暁に鈴蘭

キリ

すれ違いな男女 前編(脚本)

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〇古びた神社
  この頃、行き違いになる男女がいる
  一方が来て帰り、そのあと一方がくるが
  鉢合わないのが、悩みの種である──
参拝者D「・・・」
参拝者D「お願いします」
参拝者D「ふぅ」
暁鈴(摩訶不思議ぞ)
暁鈴(どうしてこうも、すれ違いが生じている?)
暁鈴(ここは一本道のはずだが・・・)
皇樹「ええねえぇ〜青春してるやん!」
暁鈴(こやつ、ずっと観察していたのか)
皇樹「そういえばここって 何の神様祀ってるん?」
暁鈴「・・・」
皇樹「ああ、はいよ」
皇樹「はいどんぞ」
暁鈴「・・・っ」
暁鈴「人々の願いを叶える者が祀られている」
皇樹「へええ〜」
皇樹「ほんなら、同じ気持ちな場合って 絶対叶うっちゅうことやな?」
暁鈴「そうとは言い切れぬ」
皇樹「なんでや? !」
暁鈴「同じ気持ちであっても、伝えられなければ ずっと気づけないままだ」
暁鈴「彼らは現在、伝えられずに秘めている」
暁鈴「ただ願うことだけで、今日が過ぎている」
皇樹「なるほど・・・」
皇樹「俺の出番ちゅうことかな? ?」
暁鈴「・・・」
暁鈴(貴様は何もするな・・・)

〇古びた神社
暁鈴(だが、)
暁鈴(あの男女には、我からも 言いたいことがある)
暁鈴(あの男女、おみくじも賽銭すらしない)
暁鈴(何しに来ているのだまったく・・・)
暁鈴(どうしたいのだ?)
暁鈴(くっ・・・)
暁鈴(いかんいかん、忘れるな)
暁鈴(あくまで見守るだけであって 金銭の要求はご法度だ)
暁鈴(・・・)

〇古びた神社
  翌日の夕方──
参拝者C「・・・」
参拝者C「・・・ふぅ」
参拝者D「・・・」
皇樹「なあ、ちょっとええ?」
参拝者D「ん?はい」
皇樹「なんで何もせえへんの?」
参拝者D「はぁ?」
皇樹「この寺、鈴鳴らしたらな? 願いを唱えなきゃ叶わへんで?」
皇樹「見てみぃ、張り紙にちゃーんと 書いてあるやん」
参拝者D「あっほんとだあ!」
参拝者D「だから進展無かったのか〜」
皇樹「テイク2、やったほうがええて」
参拝者D「いいんですか?続けて願っても」
皇樹「いっぺんもにへんも変わらへんて ほらほら!」
皇樹「ああ、俺失礼するでもちろん」
参拝者D「じゃあ、改めます」
参拝者D「どうか、同じクラスのC子と連絡を 交換しあえるきっかけができますように」
参拝者D「なんでもいいっす・・・!」
参拝者D「こ、これでいいのかな」
皇樹「んああ、終わったんかー?」
皇樹「ほんなら次、おみくじ引いてみ?」
参拝者D「え、それもこの寺のしきたりなんですか?」
皇樹「まあ、どうしても願いを叶えたいならな」
参拝者D「・・・・・・」
  男はおみくじを引き、内容を確認して
  そのまま帰っていった
皇樹「どや?誘導うまいやろぉ?」
暁鈴「誘導というか、口が良すぎるというか」
暁鈴「でもまあ、恩にきる」
皇樹「おお!はじめて暁鈴からの褒め言葉やんな」
暁鈴(あの男、大吉を引いたな)
暁鈴(そりゃあ両思いなのだから当然だな)

〇緑(ライト)
参拝者D「おみくじ買ったけど・・・」
参拝者D「やっぱ、神頼みなんてだせぇよなあ」
参拝者D「向こうからなにかしてくれば 脈アリってことだし」
参拝者D「無いなら無いで、しゃあねえし」
参拝者D「おみくじなんて、当てにならね」
  男は、さっき選んだおみくじを読まずに
  おみくじの紙を丸めて、
  ゴミ箱へ捨ててしまった
暁鈴「あ、あやつ・・・」
暁鈴「なんてことを・・・っっ」

次のエピソード:すれ違いな男女 後編

コメント

  • おみくじも賽銭も無いことにご不満な暁鈴様……かわいいww
    そして、折角のおみくじを捨てられたのを目にして……後編は修羅場でしょうか……

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