渋谷No.1決定戦! 〜ハチ公像 VS モヤイ像〜

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ハチ公像 VSモヤイ像(脚本)

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〇ハチ公前

〇ハチ公前
ハチ「あれ、ここは・・・・・・?」
  僕はハチ公像の前にいた。
ハチ「なんで僕の像の前に僕自身が立っているんだろう・・・・・・?」
「ようやくお目覚めのようね。強者の余裕かしら」
ハチ「!?」
  僕は女性の声がした方向に顔を向けた。
女性「やっとこの時が来たわね。今日はあなたに勝って渋谷No.1の称号を手に入れてみせるわ!」
ハチ「ごめん・・・・・・何を言ってるのかよく分からないんだけど」
女性「渋谷No.1決定戦を知らないの!?」
女性「渋谷にまつわるモノ同士がアバター化されて、勝負をするのよ」
ハチ「ごめん、聞いてもよく分からない。そもそも君は誰?」
モヤ「私はモヤ。ハチ公像の反対側の出口にある待ち合わせ場所として有名なモヤイ像よ」
ハチ(自分で有名って言ってるし・・・・・・)
モヤ「・・・・・・私は造られた時からずっとあなたを羨んでた」
モヤ「渋谷の待ち合わせ場所と言えばハチ公前」
モヤ「駅出口にもハチ公口はあるのにモヤイ像口はない!」
モヤ「だから今日、あなたに勝って渋谷No.1の称号を手に入れてみせる!」
ハチ(・・・・・・正直よく分からないけど、彼女がすごく本気なこと「だけ」は伝わってくる)
ハチ「分かったよ、よく分からないことしか無いし、何1つ納得してないけどこっちも本気でやるよ」
モヤ「覚悟なさい。負け犬にしてあげるわ!」
ハチ(上手いことを言ったつもりなんだろうか・・・・・・)
ハチ「ところで、何で勝敗を決めるの?」
「それは私から説明します」
  モヤと反対側の方から声がする。
いけふくろう「こんばんは、いけふくろうです」
「・・・・・・」
  どう見てもニワトリだ。
モヤ「いけふくろうなら知ってるわ。池袋駅の待ち合わせ場所として有名よね」
モヤ「でも気を悪くしたら申し訳ないのだけれど、ふくろうってこういうたたずまいでしたっけ?」
いけふくろう「ハチ公像とモヤイ像が少年と女性になるくらいですから、同じ鳥というアバターならまだマシでしょう」
モヤ「確かにそれもそうね」
ハチ(納得しちゃったよ・・・・・・)
モヤ「それで、説明してくれるとおっしゃっていたけれど・・・・・・」
いけふくろう「はい、本日の勝負はアスレチック・スクランブル交差点です」

〇渋谷のスクランブル交差点
いけふくろう「ルールとしてはハチ公前のスクランブル交差点からスタートし──」
いけふくろう「反対側のQFRONTで折返して先にハチ公広場にたどり着いた方の勝利となります」
いけふくろう「ただし、横断歩道を渡るときは白い部分以外を渡ってはいけません」
いけふくろう「渡った場合はペナルティとなり、私の不思議な力で少しの間動けなくなります」
ハチ(色々とツッコミたいけど、ツッコんだら負けなんだろうな・・・・・・)

〇渋谷のスクランブル交差点
いけふくろう「さあ、間もなく始まります渋谷No.1決定戦、ハチ公像 VS モヤイ像!」
いけふくろう「待ち合わせ場所同士の屈指の好カードとなりました!」
いけふくろう「一体どのような戦いを見せてくれるのでしょうか!?」
いけふくろう「司会は私、同じ待ち合わせ場所を代表していけふくろうが行わせていただきます!」
  スクランブル交差点はハロウィンの時のようにいつの間にか厳戒態勢となっていた。
  DJポリスも出動し、僕たちの戦いを見守っている。
観客A「頑張れハチ公〜」
観客B「モヤイもしっかり〜」
  いつの間にかギャラリーもできている。
いけふくろう「では両者位置について、用意──」
モヤ「絶対負けないわよ!」
ハチ(・・・・・・もう走るしかないよね)
いけふくろう「スタート!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  僕とモヤは一斉にスタートした。
  だがスタートから少しすると、モヤが前に出る。
モヤ「私のほうが足が長い分、早く着きそうね!」
ハチ「くっ・・・・・・」
  僕のアバターは少年のため、足が短くスムーズに前に行くことができない。
ハチ(訳のわからない事ばかりだけど、こんな大勢の前で負けるのはちょっと嫌だ)
  そう思い、ペースをあげようとした時──
ハチ「しまった!」
いけふくろう「おおっとハチ公、白い部分以外を踏んでしまった!不思議な力で拘束されてしまう!」
モヤ「この勝負、私の勝ちのようね!」
ハチ(まずい・・・・・・このままでは負ける)
  力を――
  力を開放すれば良いのじゃ──
ハチ「――この声は?」
犬「だらしないのう、2代目」
  急に僕の目の前に犬が現れた!
ハチ「あなたは?」
ハチ公「儂は戦前に建てられ戦時中の金属不足で撤去された、初代ハチ公じゃ。お前から見れば父に当たる」
ハチ「父さん・・・・・・色々ツッコむところはあるけど僕はどうすればこの勝負に勝てるの?」
ハチ公「儂の姿を見れば分かるじゃろう」
ハチ「父さんの姿・・・・・・そうか!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  ハチが光に包まれ、姿が変わっていく!
モヤ「・・・・・・まさか!?」

〇渋谷のスクランブル交差点
いけふくろう「おおっとハチ公、犬の姿に変身したぁぁ!」
ハチ「――!」
  僕は拘束が解けた瞬間猛ダッシュし追撃する!
  QFRONTもすばやく折返し、モヤとの差が徐々に詰まってくる!
モヤ「私も負けるわけには・・・・・・!」
  モヤもスパートをかける!
  だが──
ハチ「!」
モヤ「なっ・・・・・・」
  僕はゴール直前に軽快にモヤの横を抜き去り、歓声の中勝利した――。
いけふくろう「大逆転です!勝者はハチ公!」

〇ハチ公前
  僕は少年の姿に戻る。
ハチ(・・・・・・よく分からないが、何とか勝てたみたいだ)
モヤ「あなた、知名度だけじゃなく、強いわね」
  モヤがこちらに来て話しかけてくる。
ハチ「未だに何も理解できないけど、勝てて良かったよ」
モヤ「負けたけどいい勝負ができたと思う」
モヤ「決勝も頑張ってね!」
ハチ「え、決勝?」

〇渋谷のスクランブル交差点
いけふくろう「さあ、ハチ公の相手はどちらになるのか?続いても好カード」
いけふくろう「109 VSヒカリエ!軍配はどちらに上がるのか――!」

〇ハチ公前
ハチ「もういいよぉぉ――」
  渋谷の夜はまだ終わらない。

コメント

  • 楽しく読みました。ハチ公にお父さんがいたんですね。勉強になりました。感謝。

  • 自分たちの知らないところでこんな熱い戦いが
    繰り広げられていたら面白いなと思う作品でした✨
    最後のトホホ落ちもまた味があってよかったです🙆‍♀️笑

  • 一見しょうもないと思われる設定(褒め言葉です)が、とにかく楽しいです。しかも続きがあるようなので(?)、続編できっちり決着つけて欲しいです(笑)。

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