ミャーとの出会い(脚本)
〇動物
進君「ここはいったいどこなの!」
進君が大声をだすと、
マルル「進君。動物会議への出席ご苦労さまです」
と、黒猫のマルルがじっと進君をみつめながら話しかけました。
進君「まさか、ぼくに話しかけたのは黒猫ちゃん?」
マルル「そう、私、委員長のマルルじゃ。進君が寝ているあいだに、進君を動物たちだけの星に連れてきたのじゃ」
マルル「この星ではどんな生き物も言葉をかわしあえるのじゃよ」
進君「なぜぼくが? そして動物会議ってなんなの?」
マルル「おやおや、十歳になっても今の人間社会のことが理解しておらんのかね」
マルル「我々ペットとされているものはまだよい。食事の心配も雨に濡れることもない」
マルル「しかし、野生の猫や動物たちは、とてもひどい目にあっておるのじゃ」
マルル「そのものたちが生きる場所や食べるものが日々減りつづけておる」
マルル「そこで、動物たちだけが住む星のものにテレパシーで助けを求めて、地球からこの星に引っ越すことにしたのじゃ」
マルル「そのまえに我々に親切だった進君に、会議の結果を教えて、人類に報告してもらうことにしたのじゃよ」
〇カラフルな宇宙空間
〇宇宙空間
〇動物
さきほどまで騒いでいた動物たちが、マルルの話に聞き入っていて、怖いくらいに静まりかえっていました。
そのなかに、進君のかわいがっている猫のミャーもいたのです。
進君がミャーに呼びかけると、ミャーは目をそらしてうつむいたようにみえました。
マルル「進君のことは、ミャー君からいろいろと聞いておる」
マルル「毎年冬になると、野生の鳥たちのための食べ物を毎日まいてくれておることや、捨て猫や捨て犬を友だちに頼んだりしておるとかな」
マルル「ミャー君は進君のそばで暮らしたいそうじゃが、投票の結果、人間と別れることに決まってしまったでな」
〇カラフルな宇宙空間
進君「そんな! 人間以外の動物たちを家族のように思っている人たちはたくさんいますよ。なかには悲しい人もいるみたいですけど」
マルル「わしの家の者もそうじゃ。わしが病気になったときも、それは親身に看病してくれてな」
マルル「わしの病が癒されたときは泣いて喜んでくれたものじゃ」
マルル「しかし、これ以上、人間が我々の仲間たちを飼っては捨てるなどをして、仲間たちたちをひどい目にあわせるわけにもいかぬ」
マルル「我々は人類のペットになるためにおるわけではないのじゃからな」
動物たちがけたたましく泣き叫んだ。
進君は、あまりに悲しい鳴き声に、心の風船がパチンと割れて、思わず泣き出してしまいました。
進君「どうしたら、どうすれば地球に残ってくれるのですか?」
マルル「進君のような動物思いの人がもっと多くいないと、動物たちが暮らしやすい世界にはならないのじゃ」
〇動物
進君がうえを見上げて泣き続けていたら、ミャーが進君のそばにやってきて、
ミャー「進君。君もぼくの世界に来なよ」
と、猫なで声でささやいたのです。
進君「ミャー、すごくさびしくなるけど、ぼくは行けないよ。動物の世界で生きていける気がしないよ」
進君がそう答えると、ミャーは進君のほっぺたを猫パンチしました。
〇学生の一人部屋
進君があまりの痛さに目をつぶり、再び目をあけたら進君の部屋でした。
どうやら夢だったようです。ですが、進君は目が覚めてもまだほっぺたが痛いようでなんどもさすっています。
進君の胸のうえにはミャーがいて、ゴニャアと鳴きながらごはんの催促をしているようでした。
どうやらなかなか起きない進君に腹をたてて、進君の頬を猫パンチしたようです。
〇空
fin
私も去年心の友だった野良猫を亡くし例えようのない悲愴感を持ちました。外に住む動物の強さ、辛さを毎日彼に接しながら学び、よく自分の身を置き換えて色々な感謝や勇気が持てたものでした。主人公のように、常に動物に注意を払い、人間と動物は対等であることをもっと意識するべきですね。ストーリー自体描写もとても愛らしく、それでいて読者にしっかりと語りかけていて本当に素晴らしいですね!
楽しいお話しでした、動物とは話が出来ませんが、実際に会話を持つことが出来たらどんな感じなのでしょうか。(笑)あの癒しの顔とは対照的に不平、不満が多かったら悲しいですよね。楽しいお話しでした。
筆者様のような方に出会った猫ちゃんはきっと幸せだったでしょうね。動物にとって何が幸せなのかについて真剣に思いを巡らすなんて。車で寝ていた時に近づいてきた子猫はそんな優しさに気付いていたのかもしれませんね…