エピソード1(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
主人公「!?」
主人公「・・・・・・ここは?」
主人公「・・・・・・どこだ?」
主人公「・・・・・・ここは、どこなんだ?」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「・・・・・・渋谷?」
主人公「・・・・・・もしかして渋谷の街か?」
主人公「信じられないことだが」
主人公「間違いないようだな」
主人公「・・・・・・そうか」
主人公「ここは渋谷か」
主人公「なるほど」
主人公「久しぶりだな」
主人公「前に来たときと比べて、随分と様変わりしたものだ」
主人公「私の知っている場所とは、似ても似つかない」
主人公「もう完全に別の街だ」
主人公「ふむ」
ドン!!
通行人「おっと」
通行人「どうも、すいません」
通行人「結構強くぶつかりましたけど、怪我は?」
主人公「・・・・・・ああ、大丈夫です」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
通行人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
通行人「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
通行人「・・・・・・ええと、何か?」
主人公「・・・・・・いや失敬」
主人公「その・・・・・・素敵なお召し物だなと」
通行人「はは、ハロウインですからね」
通行人「どうせなら楽しまないと」
通行人「あなたもハロウインを楽しんでください」
通行人「じゃあ、連れが待っているので」
タッタッタ
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「街の変わりようも驚きだが」
主人公「人の方も変化したものだな」
通行人「トリックオアトリート!!」
通行人「お菓子をくれないと悪戯するぞ!!」
通行人「はい。写真を撮るから皆笑って」
通行人「ハッピーハロウイン!!」
通行人「ハッピーハロウイン!!」
通行人「ハッピーハロウイン!!」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「街中、妙な扮装をした者だらけだな」
主人公「ハロウインだったか」
主人公「確か古代ケルトを由来にした祭り」
主人公「冬の始まりに、死者の霊が家族を訪れるというならわしだったはず」
主人公「・・・・・・ううむ」
主人公「今では、ここでもハロウインの催しを行うのか」
主人公「これも時の流れというやつか」
少女「え〜ん、え〜ん」
主人公「む」
少女「え〜ん、え〜ん」
主人公「お嬢ちゃん」
少女「え〜ん、え〜ん」
主人公「どうかしたのか」
少女「え〜ん、え〜ん」
主人公「・・・・・・聞こえているなら返事をしてもらえると助かるのだが」
少女「ぐす」
少女「あのね」
少女「ママがね」
少女「いなくなっちゃったの」
主人公「迷子か」
少女「うう」
少女「どこなの、ママ」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「大丈夫」
主人公「お母さんも君のことを探しているだろう」
主人公「会いたいと思い合っていれば必ず会える」
主人公「世界はそういう風にできているのだから」
主人公「きっとすぐに見つかるよ」
少女「・・・・・・本当?」
主人公「ああ、本当だとも」
主人公「だから泣くのはやめなさい」
少女「うん」
〇ハチ公前
主人公「忠犬ハチ公の像か」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
少女「おじさん、どうかしたの?」
主人公「あ、いや」
主人公「何でもない」
主人公「それよりも本当にここで良いんだね」
少女「うん」
少女「もしもママとはぐれたら」
少女「ここで待っていなさいって言われたのを思い出したの」
主人公「そうか」
主人公「待ち合わせにこれほど適した場所もないか」
少女「ママ、来るかな」
主人公「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
主人公「・・・・・・お嬢ちゃん」
主人公「この銅像の犬、ハチについて知っているかな」
少女「ううん」
主人公「・・・・・・この秋田犬ハチは、とある男に飼われていた」
主人公「ハチはいつも、男が帰ってくるのを渋谷の駅の前で待っていた」
主人公「男が電車に乗って帰って来るのを出迎えていたんだ」
少女「ハチはその人のことが大好きだったんだね」
主人公「・・・・・・そうだな」
主人公「だが、飼い主である男が急に亡くなってしまう」
少女「!!」
主人公「ハチはそれでも、この渋谷の駅の前で男を待ち続けた」
主人公「ずっとずっとハチは待ち続けた」
主人公「大切なものと会いたい」
主人公「そんな想いがこの像には込められている」
主人公「だから、きっとハチが君にも力を貸してくれるさ」
少女「うん」
少女「でも」
主人公「ん?」
少女「ハチは可哀想だね」
少女「どんなに待っても大切な人と会えないなんて」
主人公「・・・・・・そんなことはない」
主人公「言っただろう」
主人公「会いたいと思い合っていれば必ず会える」
少女の母親「ナナ!」
少女「ママ!!」
主人公「ほら、ちゃんと会えただろう」
少女「うん、そうだね!!」
少女「ありがとう、おじさん!!」
主人公「ああ、今度は逸れないようにな」
少女の母親「もう心配したのよ」
少女「ごめんなさい、ママ」
少女「でもね、あのおじさんが助けてくれたの」
少女の母親「?」
少女の母親「何言ってるの」
少女の母親「誰もいないじゃない」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
主人公「やれやれ良かったな」
通行人「ふふ、そうですねえ」
主人公「おや、あなたは」
通行人「また会いましたね」
通行人「しかし、時々いるものですね」
通行人「あの少女のように、我々のような本物の霊が見える人間が」
主人公「ええ」
主人公「本人は気づいていないようでしたが」
通行人「今日はハロウイン」
通行人「現世の境界が曖昧となり」
通行人「仮装したお化け達のなかに本物が紛れ込む」
主人公「そうですね」
主人公「おかげで、私もようやくあの子と会うことができる」
主人公「ハチ」
主人公「ずっと待たせて悪かったな」
ハチ「ワン!」
会いたい
そう思い合っていれば
必ず会える
いつか
きっと
独特のリズムで進んでいくお話に
ついタップの指が止まらなくなりました😌
大切な人に会いたくなるような心温まるお話です😊
てっきり仮装した人々で溢れかえっているものかと…。
霊が仮装している可能性も?!笑
それにまさかのハチのご主人…!
びっくりすることがたくさんの作品でした!
ハロウィンとハチ公のお話が綺麗に交わったとても素敵なお話でした。銅像のハチは沢山の出会いは再会を見てきたんでしょうね。そんなハチも年に一度大好きな飼い主に会えてるとしたらとても嬉しいです。