7. 巡る想い、色褪せない思い出(脚本)
〇古民家の居間
宴が始まってから五時間後・・・
メイ「ん・・・」
メイ(あ・・・私、寝ちゃってたんだ・・・)
マサヤ「グー・・・グー・・・」
チビ「むふーっ・・・ドージさん・・・ チビ・・・お手柄・・・♪」
メイ「あ・・・ マサヤもチビちゃんも寝ちゃったんだ・・・」
メイ(皆居ないけど・・・ どこいったんだろ?)
メイ「んん〜っ・・・ はぁ──・・・」
メイ「ふぅ・・・ ちょっと境内の方を散歩しよ・・・」
〇桜並木(提灯あり)
メイ「わぁ──! 夜の桜・・・綺麗だな──!」
「ガーッ・・・ガーッ・・・」
メイ「んん・・・?」
ザッザッザッ・・・
メイ(わっ!菊千代さんに、ほかの鬼さんまで・・・ お花見してたのかな・・・?)
菊千代「ガーッ・・・ガーッ・・・ 酔って・・・ねぇ・・・ んぐぅ・・・」
メイ「──ふふっ、菊千代さんも眠った時の顔は可愛いな・・・」
???「──から────っての──」
メイ「あ、ドージさんの声だ・・・! あっちかな?」
てってってっ・・・
菊千代「んん・・・ へくちっ!・・・んん・・・」
〇桜の見える丘
ドージ「──ったく・・・ ホント、お前と呑むといつも・・・」
たまも「んぅ〜っ・・・ ドーぉジぃ〜・・・」
ドージ「こうなるよな・・・」
たまも「んヘヘ〜・・・ ほらぁ、もっと撫でなさいよぉ・・・」
(フリフリ・・・)
ドージ「あ〜邪魔くせぇシッポだな・・・」
たまも「えぇ?可愛らしいシッポだってぇ? もうっ!褒めたって何も出ないわよぉ!」
ドージ「言ってねぇよ!」
ドージ「──はぁ、大して強くもねぇ癖に大酒呑みやがって・・・」
ドージ(・・・まぁ、それだけ気分がいいってことだろうが──)
たまも「ん〜・・・ ねぇ、ドージ・・・」
ドージ「あ?なんだ?」
たまも「たった数日だったけどぉ・・・ メイちゃんと一緒にいる時のあんた、 すごーく楽しそうだったわねぇ?」
ドージ「・・・否定はしねぇ」
たまも「・・・連れ去っちゃえばぁ?」
ドージ「アホぬかせ。 ・・・大江山に紛れ込んだヤツや、口減らしのみなしごとは違ぇんだよ」
たまも「はははっ──じょーだんよ、じょーだん そんなことしたら私があんたのこと祓っちゃうんだから・・・」
ドージ「お前なんかに祓われるかよ──」
たまも「──ほーんと、アンタは不器用だよねっ わたしが居ないとなーんもできないんだから・・・」
ドージ「・・・はいはい、そうですね。 それにしても、お前もいつまで経っても酒に弱いままだな、あぁ?」
たまも「はあ〜?わたしが弱いわけないでしょお?現に今だって酔ってないしぃ〜」
ドージ「──アホらし、もういいわ・・・ ──ん?」
メイ「あ・・・ゴメン お邪魔しちゃったかな・・・」
ドージ「んな訳ねぇだろ。 ほら、こっち来いよ」
ドージ「(トントン)」
メイ「──うんっ!」
たまも「──ん?あ! メイちゃんじゃない・・・」
メイ「わっ・・・ たまもさん・・・凄く酔っ払ってるね」
たまも「ぅー・・・ 酔ってないって言ってるでしょぉ?」
ドージ「ははっ・・・ 真菰のそれは、気分がいい時の酔い方だ」
メイ「そうなんだ・・・」
たまも「酔ってないって言ってるのにぃ・・・ ふんっ・・・」
メイ「あはは・・・」
たまも「・・・Zzz」
・・・
メイ「・・・綺麗だね、桜。 夜に花見するのも趣があるね」
ドージ「・・・黄泉の国から移植した常櫻の木だ。これのお陰で季節関係なく花見が出来んだよ。花見酒ほど気分が上がるもんはねぇよな」
メイ「そっか、それで菊千代さん達もあそこで寝てたんだ・・・ 風邪ひかないかな──?」
ドージ「アホ、鬼が風邪なんかひくかよ」
メイ「えへへ・・・そっか、 鬼って免疫力も強いんだね」
ドージ「・・・」
ドージ「なぁ、メイ──」
メイ「なーに?ドージさん」
