〇屋敷の大広間
吉乃「皆、久しぶり！で？今日は何？」
お市「なんでも、最近世間を騒がせておるリョウコなる遊女がダブル不倫とやらをしたそうで、のお･･･」
茶々「陰陽師殿がそのリョウコなる遊女を御贔屓にしていたらしく･･･」
お市「我らに慰めて欲しいとの事じゃ」
吉乃「ダブル不倫とやらが分からぬが」
茶々「先ほどお聞きしたところ、双方ステディがおるのに、不貞を働いたという事のようです」
吉乃「遊女であろう？金を払った男と一夜を共にするのが遊女の務め。それを不貞とは解せぬ」
お市「我々も先ほどから訳が分からなくて･･･」
吉乃「築山殿、どうした？腹でも壊したか？」
築山殿「いえ･･･吉乃様にはお分かりにならぬでしょうが、今年大河ドラマで盛大に取り上げられておりまして･･･」
吉乃「そうらしいなあ」
築山殿「それが、その･･･どうも、調子が狂う･･･というか･･･」
お市「築山殿は前回「女城主景虎」で取り上げられて、今回２度目で全然違うイメージを与えられて混乱されているのですね？」
築山殿「ええ、まあ、そうなんです」
「おほほほほ」
お市「ほほほ・・・ごめんなさい。私達は今まで、何十回何百回と取り上げられておりますもので、もう、気にしなくなっております」
吉乃「毎回、気の強いおなごとして描かれるから、ブレがないだけであろう」
お市「吉乃様･･･」
吉乃「今日も珠がまだ来ておらぬが」
茶々「ダーリンを巻くのに手間取っておるのでございましょう」
　　廊下からバタバタと音がした

〇風流な庭園
築山殿「噂をすればなんとやらですね」
珠「ごめんなさい。ダーリンを巻くのに手間取ってしまって！」
茶々「珠ちゃん、さあ、こちらへ座って」
珠「ありがとう。では、お隣失礼します」
お市「ちゃんと巻いてこれた？」
珠「ええ、ばっちりです！」
吉乃「相変わらず、大変ねえ」
珠「ちょっと聞いてもらえます？最近世間を騒がせているリョウコなる遊女の夫、蠟燭のジュンって、うちの旦那気質だと思うんですよ！」
築山殿「そうね～。同じ種族の臭いがするわね～」
吉乃「確かに！」
珠「あの・・・なんか、築山殿･･･雰囲気違くないですか？」
茶々「あっ、珠ちゃんそこは放っといてあげて。大人の事情らしいから」
築山殿「髪の毛黒く染めようかな～」
珠「ケジメ付けます。長男、後はよろしく。みたいな事言っといて、なんかやろうとして不発？」
珠「後から出てきた情報だと既に「別れたい」って言われてた。リョウコは前にも不倫してて、蝋燭のジュンは相手に直談判しに行った」
茶々「珠ちゃん詳しいわねえ」
お市「その遊女の方もなかなかの玉ではないか？」
珠「そうなんですよ！目薬をささなくても涙を自由に操れるという特技を持っておるというから」
吉乃「それは、殿方などはコロッと騙されるであろうな」
築山殿「ふっ･･･大体、男ってえのはバカなんだよ」
お市「あら？築山殿いつものテンション？」
築山殿「強がって俺が大将！なんてえっらそ～に！夜はママのおっぱいに吸い付いンガ！」
珠「まあ、そのくらいになさりませ」
茶々「珠ちゃん・・・さすがにみぞおちはえげつないって・・・」

〇広い玄関（絵画無し）
　　珠が、ふすまを少し開けて廊下の様子を窺うと
珠「ゲッ！うちの夫が玄関に仁王立ちしてる」
茶々「あらまあ」
珠「では、皆様、お先に失礼致します」
　　珠は玄関に走り出ると、忠興に抱き着いた
珠「ダーリン会いたかったっちゃ」