血色の良い指揮者「ああ・・・」
血色の良い指揮者「なんとか、彼女の願いを叶えたくて・・・」
血色の良い指揮者「力を貸して欲しい」
恩智さん「詳しくないけどさ・・・」
恩智さん「何とかって難病でさ・・・」
ゲスおじ「治る見込みが、ないっぽいんだよね」

〇シックなリビング
ぴょんさん「なんか、いいシーンなのに申し訳ないんやけどさ・・・」
ぴょんさん「情報量0で、やろうとしてたんやね」
上野井「なんか、名前出ないことあるじゃん」
上野井「あの現象だね」
「あはははは」
ぴょんさん「あと、照明の位置と色がさ」
ぴょんさん「ミラーボール感、強いんやけど・・・」
上野井「病院に、ミラーボールは草」
上野井「なんでといつもこいつも、香ばしいのかね」
ぴょんさん「音楽番組で、こんなに笑ったの初めてやわ」
上野井「わたしもね」
  わはは、と笑い・・・

〇シックなリビング
ぴょんさん「じゃあ私、そろそろ上行こうかな」
上野井「わたしも戻ろうかな〜」
ぴょんさん「あっ、一つ良い?」
上野井「なしたん?」
ぴょんさん「アゾマンでさ、推しのブロマイド買ったんよ」
上野井「うん」
ぴょんさん「発送されたっぽいから、追跡番号入れたの」
ぴょんさん「そしたら・・・」
ぴょんさん「お探しの番号はありません、って!」
ぴょんさん「発狂しそう・・・」
上野井「Oh・・・」
上野井「送り主に、テレフォンリンリンしちゃう?」
ぴょんさん「するかぁ~・・・」
上野井「それか、そっちがこないなら錬金術で呼ぶしか無いよね」
ぴょんさん「等価交換しなきゃね~」
上野井「どの部位、差し出す気なん?」
ぴょんさん「まあ、推しのためならどこでも良いけど」
ぴょんさん「そこらへんのおじさん、錬成の材料に捕まえてくる」
上野井「名もなきおじさん、かわいそうやからやめておあげなさいな・・・」
ぴょんさん「あ、でも・・・」
ぴょんさん「おじさん、私より強かったらどうしよう・・・」
上野井「まあ、その可能性もあるわなあ・・・」
上野井「でも確か、隣の男子のシェアハウス、おじさんいたような・・・」
ぴょんさん「それ!そうする!」
ぴょんさん「手頃なおじさんだー」
ぴょんさん「もし、隣のおじさんいなくなったら、私が捕まえたと思って」
上野井「笑えへんなあ」
上野井「ぴょんさん・・・」
上野井「あなた、推しのためとはいえ・・・」
上野井「人として、なにか大事なものを失う覚悟はあるの?」
ぴょんさん「うん!」
上野井「いや、判断早っ・・・」
ぴょんさん「まあ、明日届かなかったら、察して」
上野井「チューリップお供えしとくね」
ぴょんさん「ありがと、またね~」
上野井「おー、またね~」
  なんやかんや、彼女が発狂していないことを祈る・・・
  End・・・

コメント

  • 何気ない日常会話でも、着眼点や波長が合う人との会話にはミラクルが起こって、自分でも不思議なくらい面白いやり取りが続くことってありますね。そんな会話の空気感が見事に再現されていて感心すると同時に、カオスな音楽番組にも笑わせてもらいました。

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