ドージ「・・・お前、明日には戻るんだろ?」
メイ「──あっ・・・」
メイ「うう・・・そうだね・・・ こんなに長い時間家に帰ってないんだもん。パパもママもきっと心配してるだろうな・・・」
ドージ「──だったら早く帰って安心させてやらねぇとな、そうだろ?」
メイ「・・・うん、そうだね」
ドージ(・・・)
メイ「・・・ねぇ! ──元の世界に戻った後、またここに来ることって出来る?」
ドージ「・・・それは難しいだろうな」
メイ「えっ・・・そうなの?」
ドージ「・・・本来はこの世界に人間は入れない 中に入れるのは妖だけだ」
ドージ「妖だって玉藻の力を借りずに中まで入るのは厳しい。・・・ソイツの力が無ければ饗宴場を手探りで抜けないと行けないからな」
メイ「・・・そっか ──帰ったら、ドージさんとはもう会えない・・・?」
ドージ「・・・ああ、そうなるな」
メイ「──! (ドージに抱き着く)」
メイ「そんなの嫌だっ! もう会えないなんて・・・」
ドージ「お、おい・・・ そんなマジになんなっての・・・」
ドージ「・・・お前は『人間』、俺は『妖』。 ──同じ時間を生きることは出来ねぇ そんくらい分かんだろ?」
メイ「だからって、もう二度と会わないの? 生きてればまた会うことだって──」
「──ダメだよ、ドージを困らせちゃ」
メイ「あ・・・サワメさん・・・」
サワメ「・・・妖怪も神様もね、人間と仲良くし過ぎちゃいけないのよ」
メイ「ど、どうして・・・?」
サワメ「・・・メイちゃんは、お父さんやお母さん、お友達が死んじゃったら悲しい?」
メイ「──うん! そんなの、体験したくない・・・」
メイ「──っ! ってことは・・・」
ドージ「・・・」
サワメ「ふふふっ、メイちゃんは賢いね〜」
サワメ「・・・人間と仲良くするとね、どうしてもお別れの時が来てしまうの。 人ならざるものにとって、定命の者の一生はとても短いの」
メイ「う・・・ うう・・・」
ドージ「チッ・・・ 俺はそんな腑抜けた理由で言ってんじゃねぇよ」
サワメ「そーなの?」
ドージ「──妖に深入りし過ぎた人間はロクな死に方はしねぇ。妖は執念深い・・・ 関われば関わるほどその怨嗟に飲まれる確率が上がる」
ドージ「メイ、お前にはそんな道に進んで、 苦しんだり、消滅して欲しくない」
ドージ「・・・しっかり最期まで生きて、穢れなく黄泉の国に逝けよ──」
メイ「・・・? し・・・死ねってこと・・・?」
ドージ「・・・違うわ!」
サワメ「・・・へぇ〜っ? ドージもデレることあるんだねぇ?」
ドージ「・・・チッ うっせぇ──」
メイ「ど、どういうこと・・・?」
サワメ「・・・人間の魂は死後、黄泉の国に行くの。妖怪達は黄泉の国に簡単に行き来できるから──」
サワメ「『ちゃんと黄泉の国に逝け』 っていうのは・・・ メイちゃんにまた会いたいってことだよ」
メイ「・・・っ!」
ドージ「──ッチ・・・」
メイ「〜〜〜ドージさぁぁぁんっ!」
ドージ「──っ、あークソ、離れやがれ!」
メイ「やだっ!」
ドージ「──ったく、調子狂うぜ・・・ 俺も酔いが回ってんのか・・・?」
サワメ「ふふっ、かーわいっ!素直に抱っこしてあげなよぉ〜ドージィ〜っ! ──んん?」
スッ・・・
たまも「・・・ドージ、やっと自分から黄泉の国に行く気になったのね」
ドージ「・・・んだよ真菰、起きてたのか」
メイ「・・・?」
ドージ「──黄泉の国には、現世とこの世界の結界に出来た狭間である、虚無・・・ 『饗宴場』から行くことが出来る」
ドージ「俺はな・・・ 昔この俺とやり合った『頼光』との約束で、あいつが会いに来るのを待ってたんだ」
ドージ「アイツはまた俺を狩りに来ると・・・ そう言っていたんだがな」
メイ「──っ! それで、饗宴場にいたんだ・・・ 私のことも、それで・・・?」
ドージ「ああ── お前から、無意識のうちに頼光達の力 と似たものを感じ取ったのかもな」
