ゴッド•ゼロ

こう89

ゴッド•ゼロ(脚本)

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〇ビルの裏
阿笠藁 霞「・・・はあ・・・はあ・・・」
阿笠藁 霞「うう・・・もう、大丈夫・・・かな?」
阿笠藁 霞(おじいちゃんからいざという時に使いなさいって変な石を持たされたけど・・・)
阿笠藁 霞「ぐす・・・怖いよう・・・ママぁ!」
阿笠藁 霞「みんな居なくなっちゃったし、 どうすればいいのお!?」
「・・・ファアアアアアアアアア」
阿笠藁 霞「っ! またこの音!やめて!こっち来ないで!」
阿笠藁 霞「どうして・・・! どうしてこうなっちゃったの!? 誰か、誰か助けてえ!!」

〇渋谷駅前
  ──32時間前・・・
  東京都渋谷区
「なあ・・・なんだろあれ?」
「さあ?気球かなんかじゃね? ほら、広告用の気球とかよく飛んでるじゃん」
「いや・・・それにしては形が歪だし、それ以上に大き過ぎね?」
「言われて見れば確かに・・・?」
「もしかしてUFOだったりしてな!」
「なわけねえだろ!お前、そんなん信じてんのかよ!」
「うるせえよ!良いだろ?男のロマンあってよお・・・」
「えー、只今緊急速報が入りました」
「防衛省からの緊急情報によりますと、東京都渋谷区上空に、謎の未確認飛行物体を確認したとのことです。繰り返します。防衛省・・」
「なあ!?これやばくね!?」
「明らかにあれのことだろ! やべえ!写メ撮らなきゃ!」
「おい、人だかりが出来てどえらいことになってんぞ!?一旦あっちに行こうぜ!」

〇空
  東京都渋谷区上空
「えー、こちら渋谷区から中継です」
「えー現在、渋谷区の上空には謎の飛行物体が駐在しており、街中は騒然としております」
「また防衛省によりますと、他国からの攻撃衛生気球ミサイルの可能性もあるので、この後半径3km以内に規制線が張られるそうです」
「未確認飛行物体の特徴としましては、大きなクルミのような形をしており、半径890Mくらいのやや大きめの球体です」
「えー、只今防衛省から情報が入りました」
「未確認飛行物体からおよそ半径3km以内に規制線が張られますので、中にいる人は直ちに避難してくださいとのことです」
「対象地域は、渋谷、原宿、中目黒、新宿・・・」
謎の飛行物体「ファアアアアアアアアアアアア」
「な、何だ!この音は!?うわああああああ」
「えーたった今、未確認飛行物体からとてつもない甲高い音が発せられた模様で、街中も混乱しております!」
警察官「すいません!ここは危険ですので、直ちに離れてください!」
「え、いやでも今中継中で・・・」
警察官「規制線が張られますので、避難をお願いしております!危険ですので、避難してください!」
「あー、もう!おい!一旦中継止めろ!」

〇国際会議場
  首相官邸
湯雪 勝俣「全く、わざわざ国会を止めてまで首相官邸に来てみれば、何だこの有様は。 空に変な球体が現れただと? フン、バカバカしい」
間宮 雪「勝俣さん、お静かに願います」
湯雪 勝俣「へいへい・・・」
間宮 雪「緊急参集チーム、全員揃いました」
風間 智和「わかった。ゴホン。 国会を中断し、首相官邸にお集まり頂きありがとうございます」
風間 智和「えーこれより、緊急官邸閣僚会議を開きます」
風間 智和「議題と致しましては、東京都渋谷区上空に未確認飛行物体が出現したということで、それに対する対応策を考えていきたいと思います」
風間 智和「雪くん。テレビを」
間宮 雪「はい」
  見てください!
  巨大な謎の球体が街を覆っています!
  街中は騒然としている様子で、混乱を招いています。
湯雪 勝俣「フン、こんなのメディアのデマじゃないのか? ほら、今はCGとかいって作れるんだろう?」
風間 智和「いえ、私も首相官邸に移動する際に見かけましたが、かなりの大きさでした」
風間 智和「ここは国民の安全を1番に考慮し、適切的確に対処を取るのが良いと思います」
風間 智和「私はこの国の首相として、国民の気持ちに寄り添っていきたい」
風間 智和「今街中の居る人々は皆、不安と危険を感じています。だからこそその不安の種を払拭するためにも、私達が迅速に対応するべきです」
風間 智和「そのためにもまずは、国民の安全を第一に対策を取るのが良いと私は考えます」
湯雪 勝俣「ああ、そういう考えも良いとは思うが、経済はどうするんだ?もう既に影響が出ているぞ」
湯雪 勝俣「公共交通機関の停止。 鉄道は運転を見合わせているようだが、これの影響で経済に大きな溝が出来てしまっている」
湯雪 勝俣「それに、諸外国からの攻撃衛生気球ミサイルの可能性もあるんだろう?だったら、やられる前に攻撃したほうが良いんじゃないか?」
間宮 雪「自衛隊を出動させるということですか?」
湯雪 勝俣「ああ、ここはPAC3で迎撃するのが1番だ」
風間 智和「しかしそのままだと街中に被害が出て、死傷者も出かねない。まずは国民の避難が先決と思われます」
湯雪 勝俣「ほう。総理がそういうのならそうすれば良いんじゃないか?」
湯雪 勝俣「しかし、事が長くなるとそれに比例して事も大きくなる。そこを理解しとけよ?」
間宮 雪「湯雪さん!」
湯雪 勝俣「おっと、すまんすまん。失礼なこと言っちまったな。 総理、申し訳ない」
風間 智和「湯雪さん、ここは会議の場ですので相応しくない言動、行動は慎むように」
間宮 雪「では行政機関、警察、消防に避難誘導させるということでよろしいですか?」
風間 智和「ああ、よろしく頼む」
間宮 雪「了解しました」
湯雪 勝俣「自衛隊の出動は良いのか? 関係各所から、自衛隊出動の要請が来ているが」
風間 智和「ええ、それも視野に入れて行動していきたいですが、何事もその前に避難を優先しなければ」
間宮 雪「総理、住民の避難誘導を開始したようです」
風間 智和「わかった。 続いて、あの未確認飛行物体の正体を知りたい。さて、どうしますか?」
湯雪 勝俣「ここは専門家に調査させて見解を聞くのが1番だろう。俺の知人に顔の広いやつが居る。そいつに専門家の招集を頼んでみようようか」
風間 智和「では、湯雪さん頼みます」
風間 智和「それでは一旦会議をお開きとします。 また事態が進めば招集します」
湯雪 勝俣「了解です・・・」
間宮 雪「わかりました」

〇開けた交差点
警察官「規制線内にお住みの住民の皆様は避難をお願いしています!」
男の子「ねえ、僕達どこ行くの?なんで、ひなんしないといけないのー?」
女性「ごめんね〜。何か変な物が出てきたみたいで危ないから避難しないといけないんだって」
男の子「ふ~ん・・・」
男の子「ねえ、あれなに?」
女性「え?」
警察官「な、なんじゃありゃ!?」

〇空
謎の飛行物体「ファアアアアアアアアアアアア」

〇行政施設の廊下
風間 智和「うーむ、厄介なことになったな・・・」
工藤 真斗「ですね・・・。 未確認飛行物体への対処など前例がないですし・・・」
風間 智和「そうだな。しかし、その前例は私達が創るのだよ。事は慎重に進めなければいけないな」
工藤 真斗「ええ、そのとおりです」
風間 智和「工藤くん、住民の避難状況はどうだ?」
工藤 真斗「はい、無事順調に住民の避難誘導は進みつつありますが・・・総理、これを」
  現在の未確認飛行物体の様子ですが、なんと物体から謎の音と光と波動のようなものを発しし続けている模様です!
  防衛省はこの現象について、調査を進めているとのことです。
  引き続き中継を行います・・・
風間 智和「何なんだ、これは・・・」
風間 智和「まるであの未確認飛行物体が生きているかのように見受けられるが・・・?」
工藤 真斗「ええ、音声からも分かる通り、甲高い謎の音を発しし続けながら、動力もなく浮遊しているのを見る限り・・・」
風間 智和「こんなもの・・・私だって信じたくはないんだがな・・・」
工藤 真斗「また状況が急変する可能性もあります。 現場の警察隊に状況観測を要請しておきます」
風間 智和「すまない、頼む」
間宮 雪「失礼します、総理。 先程有識者、及び専門家の到着が完了しました」
風間 智和「よし、応接間に集まらせてくれ。 見解を伺う」
間宮 雪「了解しました」
工藤 真斗「それでは向かいましょう・・・」

