ゲットバックカラーギャング(脚本)
〇SHIBUYA109
おっさん「丸くなったな 俺もお前も」
おっさん「昔はあんなにゴチャゴチャしてた街が 今ではどこかさっぱりしている」
おっさん「なぁ渋谷 お前ってそんなに大人しかったか?」
混沌としていて、騒がしい
ゴミが溢れていて、めちゃくちゃな
そんな、俺の知る渋谷は
もうそこにはなかった
おっさん「これがいわゆる 規則正しい社会ってやつか」
おっさん「ん?」
コギャル「おっさん独り言〜? キモ〜」
おっさん「なんだ、やけに無礼な女だな」
コギャル「マジチョベリバなんですけど」
おっさん「チョベリバ・・・だと お前意味分かってて使ってるのか?」
コギャル「は?意味分かんない マジでキレそう」
コギャル「MK5だわ〜」
おっさん「・・・ふっ」
おっさん「お前みたいなやんちゃな人種が まだ残ってるなんてな」
コギャル「うちらの代が盛り上げないと まずくない?」
コギャル「おっさん元チーマーでしょ? 気合いが足りないんじゃないの?」
おっさん「気合いか」
コギャル「おっさんだって思うでしょ 今の渋谷は静かだって」
コギャル「右も左もかしこまった顔をした 真面目な大人で溢れてる」
コギャル「清潔感のある街の外観」
コギャル「昔より治安は良いけど どこか色がない」
おっさん「そうだな」
コギャル「言っとくけど さっきのキモイって褒め言葉だから」
コギャル「キモくも痛くもない人よりマシ」
おっさん「なんかパナいな、お前」
コギャル「さんきゅ〜♪ よく言われる」
コギャル「そうだ、おっさん協力してよ」
おっさん「何にだ?」
コギャル「私の計画に」
〇高架下
どうやら彼女はギャルサーのリーダーらしく、この渋谷からかつての騒がしさを取り戻す計画を立てているらしい
コギャル「あっいたいた おいす〜」
ヤマさん「おいす〜♪」
おっさん「うおっ!」
ヤマさん「どうもヤマンバのヤマさんです」
コギャル「ヤマさんはヤマンバギャル界のレジェンドだから」
おっさん「ギャル?女なのか?」
ヤマさん「男がギャルを名乗っちゃいかんのか?」
コギャル「おっさん頭固〜」
おっさん「す、すまん・・・」
コギャル「てかおっさんその格好どうなの? しけてない?」
ヤマさん「しけとるなぁ」
コギャル「昔を思い出してよ、ほら」
コギャル「こんなふうに」
おっさん「うぉ!」
コギャル「なるほど、それがおっさんの若い頃か」
コギャル「イカしてるじゃん」
おっさん「なんだ?どうしたんだ俺は」
ヤマさん「わしの力でお主は色を取り戻した」
コギャル「ヤマさんは霊能力者だから」
おっさん「霊能力なのかこれ?」
コギャル「細かいことは気にしない♪」
コギャル「じゃあ次の獲物を探しますか」
おっさん「え、獲物?」
ヤマさん「よし!ついてこい若人よ!」
おっさん「獲物って言った?」
コギャル「細かいことは気にしない♪」
〇ハチ公前
〇モヤイ像
〇スペイン坂
〇テラス席
昔の姿を取り戻す人たちを見て
丸くなったのは俺だけじゃないんだと思った
みんなかつては若者だった
でもそのままじゃダメだと思い
人は大人になっていくんだろう
おっさん「大人・・・か」
コギャル「大人〜? しけたこと言ってんねぇ」
コギャル「渋谷は若者の街 誰もが若者に戻れる街」
コギャル「若さを失ったら それはもう渋谷じゃない」
おっさん「しかしずっと若者でいるわけにもいかないだろう」
おっさん「分別はつけなきゃいけない これでも良い年した大人なんだから」
コギャル「だーかーらー!」
コギャル「大人大人ってその考え方がシャバいの!」
コギャル「私は大人気ない大人が好きだから 大人を理由に大人しくなる大人は嫌い」
コギャル「もっと騒ごうよ!遊ぼうよ! 迷惑だってかけあおうよ!」