ドージ「・・・何となく、放っておけなかった。 ──案の定、お前は陰陽師の力を持っていたしな・・・」
たまも「全く、自分で頼光に逢いに行けばいいのに・・・。ほんと不器用よね、あんたは」
ドージ「・・・ッチ、頼光との約束を反故にするわけじゃねぇ。俺ァ別の目的で黄泉に行くんだ。別にいいだろ?」
メイ「・・・ありがとう」
たまも(・・・ふふっ アンタも一歩先に進めたんじゃない? ドージ──)
メイ「・・・『頼光』って歴史の授業で出てきた源頼光かな?あの人、陰陽師なの?」
たまも「いいえ。彼はあの時代のサムライ・・・ いや、役職としては『官吏』かしら?」
たまも「彼は安倍晴明様と繋がりがあって、 妖退治の時に陰陽術を学び、部下と共にその力を使って様々な物の怪を狩っていたわ」
ドージ「俺を斬りに来た時、結構楽しく戦えてな また俺を狩りに来るって約束するなら、都にはもう行かねぇって言ったんだ」
ドージ「・・・そういや、アイツの部下の一人に菊が負けてたな」
ドージ「あの時アイツ、腕を切り落とされてよ。 腕を再生するのに妖力を使いまくって、角が消えちまったんだ」
メイ(わ・・・笑い事じゃないような・・・)
ドージ「最初は取り返そうと躍起になってたが、 結局諦めたんだ。 ま、あの時アイツはだいぶ調子に乗ってたから良い薬になったんだよ」
メイ「そ、そっか・・・」
たまも「・・・ふふ、歴史の授業ね── そんな風に言っているのを見ると、時間の経過を感じるわね・・・」
ドージ「・・・ああ、全くだ」
メイ(・・・ 凄いなぁ・・・)
メイ「・・・」
メイ「──ずっとこうしてたい・・・ 二人の話、ずーっと聞いていたい・・・ ──もっと一緒に居たいよっ・・・」
たまも「・・・」
ドージ「・・・」
サワメ「なーに辛気臭い雰囲気になってるのよ! もうっ!」
サワメ「(メイを後ろから抱きしめる)」
メイ「サ、サワメさん・・・」
サワメ「今この時をずっと覚えてればいいの! 決して忘れないように、目に焼き付けておきなさいっ! ・・・神様からのアドバイスだよっ」
メイ「──!」
メイ「──うんっ!分かった! ・・・私、忘れないよ。 ずっと、大人になっても・・・」
サワメ「うんうん、いい子だね♪ よ〜しよしよしっ」
サワメ「(ナデナデ)」
メイ「えへへ・・・ ちょっと恥ずかしいよぉ・・・」
サワメ「・・・思い出はその人だけの特権だよ。 美しい思い出を懐かしむことは、誰にも止める権利なんてないから・・・」
ドージ(・・・)
「メイちゃ〜んっ!どこ〜っ?」
サワメ「──誰かメイちゃんのこと呼んでるよ?」
たまも「──チビちゃんの声ね。 行ってあげましょっ」
ドージ「・・・ああ、そうするか」
〇桜並木(提灯あり)
チビ「うう・・・メイちゃん・・・ どこ行っちゃったんだろ・・・」
マサヤ「そ、そんなに焦んなくても大丈夫だよ。 ここは安全なんだろ?」
「ううん・・・うっせーな」
菊千代「ウチが折角気持ちよく寝てるってのに」
チビ「キクさんっ! メイちゃんを見なかった?」
菊千代「ん?いや、見てねぇけど・・・ ドージの所じゃねぇか?」
菊千代「けっ、ドージのやつ・・・ ウチとはサシで呑んでくれない癖に 玉藻とは一緒かよ・・・」
マサヤ「──ん?あ!あれじゃね? って・・・」
メイ「ドージさ〜ん〜」
ドージ「あー鬱陶しいな! 歩きづれぇだろ!」
マサヤ「・・・」
チビ「あっ!メイちゃんいた! 良かったぁ〜・・・」
ドージ「ん、チビ。 ・・・パス」
メイ「わっ!」
ドージ「(メイを持ち上げる)」
チビ「キャッチッ!」
メイ「うう・・・ そんな荷物みたいに・・・」
菊千代「おいドージっ。 ・・・玉藻とのサシ呑みは 楽しかったか?ん?」
菊千代「ひゃっ!?」
ドージ「(菊千代の頭に手を乗せる)」
ドージ「今回はありがとな。 お前の手伝いもあってこの結果だ。 ・・・感謝する、菊」