〇応接室
風間 智和「えー、では皆さん揃いましたところで、未確認飛行物体に対する見解を伺いたいと思います」
風間 智和「では、遠藤さん。 あの未確認飛行物体は何だと考えられうでしょうか?貴方の見解を伺いたい」
遠藤 忠義「ええ、単刀直入に言うと正体不明です」
風間 智和「・・・」
風間 智和「・・・はい?」
遠藤 忠義「生物学、物理学、はたまた心理学かもしれない・・・。 アレが見えるのは、集団催眠かもしれませんよ? ホホホ・・・」
遠藤 忠義「・・・まあとにかく、私からは実物を解剖しないことには、何も見解を述べることは出来ませんなぁ」
遠藤 忠義「それに、見た目で判断できるのなら研究なんて苦労しないでしょう? ホホホ・・・」
風間 智和「そ・・・そうですか~・・・」
風間 智和「では、次に周防さんに見解を伺いたい」
周防 正隆「私からも同意見です・・・ 視認だけでは判断の仕様がありません・・・」
周防 正隆「生物だとすれば、あの見た目でどのような方法で浮遊を可能としているのか、非常に関心が高まるところですが・・・」
周防 正隆「そもそも、政府の皆様方はあの物体に対してどういう対処を取るおつもりで・・・?」
風間 智和「・・・」

〇行政施設の廊下
風間 智和「何なんだ!あの専門家達は! まともな見解を一言も述べやしないじゃないか!」
工藤 真斗「ええ・・・おっしゃる通り、お気持ちお察しします」
風間 智和「そもそもあの専門家達を呼んだのは誰だ?」
工藤 真斗「それは・・・勝俣さんですが、一応あの方たちもれっきとした名高い学者方なのですが」
風間 智和「何が、解剖しないことには見解を述べられませんだ! だったら、呼んだ意味がないじゃないか!」
工藤 真斗「・・・はあ」
風間 智和「まあいい・・・ それより、未確認飛行物体はどうなっている?」
工藤 真斗「はい、現場の警察隊によると依然として浮遊と謎の音と光と波動を発しし続けたまま駐在しているとのこと」
工藤 真斗「住民の避難が終わり次第自衛隊に対処を任せましょう」
風間 智和「ああそうだな・・・」

〇オフィスのフロア
会社員「なあ、俺たちそろそろ避難しないと不味いんじゃないか?」
会社員「わかっとるわ! 今、避難準備しとるがいな!」
会社員「皆さん!落ち着いて! 安全に避難しましょう!」
会社員「ああ・・・!ほら見ろ! 避難が完了次第、自衛隊による接近を行うって・・・」
会社員「接近・・・?それって戦うんか?」
会社員「さあ、様子をみるんじゃないか? そんなことより、早く俺達も避難しないと巻き込まれるぞ!」
会社員「知っとるがいな! 今準備しとると言っとるじゃけん、ちょい待ちいや!」
会社員「そちらのお二人方も急いで避難を・・・」
会社員「うわあああ!!なんや!?地震かいな!?」
会社員「た、多分あの空飛んでるやつがやったんじゃないか?」
会社員「くそお!早く用意せんとアカンっちゅうに!」
会社員「い、急いで・・・!」

〇国際会議場
湯雪 勝俣「な、何だ!?地震か!?」
間宮 雪「皆さん無事ですね!?」
風間 智和「このタイミングで地震とは・・・ もしかして・・・あの物体が引き起こした地震じゃないか?」
間宮 雪「可能性は否定できませんが・・・ えーでは、気を取り直して、第二回緊急官邸閣僚会議を開始します」
湯雪 勝俣「けっ・・・嫌になるぜ全くよお・・・」
風間 智和「えーではまず、住民の避難はどうなっていますか?」
工藤 真斗「はい。 もう既に規制線の内部に登録されている住民の8割以上が避難を完了している事を確認しています」
風間 智和「なるほど。避難が完了したということで、次の段階に移りますが・・・」
湯雪 勝俣「あー、そこは俺に任せてくれ。 もう既に防衛省と掛け合って、自衛隊の出動準備を進めている」
風間 智和「わかりました。ありがとうございます。 ・・・しかし、未確認飛行物体と自衛隊を接触させるんですか?」
湯雪 勝俣「ああ、せざるを得ないだろう。 奴の対処をするなら、戦闘ヘリの銃火器でイチコロだ」
風間 智和「うーん、出来るだけ市街地での戦闘は避けたい・・・。 それにまだ、未確認飛行物体の危険性はわからないだろう?」
湯雪 勝俣「ほう・・・。ということは、総理は安全性がわかった暁には未確認飛行物体との共存を目指すおつもりかな?」
風間 智和「いえ、そんなことはありません」
風間 智和「あそこに浮遊したまま駐在されると、航空機との衝突や、諸外国からの非難やトラブルを招きかねない・・・」
風間 智和「私は、あの未確認飛行物体の安全性が分かり次第、確保し、すぐさま障害とならない安全な場所へと移動させることを検討します」
風間 智和「ついでに、あの未確認飛行物体を研究材料として利用できれば、研究者達も大喜びでしょう」
工藤 真斗「ええ・・・私も総理のお考えに賛成です」
湯雪 勝俣「しかし、もしあの未確認飛行物体が危険物だと分かれば、総理はどうされるおつもりで?」
風間 智和「その場合は・・・、自衛隊との戦闘も視野に入れるが・・・ いやでもしかし、未確認飛行物体との戦闘は・・・」
湯雪 勝俣「ふん、つまりは総理は出来るだけ自衛隊による軍事行動を出来るだけ抑えたいというように感じるが?」
風間 智和「・・・ああ、そもそもこの国は戦争は反対している」
風間 智和「だからこそ、あの未確認飛行物体がどこかの国の物だとすれば、破壊すれば戦争を招きかねない」
風間 智和「それに、自衛隊は人を守り、救うための組織だ。 何かを攻撃するための組織ではない・・・」
湯雪 勝俣「しかし、人を守り救うために自衛隊による軍事行動が最適だと思うがな・・・」
風間 智和「ただ・・・自衛隊による軍事行動も、未確認飛行物体の処遇も・・・」
風間 智和「全てこの責任を取るのは私だからな」
湯雪 勝俣「・・・」
風間 智和「私は、自分自身のたった一つの間違った行動で国民を巻き込み危険にさらしてしまう可能性だってある」
風間 智和「だからこそ、事は慎重にすすめなければならない・・・」
湯雪 勝俣「へいへい・・・了解ですわ」
湯雪 勝俣「とにかく、物は試しだ。何事もやってみなきゃわかんねえ。自衛隊の出動を要請する」
風間 智和「・・・わかりました。 しかし、名目上は未確認飛行物体の危険性の調査ですよ?」
湯雪 勝俣「ああ、わかってる。では、防衛省と取り合って進める」
風間 智和「では、次に国民への未確認飛行物体の説明をどうしますか?」
工藤 真斗「やはり、ここは直々に総理が会見を開いて、国民に説明をしなければ・・・」
風間 智和「ああ、そうだな・・・ 国民に向けて現状を説明する内容は、自衛隊の出動命令や未確認飛行物体への対処方針・・・」
工藤 真斗「避難や安全の確保の呼びかけも行わなければいけませんね・・・」
間宮 雪「会見場の確保なら、もう既に済んでおります。あとはメディアを呼び集めるだけですが・・・」
風間 智和「流石は仕事が早いな。 よし、自衛隊の出動と国民に向けた記者会見を行うこととする。 閣僚会議は以上とする・・・」

