クロッシングストーリー

syunn

天使の出番です!〜part 翼〜(脚本)

クロッシングストーリー

syunn

今すぐ読む

クロッシングストーリー
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

  ・・・話は少し前に遡る。

〇大きな公園のステージ
RIKUTO「みんな、俺の曲、聞いてくれて ありがとう!」
天志 翼「わー! RIKUTOー! 最高だよー!」
  RIKUTOがいる。
  パソコンやスマホごしじゃなく、すぐ近くに
  本物のRIKUTOがいる。
  RIKUTOが歌う、僕達にも語りかけてくる。
  それに僕達はずっと
  元気よく返事して応えていた。
  僕の推しのグループ、『らき☆てん』。
  僕はそのらき☆てんのリーダー、RIKUTOのソロライブに来ているのだ。
  僕は天志 翼(てんし つばさ)。
  普段は普通の大学の三回生。
  そろそろ就活もしないといけないけど、
  推し事も僕の大事な原動力。
  もともと天使が大好きな僕は、天使が名前に入ってる『らき☆てん』にすぐ興味を持った。
  そしてテレビじゃなくてネットの配信を
  中心に活動してるのも、より興味を持った。
  そして僕はあっという間に
  らき☆てんのオタクになった。
  それで僕はライブまで来たんだけど、
  オタクは僕1人じゃない。
天志 光「翼お兄ちゃん・・・。 ライブに誘ってくれて、 ありがとう・・・」
  この子は僕の妹の天志 光(てんし ひかり)。
  僕が勧めたら、すぐらき☆てんのファンに
  なってくれた。
  中学2年生だから、
  推し事に使えるお金は少ないけど、
  おこづかいためて、ペンライト1本
  買ったんだって。
虹原 アンジェラ「翼お兄さん! 家族でもないあたしまで誘ってくれて ありがとうございます!」
  こっちは虹原 アンジェラ(にじはら アンジェラ)。
  光のクラスメイトで、親友なんだ。
  本人はアンジェって呼んでほしいみたい
  だから、みんなアンジェって呼んでる。
  聞けばアンジェもらき☆てんのファン
  らしいから、光と一緒に
  ライブに誘ったんだ。
  最近はよく家に遊びに来てくれるから、
  光だけじゃなく、僕らとも仲がいいんだ。
天志 翼「二人とも楽しそうでよかった。 それなら誘いがいがあったよ」
天志 光「私、お金ついつい色々 使っちゃうから・・・、 ライブなんて行けないって、 思ってたんだよ・・・」
虹原 アンジェラ「翼お兄さんが、友達からライブチケット4枚 もらってくれたおかげですよ!」
天志 翼「うん、二人にとっては大学からの 里帰りのおみやげとして、 最高だったみたいだね」
天志 翼「そう、2 人にとっては、ね・・・」
  僕は『彼』の方を見た。
天志 風斗「・・・・・・」
  さっきから何もしゃべってないから
  わかってたけど、
  やっぱり『彼』はぜんぜん興味なさそうに
  ライブを見ている。
  『彼』は風斗っていうんだ。
  僕の弟で、高校3年生。
  成績の悪い僕と違って、風斗は文武両道の
  天才なんだ。
  まあ体育だけなら、僕も負けてないけど。
天志 翼「ね、ねえ、風斗。 楽しんでる・・・?」
天志 風斗「これが楽しんでるように見えてるなら、 相当おめでたいな」
天志 翼「えっと、その・・・。 せっかく来たんだから、 もう少しくらい楽しんでも・・・」
天志 風斗「俺がアイドルとか興味ないってのは 知ってるよな?」
天志 翼「そうだけど、友達はチケット 4枚くれたし・・・」
天志 風斗「本当はアイドルのライブなんて 行きたくなかったんだ。 終わったら何でも奢るって言うから ついてきたんだ」
天志 翼「ご、ごめん風斗! 父さんも母さんも兄さんも姉さんも、 今日用があるって言うし、」
天志 翼「他の友達も興味ないとか忙しいとかで、 誘えるの風斗しか いなかったんだ!」
天志 風斗「そうだよな、興味ない友達を 無理には誘えないよな。 だったら、弟である俺のが マシだよな」
虹原 アンジェラ「あんたって、いつもそうよね。 いくら兄だからって、 言い方悪すぎじゃない?」
虹原 アンジェラ「翼お兄さんだって苦渋の選択の はずだったんだから、もう少し お兄さんの顔を立てるとか できないの?」
天志 風斗「ここまで付き合ってやった時点で、 十分顔は立ててると 思うけどな」
虹原 アンジェラ「はあ?! 何よ偉そうに!」
天志 風斗「偉そうなのはどっちだ、 お前は部外者みたいなものだろ」
天志 光「えっ、2人とも、 やめて・・・」
  ああ、2人はいつもこうなんだ。
  考えが合わないのかな・・・。
  すぐケンカになるんだ・・・。
  もう少し仲良くできないのかな、
  だって2人は────
  その時、明らかに歓声とは違う
  観客達の騒ぎ声が聞こえた。
天志 翼「えっ、何?」
  はっとステージを見て僕はぎょっとした。
怪物「グオオ・・・・・・」
  巨大なサメのような化け物が、
  空から降って来て、大口を開けて
  RIKUTOを飲み込もうと
  していたんだ。
RIKUTO「い、嫌だー!!」
  バクッ
  一瞬だった。
  今までステージに立っていたRIKUTOは、
  あっという間に化け物に
  ひとのみにされてしまった。
  そして僕もみんなも、いつの間にか
  静まり返っていた。
  何、これ?演出?
  でも何かおかしい・・・。
ぺぺ「あ、ああああ、RIKUTO・・・」
天志 翼「あっ・・・」
  僕は、同じくステージにいた
  ぺぺ君の様子を見て、これは演出
  じゃないと思った。
  ぺぺ君は、RIKUTOと同じ「らき☆てん」の
  メンバーなんだ。
  今日はゲストでステージに来ていたんだ。
  すごく怯えてる・・・。
  ゲストとはいえ、演出ならその話くらい
  少しは聞いてると思う。
  演技で驚いてるようには
  見えない。
怪物「・・・ギッ」
  ステージに着地した化け物がぺぺを
  見た。
  あれは明らかに次はぺぺを食べる
  つもりだ。
ぺぺ「やだ・・・、来ないで・・・。 食べないで・・・」
ぺぺ「誰か、助けてー!!」
  ぺぺ君の悲鳴をきっかけに、
  一気に観客席が大騒ぎになった。
  でも僕は、行かないと。
  ぺぺ君が『助けて』って言ったから。
天志 翼「ぺぺ君、今助けるよ!」
  僕は走り出した。
  観客席を飛び降りて、ステージへ向けて
  走り出した。
天志 風斗「あっ、こら、バカ兄ちゃん! 1人で突っ込むな!」
  後ろから風斗が呼びかけてきたけど・・・。
天志 光「きゃっ、お客さんが・・・」
虹原 アンジェラ「ちょっと、前見てよ! 肩がぶつか・・・きゃあ!」
天志 風斗「くそ、みんなパニックになってる。 下手に動いたら、みんなはぐれるぞ・・・」
  どうやら風斗達は、
  パニックになった観客達の中に埋もれて、
  動けないみたい・・・。
  ごめん、今はぺぺ君とRIKUTOを
  助けないと・・・。
  3人とも、無事でいてね!
  僕はとにかく走った。
  ステージに向かって走った。
  お願い、間に合って!
ぺぺ「あ、ああああ・・・」
怪物「グオオ・・・」
ぺぺ「助・・・けて・・・」
  ぺぺ君がとうとう気絶してしまった。
  でも、もうステージは目の前だ!
天志 翼「そこまでだ!」
怪物「グオッ?!」
天志 翼「ここからは僕が相手だ!」
怪物「ギシャアア!」
天志 翼「さてはバカにしてるな! 僕だって、できるんだから!」
天志 翼「チェンジ!」
天志 翼「エンジェルウイングス!」