菊千代「ぐぅっ・・・こ、この・・・っ!」
菊千代(卑怯者〜〜〜っ!!♡♡)
チビ「もーっ・・・ メイちゃんどっか行っちゃったと思って心配したんだよ」
メイ「そ、そうなの? ごめんね、二人とも・・・」
マサヤ「・・・別に。 俺はそんなに心配してねぇし・・・」
メイ「・・・? なら良かった・・・」
サワメ「ぶー、素直じゃない子だねぇマサヤ君?」
マサヤ「な、なんだよっ・・・ 別にその、酒呑童子さんが居るんだから大丈夫だろ?」
マサヤ「その・・・ 俺が一緒に居なくたって・・・」
サワメ「・・・あれ〜っ?」
サワメ「もしかしてヤキモチ妬いてるぅ〜?」
メイ「・・・ヤキモチ?」
マサヤ「ちっ、違ぇよ! 別になんとも思ってねぇし! ・・・あーもう!」
メイ「マサヤ・・・ どうしたんだろ・・・」
サワメ「ふふふ〜・・・ 二人ともそんな感じなのぉ?」
メイ「なっ、なにが・・・? 別に、何も無いし・・・」
メイ「・・・マサヤはただ、ホントにちっちゃい頃から仲良くしてる、特別な友達だよ その、えっと・・・」
サワメ「・・・へぇ〜〜っ?」
メイ「もっ、もうやめてっ──! なんか、恥ずかしいから・・・」
ドージ(・・・ ・・・マサヤならメイのことを──)
一同は玉藻の元で一夜を過ごした・・・
〇神社の本殿
次の日の朝──
ミズチ「──そっか。もう帰っちゃうんだね」
菊千代「──なんだよっ!帰っちまうのか!? 二人揃えてウチの子分にしてやろうと思ったのに・・・」
チビ「うう・・・ メイちゃん、マサヤくん、サワメさん みんな行っちゃうんだ・・・」
メイ「そうなの・・・ごめんね、みんな。 ──本当は私、もっとみんなと一緒にいたいんだけど・・・」
マサヤ「・・・俺も、こんなゲームみたいな楽しい世界、ずっと居たかった。 ──もう戻って来れないと思うと、名残惜しいな・・・」
サワメ「あ、そうそう安心してっ! 私はオオクニヌシと話してきたらまた 戻ってくるから!」
「・・・」
ドージ「・・・サワメ、流石に空気読めよ」
サワメ「えへへ〜 だって本当だもんっ!」
たまも「・・・」
サワメ「あれ?タマモ?」
たまも「・・・」
ドージ「・・・ん?・・・真菰?」
たまも「・・・」
メイ「たまもさん・・・?」
たまも「・・・うっ」
たまも「──うっ、ううっ、う・・・」
「ええ〜っ!」
菊千代「はははっ! 玉藻が泣くとこなんて初めてみた!」
チビ「た、たまもさん・・・ 泣かないで・・・」
ドージ「バカ、だからなんでお前が泣いてんだよ」
たまも「わ、私・・・ ずっと、妲己様の・・・先代のように 強くなろうと人間を食べてたけど──」
たまも「もう食べない・・・っ! 生贄なんて禁止するんだからぁ・・・」
マサヤ(ひっ、人を喰ってたのか!?怖・・・)
メイ「──えっ! た、たまもさん!それは──」
ドージ「──メイ」
メイ「ド、ドージさん・・・」
ドージ「──真菰、いや・・・『玉藻』」
たまも「な・・・何よ・・・」
ドージ「・・・お前が先代に憧れて、先代のようになりたいと思っているのは分かってる」
ドージ「・・・あー、だけどよ。 その事に苦しめられることは必要ねぇと思ってる・・・」
たまも「・・・」
ドージ「──妲己の真似事なんざ止めて、 お前はお前のしたいようにやれよ、真菰」
たまも「──っ・・・ う、うう・・・」
メイ「た・・・たまもさん・・・!」
たまも「も、もういいわ・・・ こんな恥ずかしい姿、もう見せられないわよ・・・」
ドージ「・・・ははっ、そうだな。 そんな風に一人自己矛盾に悶えてる、女らしい姿を見せてたら威厳もクソもねぇな」
たまも「・・・」
たまも「──うっさい、このキザやろっ!」
メイ(たまもさん・・・元気になった・・・! ──もしかして、ドージさんは こうやってたまもさんを説得するために黙って・・・?)