コギャル「波風立てずに縮こまって生きる そんな人生チョベリバっしょ!」
おっさん「・・・」
おっさん「ははっ 確かにそれはチョベリバだ」
コギャル「っしょ?」
コギャル「んじゃあもっと 波風立てていきますかぁ!」
ヤマさん「おいさー!」
こうして俺たちは
渋谷に若者の波を起こしていった
〇渋谷のスクランブル交差点
コギャル「さて」
コギャル「仕上げと行こうか」
ざっと百人近くの若さを取り戻し
彼女はそう告げる
ヤマさん「いよいよじゃな」
おっさん「何が始まるんだ?」
コギャル「一番肝心の物がまだ 色を取り戻せてないからね」
・・・
コギャル「渋谷、あんたはどうなの?」
コギャル「静かで清潔で、お上品な街がいい?」
コギャル「それとも・・・」
・・・
チョベリグ
ヤマさん「決まりじゃな」
コギャル「さすが私が惚れた街 あんたならそう言うと思ってたよ」
おっさん「何だ?」
コギャル「さぁヤマさん! この街にかつての若々しさを!」
ヤマさん「うぬ!」
〇ハチ公前
〇モヤイ像
〇スペイン坂
〇テラス席
〇渋谷のスクランブル交差点
コギャル「バリアガるわ〜 やっぱ渋谷はこうでなくちゃ」
おっさん「舞ってるのは花びらか?」
ヤマさん「ゴミじゃ」
おっさん「さすが渋谷・・・」
コギャル「す〜は〜・・・」
コギャル「この汚れた空気が癖になりますな」
こうして渋谷は色を取り戻した
静かな渋谷もそれはそれで新しいのかもしれないが、やっぱり俺はこっちの方が好きだな
ヤマさん「ん?あっちで若人が乱闘しとるぞ」
コギャル「チーマーの縄張り争いかな?」
おっさん「俺も久々に血が騒ぐぜ」
おっさん「どれ、俺も混ざってくるか」
コギャル「じゃあうちらはその横で パラパラでも踊ってるよ」
ヤマさん「ナウでヤングなわしらの 華麗な舞をお見せしよう」
おっさん「つーか、思ったんだが」
おっさん「チョベリバとかの言葉遣い的に お前らって相当上の世代だよな」
おっさん「姉ちゃんも本当はおばさんだったり・・・」
コギャル「は? 今は逆にこういうのが流行ってるんだし!」
コギャル「学校でもみんな言ってるし!」
おっさん「まあ野暮なことは聞かねえけどよ」
おっさん「もし年上なら敬語使おうかなと」
コギャル「だーかーら! 敬語とかそういうのいいから!」
コギャル「若者の街で変に大人ぶるな! ゲキシャバすぎて萎えぽよなんだが」
ヤマさん「萎えぽよ・・・?」
ヤマさん「新しいギャル語かえ?」
おっさん「それも結構古いぞ」
おっさん「まあなんだ」
おっさん「姐さん、ヤンキーってのは礼儀にうるさい生き物なんだ これは大人云々は抜きにしてな」
コギャル「姐さんって言うな」
おっさん「姉ちゃん、今日はありがとな」
おっさん「なんだかあの頃の自分を取り戻せた気分だぜ」
コギャル「ふふっ どういたしまして」
ホスト風の男「うぃーす」
ホスト風の男「そこのかわい子ちゃん 今マーヒー?」
おっさん「ナンパか」
ホスト風の男「ん?お兄さん彼氏?」
ホスト風の男「それとも俗に言うエンコーってやつ?」
おっさん「こいつ舐めてんな しばいてくるわ」
ホスト風の男「ちょっ!引っ張らないで! 髪型くずれる!」
コギャル「行っちゃった」
〇渋谷のスクランブル交差点
血の気が多くて
頭が悪くて
ノリだけで生きている
コギャル「私はそんな渋谷を愛してる」
ゴミが舞うのがいいですね!
渋谷は初めて訪れた際は、混沌たる印象があったので、共感しかないです。
なんじゃこりゃ。まず、表紙! 気合い入っとるやないか。原宿にタケノコ族がおった頃、渋谷はどうやったんや。とがった奴も最近見かけんのぉ。なめ猫最高!
色々な方が若い頃に戻る演出が素晴らしく、
ラストでは「桜じゃなくてゴミか〜」とつい笑ってしまいました笑
とても好きな作品でした☺️✨