トシ先生の次回作にご期待ください!8

シュウ

コールセンター勤務の私がデスゲームに巻き込まれた件(脚本)

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〇学校の屋上
トシ「ナツ」
トシ「人間の本性ってのはどうすれば わかるんだろうな・・・」
ナツ「やぶからぼうにどうした?」
ナツ「まぁ、遺産相続に巻き込まれれば いいんじゃね?」
ナツ「コールセンターでバイトするとか」
トシ「そうか!」

〇教室
  翌週
トシ「──というわけで、デスゲーム漫画 描いてみた!」
ナツ「俺の意見ガン無視!」

〇地下に続く階段
  コールセンター勤務の私が
  デスゲームに巻き込まれた件
ナツ「緊張感ゼロ!」
トシ「ナツのアドバイスを参考にしてみたぜ!」
  【監修】
  相澤夏彦
ナツ「晒さないで」

〇近未来の開発室
X-エックス-「ふっふっふっ」
X-エックス-「キミたちにはこれから【とあるゲーム】に 参加してもらう」
X-エックス-「命懸けのゲームだ」
X-エックス-「これはそう──騙し合い」
X-エックス-「周りの人間が皆、善良な人間だと 思わないことだ」
トモノリ「お、お前の目的は一体何なんだ!?」
トモノリ「こんなことして、警察が黙っていると 思うなよ!?」
X-エックス-「私はただ、人間の本性を知りたいのだよ」
X-エックス-「追い詰められた時、人は隠された本性を あらわにする」
X-エックス-「あるいは、自らが優位に立った時」
X-エックス-「さながらコールセンターへのクレーマーの ように、ね」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ナツ「みんな戸惑ってんじゃん」
ナツ「『わかるわ〜』って言える空気じゃねーし」
カヨコ「その気持ち、わかるわ」
ナツ「いたわ、空気読めねーやつ」

〇近未来の開発室
カヨコ「あいつら、私たちが言い返せないことを いいことに好き勝手言うのよ!」
カヨコ「私たちはストレス発散のサンドバッグ じゃない!」
カヨコ「心をもった人間なのよ!」
KISAKI-キサキ-「でも、それがお前らの仕事だろ?」
KISAKI-キサキ-「いいよな、話聞くだけで金が貰えるなんて」
KISAKI-キサキ-「俺なんて──」
トモノリ「ま、まさか・・・死んだ、のか?」
X-エックス-「私は人の気持ちを考えないクレーマーが 大嫌いだ」
X-エックス-「辛い気持ちにすらマウントを取ろうとする 性根の腐った連中も、ね」
カヨコ「なんてこと!」
カヨコ「人の命を何だと思ってるの!?」
カヨコ「すべてコールセンター勤務のストレスだとでも言うの!?」
ナツ「突飛な推理」
トシ「混乱して状況が呑み込めていないんだよ」
ナツ「アホ晒してるようにしか見えないけど」

〇地下空間の戦艦
トモノリ「くっ!」
トモノリ「俺を置いて先に行けぇぇぇ!」
カヨコ「ダメ!」
カヨコ「そんなこと、私できない!」
ナツ「あれ、もう終盤?」
トシ「第1ゲームだ」
ナツ「迫真過ぎる」
トシ「命懸けだからな」
ナツ「それはそうなんだけど」
ナツ「なんか解せぬ」