〇会見場
「こちら記者会見場より中継です。 そろそろ会見が始まります・・・」
「あっ!たった今首相が会見に現れました!」
風間 智和「えー、会見にお集まり頂きましてありがとうございます」
風間 智和「えーこの場では、未確認飛行物体に対する対処方針の説明や、記者による質疑応答を取らせていただきます」
風間 智和「あーまず、未確認飛行物体にはまだ危険性や安全性が把握できておらず、未知の要素が多いため、避難要請を行いました」
風間 智和「また、半径3km以内の住人の8割以上の避難が完了したのを確認しましたので、自衛隊による未確認飛行物体への接近を行います」
風間 智和「えーまた、国民の皆様方には、行政機関の指示や警察、消防、自衛隊の指示に従って頂き、」
風間 智和「テレビやラジオの随時流れる緊急情報に従って行動して頂くことをお願いします」
風間 智和「また、規制線の近くにも近寄らず、屋内でテレビやラジオを付けての待機をお願いします」
風間 智和「伝達情報は以上となります」
「では、続いて記者による質疑応答に移ります。 質疑応答の際は、局名や名前を名乗っていただきます」
「はい!日丸テレビ局の春日です。 自衛隊による未確認飛行物体への接近とありましたが、攻撃を行うのですか?」
風間 智和「いえ、まだ危険性や安全性がわかっていないため、自衛隊による攻撃は控えまして調査や様子の観察を行います」
「わかりました」
「はい!一日新聞の田中です。 未確認飛行物体について、わかった情報があれば教えていただきたいです」
風間 智和「はい。 ですが今の所未確認飛行物体についてわかった情報が少なく、専門家に伺った情報によると生物の可能性もあるとのことです」
「なるほど」
「はい!えー、東経テレビの増田です。 自衛隊の出動ということですが・・・」
野々村 菊夫「総理・・・」
風間 智和「どうした?」
野々村 菊夫「・・・」
風間 智和「なんだって!?」

〇空
謎の飛行物体「ファアアアアアアアアアアアア」
謎の飛行物体「キィアアアアアアアア」
謎の飛行物体「ファアアアアアアアアアアアア」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」

〇会見場
野々村 菊夫「・・・失礼します」
野々村 菊夫「総理・・・」
風間 智和「えー、き、緊急事態が起きましたので、ひとまず会見を中断と致します。申し訳ございません」
「どういうことだー!」
「緊急事態とは何でしょうか!?総理!」
「おい!これ見ろよ!未確認飛行物体の中から何か出てきてるぞ!」
「なんじゃこりゃ!おい、一旦戻るぞ!」

〇国際会議場
風間 智和「どういうことだ!何が起きているんだ!?」
工藤 真斗「メディアの映像を見る限り、明らかに生物としか言いようがありません・・・ まるで未確認飛行物体が孵化したかのようだ・・・」
間宮 雪「湯雪さんから、自衛隊出動の許可の要請が来てます。 どうされますか?」
風間 智和「こんな事態だ。やむを得ん。 自衛隊の出動を、許可する」
間宮 雪「・・・了解」
風間 智和「奴は完全なる生物だ。 戦闘はできる限り避けたい。 様子を見る形で奴との距離を取りつつ出撃してくれ」
間宮 雪「わかりました。そう伝えます」
工藤 真斗「人間の形をしつつ、羽が生えてる・・・。 これは・・・生き物なのか・・・?」
風間 智和「とにかく、まずは奴は我々の天敵なのか確かめたい・・・ そして、奴は生物なのかそれとも・・・」
風間 智和「超次元の、我々では理解しえない超生物なのか・・・ それを知る必要がある」
工藤 真斗「・・・そうですね。 我々日本国民の代表として、やるべきことがある」
風間 智和「自衛隊の出動と配置が完了したら、官邸閣僚会議室と現地を中継で繋いでくれ」
間宮 雪「了解しました」
風間 智和「これは、我々の大仕事だ。 心して取り掛かれ!」
工藤 真斗「はい!」
間宮 雪「わかりました!」
風間 智和「奴は敵なのか、味方なのか・・・ まずは相手のことをよく知らなければ・・・」

〇兵器の倉庫
自衛隊職員隊長「皆も知っている通り、未確認飛行物体に対し自衛隊出動命令が下された。 とうとう我々の出番だ!」
自衛隊職員隊長「我々は戦闘ヘリコプターAH-64Dアパッチ3機と、観測ヘリコプターOH-1 1機の合計4機で出撃する!」
自衛隊職員隊長「アパッチで目標と距離を取りつつ、様子を見る。OH-1は目標の様子を実況してくれ」
自衛隊職員隊長「これは、国民の安全を守るための大切な作戦だ!気を引き締めて出撃しろ!」
自衛隊職員「はっ!」
自衛隊職員「はっ!」
自衛隊職員隊長「では、出撃の準備に取り掛かるぞ!」

〇空
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員「目標を肉眼で確認した。 予定配置地点に到着。目標と距離を取りつつ観測を開始する」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員「目標から甲高い声が発せられている。 ・・・今の所危険性は無しと見られ」
ゴッド「キイイイイイイイイイイ」
自衛隊職員「うわあああああああああ!!」
自衛隊職員「田代隊員! クソッ!目標から謎の波動を発した模様!田代隊員のヘリがやられた!」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員「うわあああ!!! おらああああ!!」
自衛隊職員「回避した!! これ以上は危険と判断!!帰還する!!」
自衛隊職員「うっ!操縦が!?」
自衛隊職員「墜落する!!」
ゴッド「キエエエエエエエエエ」

〇国際会議場
風間 智和「おい!応答しろ!応答するんだ!」
間宮 雪「ヘリ部隊残り2機は撤退したそうです・・・」
湯雪 勝俣「何だと!?圧倒的過ぎるじゃないか!?」
工藤 真斗「しかし、これで奴の危険性と我々の敵だと言うことがわかりました・・・。 散っていった隊員の死は無駄ではありません」
風間 智和「ああ・・・そうだな・・・」
湯雪 勝俣「どうするんだ!?奴の強さがわかったのは良いが、あの一瞬でヘリ2機が撃墜などありえん!」
湯雪 勝俣「このままだと、避難している住民にも被害が出るぞ!」
風間 智和「わかってます。奴の外見を見る限り、移動性もあるでしょう・・・。 規制線外に出られたら一環の終わりです」
工藤 真斗「ここは自衛隊による防衛線を構成することを強く要望します。 これ以上被害を出すためにはいけない・・・」
湯雪 勝俣「ああ、そこは俺も同感だ・・・ 自衛隊による即戦力性と軍事力を持ってすれば、奴を倒すことは容易いだろう」
風間 智和「自衛隊による軍事力行使・・・。 出来るだけ避けたかったですが・・・」
風間 智和「・・・わかりました。 自衛隊による軍事力行使を許可します」
湯雪 勝俣「おう。よく決断できたな・・・」
工藤 真斗「ありがとうございます」
湯雪 勝俣「よし、すぐさま防衛省と掛け合って自衛隊に防衛線を敷くように命令するよ」
風間 智和「わかりました。ありがとうございます」
風間 智和「しかし、自衛隊による軍事行動をするとなれば、緊急事態宣言を発令したほうが良いですね・・・」
工藤 真斗「では私は被害状況の確認と、緊急事態宣言の発令を行います」
風間 智和「ああ、よろしく頼む」
風間 智和「これは・・・これは大きな戦いだ・・・」

〇会見場
風間 智和「えーですから、自衛隊による軍事行動要請を出すにあたって、緊急事態宣言を発令します」
「おい!これ番組テロップに大きく書いてくれ!」
「緊急事態宣言・・・」
風間 智和「えー今、我が国の存亡危機に直面しています。 未確認飛行物体の攻撃力と危険性が明るみになった今、見過ごすことは出来ません」
風間 智和「自衛隊の戦闘ヘリが2機撃墜され、既に被害も出ています」
風間 智和「ですのでこれ以上の被害を抑えるため、自衛隊による防衛線を敷くこととなりました」
風間 智和「規制線に沿って円形状の大規模な戦車隊を構成し、戦闘ヘリや戦闘機による迎撃を行います」
「それって、未確認飛行物体を倒すことは出来るんですかー!?」
風間 智和「・・・いえ、現段階ではまだ予想はできません。 今は少しでも足止めできれば幸いといった所です」
「じゃあそれって倒すことは出来ないから無意味じゃないかー!?」
工藤 真斗「皆さんお静かに願います!」
工藤 真斗「確かに現段階では、未確認飛行物体の侵略に対する抑止力と為るかはまだわかりませんが・・・」
工藤 真斗「しかし!自衛隊と政府の連携をして持って、国民の安全を第一に守ります!」
「一旦局に帰るぞ・・・」
「自衛隊の出撃に緊急事態宣言とは・・・ 終わりだ・・・」
風間 智和「・・・」
風間 智和「これで、緊急記者会見を終わります」
「ちょっと待って下さい!総理ー!」
「自衛隊の出動ということは、攻撃の許可を認めるということですか!?総理!?」

〇渋谷のスクランブル交差点
  渋谷スクランブル交差点
  戦車隊の配置と整列、整いました!
  了解した。
  ・・・これより、未確認飛行物体迎撃防衛作戦を開始する!
  作戦内容は、先に戦闘ヘリで未確認飛行物体に接近し迎撃する。その後戦闘機によるミサイル攻撃を行い、戦車隊で迎撃する!
  未確認飛行物体がこちらに接近してきた場合は、その都度距離を取れ!距離を取りながら砲撃を続ける!
  いいか!?これは、国民の命と、国の存亡をかけた大きな戦いだ!心して掛かれ!
  愛する家族を、友を、人々を守るために!
  ハッ!!

