宇田川くんの新しい相方

結丸

相方は魔法騎士(ただし期間限定)(脚本)

宇田川くんの新しい相方

結丸

今すぐ読む

宇田川くんの新しい相方
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇ライブハウスのステージ
  渋谷・とあるライブハウス
宇田川 凌「お、こんなとこにコンビニ出来たんだ。 入ってみるか」
  ”ティロリロ〜”
スカイ=アストリンジェント「何者だ!」
宇田川 凌「うわっ!? 何これ、コスプレ?」
スカイ=アストリンジェント「む、もしや客か?」
スカイ=アストリンジェント「これは失礼した。 ようこそ、我がコンビニへ」
宇田川 凌「我が城へ、みたいな言い方だな・・・ あ、ここってそういうコンセプトのコンビニなんすか?」
スカイ=アストリンジェント「コンセプト? 何を言っているのか分からないが・・・」
スカイ=アストリンジェント「客でなければ斬る」
宇田川 凌「ちょちょちょ! 剣を抜こうとすんなって!」
スカイ=アストリンジェント「買うのか? 買わないのか?」
宇田川 凌「か、買う! 買います! ・・・ったく、変なコンビニに入っちまったなぁ」

〇映画館の座席
客A「宇田川の相方、あんなだったっけ?」
客B「んーん、変わってるよ」
客A「あー、やっぱそうか。 新しい相方、なんか素人ぽくね?」
客B「んー、でもイケメンだしいいじゃん」
客A「はぁ・・・」

〇ライブハウスのステージ
宇田川 凌「じゃ、この弁当で。 温めてくれる?」
スカイ=アストリンジェント「承知した」
スカイ=アストリンジェント「究極炎魔法”ヒーボボ”!!」
宇田川 凌「どわー! 燃やしてどーすんだよ!」
スカイ=アストリンジェント「すまない、ヒーボボでは強すぎたな。 もう少し火力が弱めのヒボッボ、 もしくはヒボッにすれば──」
宇田川 凌「魔法の説明とかいらねーから! ってか名前ダサッ!」
スカイ=アストリンジェント「貴様、アストリンジェント家に代々伝わる 炎魔法を侮辱したな!?」
宇田川 凌「何なんだよこのコンビニー!」

〇映画館の座席
客A「(ふーん、結構いいコンビじゃん)」
客B「スカイ様しか勝たん・・・」
客A「ったく・・・」

〇ライブハウスの入口(看板の文字入り)
  終演後・・・
客B「スカイ様、今日も素敵でした。 これ、受けとってください」
スカイ=アストリンジェント「キミ、また来てくれたのかい? しかもプレゼントまで・・・」
客B「そんな、大したものじゃありませんから」
スカイ=アストリンジェント「謙虚なプリンセスだ。 何かお返しできれば良いのだが・・・」
スカイ=アストリンジェント「そうだ、せめてキミの美しい手にキスを贈る許可を頂けないだろうか」
客B「えっ──」
宇田川 凌「コラーッ! 客に手ぇ出すなバカ!」
スカイ=アストリンジェント「おお、宇田川か。 待ちくたびれたぞ」
宇田川 凌「お前なぁ、そのまんまの格好で出てくんなよ」
スカイ=アストリンジェント「何か問題でも?」
宇田川 凌「はぁ・・・とりあえず行くぞ」
スカイ=アストリンジェント「承知した」
客B「宇田川ァ・・・」
客A「ったくもう・・・」

〇居酒屋の座敷席
店員「いらっしゃいませ〜♪」
宇田川 凌「とりあえず生で」
スカイ=アストリンジェント「僕は葡萄酒を」
店員「ふふっ、いつものグラスワインね」
宇田川 凌「あ〜、疲れた」
スカイ=アストリンジェント「宇田川は体力がないな。 僕が鍛えてやろうか?」
宇田川 凌「あ・・・あのさ」
宇田川 凌「お前、本当にいいのか? 期間限定とはいえ、俺とコンビ組むなんて・・・」
スカイ=アストリンジェント「僕は構わないぞ。 あんな風に舞台で演じるのは幼少の頃以来だ」
宇田川 凌「演じる、か・・・ まぁ、俺も相方探してたから丁度よかったんだけどさ」
スカイ=アストリンジェント「それに・・・ あの舞台に立っていれば、いずれ泉のことを知る者が現れるかもしれない」
  スカイは異世界からやってきた騎士で、公園通りで迷子になっているところで出会った。
  元の世界に戻るための泉──
  いわゆる”ワープポイント”を探してるらしいんだけど・・・
宇田川 凌「その・・・元に戻れる泉ってさ、 ホントに渋谷にあんの?」
スカイ=アストリンジェント「ああ。 この街からは泉が放つ強い魔力を感じる」
店員「泉って?」
宇田川 凌「あっ、えっと・・・」
スカイ=アストリンジェント「水が天高く噴き上がる水源のことさ」
店員「天高く噴き上がる・・・ ああ、噴水のこと?」
スカイ=アストリンジェント「ああ、それに近いかもしれないね。 さすがプリンセスだ」
店員「やだわ、プリンセスだなんて・・・」
宇田川 凌「なぁんだ、泉って噴水か。 なら、結構あちこちにあるんじゃね?」
スカイ=アストリンジェント「とはいえ、この街にある泉は ほとんど飛び込んでみたんだが・・・」
宇田川 凌「飛び込んだって・・・ あ、だから最初に会ったときズブ濡れだったのか!」
店員「そういえば、渋谷駅にも噴水があったわね」
宇田川 凌「え、マジで? 駅前に?」
スカイ=アストリンジェント「・・・!」
店員「もうずっと昔の話だけどね。 区画整理で無くなっちゃって──」
スカイ=アストリンジェント「宇田川! 駅前へ行ってみよう!」
宇田川 凌「ええっ!? ちょ、スカイ!」