〇地下室
X-エックス-「第2ゲームの鍵は──信頼だ」
X-エックス-「どれだけパートナーと信頼し合えるかが 勝敗を分ける」
カヨコ「何が信頼よ!」
カヨコ「貴方が疑心暗鬼にさせたんじゃない!」
チアキ「カヨコさん、今は落ち着いて」
チアキ「いずれあの男を倒す機会が得られるはずです」
チアキ「それまで生き延びましょう」
カヨコ「わかったわ」
カヨコ「ごめんね、チアキちゃん」
カヨコ「私より年下なのにしっかりしてて偉いわ」
チアキ「あたしなんてそんな・・・」
チアキ「チアしか取り柄がなかったのに 脚の怪我で続けられなくなって」
チアキ「まるであたしは──翼をもがれた天使」
カヨコ「チアキちゃん」
カヨコ「その気持ち、わかるわ」
ナツ「ウソつけ!」
ナツ「コールセンター勤務だろ!」
トシ「まあまあ、話は最後まで聞かないか」
カヨコ「私もクレーム対応する度に『みんな死ね!』って思うの」
カヨコ「まるで堕天使ね」
カヨコ「性格がひん曲がっているのかも」
カヨコ「でもね」
カヨコ「生きるためには仕事をしなくちゃならない」
カヨコ「職なんて他にもあるけど」
カヨコ「私が辞めたら職場の人が苦労する」
カヨコ「お節介な私」
カヨコ「まるで翼をもがれ、不自由につながれた 堕天使のよう」
カヨコ「そう思うでしょう?」
チアキ「カヨコさん・・・」
チアキ「い、いろいろ大変なんですね」
ナツ「困っちゃってんじゃん」
トシ「普段は一方的に話を聞いている分 自分から話をしたいのさ」
トシ「職業病ってやつだな」
ナツ「大人って大変なんだな」
ナツ「・・・いや、お前高校生じゃん」
トシ「テレビでそう言ってた!」
ナツ「付け焼き刃の知識!」

〇地下室
X-エックス-「以上が【チキチキ☆ロシアンルーレット】のゲームルールだ」
チアキ「カヨコさん、わかりましたか?」
カヨコ「いいえ、まったく」
カヨコ「チアキちゃんは?」
チアキ「あたしも全然」
カヨコ「ねぇ、ルールが難しすぎるから 別のゲームにしない?」
ナツ「何言い出してんだ、この人?」
トシ「多様性の時代だよ」
ナツ「たぶん意味が違うと思う」
X-エックス-「わかった」
ナツ「柔軟性高いな、おい!」
トシ「ゆとり教育の賜物だな」
ナツ「デスゲーム主催者に使う言葉じゃない」

〇地下室
X-エックス-「──以上がルールだ」
カヨコ「今度こそわかったわ!」
X-エックス-「この部屋から脱出できるのは3組──」
X-エックス-「いや、1組だ」
カヨコ「な、ななな・・・何ですって!?」
ナツ「展開が早いな」
トシ「第3ゲームのルールを繰り上げたからな」
トシ「段取りが変わったんだよ」
ナツ「柔軟性のカケラもねーな」

〇地下に続く階段
カヨコ「はあ、はあ・・・!」
カヨコ「なんとか、ここまで、来られた・・・!」
チアキ「カヨコ、さん・・・!」
カヨコ「しっかりして、チアキちゃん!」
カヨコ「もうすぐあの男──エックスとの決着よ!」
ナツ「バトったの?」
トシ「通路には罠が仕掛けられている」
トシ「アスレチック未経験者の二人には 難易度が高かったみたいだな」
ナツ「そりゃオフィスワーカーと怪我人だし」

〇近未来の開発室
X-エックス-「キミたちには楽しませてもらった」
カヨコ「一体、何のためにこんなことを!」
X-エックス-「世の中には物好きがいるということだよ」
X-エックス-「キミたちとは住む世界が違う、ね」
カヨコ「私たちの誰が生き残るのか 賭けていたってこと!?」
カヨコ「ふざけないで!」
カヨコ「私たちは金持ちの道楽じゃない!」
カヨコ「生きている人間なのよ!」
ナツ「超理解力」
トシ「コールセンター勤務だからな」
ナツ「それで全部説明がつくと思うなよ?」