〇空
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員隊長(部下の仇を取って見せる!)

〇国際会議場
間宮 雪「自衛隊全部隊の整列、整いました。 これより、全指揮権は現場に移りますが・・・よろしいですか?」
風間 智和「ああ、作戦の執行と、全指揮権の移行を・・・許可する」
間宮 雪「了解・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
  只今、総理から全許可を頂きました。
  これにより、全指揮権は我々に移行します。
  わかった・・・
  未確認飛行物体迎撃防衛作戦、開始!!

〇空
自衛隊職員隊長「部下の仇だ!受け取れ!」
自衛隊職員隊長「攻撃続行! 目標との距離を取りつつ、迎撃を続けろ!」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員隊長「クッ!?うがああああああ!!」
「隊長ー!!クソッ!よくもおおお!!」
ゴッド「キエエエエエエエエエ」
「な、なんだ!?引き込まれる!? うわああああああ!!」
ゴッド「オオオオオオオ」
「ESSMミサイル、発射まで5秒前、 5,4,3,2,1,0、」
「続いて2発目!」
「空対空レーダーミサイル起動!発射!」
「戦闘ヘリによる迎撃を続ける!」
ゴッド「キャアアアアアア」
「な、なんだ!?うわああああああ!!」
「クソオオオオ!!」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
  第七航空部隊、応答せよ!応答せよ!
  第七航空部隊!
  駄目だ・・・!応答がない・・・!
  第七航空部隊、全滅を確認した!
ゴッド「キャアアアアアア」

〇渋谷のスクランブル交差点
  嘘だろ・・・!?
  第七航空部隊、戦闘ヘリ20機に戦闘機14機の大部隊をあのたった一瞬で・・・!?
  第七航空部隊は全滅した!
  続いて第五、第六航空部隊続け!
  第3エリアに第二陸上戦車部隊を移動!!
  いつでも迎撃できるよう、弾は装填しておけ!
  了解!!
  第二陸上戦車部隊は・・・

〇空
ゴッド「キエエエエエエエエエ」
「うわあああああああああ!!」
「第四陸上ミサイル迎撃部隊、 03式中距離地対空誘導弾、発射!!!」
ゴッド「ゴオオオオオオオオオオ」
「第四陸上ミサイル迎撃部隊!! 応答せよ!!応答せよ!!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  第二エリア防衛線に駐在していた、第四陸上ミサイル迎撃部隊からの応答が途絶えました!
  ええい!これ以上の未確認飛行物体に対する航空部隊の攻撃による効果は望めない!
  これより、全陸上部隊による迎撃を開始する!
  全戦車部隊、砲撃開始!
  砲撃が目標に命中したのを確認!
  引き続き、全戦車部隊迎撃を続行しろ!

〇空
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」

〇渋谷のスクランブル交差点
  な、なんだ!?こっちに何か打とうとしてるぞ!?

〇国際会議場
風間 智和「おい!応答しろ! おい!無事か!?」
湯雪 勝俣「な、なんだ!? あのまばゆい光線は・・・!?」
湯雪 勝俣「また全滅か!? これじゃヘリ部隊の二の舞いじゃないか!」
間宮 雪「現地からの通信が完全に途絶えました・・・」
風間 智和「定点カメラも見えなくなった・・・。 どうやら、先程の攻撃で破壊されたみたいだが・・・?」
湯雪 勝俣「現地との情報伝達が出来なくなると、こちらも指示ができなくなってしまうぞ。 さあどうするんだ?総理?」
風間 智和「こうなったら、我々が直接この目で確認するしか無い・・・ どこかに都市一帯を見渡せる高台は無いか?」
間宮 雪「近くにキャパシティオールデパート超高層ビルがありますが・・・」
風間 智和「よし、そのビルの屋上から防衛作戦の現地観察を行う! 移動するぞ!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  渋谷区スクランブル交差点
ゴッド「キエエエエエエエエエ」
自衛隊職員「はあ・・・はあはあ・・・。 みんなあ・・・!」
自衛隊職員「ッ!?」
自衛隊職員「なんで、奴がここに!?」
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
自衛隊職員(クソッ・・・この頭に響く音・・・。 一歩間違えたら気を失ってしまいそうだ・・・)
ゴッド「ゴオオオオオオオオオオ」
自衛隊職員「いやあ!やめてえ!」
自衛隊職員「うぎゃあああああアアア!!」
ゴッド「ヒュウウウウウ」

〇空港の屋上
風間 智和「何なんだ、この光景は・・・?」
湯雪 勝俣「航空部隊は3部隊とも全滅・・・ 戦車部隊の3/2が謎の光線によって消え去った・・・」
間宮 雪「防衛線第九エリアまで未確認飛行物体到達を確認・・・。 街を破壊しながら依然として進行中・・・」
湯雪 勝俣「残りの残存戦力は!? 最終防衛線エリアに集結させて、少しでも奴を足止めするんだよ!」
風間 智和「そうしたいのも山々だが・・・ しかし、現地との通信が途絶えてしまって指示も出来ない」
風間 智和「ここは一旦防衛省と連絡を取り、繋がり次第規制線の範囲を広げるように伝えてくれ」
風間 智和「ここを第3緊急指令支部として司令を行ってもらいたい。 観測もここなら容易いしな」
風間 智和「また、残りの自衛隊戦力を出撃させて防衛線エリアに配置させてくれ。 住民の避難の時間稼ぎになれば良い」
湯雪 勝俣「・・・了解だ」
間宮 雪「規制線の範囲はどのくらいまで?」
風間 智和「・・・東京都全域だ。 奴の強さじゃ防衛線はすぐ突破される。 範囲を出来るだけ広げるんだ・・・!」
間宮 雪「わかりました!」
風間 智和「未確認飛行物体・・・ 奴はまるで神だ・・・」

〇会見場
風間 智和「ですので・・・防衛線と規制線の範囲を拡大するとともに、東京都全域に在住の住民の皆さんは直ちに避難してください!」
風間 智和「この緊急会見場は比較的東京の端の方に位置してますが、もうじき未確認飛行物体はここにも到達します」
風間 智和「ですので、この緊急会見が終わった後は、直ちに県外へ避難してください!」
「防衛線に配置されていた自衛隊部隊はどうなったんですか!?」
風間 智和「・・・全滅しました」
「全滅!?全滅って全員亡くなったということでしょうか!?」
「おい!会見だぞ! ・・・失礼な質問をしてしまい申し訳ございません!」
風間 智和「いえ・・・」
「総理!米軍への戦力支援の要請は行わないのでしょうか!?」
風間 智和「えー、それにつきましては只今検討中であり、防衛線拡大に伴い編入する予定です!」
「総理ー!被害状況についてなのですが・・・」
「な、なんだ!?地震か!?」
「奴だ・・・!未確認飛行物体だよ! ここに来たんだ!」
「助けてくれえ!」
「死にたくねええ!!」
風間 智和「皆さん落ち着いてください! 会見中です!お静かに・・・」

〇会見場
「電気が消えた!?」
「クソッ、停電か!」
風間 智和「えー、今ブレーカーを確認しに・・・」
「また揺れた!!」
「もう嫌だ! 逃げるぞ!」
風間 智和「皆さん落ち着いて! 一旦緊急会見は中断し、速やかに避難しましょう!」
「早く外に出てよ!後がつっかえているのよ!?」
「もう既にここに奴が来てるかもしれないんだぞ!?早く部屋から出ねえと!」
風間 智和(参ったな。 完全に会見場は混乱状態だ・・・)
工藤 真斗「総理!無事でしたか!」
風間 智和「工藤くん!何があったんだ?」
工藤 真斗「どうやら、東京都の電力中枢施設が奴によって破壊され、街全体が大規模な停電が起こっているみたいです」
風間 智和「そういうことか・・・ 奴は今どこまで進行してきてる?」
工藤 真斗「現地防衛線からの情報によると、第12エリアまで進行してきてる様です」
風間 智和「かなり進んできてるな・・・ 防衛線の配置は?」
工藤 真斗「もう既に防衛線の半分以上の配置が完了しています。只今、自衛隊による懸命な攻撃が続けられています・・・」
風間 智和「そうか・・・ 現地と官邸に中継で繋げてくれ。 我々も急いで官邸に向かおう」
工藤 真斗「では、あちらは混んでおりますのでこちらから・・・」
風間 智和「ああ、ありがとう」