〇ハチ公前
スカイ=アストリンジェント「・・・?」
宇田川 凌「はぁ、はぁ・・・ 足速ぇ・・・」
スカイ=アストリンジェント「宇田川・・・ 泉がないのだが」
宇田川 凌「いや、だから言ってたじゃん。 区画整理で無くなったって」
スカイ=アストリンジェント「無くなった・・・? そうか、もうここには・・・」
スカイ=アストリンジェント「・・・っ」
宇田川 凌「スカイ・・・」
スカイ=アストリンジェント「あ・・・す、すまない。 泣くつもりはなかったんだ」
宇田川 凌(そりゃ戻りたいよな・・・)
宇田川 凌「・・・大丈夫だって」
スカイ=アストリンジェント「えっ?」
宇田川 凌「だって、ここに来れたんだろ? なら戻ることだってきっと出来るはずだ」
スカイ=アストリンジェント「宇田川・・・」
宇田川 凌「店戻ろうぜ。 いつもの揚げ餃子、食ってないだろ?」
スカイ=アストリンジェント「ああ──」
  ”キィン・・・”
宇田川 凌「? なんか光ってないか?」
スカイ=アストリンジェント「! これは・・・」
宇田川 凌「スカイ!?」

〇渋谷のスクランブル交差点
スカイ=アストリンジェント「ここか・・・?」
宇田川 凌「どうしたんだよ?」
スカイ=アストリンジェント「魔法石が反応してるんだ! もしかしたらここに泉があるかもしれない」
宇田川 凌「えええっ!? いや、ここスクランブル交差点だぞ!?」
スカイ=アストリンジェント「でも──」
  ”ゴゴゴゴゴゴ・・・”
宇田川 凌「・・・え? 地震か?」

  突然の地響きに人々が逃げまどう中、
  俺とスカイは呆然と立ち尽くしていた。
  
  だって、目の前には──

〇温泉の湧いた渋谷

〇温泉の湧いた渋谷
宇田川 凌「・・・」
スカイ=アストリンジェント「宇田川・・・」
スカイ=アストリンジェント「噴水、あったな!」
宇田川 凌「いや温泉だろ!」
  まさかワープポイントが
  “温泉”
  だったなんて・・・
  こうしてスカイは温泉に飛び込み、
  元の世界へと戻っていった・・・
  と、思いきや。

〇ライブハウスのステージ
  渋谷・とあるライブハウス
宇田川 凌「すみません、入部したいんですけど」
スカイ=アストリンジェント「ようこそ我が野球部へ」
宇田川 凌「何か変な奴いるー!」
  例の温泉が渋谷の新名所となったことで、
  ワープポイントはそのまま残った。
  その結果──
  俺とスカイはコンビを続けている。
宇田川 凌(これも運命ってやつ・・・なのか?)
スカイ=アストリンジェント「なんだ? この肩の装飾は3年生のみだぞ?」
宇田川 凌「いらねーよ!」
  宇田川くんの新しい相方
  ―完―

コメント

  • 異世界の騎士の方が渋谷に来て、しかもバトルとかではなく漫才!?という奇抜な設定がすでに面白かったです🤣
    二人が異世界に行って漫才する展開とかもまた面白そう…(笑)

  • テンポよく、最後まで連れて行ってもらいました。漫才仕立ても独特でした。吉本東京風に感謝。

  • 女性のキャラにも魅力を感じながらも、この2人のポップなやりとりがとてもテンポよく読めました😌
    途中「わかる、観客に手を出したら大変だよね」と謎目線で見ておりました笑

コメントをもっと見る(6件)

成分キーワード

ページTOPへ