サワメ「ちょっとぉ〜っ! 私たちのこと差し置いてイチャイチャしてんじゃないわよぉ〜!」
ドージ「なっ── 別にイチャついちゃいねぇよ!」
チビ「うにゃっ! ドージさんが照れてる〜っ!」
菊千代(──ッチ、このキツネやろ〜・・・)
たまも「と、とにかく・・・ メイちゃん、マサヤくん・・・。 私は2人が元の世界に戻っても無事でいられるように祈っているわ」
たまも「人間の世界に戻っても息災でいるのよ ・・・逢魔ヶ刻じゃないけど、私の法術で結界の外に送ってあげるわ」
メイ「・・・うんっ!」
マサヤ「う、うん・・・」
チビ「メイちゃんっ!マサヤくんっ! 短い間だったけど、二人とお友達になれてとっても嬉しかったよ!」
メイ「チビちゃん・・・! う、折角決心したのに・・・」
メイ「また・・・悲しくなってきちゃった」
マサヤ「メ、メイ・・・ 泣くなよ・・・」
ドージ「・・・メイ。 悲しむこたねぇよ」
ドージ「──お前には、マサヤがいんだろ?」
メイ「──っ!」
メイ「うう──マサヤぁっ!」
マサヤ「う・・・メイ・・・!」
マサヤ「し、心配すんな! 俺がついてる・・・、俺がお前のことを守るからな!」
メイ「マサヤ・・・!」
マサヤ(う・・・ 自分で言って少し恥ずかしい・・・)
ドージ「──ああ。 お前も男なら女の一人くらい守れんだろ ・・・メイのこと、しっかり守れよ」
マサヤ「──っ! う、うんっ!」
ドージ「ははっ、その意気だ!──さて 玉藻・・・準備はいいのか?」
たまも「ええ・・・ ──あんたはいいの?ドージ」
ドージ「・・・別に言い残すことはねぇよ」
メイ「ドージさんっ・・・!」
ドージ「なんだ?メイ。 もうお前に言い残すことはねぇよ。 ──元気でやれよ」
メイ「さ・・・最後に・・・その・・・」
メイ「ぎ・・・ギューってして・・・欲しい」
ドージ「──っ!」
ドージ「アホ、お前・・・ んな事して何になるんだよ・・・」
メイ「──えいっ! (ドージに抱きつく)」
ドージ「・・・馬鹿野郎が」
ドージ「・・・ (メイを抱きしめる)」
ドージ「・・・やっぱお前、暖かいな」
メイ「えへへ・・・ドージさん・・・! 私、大人になってもずっと忘れないよ!」
ドージ「──ははっ! 別に忘れたって構わねェよ」
メイ「え〜・・・なんで?」
ドージ「お前が忘れていようがなかろうが、 黄泉の国にもう一度会いにいく── そういう『約束』だからな」
メイ「──うんっ!! 待ってるからね!ドージさんっ!」
たまも「もう・・・気が早いんだから」
サワメ「ふふふっ メイちゃんもこれで決心がついたかな?」
メイ「──うん!」
たまも「──それじゃ、行くわよ・・・」
「じゃあね(な)っ!皆〜!」
チビ「またね〜っ!2人とも〜っ!」
ドージ「・・・あばよ、メイ。 いつか、黄泉の国でまた──」
〇古びた神社
「ん、んん・・・」
メイ「はっ!?ドージさんっ──!」
メイ「・・・」
マサヤ「ん、んん・・・」
マサヤ「あれ・・・ 俺、さっきまで・・・」
メイ「ゆ、夢・・・?」
マサヤ「・・・メイ、お前もここに来てたのか」
メイ「・・・マサヤ!」
マサヤ「お、おう・・・ どうしたんだよメイ?」
メイ「な・・・なんかね・・・ すっごい楽しい夢、見てた気がするんだ」
マサヤ「・・・それ、俺もかも」
「・・・」
「──はははははっっ!」
メイ「ねぇマサヤ── ・・・明日、一緒に話そうよ」
マサヤ「・・・なにを?」
メイ「──お互いの夢の話っ!」
マサヤ「──っ! ああ!」
二人はその後、互いの『夢』の話をした
──彼らはそれを、心の中で信じきっていた。
妖の友人が居る、素敵な世界のことを
〜〜 Fin 〜〜
お疲れ様です
楽しませていただきました
ありがとうございます