〇開けた交差点
ゴッド「ファアアアアアアアアアアアア」
男性「な、何だコイツ!?」
女性「アレって・・・例の!?」
ゴッド「キエエエエエエエエエ」
男性「やめろお!俺・・・俺まだ死にたくねえんだよ!」
女性「嫌・・・助けて母さん!」
ゴッド「キャアアアアアア」

〇荒廃した街
ゴッド「シャアアアアアア」
自衛隊職員「・・・ッ!!」
自衛隊職員隊長「こちら第13エリア陸上防衛線α部隊。 目標、未確認飛行物体を発見した。 これより、戦闘を行う!」
自衛隊職員隊長「さっさとくたばりやがれ!!」
自衛隊職員隊長「効いたか!?」
ゴッド「オオオオオオオオオオ」
自衛隊職員「ぐはああああああ!!」
自衛隊職員隊長「佐藤!! クソッ!守りきれなかった!」
自衛隊職員隊長「仇だおらあああああ!!」
自衛隊職員隊長「・・・くそっ!弾切れかっ!?」
ゴッド「ファアアアアアアア」
自衛隊職員隊長「なんで・・・無傷なんだよ・・・」
ゴッド「オオオオオオ」
自衛隊職員隊長「ぐわああああああああ!!!」
自衛隊職員隊長「熱いいいい!!あついよおおおおお!! たすけてええええええええええ」
自衛隊職員隊長「いやあ!!まだ死にたくないいい!!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
自衛隊職員隊長「ああああ・・・」
ゴッド「キイイイイイイイイ」

〇東京全景
自衛隊職員「こちら第24航空ヘリ部隊。 生存者を確認した。これより救助を開始する」
自衛隊職員「ヘリを降下してくれ」
自衛隊職員(それにしても、東京は火の海だ・・・ これを全部未確認飛行物体がやったのか・・・?)

〇高い屋上
会社員「もうお終いや・・・! 奴があ!奴がこっちに来よるぅ!」
女性「大丈夫です!自衛隊の助けがもうじき来ますから!」
会社員「そうだよ!落ち着けよ!」
会社員「落ち着いてられるちゅうか!? 避難も遅れた結果がこれやでな・・・」
会社員「ひいいいいいいいい!!」
会社員「な、何だ!?」
女性「あ!向こうのビル一帯が爆発してる・・・!」
会社員「やっぱりこっちに来とるやんけ!? やつがあああああ!」
会社員「おい!ヘリの音がするぞ・・・!? あっ!自衛隊のヘリだ!助けに来てくれたんだ!」
女性「良かったですね!これで助かります!」
女性「・・・え?」
会社員「桜はん!?おい!桜はん!?」
会社員「いやああああああああああ!! 現れたアアアアア!!」
会社員「おい!?服部?服部!?」
会社員「くそ!こんな時に気絶したのかよ!」
ゴッド「キャアアアアア」
会社員「もう・・・終わりなのか・・・?」
会社員「ッ!」
自衛隊職員「早くヘリに乗りなさい!!」
会社員「自衛隊!?」
自衛隊職員「早く!!」
会社員「はっはい!」
ゴッド「シャアアアアアア」
自衛隊職員「はあ・・・やべえ・・・」
自衛隊職員(今・・・目の前に未確認飛行物体が・・・ バケモンが居るんだ・・・)
自衛隊職員(どうやったら生き延びれる? ・・・そんなもん考えてる暇はねえよな)
自衛隊職員(今はただひたすら・・・、ヘリの撤退の時間稼ぎをしねえと!)
自衛隊職員「おらあ!バケモンめえ! お前何人もの俺の仲間を殺してきた!?」
ゴッド「キエエエエエエエエエ」
自衛隊職員「まあ、ここまで順調に来れたのは褒めてやるが・・・! だがもう終わりだ!!」
自衛隊職員(やべえ・・・こええ・・・)
自衛隊職員「俺が今すぐ!おめえの頭をこの鉄砲玉で撃ち抜いてやる!!」
ゴッド「オオオオオオ」
自衛隊職員(よし!俺に気が向いている!)
自衛隊職員「喰らえ!!」
ゴッド「ギャアアアアアアアア」
自衛隊職員(ちっ!効かねえか!)
自衛隊職員「おい!俺を置いて発進しろ!早く!」
「おい!良いのかよ!?」
自衛隊職員「今は少しでも多くの人が助かるべきだ! 俺一人の命なんて・・・!」
自衛隊職員「ほら!俺に奴の気が向いている隙に、早くヘリを発進しろ!」
「クッ・・・!わかった! すまない・・・!」
自衛隊職員(あーあ。これでもう逃げられねえな。俺)
ゴッド「キャアアアアア」
自衛隊職員「あー、折角魔法少女まど○マギカ録画したのに・・・。最期に見たかったな・・・」
ゴッド「シャアアアア」

〇東京全景
会社員「あの隊員さん、俺達を避難させるために・・・!?」
自衛隊職員「ああ・・・くそお・・・!」
自衛隊職員「こちら第24航空ヘリ部隊!救助者を乗せている!これより急ぎ帰還する!」
会社員「そんな・・・、俺達のために・・・」
会社員(俺は・・・どうすれば良いんだ・・・)
会社員(あの隊員さんの失った命になり代わるくらいの事を・・・俺には何が出来る・・・?)
会社員(ああ・・・どうしてこうなっちゃったんだろうな・・・)

〇SHIBUYA109
ゴッド「ファアアアアアアア」
ゴッド「キエエエエエエエエエエエ」

〇国際会議場
風間 智和「皆さん集まったよう・・・」
風間 智和「あれ、湯雪さんは・・・?」
間宮 雪「それが・・・、ここに向かう途中に未確認飛行物体による攻撃で亡くなられたそうです・・・」
風間 智和「なん・・・だと・・・!?」
工藤 真斗「勝俣さん・・・」
間宮 雪「私もついさっき知ったばかりで・・・」
風間 智和「・・・」
風間 智和「今ここで内閣閣僚1名の命、湯雪勝俣さんの弔いを込めて、黙祷を捧げる・・・」
風間 智和(湯雪さん・・・あなたのお陰で未確認飛行物体に対する対応を速やかに進めることが出来ました・・・)
風間 智和(今まで先頭に立って私達を引っ張っきてくださり、本当にありがとうございました。 ・・・もうゆっくりお休みください)
風間 智和「・・・さあ感傷に浸る時間も惜しいが、湯雪さんへ報いるためにも未確認飛行物体に対する次の対応を進めなければならない」
工藤 真斗「・・・はい!」
間宮 雪「湯雪さんの仇を打つためにも!」
風間 智和「ああ・・・ これより第三回緊急官邸閣僚会議を開きます」
風間 智和「まず、状況の情報共有を行いたい。 現在、未確認飛行物体の到達エリアは?」
工藤 真斗「えー現在、未確認飛行物体はエリア15まで到達しているのを確認済みです」
風間 智和「エリア15だと!? かなり進んできているな・・・」
間宮 雪「ええ、自衛隊による必死の防衛が続けられていますが、状況は芳しいものではありません・・・」
間宮 雪「なんとしてでもエリア20への到達・・・ 東京から出すわけにはいきません!」
風間 智和「ええ、そうですね・・・。 では、未確認飛行物体の侵攻に対する防衛手段ですが・・・」
間宮 雪「それについては私から提案があります」
風間 智和「おお!雪くん」
間宮 雪「はい、自衛隊の被害状況や未確認飛行物体の進行状況を鑑みると、かなり危険であり逼迫しています」
間宮 雪「ですので、ここで米軍による支援を要請してはいかがでしょうか?」
風間 智和「米軍の出動・・・か。 確かにこの状況であれば・・・」
工藤 真斗「しかし、今から米軍に要請したところで支援が間に合うでしょうか? 支援が来る前にエリア20に到達される可能性が高いです」
風間 智和「ええ・・・確かに間に合うかはわかりませんが・・・」
風間 智和「米軍の軍事力は我が国の自衛隊よりも水準が軒並み高い。 ここは米軍に頼るのが1番無難だ」
風間 智和「たとえ間に合うかはわからないだろうが、賭けてみるしか無いでしょう! 一か八かというやつです」
風間 智和「・・・それに、湯雪さんだったらそうするはずだ」
工藤 真斗「ふっ・・・そうですね」
間宮 雪「こんな状況だって言うのに、最後の切り札は博打ですか・・・」
風間 智和「工藤くん、米軍への支援要請を頼む」
工藤 真斗「了解!」
風間 智和「雪くんには、自衛隊の全残存兵力をエリア19に集結させて欲しい。 防衛線の再構築を頼む。出来るか?」
間宮 雪「もちろんです!任せてください!」
風間 智和「ああ、頼む!」
風間 智和(たとえ、これが最後の悪足掻きになろうがなんだろうが、やってみせる・・・!!)

