パラダイムシフト

紗卦冬葉(さけとば)

1.The die is cast/パラダイムシフト① (脚本)

パラダイムシフト

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〇空
  1865年4月
  アメリカ合衆国
  いわゆる『西部開拓時代』

〇市場
  歴史上唯一の『内戦』──
  『南北戦争』が終結して数日⋯

〇黒
  この私は──

〇カジノ
  ノリに乗っていたッ!
ヘレナ「いやぁ、申し訳ないですぅ⋯w こんなにも⋯」
「”気持ち良く勝たせてもらっちゃって⋯w”」
鬼ボロ負け占い師「アッ⋯アッ⋯」
ヘレナ「あ?『追加ターン』⋯ッ!?」
ヘレナ「それは仕方ない⋯ルールですからw」
ヘレナ(⋯次に出るダイスの目は)

〇カジノ
  『強い集中』が必要だが──
  私は『ちょっと先の未来』を感じ取れる
  そして
  じゃあ今回は
  敢えて『利き手の逆』で投げてみようかな!
  その感じた『未来』の中身と
  違う過程(プロセス)を踏むと⋯

〇カジノ
  その未来を『振り直せる』
鬼ボロ負け占い師(アッ⋯なんか猛烈に⋯)
  嫌な予感ンン〜ッ!

〇怪しげな酒場
鬼ボロ負け占い師「大負けだよチクショーウッ!!」
鬼ボロ負け占い師「マスター、『スピリッツ』! ⋯ヒックっ⋯『4種の飲み比べセット』で!!」
バーテンダー「モウカエッテ⋯」
「ボロボロの『魂』を 『スピリッツ』で穴埋めする」
ヘレナ「最ッ高に『救われてる気分』でしょうねw」
鬼ボロ負け占い師「オォンッ!?」

〇怪しげな酒場
鬼ボロ負け占い師「『奢ってくれる』って」
鬼ボロ負け占い師「控えめに言って、『神さま』れすかぁ?」
ヘレナ「別にお金には困ってませんから⋯」
ヘレナ「『刺激』いただけたお礼ですよ、お礼!」
鬼ボロ負け占い師「流石ァ!『有名人』の余裕〜ッ! いよっ!『陸軍准将の幼妻』〜ッ!」
「『内戦』、終わらせてくれてありがとーっ!」
鬼ボロ負け占い師「優しい神さまぁ♡ 憐れなウチに『軍資金』くらさい〜♡」
ヘレナ「手元の『バーボン』で我慢しとけざぁこ♡」
鬼ボロ負け占い師「色んな意味で『さめ』ました」
  アンタの悪い未来、占ってあげちゃお〜っ
ヘレナ「⋯それって良い事なのでは?」
鬼ボロ負け占い師「誰が結果見せるって言いました?」
鬼ボロ負け占い師「単純にウチがほくそ笑みたいだけで〜す☆」
ヘレナ(ぶち殺したろうかな)
ヘレナ(この女が出すのは)

〇怪しげな酒場
鬼ボロ負け占い師(ざまぁw)
「別に『死神のカード』が出たところで」
ヘレナ「私の『未来』は、私が『選べる』」
ヘレナ「⋯では、明日は『用事』があるので!」
「ごめんあそばせ!」
鬼ボロ負け占い師(『何も怖くない成功者!』なナリして)
(案外、占い信じるタイプなのかしら?)
  『ⅩⅢ.死神』
  正位置の意味─『死』『終局』『停滞』
  逆位置の意味─『■■■■■』

〇白
  私は負けた事がない
  そういう『未来』を『選んで』きた
  だが

〇綺麗な教会
  どんな顔してたか
  もう覚えてないけれど
  昔暮らしてた
  孤児院の友達に
  こう言われたことがある
  貴女が『負け』を知る時

〇黒
  その時が
  真の意味で
  人生の『■■■■■』になる

〇空
  翌日、ワシントンD.C.(首都)

〇貴族の応接間
ゴート陸軍准将「『内戦』は我々の勝利で終結した」
ゴート陸軍准将「が、国内全土がすぐ平和になる訳ではない」
ゴート陸軍准将「南北双方の『価値観』や『情勢』の違い」
ゴート陸軍准将「その歪みが 『暴動』や『テロ』に転じる可能性は大きい」
ゴート陸軍准将「そこでだ、ヘレナ」
「脅威に備え、今日から 『ボディーガード』を付ける事とした」
ヘレナ「⋯承知しました」
ヘレナ(身の危険くらい、自分で『分かる』わっ)
ゴート陸軍准将「時間通りだな」
ゴート陸軍准将「入りたまえ」
ゴート陸軍准将「『オルコット軍曹』だ」
ゴート陸軍准将「『とある事情で無口な男』だが 早撃ちの腕前は『陸軍騎兵隊随一』」
ゴート陸軍准将「どんな事があっても お前を守りぬくよう伝えてある」
ヘレナ(⋯イ)

〇水玉2
  イケメェンッ!!

