ガンバレ!動画配信者!

イチ

そこは人と人とが交差するスクランブルコメディ(脚本)

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〇センター街
  ──
  すでに突き刺さるような視線を感じる──
  誰も話しかけるな!!
  そう願って、俺は渋谷の街に降り立った──

  ガンバレ!動画配信者!

〇配信部屋
あじゃぱトール「はい、じゃあ、今日は5円玉の優勝!ということで! さよーなりー!」
あじゃぱトール「チャンネル登録! チャンネル登録!」
あじゃぱトール「・・・」
  俺は登録者数10,000人の動画配信者・あじゃぱトール
  渋谷でひたすらダジャレを言う、と言う動画がバズり
  渋谷の若者にだけ有名人になってしまった
  正直、動画の収入だけでは食べていけず
  かと言って、毎日動画をアップしなければ
  現状キープすら難しい──
  割に合わない、と言ったのが実際のところだ
  そんな、苦悩の生活を送る中、謎のDMが届く
  登録者数や動画再生回数が飛躍的に伸びる 漢方薬が渋谷の薬局に売っている──
  怪しい!
  怪しすぎる!
  しかし、それでもワラにもすがる思いで、 その薬局に電話してみた──
あじゃぱトール「もしもし、そちらにある、あの漢方薬が欲しいのですが・・・」
「薬局の人:あるよ!」
あじゃぱトール「めっちゃ声デカいな!」
あじゃぱトール「あるんですね? ってまだ何の漢方薬か言ってませんけど」
「薬局の方:その電話ばっかりだから!」
あじゃぱトール「すげぇキレてるやん!」
「ガチャン!」
あじゃぱトール「切られた・・・ まぁ、あるみたいだから行ってみるか」
  そうして俺はイヤイヤ渋谷に行くことにしたのだ──

〇センター街
あじゃぱトール「ヤバっ。 渋谷、めっちゃ人多いな!」
あじゃぱトール「面倒だから。 絶対見つからないようにしないと──」
家系の男「よー、あじゃぱじゃねーか!!」
あじゃぱトール「いきなり見つかった!!」
あじゃぱトール「いや、ちょっとプライベートだから・・・」
家系の男「あのさー」
あじゃぱトール「聞いてねー」
家系の男「俺、ラーメン好きなんだよねー」
あじゃぱトール「でしょーね!!」
家系の男「ちょー、ラーメンでダジャレちょーだいよ」
あじゃぱトール「1番だりぃーの言ってくるやつ!!」
家系の男「俺が言おうか?」
あじゃぱトール「勝手にどうぞ!!」
家系の男「人気ラーメン屋、行列でもあきらーめんで」
あじゃぱトール「は?」
家系の男「煮干しに母子手帳」
あじゃぱトール「もーいいわ!」
家系の男「汁を知る」
あじゃぱトール「やめろやめろ!!」
あじゃぱトール「意味わからんし」
家系の男「あと500兆個あるけど」
あじゃぱトール「嘘つけ!」
家系の男「500兆1個かと思ったら 500兆個だったわ」
あじゃぱトール「よく数えたな!」
近づいてくる女「あじゃぱじゃん」
あじゃぱトール「新しいやつ来たわー」
近づいてくる女「あっしの元カレの後輩のバイト先に あんたよく来てたんだって」
近づいてくる女「マジうけるし」
あじゃぱトール「面倒くせーわー」
家系の男「もやし燃やしてー」
あじゃぱトール「カオス!」

〇センター街
あじゃぱトール「どーしよ」
街の声「てか、あじゃぱじゃん!!」
街の声「マジあじゃぱな!!」
あじゃぱトール「ヤバいヤバい!!」
???「コッチが安全だから!」
  俺は体を隠すようにして声のする方へとすり抜けていった──

〇渋谷の雑踏
???「こっちこっち」
あじゃぱトール「どこどこ?」
???「どこだろ」
あじゃぱトール「おい!」
???「あっ!」
あじゃぱトール「なんだよ!」
???「ウォー◯ーいたわ!」
あじゃぱトール「てめーコノヤロー!!」
あじゃぱトール「だいたいお前誰なんだよ!!」
???「さあてね」
???「動画配信の王、とだけ言っておこうか」
あじゃぱトール「うそッ!?」
あじゃぱトール「HIKAK◯N様!?」
???「・・・・・・違うよ」
あじゃぱトール「違うんかいッ!!」
???「はじめ・・・」
あじゃぱトール「はじめしゃ◯ょー!?」
???「はじめまして」
あじゃぱトール「うるせー」