〇入場ゲート
  横田米軍基地
米軍兵士「7番ゲート開くぜ!」
「Runway 7 check. Clear all obstacles.」
「Final aircraft safety check completed.」
「Five seconds before M-7 engine ignition.」
「5,4,3,2,1,0. engine ignition.」
米軍兵士「ぐおっ・・・!!」
米軍兵士(いいね・・・!このタマヒュンたまんねえ・・・!)

〇空
米軍兵士「グッドラック♪ ・・・って、相変わらずこのハラハラ感がたまんねえ!」
米軍兵士「・・・未確認飛行物体だっけか? まったく、こんな夜中に騒ぎやがってよ。 さっさと片付けてやるぜ!」

〇繁華な通り
自衛隊職員「くそお・・・本部もやられてこんなところで待機させられたまま・・・」
自衛隊職員「俺達どうすりゃ良いんだよお・・・!」
戦車「おい!さっき第3緊急指令支部から通達が来た!」
自衛隊職員「なんだって!?」
戦車「エリア20を死守するために、エリア19に現残存兵力を集結させて、防衛線の再構築を行うらしい!」
自衛隊職員「おい・・・まだ戦うのかよ・・・」
戦車「仕方ねえだろ、奴を倒すためだ! 行くぞ!早く乗れ」
自衛隊職員「へいへい・・・」

〇渋谷の雑踏
  国民保護情報、国民保護情報。
  東京都全域に、全退去命令が発令されました。
  当地域にお住まいの皆さんは、自治体に従って避難し、テレビ・ラジオを付けてください。
  繰り返します・・・
自衛隊職員「東京都全域からの緊急避難が発令されましたー!!皆さんは急いで郊外の避難所へ移動してくださーい!」
男の子「ママぁ・・・!ママはどこぉ・・・!」
男性「早く!早く避難しねえと!」
男の子「・・・! あの・・・すいません。 僕のママがどこに居るか知りませんか・・・!?」
男性「ああん!?ママだとぉ!? そんなもん知らねえよ! ガキが邪魔してんじゃねえ!」
男性「どけ!」
男の子「ッ・・・!」
男の子「・・・ごめんなさい」
男性「チェッ・・・全くよお・・・」
自衛隊職員「おい君!今その男の子を叩いただろう!?」
男性「なんだよ。 邪魔だったから制裁を加えてやっただけさ。 何が悪い?」
男の子「でも、ママがぁ・・・」
自衛隊職員「ママかい?お母さんとはぐれてしまったのか・・・」
自衛隊職員「君!この子が困っているというのに・・・!」
男性「チェッ!うるせえんだよ! おいガキ、悪かったな!」
男の子「あ・・・うん」
自衛隊職員「おい!待ちなさい! ・・・って」
自衛隊職員「僕?お母さんとはぐれてしまったんだろう? お兄さんも一緒に探してあげるよ!」
男の子「ほんと・・・ですか? ・・・ありがとうございます・・・」
自衛隊職員「お礼は、お母さんを見つけてからだよ。 さっ、一緒に探しに行こう!」
男の子「・・・うん」

〇空
  エリア19上空
自衛隊職員「ここが指令通りの場所のはずだが・・・」
自衛隊職員「配置ポイントに到着。 これより次指令まで待機する」
自衛隊職員(どうやら他の航空ヘリ部隊も集まってきたようだな・・・)
自衛隊職員(凄え・・・戦闘機まで・・・)
自衛隊職員(どうやら、ここで奴を食い止めるみたいだが、かなりの兵力が集まりつつあるな)
自衛隊職員「それだけこの作戦に賭けてるってことだろう。 しかし・・・この兵力でも油断はできないな」
自衛隊職員「エリア19、配置ポイントに到着」
自衛隊職員(そろそろかなり集まってきたようだな・・・)
自衛隊職員「・・・ん?」
自衛隊職員「なあ、なにか聞こえないか・・・?」
自衛隊職員「嘘だr・・・」

〇空港の屋上
自衛隊職員隊長「こちら第3緊急指令支部から。 強力な閃光と衝撃を肉眼で確認した。 何があった?」
自衛隊職員隊長「おい!第四航空ヘリ部隊!? おい!・・・」
自衛隊職員「多分今さっきのは奴の攻撃で、ヘリ部隊は全滅したのでしょう・・・」
自衛隊職員隊長「ええい!まだ全滅と確定したわけではない! 第四航空ヘリ部隊!?おい!・・・」
自衛隊職員(・・・無駄だというのに)

〇空
ゴッド「オオオオオオオオオオ」
  未確認飛行物体、エリア19に出現!
  第四、第五航空ヘリ部隊は先程の未確認飛行物体による攻撃で全滅!
ゴッド「ファアアアアアアア」
  これより作戦決行予定時刻より早いが、攻撃を開始する!!
  第三航空ヘリ部隊は目標に接近!
  攻撃を開始しろ!
ゴッド「シャアアアアアアア」
  第二戦車迎撃部隊が攻撃を受けた!
  怯むな!第13、5、7、戦車迎撃部隊は砲撃を行え!!
自衛隊職員「第三航空ヘリ部隊、目標に接近した! 攻撃を開始する!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
自衛隊職員「構うな!攻撃を続けろ!」
  ESSミサイル発射まで、
  5,4,3,2,1,
自衛隊職員「第三航空ヘリ部隊総員目標から離れろ!」
  0。
  ESSミサイル発射!
自衛隊職員「ESSミサイル、目標に命中を確認! 第三航空ヘリ部隊は引き続き攻撃を続ける!」
ゴッド「ギャアアアアアアアア」
自衛隊職員「・・・ッ! 総員目標から離れろ!」
自衛隊職員「うわあああああああ!!──」
ゴッド「キュルルル・・・」
  第三航空ヘリ部隊!応答せよ!
  第三航空ヘリ部隊!応答せよ!
  ・・・くそっ!やられた!
  構うな!引き続き全戦車隊は砲撃を続けろ!
ゴッド「ヒイイイイイイイイイイ」
  うあああああああああ!!

〇空港の屋上
自衛隊職員「あの青白い閃光は・・・!?」
自衛隊職員隊長「ああ・・・完全にやられた・・・!」
自衛隊職員隊長「未確認飛行物体がエリア19に到達したのか・・・!?」
自衛隊職員「隊長!先程現場から入った状況情報によると、エリア19に未確認飛行物体が出現し、作戦予定時刻より早く交戦を開始したとのこと」
自衛隊職員隊長「やはりか・・・! それ以外の情報は?」
自衛隊職員「いえ、それがずっと続いてた通信が急に途絶えて・・・」
自衛隊職員「ただ、途絶える直前に物凄い衝撃音が聞こえてきました・・・」
自衛隊職員「やはり現場は先程の閃光でやられたのでしょう・・・」
自衛隊職員隊長「くっ・・・! 現場との連絡がつくまで引き続き応答要請を続けろ!」
自衛隊職員「了解!」
自衛隊職員隊長「さてどうしたものか・・・」
自衛隊職員「政府からの新たな命令は来ておりません」
自衛隊職員隊長「政府への現状報告は?」
自衛隊職員「既に伝達しております」
自衛隊職員隊長「うぬ・・・! やはり政府も戸惑っているのだろう。 予想より遥かに早く未確認飛行物体がエリア19に到達するなど・・・」
自衛隊職員「そうですね・・・。 しかし、相手は未確認飛行物体です。 行動パターンすら謎なのですから的確な予想など出来ませんよ・・・」
自衛隊職員隊長「ああ、それは承知の上なんだが・・・」
自衛隊職員「とにかく、今は現場からの通信と政府からの命令を待つしか有りません・・・」
自衛隊職員隊長「ああ、そうだな・・・」