〇大きな公園のステージ
怪物「グオ?」
「ここはさっきまで夢を持った人が夢の一歩のために頑張っていた場所」
「それをめちゃくちゃにするなんて、 許さない!」
天志 翼(天使)「悪い子はこの、ホワイトエンジェルが 浄化するよ!」
  そう、これがもう一つの僕の姿。
  普段は普通の大学生だけど、
  悪い敵が現れたら、こうして天使に
  変身して、浄化するために戦うんだ。
  今がその時ってわけだ。
  さあ、RIKUTOを助けないと!
天志 翼(天使)「ホワイトオーブ!」
  僕の手の中に、白い玉が現れた。
  これがホワイトオーブ。僕の武器だ。
天志 翼(天使)「お願い、あの怪物の中からRIKUTOを 助け出して!」
  ホワイトオーブは怪物の口の中に
  あっという間に吸い込まれていった。
  ホワイトオーブは僕の手足みたいに
  動くんだ。
怪物「グオッ、ギィッ、ガアアア!!」
  しばらく怪物は暴れていたけど、
  少しして口の中からホワイトオーブが
  戻ってきた。
  RIKUTOを連れて。
RIKUTO「・・・・・・」
天志 翼(天使)「RIKUTO! ・・・よかった、丸飲みだったから、 ケガもしてないし、息もあるみたい」
怪物「ギャアアア!」
  怪物はさっきより怒っていたみたいだ。
  まあ、体の中をまさぐられて
  せっかくの獲物を取られたら、
  怒るよね。
  でも、こんな怪物、このまま
  ほっておくわけにはいかない。
  みんなのためにも、倒さないと!
天志 翼(天使)「ホワイトオーブ、お願い!」
  今度はホワイトオーブは、弓矢に
  変わった。
  弓矢は僕の1番得意な武器だから。
天志 翼(天使)「えい!」
怪物「グルル・・・」
天志 翼(天使)「よし、効いてるみたいだぞ!」
怪物「グルル・・・」
天志 翼(天使)「えっ、どこ行くの? 僕はこっちだよ!」
  突然怪物が僕とは別の方向に走って行った。
  でも、すぐに怪物の狙いがわかった。
ぺぺ「・・・・・・」
  怪物が向かったのは、気絶しているぺぺ君の
  方だったんだ。
天志 翼(天使)「しまった、RIKUTOのことばかり 気にして、ぺぺ君のこと 忘れてた!」
天志 翼(天使)「は、早くなんとかしないと・・・!」
  慌てて怪物を追いかけたけど、
  もう怪物に追いつけそうにない。
怪物「ギシャアアアーーーー!!」
  もう怪物はぺぺ君の足元まで来ていた。
  今にも大口を開けて彼をひと飲みにしそう
  だった。
天志 翼(天使)「だめーーーー!!」

成分キーワード

ページTOPへ