〇薬局の店内
  無駄なタップをしている間に、目的の薬局に到着していた──
あじゃぱトール「あいつ、どこ行ったんだよ」
薬局の人?「何かお探しかな?」
あじゃぱトール「漢方薬が欲しいんですが──」
薬局の人?「はいはい、漢方薬ね」
薬局の人?「漢方薬欲しいんだってー!!」
あじゃぱトール「えっ?」
薬局の人?「じゃ」
あじゃぱトール「???」
薬局の人「うるさいわねー!」
あじゃぱトール「こわっ!」
薬局の人「漢方、漢方うるさいわよ!」
あじゃぱトール「俺が言ったんじゃなんすけど・・・」
薬局の人「あんた以外誰がいんのよ!」
あじゃぱトール「さっき白衣来たおじさんがいて──」
薬局の人「いないじゃないのよ!」
あじゃぱトール「どっか行ったみたいで・・・」
薬局の人「嘘つくならもっとマシな嘘つきなさいよ!!」
あじゃぱトール「ヤバいなこれ、帰った方がいいかもな・・・」
薬局の人「動画全部見てるわよ!!」
あじゃぱトール「急展開!」
薬局の人「昨日の5円玉の優勝の動画、良かったわよ!!」
あじゃぱトール「まさかの熱狂的なファン!?」
あじゃぱトール「じゃあ、話が早いや!」
あじゃぱトール「あの登録者数が飛躍的に増える漢方薬が欲しいんですが!」
薬局の人「いやよ!売れないわ!」
あじゃぱトール「えっ!?」
薬局の人「これ以上ファンに増えてほしくないからね!!」
薬局の人「だって私だけのあじゃぱでしょ!!」
あじゃぱトール「危険な思想のファン!」
薬局の人「そしてね──」
薬局の人「あなたならそんなものなしでも きっと上手くいくわよ・・・」
あじゃぱトール「急にいい話!?」
薬局の人「だからあなたはー♪」
あじゃぱトール「えっ??」
薬局の人「薬にたよらずにー♫」
近づいてくる女「夢をかなえてー♫」
あじゃぱトール「さっきの女!?」
あじゃぱトール「というか、なぜミュージカル!?」
家系の男「キミは素晴らしい動画配信者ー♪」
あじゃぱトール「家系のやつも!?」
家系の男「キミの影響でダジャレをはじめたー♫」
あじゃぱトール「そうだったのか──」
家系の男「今ではすっかりラーメンダジャレ男さー♪」
あじゃぱトール「怪人みたいなネーミング!!」
薬局の人?「ラララー♪」
あじゃぱトール「ニセの薬局のおじさん!?」
薬局の人?「ラララー♫ ラララー♫」
あじゃぱトール「こいつだけ内容ねーな!」
薬局の人?「ラー♫」
家系の男「ラーメンー♫」
あじゃぱトール「しょーもないんじゃ!」
???「さぁて、いよいよじゃな」
あじゃぱトール「誰!?」
薬局の人?「この方が動画配信の王だよ」
あじゃぱトール「まったく知らん!! カッコだけだろ!!」
???「キミを育ててくれた渋谷の街に繰り出すんだ!」
???「そして、歌うのじゃ!」
あじゃぱトール「えっ?」

〇SHIBUYA109
  やっぱり1番好きな街──
あじゃぱトール「この街がなければ俺はいないのさー♪」
あじゃぱトール「イチマルキューにいるビスマルクー♪」
あじゃぱトール「ハチ公は端っこー♪」
近づいてくる女「モヤイ像も妬いてるぞー♪」
家系の男「センター街は最先端が良い♪」
あじゃぱトール「大好きさー渋谷ー♪」
「大好きさー渋谷ー♫」
あじゃぱトール「大好きさー♪」
近づいてくる女「大好きなー♪」
家系の男「大好きだー♪」
あじゃぱトール「しーぶーやー♪」
近づいてくる女「最新情報はー♪」
家系の男「新聞屋〜より〜♪」
あじゃぱトール「し〜ぶ〜や〜〜〜♫」
渋谷中の声「わーわー!」
  はい、カットー!!

〇配信部屋
あじゃぱトール「はー、疲れた」
家系の男「お疲れ様っスー」
近づいてくる女「早く編集してアップしないとね」
あじゃぱトール「そだね」
家系の男「次、ネタどーする?」
近づいてくる女「まぁ、サプライズやっとけば外さないでしょ」
あじゃぱトール「ホントのサプライズなんてそう起きないから」
  というわけで
  ネットの動画配信はすべてヤラセです
  諸説あり──
  完

コメント

  • 漢方薬の問い合わせをした辺りが序章とするなら登場人物がそれぞれの楽器、どんどんメロディーが重なり合い、壮大なオーケストラのようでした。お見事!

  • 薬局の強火担の人、気持ちわかる!って思いました。笑
    好きな人が有名になっていくのって、ちょっと寂しいですよね。
    渋谷限定人気って設定もおもしろかったです。

  • 楽しすぎです。みんな適当で軽い感じの人なのに、妙にこだわりがあるのが最高です。最後のオチもそうですが、軽い感じとカオスが混じってとにかく楽しいです。

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