〇国際会議場
風間 智和「な・・・! 未確認飛行物体がもう既にエリア19に到達しただと・・・!?」
野々村 菊夫「はい・・・。 ですので、現在自衛隊による懸命な徹底抗戦が続けられています」
工藤 真斗「現場からの状況連絡は!?」
野々村 菊夫「それが、まだ届いておらず・・・」
工藤 真斗「現場の状況が分からずじまいじゃ、何も出来ませんよ!」
風間 智和「落ち着くんだ工藤くん。 もうじき伝達がつくはずだ。 自衛隊も伊達じゃない。そんなすぐに防衛線は破られんよ」
工藤 真斗「・・・っ! すいません・・・!」
風間 智和「引き続き、現場との連携を頼む」
野々村 菊夫「了解!」
風間 智和「それにしてもこんなにも到達予想時刻より早いとは・・・。 未確認飛行物体も物凄い速さだな・・・」
工藤 真斗「ですね・・・。 それに、あの強さを考えると防衛線もすぐではなくともいずれ破られますよ・・・」
風間 智和「そうだな・・・。 それはそうとして工藤くん、米軍の支援要請はどうなっている?」
工藤 真斗「ええ、その米軍の支援要請なのですがすぐさま受理されて、30分前に出撃が完了したとの通信が入ったのですが・・・」
風間 智和「そうか・・・、しかし間に合うか・・・? それに、米軍の力を持ってしても奴を倒せなかった場合どうすれば良いんだ・・・」
工藤 真斗「・・・それはその時はその時です。 先のことは後回しにして、今は奴を倒すことだけに専念しましょう!」
風間 智和「ああ・・・わかった」

〇地下の避難所
  避難所
自衛隊職員「毛布が必要な方は手を上げてくださーい!」
男の子「ねえ・・・ママ・・・」
女性「ごめんね健くん。ちょっと静かにしててね」
男の子「ママぁ・・・もう家に帰りたいよぉ・・・」
男の子「ねえ・・・パパはー?」
女性「お父さんはね、今自衛隊の人達と一緒に戦っているからね・・・」
男の子「何と戦ってるの・・・?」
女性「大きい悪いやつと戦って、みんなをまもってるんだよ?」
男の子「ふ~ん・・・。 じゃあ、パパはヒーローだね!」
女性「そうね・・・」
男の子「・・・? どうしてママ泣いているの?」
女性「・・・いえ、何でも無いのよ・・・」
女性「さ!パパが帰ってくるまでここにいようね!」
男の子「うん!」

〇市街地の交差点
自衛隊隊員「おい!大丈夫か!?」
戦車「くそお!奴の攻撃で防衛主力部隊の半数がやられた!」
自衛隊隊員「なんだと!? これじゃあ態勢の立て直しすら不可能じゃないか・・・!」
戦車「とにかくこれ以上は防衛前線に出ちゃ危険だ! エリア20付近まで後退するべきだ!」
自衛隊隊員「甘ったれたことを言うんじゃない!」
戦車「・・・!! じゃあどうしろって言うんだよ!」
自衛隊隊員「まだ少しでも防衛前線で戦っている人がいるんだったら見捨てることは出来ない! 俺達も一緒に戦うべきだ!」
戦車「ちっ!勝手にしろ! 俺達は後退する!」
自衛隊隊員「くっ・・・弱虫め・・・!」
戦車「あ・・・あああ・・・!! くそお!奴だ!奴がここまで来やがった!」
ゴッド「キエエエエエエエエエエエ」
自衛隊隊員「あれが・・・!!」
戦車「くそお!その羽根引きちぎってやる! 撃てえ!!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
戦車「嘘だろ・・・!? 無傷だ・・・!爆弾すら効かないなんて・・・! だから奴を倒せないのか!?」
自衛隊隊員「クッ!」
戦車「おい!?何してんだよ! そんなもん奴には効かねえよ!早く逃げるぞ!」
自衛隊隊員「それでも!俺達には国民を守る義務がある! なんとしてでも最期まで戦って足掻いてやる!」
戦車「あーもう!どうにでもなれ!!」
自衛隊隊員「・・・ッ! よし!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
戦車「ああ、やべえ!やべえよ・・・!!」
戦車「うわあああああああ」
自衛隊隊員「う・・・うう・・・」
自衛隊隊員「まだ・・・死ねねえ・・・」
自衛隊隊員「健・・・あかり・・・ ・・・ごめんな・・・」
自衛隊隊員「父ちゃん・・・最期まで一緒に居れなかったよ・・・」
ゴッド「キュルルルルル」
自衛隊隊員「先に天で待ってるからな・・・」
自衛隊隊員「う・・・」
ゴッド「オオオオオオ」

〇東京全景
米軍兵士「あーあ・・・」
米軍兵士(街は殆ど火の海・・・。 逆に安全な場所はあるのかってくらいだが・・・)
米軍兵士(避難民や生存者も気になるところだが、今は任務遂行に集中しなきゃな・・・)
米軍兵士「・・・ッ!爆発音! あそこか・・・!」
米軍兵士「エリア19で戦闘が行われている模様。 肉眼で確認した。 これより任務に取り掛かる!」

〇空
ゴッド「キャアアアアアアアア」
ゴッド「ファアアアアアアア」
  何故だ・・・!?
  なぜ、ここまで攻撃しても無傷のままなんだ!?
  うわあああああああ!!

〇開けた景色の屋上
  埼玉県さいたま市
男の子「・・・」
女性「奏音!何で傘もささずに屋上に出てるの!?」
男の子「・・・」
女性「奏音!何見てるの!?」
男の子「・・・ねえお母さん。 あれなんだろう」
女性「・・・え?」
男の子「ほら、あそこの奥が何か光ってるよ?」
女性「・・・! 早く!急いで中に入って! 準備するわよ!」
男の子「ほら!何か爆発してるよ?」
女性「いいから!早く避難の準備するわよ!」

〇国際会議場
工藤 真斗「先程、埼玉、千葉、神奈川、山梨の4県に避難指示を出しました」
工藤 真斗「これで、一応未確認飛行物体エリア20に到達した際のバックアップは取れてます」
風間 智和「わかった。ありがとう」
野々村 菊夫「・・・総理」
風間 智和「野々村くん!現場の状況は・・・!?」
野々村 菊夫「それが・・・、エリア19防衛線の半数以上が全滅。3重構造の防衛線ですが、最終防衛線に未確認飛行物体が到達」
風間 智和「なん・・・だと!?」
工藤 真斗「こんな短時間で!?持たなかったのか・・・」
野々村 菊夫「もう東京の自衛隊の兵力は殆ど残っていません・・・。 現在、横須賀駐屯地に支援要請を行っていますが・・・」
風間 智和「・・・」
工藤 真斗「どうされますか・・・?総理?」
風間 智和「まず、未確認飛行物体がエリア20に到達しつつある。防衛線は殆ど機能してないに等しい・・・」
工藤 真斗「そうですね・・・。現在の最終防衛線の状況も半数以上が壊滅しており全滅寸前です。ここからどう立て直しますか・・・?」
風間 智和「まずは米軍の支援攻撃に頼る。 米軍が未確認飛行物体と交戦している間に、横須賀駐屯地からの支援部隊の到着までの時間を稼ぐ」
風間 智和「横須賀駐屯地からの支援部隊は今どこまで来ている?」
工藤 真斗「はい、現在、川崎市までは進行が完了しているとのことです」
風間 智和「了解した。 では、次に最終防衛線にある残存兵力だが・・・」
風間 智和「雪くん」
間宮 雪「はい、最終防衛線にはもう既にヘリ部隊は全滅・・・。戦車が17機と陸上隊員が何十名程という状況ですが・・・」
風間 智和「全兵突撃だ」
間宮 雪「はい・・・ ・・・って、えっ!?」
風間 智和「最終防衛線にある残存兵力は、米軍とともに未確認飛行物体に突撃させる」
風間 智和「横須賀駐屯地からの支援と、民間人の避難の時間稼ぎを考えたら、それが1番妥当だ」
間宮 雪「ええ・・・確かに。 ・・・ですが!!」
工藤 真斗「間宮さん・・・ 総理の判断だ。従うしかない・・・」
工藤 真斗「それに、最終防衛線にいる自衛隊も退避させてしまえば、民間人の避難の時間を稼ぐ人も居なくなってしまう・・・」
工藤 真斗「総理の判断が1番正しいと、私は思う」
間宮 雪「・・・わかりました」
風間 智和「すまない・・・ありがとう」
風間 智和「そして、東京都近辺の4県の避難準備は既に始まっていると聞いたが・・・」
工藤 真斗「はい、既に6割以上の民間人は避難が完了していると情報は入っています」
風間 智和「わかった。 では春日部基地から中心に第二対未確認飛行物体防衛線を敷く」
風間 智和「東京都よりは小規模になるかもしれんが、未確認飛行物体に対抗出来るだけマシだ」
風間 智和「あと、米軍の支援要請の追加を頼む。 このままでは春日部基地や横須賀駐屯地だって兵力が尽きる・・・」
間宮 雪「了解しました。 そちらの方は私の方で進めておきます!」
風間 智和「わかった。よろしく頼む!」
間宮 雪「はい!失礼します・・・」
工藤 真斗「では私は横須賀駐屯地からの支援部隊との交信と、最終防衛線への命令を行ってきます!」
風間 智和「ああ!お願いだ!」
工藤 真斗「失礼します・・・」
風間 智和「さあ、この最期の作戦が吉と出るか凶と出るか・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
  最終防衛線
戦車「全部隊突撃・・・!?」
戦車「ハハ・・・この作戦がまともだとはとても思えねえ・・・」
自衛隊職員「ああ・・・俺も同感だ・・・ こんなの全員死んでこいと言うようなものだ・・・」
戦車「実際、政府はそのつもりじゃないのか? 奴はもうエリア20に到達しつつある。 そんな状況で何を策す?全部隊突撃しかないだろ」
自衛隊職員「つまり、避難と支援部隊の到着までの時間稼ぎのために俺達は死んでこいと・・・?」
戦車「そうするしかねえだろ・・・。 他に手はない。俺達以外に誰が時間を稼ぐんだ?」
戦車「そうだけどよお・・・」
戦車「俺達は入隊した時から命を捧げる覚悟をしてきてたはずだ。今がその時さ」
戦車「俺達は行くぜ」
戦車「動かせ」
自衛隊職員「おい!ちょっと待てよ!」
戦車「ああ・・・もう・・・やるしかねえ!」
自衛隊職員「お前らまじかよ・・・!?」
自衛隊職員「あー、もう・・・!」
自衛隊職員「おい!待て〜!」