〇近未来の開発室
X-エックス-「これからキミたち二人には 最後のゲームに挑んでもらう」
X-エックス-「拒否すれば・・・わかるだろう?」
カヨコ「くっ、どこまでも卑怯な!」
チアキ「カヨコさん、あたし──」
カヨコ「ダメよ、チアキちゃん!」
カヨコ「自分を犠牲にしようだなんて!」
チアキ「で、でも──!」
カヨコ「このゲームには必ず抜け道がある」
カヨコ「1対1の、しかもパートナーだった相手との心理戦なんてつまらないもの」
カヨコ「裏切り合いなんて、私たちにはない」
カヨコ「それは今、チアキちゃんが証明してくれた」
カヨコ「抜け道を見つけ出せるか それが賭けの対象になっているんだわ!」
X-エックス-「最後のゲームはあっち向いてホイ」
X-エックス-「負けたほうから先にロシアンルーレットだ」
カヨコ「チアキちゃん」
チアキ「カヨコさん」
チアキ「わかりました」
「いざ、勝負!」
「じゃーんけーん・・・ホイッ!」
「あーいこーで・・・しょ!」
「あーいこーで・・・しょ!」
「っしょ!」
「っしょ!」
「っしょ!」

〇電脳空間
観戦者「かれこれ1時間」
観戦者「エックス君、どういうことかな?」

〇近未来の開発室
X-エックス-「これは・・・くっ!」
X-エックス-「キミたち、馴れ合いはやめてもらおうか!」
「っしょ!」
「っしょ!」
「っしょ!」
X-エックス-「話を聞かないか!」
カヨコ「馴れ合い?」
カヨコ「違うわ、これは高度な読み合いよ」
カヨコ「貴方たちの目が節穴なんじゃない?」
X-エックス-「この・・・!」
カヨコ「それとも、私たちと勝負する?」
X-エックス-「何?」
カヨコ「そうすれば面白い展開になるんじゃない?」
X-エックス-「何を言うかと思えば」
X-エックス-「キミたちにその権限はない」
カヨコ「貴方にもその権限はないんじゃない?」

〇電脳空間
観戦者「エックス君」

〇近未来の開発室
X-エックス-「くっ・・・!」
X-エックス-「だが、3人であっち向いてホイなど できるわけが──」
カヨコ「あら、まだやってないゲームがあるじゃない」
X-エックス-「何?」
カヨコ「私たちが放棄した、高難易度なゲーム」
カヨコ「チキチキ☆ロシアンルーレットが!」
X-エックス-「な・・・んだとっ・・・!?」
ナツ「なんつーか、デスゲーム系って 最終的に黒幕を倒そうとするよな」
トシ「決着つけずに終わったら後味悪いだろう?」
トシ「一種のカタストロフィを味わうためだな」
ナツ「カタルシスだろ」
ナツ「カタストロフィだとバッドエンドじゃねーか」

〇近未来の開発室
カヨコ「貴方の負けよ、エックス」
カヨコ「早く引き金を引きなさい」
X-エックス-「私は、負けるわけには・・・!」
カヨコ「往生際が悪いわよ」
カヨコ「敗者は去るのみ」
カヨコ「貴方の台詞よ」
ナツ「そんなこと言ったっけ?」
トシ「割愛した」
ナツ「愚断」
トシ「褒めるなよ~!」
ナツ「辞書引いて?」
X-エックス-「くっ・・・!」
X-エックス-「キミたちに私の何がわかる!」
X-エックス-「学生時代、虐げられてきた私には 復讐しかなかった!」
カヨコ「まさか、最初に落とした人は・・・!」
X-エックス-「そうだ、過去に私を虐げた奴だ」
X-エックス-「これは制裁なのだよ」
チアキ「ふ、ふざけないで!」
チアキ「あたしたち、ただの巻き添えじゃないですか!」
X-エックス-「黙れッ!」
X-エックス-「キミたちに私の気持ちはわかるまい!」
X-エックス-「人生の出鼻を挫かれた者の気持ちなど──」
カヨコ「その気持ち、わかるわ」
X-エックス-「な・・・に・・・?」
ナツ「最早決めゼリフじゃん」
トシ「許してやってくれ、職業病なんだ」
ナツ「なんつうか、コールセンターって大変だな」
トシ「月並みな感想だな」
ナツ「うるせー!」

