1. 甘塩っぱいぱい(脚本)
〇教室
──これは、誰もが通る道──
──甘塩っぱい青春の物語だ──
──4月1日──
久元 寿「僕の名前は「久元 寿」」
久元 寿「中学時代は「ぶりぶり」と呼ばれていた」
久元 寿「そして、今日は高校の入学式」
久元 寿「色んな感情が入り混じる」
久元 寿「期待・・・興奮・・・不安・・・緊張・・・不安・・・憧憬・・・不安・・・」
久元 寿「新しい教室・・・」
久元 寿「ふと隣を見る・・・」
久元 寿「そこには、とても素敵な女がいた・・・」
グランド 玉葱「これから高校生だ!!」
グランド 玉葱「楽しみだなぁ!!」
久元 寿「げ、元気がいいね」
久元 寿「僕は「ぶりぶり」 よろしく」
グランド 玉葱「私は「グランド 玉葱」!!」
グランド 玉葱「「ンドネギ」って呼んでね!!」
久元 寿(ンドネギ・・・ 可愛い!!)
久元 寿「わ、分かった ンドネギ!!」
久元 寿「改めてよろしく」
グランド 玉葱「ぶりぶり!! こちらこそよろしくね!!」
──こうして「ぶりぶり」と「ンドネギ」の甘塩っぱい恋の物語が幕を開けた──
〇教室
久元 寿「ふぅ・・・」
久元 寿「学校説明だけなのに、なぜか疲れたな・・・」
グランド 玉葱「ほんとそれな〜!!」
久元 寿「ンドネギ!!」
久元 寿「ビックリしたよ」
グランド 玉葱「えへへ!!」
グランド 玉葱「そういえば、パン粉見なかった!?」
久元 寿「え、パン粉?」
グランド 玉葱「うん。 実はさっき、パン粉を無くしちゃって・・・」
久元 寿「それはヤバいよ!!」
久元 寿「パン粉はマイナンバーカードよりも大事だからね」
グランド 玉葱「どうしよう・・・」
グランド 玉葱「私・・・お嫁に行けないよ・・・」
久元 寿「・・・」
久元 寿「大丈夫だよ!!」
久元 寿「ンドネギ!! 僕が・・・」
久元 寿「君のパン粉になる!!」
─「ぶりぶり」は心に誓った──
─「ンドネギ」のパン粉になる、と──
〇教室
久元 寿「くそ!! どうすればいいんだ・・・」
滝川 クリステール「何かお困りのようだね」
久元 寿「き、君は!?」
滝川 クリステール「「滝川クリステール」だよ」
滝川 クリステール「「滝テール」って呼んで」
久元 寿「滝テール!! 助けてくれ!!」
滝川 クリステール「どうしたんだ?」
久元 寿「実は・・・」
久元 寿「ンドネギのパン粉になる約束をしてしまったんだ・・・」
滝川 クリステール「な、なにーーーーー!!!」
久元 寿「だから、ちょっと手伝ってくれないか?」
滝川 クリステール「俺にできることなら何でもするよ!!」
久元 寿「ありがとう! まず・・・」
久元 寿「このクラスの学級委員になってくれないか?」
滝川 クリステール「な、なにーーーーー!!!」
久元 寿「頼む! もう後には引けないんだ!」
滝川 クリステール「分かった 俺がこのクラスの学級委員になってやる!!」
久元 寿「ありがとう!!」
──こうして「滝テール」は、学級委員になるのであった──
〇まっすぐの廊下
久元 寿「滝テール! 君のおかげだよ!」
滝川 クリステール「そんなことないよ」
久元 寿「いいや、そんなことあるよ!」
滝川 クリステール「そんなこと・・・ あるの・・・かな・・・」
グランド 玉葱「2人とも何を話しているの?」
久元 寿「ンドネギ!?」
滝川 クリステール「もしかして、君がンドネギちゃん?」
グランド 玉葱「そうだよ〜!! 私がンドネギだよ〜!!」
グランド 玉葱「ネギネギビーム!!」
久元 寿「うわぁ!! ンドネギのネギネギビームだ!!」
グランド 玉葱「ところで、何の話をしてたの?」
久元 寿「そ、それは・・・」
滝川 クリステール「俺が学級委員になった話さ」
グランド 玉葱「そういえば、そうだったね!! 就任おめでとう!!」
滝川 クリステール「ありがとう!」
グランド 玉葱「委員長はぶりぶりと友達なの?」
滝川 クリステール「え、ぶりぶり? 毎日してるけど・・・」
久元 寿「ぶりぶりは僕のことだよ」
滝川 クリステール「そうなんだ! いいあだ名だね!」
久元 寿「さっき友達になったんだ!」
グランド 玉葱「え〜、ぶりぶり羨ましい〜!!」
グランド 玉葱「私もイケメンな委員長と友達になりたい〜!!」
グランド 玉葱「あわよくば、委員長と結婚したい〜!」
久元 寿「け、結婚!?」
滝川 クリステール「ンドネギちゃん! 可愛いね!」
グランド 玉葱「うふふ! 委員長はかっこいい!」
久元 寿(あぁ、僕の恋は終わってしまった・・・)
