つながり(脚本)
〇ペットショップの店内
松浦 直央(ナオ)「どの子も愛らしいですねぇ」
店員「みんな可愛いですもんねー」
「ワン!ワン!」
「へっへっへっ!」
松浦 直央(ナオ)「このワンチャンはかなり大きめですねぇ」
店員「あ、その子はもう6ヶ月になる子なんです」
松浦 直央(ナオ)「6ヶ月ですか・・・」
松浦 直央(ナオ)(そろそろ処分がきまるころかな)
店員「・・・・・・」
松浦 直央(ナオ)「この子にしましょう」
店員「え!?」
松浦 直央(ナオ)「私の思ってたことは少し違いますが、何かしらの運命を感じたので」
店員「ありがとうございます!」
店員「お手続きはこちらです!」
〇実家の居間
松浦 直央(ナオ)(そろそろあの子が来る頃かな)
松浦 直央(ナオ)「カナデさん、とうとううちに念願の犬がきますよ」
松浦 直央(ナオ)「ハイハイ」
店員「お邪魔します」
???「へっ!へっ!!!」
店員「では諸々のお話を・・・・・・」
〇実家の居間
「ではお邪魔しましたー!」
???「スンスン」
「ありがとうございました」
「失礼します」
???「クンクン」
松浦 直央(ナオ)「名前をどうしようかな」
松浦 直央(ナオ)「こてつー!」
???「・・・・・・フンッ」
松浦 直央(ナオ)「あまり好かんようですね」
松浦 直央(ナオ)「それじゃあ、」
松浦 直央(ナオ)「あき!」
???「・・・・・・クーン」
松浦 直央(ナオ)「イマイチですか・・・・・・」
松浦 直央(ナオ)「あ!」
松浦 直央(ナオ)「えん!」
???「へっ!へっ!」
???「ワン!ワンワン!!」
松浦 直央(ナオ)「これがいいですか!」
松浦 直央(ナオ)「じゃあ今日からお前は縁(エン)だ」
松浦 直央(ナオ)「縁結びのえん、この出会いも縁ですね」
縁(エン)「ワン!!ワンワンワン!!!!」
縁(エン)「へっへっ!!」
松浦 直央(ナオ)「そんなにいいですか笑」
松浦 直央(ナオ)「では初のお散歩しましょうか!」
〇実家の居間
数年後
松浦 直央(ナオ)「ゲホッ!ゲホッ!」
縁(エン)「クーンクーン」
松浦 直央(ナオ)「大丈夫だよ」
縁(エン)「くーん」
松浦 直央(ナオ)「元気でっゲホッ!」
縁(エン)「キャン!キャン!」
松浦 直央(ナオ)「会いたくないけどそろそろ・・・・・・」
〇実家の居間
中村 美麗(ミレイ)「お久しぶりです、お父様」
松浦 直央(ナオ)「久しぶり」
中村 琥莉衣愛(コリィア)「お久しぶりです、じいじ」
松浦 直央(ナオ)「はい久しぶり」
中村 美麗(ミレイ)「どうされたんですか」
松浦 直央(ナオ)「最近体調が優れなくてね」
中村 美麗(ミレイ)「はい」
松浦 直央(ナオ)「数年前から犬を飼ってたんだか」
松浦 直央(ナオ)「私がしんだら引き取ってくれないかな」
中村 美麗(ミレイ)「そんな・・・・・・」
松浦 直央(ナオ)「この子なんだ」
縁(エン)「へっへっ!」
松浦 直央(ナオ)「縁(エン)だ」
松浦 直央(ナオ)「噛まないし、大人しくていい子だ」
松浦 直央(ナオ)「もう6歳だから言うこともちゃんときく」
松浦 直央(ナオ)「いいかな」
中村 美麗(ミレイ)「お父様の言うことなら・・・・・・」
中村 美麗(ミレイ)「いいわよね」
中村 碧人(アオト)「ああ、もちろん」
松浦 直央(ナオ)「あぁ、ありがとう」
松浦 直央(ナオ)「頼むよ」
中村 美麗(ミレイ)「お身体に気をつけてくださいね」
松浦 直央(ナオ)「もちろんじゃ、ありがとうなぁ」
〇実家の居間
1年後
松浦 直央(ナオ)「ゲホッ!ゲボっ!!!」