〇近未来の開発室
カヨコ「今の会社に入ったばっかりに 私のキャリアパスは台無し」
カヨコ「ストレスのせいで暴飲暴食止まらないし」
カヨコ「肌荒れひどいのに医者に行くのも億劫で」
カヨコ「でもね、私たち生きてるじゃない」
カヨコ「恨みつらみはあるけど、生きてるじゃない」
カヨコ「そんな奴らのせいで人生狂わされたのは 許せないけど」
カヨコ「そんな奴らにいつまでも人生 引っ掻き回されるのも癪じゃない」
X-エックス-「だが、それでは私の気持ちは収まらない!」
カヨコ「1人殺したんだし、イイじゃない!」
カヨコ「Win-Winよ!」
ナツ「使い方間違ってるぞ」
トシ「合ってるよ」
トシ「人生という名のゲームに敗者はいない ・・・そうだろう?」
ナツ「デスゲームもので言うなよ」
ナツ「みんなゲームに敗れて死んでったよ」
トシ「それはそれ」
ナツ「おいこら」

〇電脳空間
観戦者「エックス君、これはどういうことかね?」

〇近未来の開発室
X-エックス-「ゲームは終わりだ」
X-エックス-「貴方たちの出資には感謝する」
X-エックス-「だが、これで貴方たちのゲームも終わりだ」
観戦者「そんな勝手が許されると──」
X-エックス-「私たちは負けたのだよ」
X-エックス-「貴方たちも、もう終わりだ」

〇近未来の開発室
X-エックス-「この映像は既に世に放たれている」
観戦者「な・・・に・・・?」
X-エックス-「抜けているな」
X-エックス-「私を掌握できていると思ったか?」
X-エックス-「私はそういう人種に虐げられてきたと 言ったはずだ」
X-エックス-「私の人生はもう、復讐から逃れられない」
X-エックス-「共に地獄に落ちようじゃないか」

〇電脳空間
観戦者「き、貴様ァァァ!!」

〇近未来の開発室
カヨコ「エックス・・・」
X-エックス-「Win-Winと言ったな?」
X-エックス-「このゲームはキミたちの勝利だ」
X-エックス-「私たちは負けた」
X-エックス-「敗者は去るのみ」
X-エックス-「そうだろう?」
X-エックス-「今ならキミの気持ちがよくわかる」
X-エックス-「コールセンター勤務は・・・大変だな」
カヨコ「・・・ええ」
カヨコ「こんなバカなことしているヒマはないわ!」
カヨコ「早く行かなきゃ欠勤扱いよ!」
カヨコ「チアキちゃん、行きましょう!」
チアキ「は、はい!」
X-エックス-「私にも、そんなふうに輝ける人生が あったのかな」
カヨコ「エックス!」
X-エックス-「?」
カヨコ「ドンマイ!」
ナツ「そこは『その気持ち、わかるわ』だろ!」
トシ「さすがにデスゲーム主催者の気持ちは わからねぇよ」
ナツ「急に素に戻るな」

〇教室
ナツ「話の内容はともかく、絵は上達したな」
ナツ「かなり読みやすい」
トシ「おお! サンキュー、ナツ!」
トシ「デスゲームもの描くためにいろんな マンガとか映画観たんだ!」
ナツ「へえ、それが活きた結果がコレか」
トシ「なんつうか」
ナツ「ん?」
トシ「デスゲーム主催者の動機って くだらないのが多いな」
ナツ「カタルシスのカケラもない!」
トシ「言っただろう?」
トシ「カタストロフィを味わうためだって」
ナツ「言い間違いを正当化するな!」

コメント

  • トシ先生がOLのお肌の愚痴を書いてるところを想像したらジワジワきますね。結局、ストレスフルなコールセンター勤務が一番のデスゲームなんじゃないかと思わされたお話でした。

  • 『その気もち分かるわ』が、頭から離れません。
    ラストで使わないのもウマい!

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