天使と渋谷でランデブー(脚本)
〇渋谷のスクランブル交差点
喧騒・・・ケモノたちの饗宴のような・・・欲望に充ちたにおい
ルキフェル「なぜ俺様が善行せにゃならんのだ。この究極悪魔のルキフェル様がよお」
数時間前──
〇砂漠の滑走路
レリエル「パニエルが失踪したの」
ここは「永世中立公園」。天使の住む天界と、悪魔の住む魔界の中央にある。
唯一、悪魔と天使が顔を合わせることができる場所だ。
ルキフェル「・・・え?誰? ていうかアンタも誰?」
レリエル「パニエルは私の弟よ!超超超〜〜優秀で純粋な天使!マジ天使!次期神様で、就任式は今日のはずだったの!」
レリエル「そんで私はその姉!」
ルキフェル「それと俺様がどう関係するんだよ こちとら悪魔だぞ」
レリエル「アンタ、パニエルの幼なじみでしょ。この公園でよく遊んでたじゃない」
ルキフェル「そうなの・・・? 子ども時代なんて1000年くらい前だからもう記憶が・・・」
レリエル「パニエルは人間界の渋谷ってところに逃げたの。連れ戻すのに協力して」
ルキフェル「なんで俺様が?」
レリエル「渋谷は邪気に充ちた空間なの。天使が3日滞在すれば致死量の毒を摂取して死ぬ」
レリエル「我々天使が渋谷に行くことは出来ない でも悪魔なら行けるわ」
レリエル「アンタたちが歩く毒みたいなものだから」
ルキフェル「いや、普通に嫌なんだけど。次期神が死のうがどうでもいいし」
レリエル「いいから行け」
レリエル「大事な弟の命がかかってるんだ 従わないと殺す」
〇渋谷のスクランブル交差点
ルキフェル「あのままだと悪魔と天使の全面戦争になっちまうからな・・・一応承諾して渋谷に来ました」
ルキフェル「ま、手伝う気はゼロだけどな」
ルキフェル「どこにいるかもわかんないしな 顔も知らねえ」
ルキフェル「適当に遊んで帰るとしよう」
〇ファストフード店
ルキフェル「え?! なにこれ」
ルキフェル「うっっっっま」
ルキフェル「うまい うますぎる」
ルキフェル「人間界やべー もっと早く来ればよかった 悪魔の食い物じゃねえか」
パニエル「悪魔のたべもの・・・?」
ルキフェル「ん?」
パニエル「それ、悪魔の食べ物なんですか?僕も食べてみよう」
ルキフェル「いやお前誰」
パニエル「僕はパニエルです」
ルキフェル「!!」
パニエル「あれ?よく見ると・・・あなたはルキフェル?」
ルキフェル「なっ なんで知ってる?」
パニエル「昔よく遊んだよね 当時は、君が悪魔とは知らずにね。こんな偶然があるなんて」
覚えてないとは言えないルキフェルであった
〇住宅街の公園
パニエル「フフ、会えて嬉しいなぁ」
ルキフェル「おまえさ・・・」
ルキフェル「渋谷に来てどのくらいなんだ」
パニエル「2日だよ。ここは華やかで楽しいところだね」
ルキフェル(2日?あと猶予は1日しか・・・!)