縁(エン)「クーンクーン!!!」
松浦 直央(ナオ)「これは電話しなくては・・・・・・」
中村 美麗(ミレイ)「どうされましたか?お父様」
松浦 直央(ナオ)「ゲホッ!」
松浦 直央(ナオ)「ハースゥーーはーーー」
中村 美麗(ミレイ)「もしかして!!!救急車呼びますからー」
〇ダイニング
中村 碧人(アオト)「なんでウチが・・・・・・」
中村 美麗(ミレイ)「仕方ないでしょ?じいさん死んだんだから」
中村 碧人(アオト)「保健所に連れてけばいいだろ?」
中村 美麗(ミレイ)「んなのめんどくさいのよ」
縁(エン)「・・・・・・フン」
中村 美麗(ミレイ)「そんなことより♡」
中村 碧人(アオト)「こりぃあが・・・・・・」
中村 美麗(ミレイ)「もう寝てるわ」
中村 碧人(アオト)「はぁ、仕方ないヤツめ」
中村 美麗(ミレイ)「あはっ!あなた!」
縁(エン)「フン・・・・・・」
〇屋敷の門
中村 美麗(ミレイ)「ここ全部崩してください」
中村 碧人(アオト)「家できるの楽しみだな」
中村 美麗(ミレイ)「あのおっさんが遺産たっぷり残して死んでくれたおかげね」
中村 美麗(ミレイ)「ジジイも役に立つじゃない」
中村 琥莉衣愛(コリィア)「お家!お家!」
〇一戸建て
中村 美麗(ミレイ)「すごぉーい!いい家だわー!」
中村 碧人(アオト)「うん!凄くいい」
中村 琥莉衣愛(コリィア)「お家おっきー!!」
縁(エン)「ワン!ワン!」
中村 美麗(ミレイ)「しー!うるさい!」
縁(エン)「クーン」
中村 美麗(ミレイ)「ほんっと鬱陶しい」
〇シックなリビング
中村 琥莉衣愛(コリィア)「えんー!おいでー!」
縁(エン)「ワン!ワン!」
ガブッ!(甘噛み)
中村 琥莉衣愛(コリィア)「ゔぁ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙ー!!!!!」
中村 美麗(ミレイ)「コラ!!!!!!えん!!!!!!!」
中村 美麗(ミレイ)「大丈夫?こりぃあ」
中村 琥莉衣愛(コリィア)「いたいよーーー!!!!!」
中村 美麗(ミレイ)「可哀想に・・・・・・」
中村 美麗(ミレイ)「あんたは一生外よ!!!」
〇アパートのベランダ
中村 美麗(ミレイ)「ここのベランダ使いにくいからあんたはここよ」
中村 美麗(ミレイ)「反省するまで入れないから」
縁(エン)「クーン!クーン」
〇アパートのベランダ
縁(エン)「キャン!キャン!!」
縁(エン)「クーンクーン」
〇アパートのベランダ
台風だろうが大雪だろうが真夏日ですら決まった水の量で少ないご飯だった。
布団も雨風をしのげる場所もなかった
ずっと1人
数年後
〇アパートのベランダ
エンは推定12歳の頃、真夏日が続いており熱中症で倒れる人が多い中、ひっそりと息を引き取っていた。
近所の人が最近声がしなくなったと家族に教えていた
見に行くとエンはウジ虫まみれでベランダの柵に横たわっていたという
匂いは少ししていたが工場と混ざりあってわからなかったという
〇実家の居間
へっへっ!
エン!おいで!
ワン!ワン!
縁の最期を想像しただけで、身震いがするほどです。そして心無い人間達に腹がたつどころか、呆れてしまいます。行き過ぎたペットブームとは裏腹に、こういう悲しい現実があるということ多くの人に知ってほしいですね。
我が家にも里親になって10年以上経つ保護犬がいます。他人事とは思えない話に悲しくなりましたが、こうした酷い実話を風化させたくないと言う作者さんの思いには共感します。高齢化社会での飼い犬や猫の行き場はこれから大きな社会問題の一つになるでしょうね。