久元 寿(ンドネギは、もうパン粉を欲していない・・・)
──1人取り残された「ぶりぶり」──
──頑張れ、ぶりぶり
負けるな、ぶりぶり──
〇学校の校舎
──4月2日──
久元 寿「あーあ・・・ 昨日は失恋しちゃったからな・・・」
久元 寿「学校が憂鬱だよ・・・」
グランド 玉葱「委員長!! 大好き!!」
滝川 クリステール「滝テールって呼んでくれ」
グランド 玉葱「それなら、私のことも呼び捨てで呼んでね!!」
滝川 クリステール「分かった! ンドネギ!好きだ!」
グランド 玉葱「滝テール! 好き!」
──わずか1日にして、2人は付き合っていた──
久元 寿(ンドネギと滝テールが付き合っている・・・)
久元 寿(2人合わせて「ネギテール」だな・・・)
グランド 玉葱「あ、ぶりぶり!! おはよー!!」
滝川 クリステール「おい! ンドネギ!」
滝川 クリステール「俺以外の男と話すんじゃねぇ!」
グランド 玉葱「な、なにーーーーー!!!」
滝川 クリステール「次にぶりぶりと話したら別れるからな!!」
久元 寿(滝テールが豹変してる・・・)
久元 寿(「変は人を恋える」とはこのことか・・・)
グランド 玉葱「分かった!! もうぶりぶりとは話さない!!」
滝川 クリステール「あぁ、そうしてくれ」
滝川 クリステール「俺ももう洋式でぶりぶりはしない」
グランド 玉葱「約束だよ!!」
滝川 クリステール「破ると別れるからな!」
──完全にボッチとなったぶりぶり──
──夢の青春ライフは、どこに──
〇教室
久元 寿「今日はンドネギと話せなかったな・・・」
久元 寿「もう僕の青春は終わったんだ・・・ 引きずっていてもしょうがない・・・」
久元 寿「明日からは前向きに歩こう」
滝川 クリステール「おぉ!! ぶりぶり!!」
久元 寿「た、滝テール・・・」
滝川 クリステール「お前、ンドネギのこと好きなんだろ!?」
久元 寿「だ、だから何だよ・・・」
滝川 クリステール「譲ってやっても良いぜ!!」
久元 寿「え・・・ 羽生結弦?」
滝川 クリステール「そうだ!! 正直、ンドネギにはもう飽きたんだ!!」
久元 寿「そ、そうなんだ・・・」
久元 寿「それなら、僕は・・・」
久元 寿「ンドネギのパン粉になる!!」
滝川 クリステール「な、なにーーーーー!!!」
グランド 玉葱「ちょっと、何を2人で話してるのよ!!」
滝川 クリステール「ンドネギ!! 別れよう!!」
グランド 玉葱「え・・・」
久元 寿「僕がンドネギのパン粉になるよ!!」
グランド 玉葱「分かった!!」
グランド 玉葱「ぶりぶり!! これからはよろしくね!!」
久元 寿「ンドネギ! こちらこそよろしく!」
滝川 クリステール(ったく、キューピッドも楽じゃねーな)
──こうして、「ぶりぶり」と「ンドネギ」は晴れてカップルなった──
〇桜並木
──3年後の3月9日──
久元 寿「今日で最後だね」
グランド 玉葱「そうだね・・・」
久元 寿「この3年間、ンドネギとしかいなかったよ」
グランド 玉葱「何をするにも一緒だったもんね」
久元 寿「でも、これからは別々の大学に進むんだ」
グランド 玉葱「遠距離恋愛になるね・・・ 寂しいよ・・・」
滝川 クリステール「この3年間、あっという間だったなぁ!!」
久元 寿「滝テール!!」
滝川 クリステール「お前らを見てると、俺まで幸せになれたぜ!!」
滝川 クリステール「遠距離になるからって、浮気すんなよ」
久元 寿「するわけないよ〜!!」
グランド 玉葱「・・・」
滝川 クリステール「結婚式は呼んでくれよな!!」
久元 寿「もちろんだよ!!」
グランド 玉葱「・・・」
──高校生活──
──それは、とても大切な思い出──
──決して忘れないよう──
──そっと、アルバムに──
次回!!
ぶりぶり大学編!!
期待して待っておれ!!
──追加──
伏線は大学で回収予定で〜す
この作品は、コメディながらも甘酸っぱい恋愛物語でした。主人公の久元寿が一目惚れした「ンドネギ」ことグランド玉葱と、彼女に想いを寄せる滝川クリステールとの三角関係が面白く、笑いながらも彼らの恋模様に感情移入してしまいました。また、物語の登場人物たちが皆個性的で、彼らの掛け合いややりとりがとても楽しめました。コメディとロマンスがバランス良く組み合わさった作品で、心が温かくなりました。
冒頭でブリブリの初登校のブリブリじゃなくてドキドキを微笑ましく見ていた時間を返してほしい。その時間があったら読者もパン粉を探しに行けたのに、と思いました。でも続きがあったら絶対読みます。
なぜ、制服がボロボロ……