ルキフェル(何も感じていないはずはねぇ、今も刻々とこの街の汚染された空気が天使の体を蝕んでる)
ルキフェル(神の就任式をボイコットして、よっぽど神様になりたくないのか?いや、こいつのことなんてどうでもいい・・・)
ルキフェル(俺様は「お節介」と「ニンニク」が死ぬほど嫌いなんだ。俺様の知ったことか)
パニエル「ルキはどうしてここに?」
ルキフェル「遊ぶために決まってんだろぉ」
パニエル「じゃあ一緒に遊ぼう!」
ルキフェル「ヤダね!お前みたいなイイコが悪魔の遊びに着いてこれるわけないだろっ!」
パニエル「絶対着いていくもん!」
ルキフェル「うるせー!帰れ!天界に帰れ」
〇ゲームセンター
ルキフェル「ぐっ・・・なんだこの場所は!!」
ルキフェル「ゲームセンターとやら、たのし・・・・・・すぎる・・・・・・!!!」
ルキフェル「人間は天才だ!俺様も認めざるを得ない。圧倒的な知力と技術、物質的豊かさを・・・!!」
パニエル「悪魔の遊びっていうから、反社会的行為でもするのかと」
パニエル「ごくまっとうにゲームセンターで遊んでるだけじゃん 僕もやるよ」
ルキフェル「こいつ1発でワンちゃんのぬいぐるみとったーーー!?」
ルキフェル「俺様も負けねえ・・・1回で3個取ってやらぁ!」
15分経過
ルキフェル「金だけ減っていくーーー!!」
〇カラオケボックス
ルキフェル「俺様の歌を聴け!!」
ルキフェル「あくまでも あくまですから〜」
カラオケ採点 35点
ルキフェル「なんでだよ」
パニエル「(天使の歌声)ラララァ〜」
カラオケ採点 98点
〇SHIBUYA109
パニエル「はーっ 楽しかったぁ」
ルキフェル(結局、遊んでるだけで夜になってしまった)
ルキフェル「なぁパニエル」
ルキフェル「お前、体調悪いとかないの?」
パニエル「・・・心配してくれるの?」
ルキフェル「いや、別にどうでもいいんだけどな」
パニエル「ルキはやっぱり優しいね」
ルキフェル「は?どこがだよ」
パニエル「僕は大丈夫」
パニエル「ぐっ・・・!」
ルキフェル「パニエル!」
真っ青になって街中で倒れるパニエル。ルキフェルは思わずその小さい肩を支えた。
パニエル「僕もうダメみたい」
ルキフェル「いや待て、ずっと辛いの耐えてたのか?馬鹿だな!」
ルキフェル「早く天界に戻ろう」
パニエル「もういいんだ。最後に君に会えたから」
ルキフェル「はっ!?」
パニエル「渋谷に来れば、天使たちは迎えには来られない。お姉ちゃんはきっと、昔なじみのルキに頼むだろうって」
ルキフェル「なんだよそれ」
パニエル「神様は悪魔に会えない掟なんだ。だから最後に会いたかった」
パニエル「ありがとう ルキ。デートできて幸せだった」
ルキフェル「まて!まだ間に合うだろ。天界に戻れば」
パニエル「もう無理さ。邪気の毒は全身に回っている」
パニエル「ルキ、おねがいがあるんだ。キスして」
ルキフェル「ちょっ・・・」
ルキフェル「・・・するわけねぇだろ、バーカ!」
〇魔界
あれから3ヶ月
風の噂で、パニエルが神様になったと聞いた
ルキフェル「どうやって戻ってきたのか、アイツがなんで無事だったのか全然わからねえ」
パニエル「ルキー!久しぶり!」
ルキフェル「パニエル?おい!魔界になんて来たら死ぬぞ!!」
パニエル「それが平気なんだ。キミの唾液を分けてもらったおかげで、邪気の耐性ができた」
ルキフェル「だ・・・えっ!?」
ルキフェル「おまえ、最初からそれが目的で?!」
パニエル「悪魔とは友好的にしていきたいからね。僕が魔界にも来れた方がいいし だから神様が悪魔に会えないって掟も変えたよ」
ルキフェル「俺様のことが好きなんじゃないのかよ!!」
パニエル「何言ってるの?」
パニエル「好きだよ」
パニエル「神様になっても君に逢いたかったからさ」
パニエル「ねえルキ」
パニエル「ワクチンじゃなくてもう一度、キスしてくれる?」
ルキフェル「・・・」
ルキフェル「するわけねぇだろ バカ・・・」
深く考えずに読み始めたのですが、予想外にヒネリのある話で面白かったです
BLはどちらかというと苦手なジャンルなのですが、キャラが立っているのと二人の関係が露骨すぎないので、無理なく楽しく読みすすめられました
天使は渋谷で生きていけないのに、悪魔は平気。強すぎ悪魔。天使は悪魔の唾液で悪魔の世界に来る事ができる。悪魔も天使の唾液で神様の世界に行ける。
「あら〜!」と近所のおばさんみたいなリアクションをしながら見ておりました🤭笑
ゲーセンをオーラ背景で表したのがすごく画期的でわかりやすかったです👏あんなワクチン素敵すぎます🤦♀️