〇貴族の応接間
ゴート陸軍准将「⋯」
ゴート陸軍准将「そろそろ『大統領夫妻』との会食に出るぞ」

〇城門沿い

〇立派な洋館
  会食会場

〇城の会議室
オルコット「⋯」
「⋯」
「⋯」
ヘレナ(⋯お通夜?)
デイビッド大統領「例え勝利の美酒でも」
デイビッド大統領「美味くない時はあるものだな⋯」
ゴート陸軍准将「我々は戦争に勝った」
ゴート陸軍准将「だが腐っても『内戦』だ」
ゴート陸軍准将「我々は、我々の手で、我々の国民を葬った」
ゴート陸軍准将「その事実は今後永遠に 歴史に根ざしていくだろう」
「⋯」
ロザリン大統領夫人「辛気が臭いぞ、男共が」
ロザリン大統領夫人「事実は事実 内輪揉めなんてするモンじゃねェ」
ロザリン大統領夫人「そして『過去』は消せない」
ロザリン大統領夫人「今回のは特に『大恥の過去』さ」
ロザリン大統領夫人「⋯それでもだ」
ロザリン大統領夫人「私達には『責務』があるんだ」
「『過去から逃げない』という責任と」
「『未来を切り拓く』という義務がね」
ヘレナ「⋯」
ヘレナ「”⋯まるで”」
  ”夫人の方が大統領みたいですわね”
  っぷ
デイビッド大統領「凄まじいな『山羊の嫁』はッ!ガハハ!」
ロザリン大統領夫人「不味くなった飯の味を取り戻すたァ 大した娘だわホント!!」
「こんな”GOAT(超最高)”な娘 絶対離すんじゃないぞ『山羊野郎』ッ」
ゴート陸軍准将「⋯冗談は良してくれッ」

〇黒
ヘレナ(あーあ、バカみたい)
(戦争に『勝った』んだから 素直に喜べってのよ、まったく)

〇噴水広場

〇城門沿い

〇城の会議室
デイビッド大統領「この後、『オペラ観劇』の予定を入れてある」
ロザリン大統領夫人「なんでも『演技派』な主演2人による 『オペラティック・メロドラマ』ですって!」
ヘレナ「メロドラマ!?」
ヘレナ「”私、気になりますぅ〜!!”」
デイビッド大統領「時に、オルコット君 食事、まだだっただろう?」
デイビッド大統領「護衛任務も大切だが 補給は絶対必要だ、食べていきなさい」
デイビッド大統領「年寄りのお節介だと思うかもだが⋯」
デイビッド大統領「若者達には 『良い経験』に触れて欲しいのさ!ガハハ!」
  では、私達は先に『劇場』へ向かってるぞ!

〇荷馬車の中
ヘレナ(って、ねぇ⋯)
ヘレナ(んな事より 無口な彼とお喋りしたいわマジで)
ヘレナ(⋯よし、無理やり喋らせてやろう)

〇荷馬車の中

〇荷馬車の中
ヘレナ「伏せてっ!! 『御者が銃で撃ってくるッ』!」

〇荷馬車の中
馬車の御者「死、ね、ぇえッ!?」

〇荷馬車の中
オルコット「アンタが抜く前に」
オルコット「先にアタシが 撃(ブ)ち抜かせてもらったわッ!」
ヘレナ(⋯もしも私が『未来察知』してなかったら)
ヘレナ(みんな死んでた⋯?)
ヘレナ(⋯てゆーか)

〇赤いバラ
  オネェじゃねーかッ
ゴート陸軍准将「『無口』、破っちゃったかぁ」
オルコット「アタシが先陣で警戒するわっ!」
オルコット「指示に従ってちょうだいっ!」

〇中世の街並み
オルコット「⋯」
オルコット「はァ!?」
「こんな『超要人』狙っといて 『見張りゼロ』⋯ッ?」

〇城門沿い
  会食に行く時も
  あの御者は同行してた
  殺すつもりなら
  『何故、あの時狙わなかった』!?

〇黒
ヘレナ(大統領夫妻は大丈夫なのかしら)

〇劇場の座席
  これから15分の休憩時間となります

〇中世の街並み
ヘレナ「大統領夫妻は 数分後の『幕間時間』までは生きてる!」
ヘレナ「それ以降は『まだ』分からない!」
オルコット「⋯さっきの襲撃の時といい その『確信』は何処からっ!?」
ゴート陸軍准将「⋯」
ゴート陸軍准将「時間が無い」
ゴート陸軍准将「そして、今いる『ここ』も安全の保証は無い」
ゴート陸軍准将「それを踏まえて 簡潔だが切り抜ける作戦を伝える」

〇ホールの広場

〇白

〇ファンタジー世界
『情熱的な貴族』「ああ、貴女は『何もかもを持っている』♪」
『情熱的な貴族』「美も知恵も地位も『全て』持っている♪」
『情熱的な貴族』「なのに何故、冷たい湖へ『身投げ』する?♪」
『傾国の女王』「貴方には、一生分からない事♪」
『傾国の女王』「『何もかもを持っている人生』とは♪」
『傾国の女王』「『もう何も得る事は出来ない人生』♪」
『傾国の女王』「成長も衰退もなき『停滞』という地獄♪」
『傾国の女王』「そんな私が選べた『唯一の未来』は──」

〇黒
  『人生の幕引き』
  それだけだったのです

〇劇場の座席
  これから15分の休憩時間となります
デイビッド大統領「⋯素晴らしかったな」
ロザリン大統領夫人「女優の子、好きだわぁ 『女王』繋がりで私と気が合いそう」
「失礼、大統領閣下⋯」
主演女優「まさか大統領夫妻が来られるなんて!」
主演男優「実に光栄です!」
デイビッド大統領「ガハハ、いち国民としての嗜みさ」
主演男優「記念に是非、握手と⋯」
主演男優「コイツを」
デイビッド大統領「⋯何だとッ!?」

〇黒

〇劇場の座席
主演男優「な、にっ⋯?」
主演女優「きっ」

〇劇場の舞台
オルコット「嘘でしょ⋯ 2階席まで『20m以上』離れてるのに⋯」
ヘレナ「当然ッ 『そういう未来』引いてンだからッ!」

〇黒
ゴート陸軍准将「視界の開けた所なら 夫妻の『位置』は確実に視えるだろう」
ゴート陸軍准将「私は客に紛れつつ対象に近づく」
ゴート陸軍准将「お前達に任せる任務は ────『見敵必殺』ッ!!」

〇劇場の座席
  『2-A席、赤服坊主頭』
  『1-P席、茶髪タトゥー』
  『2-N席、Vネックロン毛』
ヘレナ「順調ォ!」
オルコット「大統領ッ!ご無事ですかッ!?」
ロザリン大統領夫人「ピンピンしてるよッ!」
デイビッド大統領「早くここから出るぞッ!」
主演女優「ウゥ⋯」
「大統領〜ッ」
ゴート陸軍准将「退路、確保済みですッ!早く!!」
ヘレナ「急ぎましょう!!」

〇ホールの広場
デイビッド大統領「もう少しで外だ!!」
ヘレナ(⋯あーあ、ほっとした)
ヘレナ(結局、私の『未来察知』にかかれば)

〇黒
  どんな『危険』が振りかかろうと
  私の『勝ち』は揺るがない
  賭けにも負けない!
  テロリストも怖くない!
  大統領だって助けられる!
  ははっ
  人生って、本当にちょろいなぁ!

〇白
???「貴女が『負け』を知る時」
???「その時が真の意味で、人生の────」

〇ホールの広場
ロザリン大統領夫人「⋯あな、」
ゴート陸軍准将「⋯2人で逝けば、寂しくないだろう?」
ヘレナ「⋯えっ?」
ヘレナ「⋯えっ?なん、で?」
ゴート陸軍准将「⋯なるほど」
ゴート陸軍准将「『ここまで』は 『まだ』視えてなかったのだな」
ヘレナ「?!」
ゴート陸軍准将「⋯」
ゴート陸軍准将「⋯ヘレナ」
ゴート陸軍准将「『─────────────』」
オルコット「⋯『自殺』」
オルコット「何が⋯」
  一体、何が起きてるの⋯?

〇中世の街並み
  ──後に、私は知る事になる。
  私は、『私の望む未来』を
  『選んでいた』のではなく⋯
  『選ばせられていた』という事を。
主演女優「『人払い』、解除かんりょー♪」
「さっさと『聖女』様に報告しなくちゃ♪」

〇赤(ダーク)
  逆位置の意味─『リスタート』
  この物語は
  私が真の意味で
  未来を選択する物語であり──
  パラダイムシフト(価値観を変革)する物語

次のエピソード:2.The trigger is pulled/パラダイムシフト②

コメント

  • オネェ口調のイケメン、大好きです🙌!!
    スピード感のある展開と先が気になる不穏なラスト!最高にわくわくする1話ですね✨
    この物語にこのタイトルを持ってくるセンスにしびれます😊!

  • すごいです!展開に驚きました!

  • こんにちは!
    第一話、終わり方の演出が良くて鳥肌たちました
    タロットカードをモチーフに書いていて面白いですね👍

    未来予知は選ばされていた!?
    続きが気になります😦イケメンオネエも好きでした🌟あと傾国の姫の立ち絵も見目麗しいかったです

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