〇空
ゴッド「ファアアアアアアア」
  撃てーーーーー!!
  目標に命中!
  されど効果無しと思われ!
  引き続き砲撃を続行!
ゴッド「シャアアアアアア」
  うわあああああああ!!
  くそお・・・!
  このままでは最終防衛線も全滅に・・・!
  ・・・ッ!
  戦闘機の音!?
米軍兵士「F-15E ストライクイーグルの力を見せてやる!!」
米軍兵士「無誘導爆弾、投下まで3,2,1,」
米軍兵士「0!!」
ゴッド「キエエエエエエエエ」
米軍兵士「休みなんて与えやしねえ! お前ら!俺に続いて爆弾を投下しろ!」
米軍兵士「微調整良し!無誘導爆弾投下まで3,2,1,」
米軍兵士「0!!投下しろーーー!!」
米軍兵士「ハッハー!!どうだ!?喰らったか!?」
ゴッド「ファアアアアアアア」
米軍兵士「おい・・・嘘だろ・・・!? ジョンソン!おい、ジョンソン!応答しろ!」
米軍兵士「くそおおおお!! ジョンソンの仇だあああ!!」
  オイ!ウチムラ!
  カッテ二コウドウスルナ!オチツケ!
米軍兵士「うおおおおおお!!」
ゴッド「オオオオオオオオオ」
米軍兵士「何でだよ!?何で効かないんだよ!?」
米軍兵士「うわあああああああ!!」
ゴッド「シャアアアアアアアアア」

〇国際会議場
工藤 真斗「総理!」
風間 智和「! どうした?なにか進展があったか!?」
工藤 真斗「それが・・・」
工藤 真斗「なんと・・・米軍の支援部隊のうち2機が未確認飛行物体物体によって墜落、その2機のうち1機が隊長機だそうです・・・」
風間 智和「なん・・・だと!?」
工藤 真斗「残りの支援部隊は全員撤退。 完全に防衛線も崩壊しました・・・」
風間 智和「ということは、遂にエリア20の突破を許してしまったということか・・・!」
工藤 真斗「やはり米軍の力を持ってしても対処できませんし、更に未確認飛行物体に対する通常兵器の効果が無いこともわかってきました・・・」
風間 智和「ここまでしても奴を止めれないというのなら、もう無理なのではないか・・・?」
工藤 真斗「何を言うんです!?総理!! 皆でやれるところまでやろうって決めたじゃないですか!?」
工藤 真斗「貴方が先に諦めてどうするんです!?」
風間 智和「・・・! そうだな・・・。皆、死を覚悟してるんだ。そんな中先に私が諦めてはいけない!」
風間 智和「すまない・・・。 よし、なら未確認飛行物体への攻撃は諦め、東京都近辺の4県の避難準備と防衛線を固めろ!」
工藤 真斗「はい!わかりました!」
風間 智和「野々村くん!」
野々村 菊夫「はい!」
風間 智和「春日部基地と横須賀駐屯地からの支援部隊はどうなっている?」
野々村 菊夫「はい、春日部基地からの支援部隊は既に到着し、住民の避難と防衛線の配置を行っています」
野々村 菊夫「横須賀駐屯地からの支援部隊ももうじき到着するかと」
風間 智和「了解した。では、第三緊急司令支部の退避、及び各閣僚職員全員を避難させてくれ」
工藤 真斗「わかりました!丁度さいたま市に緊急対策本部が設置されています。そこにひとまず避難を・・・」
「総理!」
風間 智和「おお!雪くん!」
間宮 雪「米軍から、もうこれ以上の支援は出来ないとのこと!」
風間 智和「そうか・・・」
工藤 真斗「完全に支援部隊の件で怯んでますね・・・」
間宮 雪「それと、先程第三緊急司令支部の避難が完了したとのこと!」
風間 智和「そうか。私達の避難用ヘリは?」
間宮 雪「それなんですが・・・」
間宮 雪「ヘリが14機のみということで、避難用バスが2両です・・・」
工藤 真斗「微妙に足りなさそうだな・・・」
間宮 雪「ええ、ですので二段階に分けての救助になるのですが・・・」
工藤 真斗「やはりここは先に総理含め中心各閣僚職員が・・・」
風間 智和「・・・」
風間 智和「私を含め数人置いていけ」
工藤 真斗「はい!?」
間宮 雪「それはいけません!総理! 貴方が先に避難して先陣を仕切るんですよ!?」
風間 智和「私もそろそろもう年だ。こんな老いぼれを先に乗せるよりは、未来ある若者を優先したほうが得策だろう?」
工藤 真斗「ですが、貴方は総理です!後から避難するとしてもその前に奴がここまで来たら総理も巻き込まれるかも知れません!」
工藤 真斗「それを承知の上で・・・!」
風間 智和「ああ、勿論だ。 私は今まで皆に迷惑をかけてきた。 今こそここで恩返しがしたい。だから、先に皆避難してほしいんだ」
間宮 雪「・・・総理」
工藤 真斗「私達は・・・迷惑なんてかけられたおぼえはありません。 私達は貴方についていきたいんです」
工藤 真斗「だからこそ、貴方に先に避難してほしい・・・」
風間 智和「皆に慕ってもらえる事がこれだけ嬉しいこととは・・・」
風間 智和「だが・・・その慕ってくれるお礼として受け取って欲しい。 先に避難してくれ。頼む」
工藤 真斗「・・・」
風間 智和「頼む」
工藤 真斗「・・・わかりました。 そのお礼、受け取ります」
間宮 雪「避難用バス及び避難ヘリが到着しました。・・・」
風間 智和「さあ、私を置いて行くんだ」
工藤 真斗「・・・! やっぱり総理・・・!貴方も・・・!」
風間 智和「そんな顔をするな・・・。 また次の救助が来るはずだ。それまでの辛抱さ。さあ、行きなさい」
間宮 雪「・・・」
風間 智和「工藤くん、もし私になにかあった時は・・・君を次の総理に任命する」
工藤 真斗「・・・わかりました」
風間 智和「さあ早くいけ!乗り遅れるぞ!」
間宮 雪「・・・!行きましょう!工藤くん!」
工藤 真斗「わかった・・・。 総理!必ずまた救助を出しますから!」
風間 智和「ああ・・・ありがとう」
間宮 雪「総理、お先に失礼します・・・」
風間 智和「ああ・・・」
風間 智和「・・・」
風間 智和「さて・・・最期の仕事だ・・・」

〇東京全景
自衛隊職員「こちら緊急閣僚閣僚ヘリ救助隊。 4名の救助者を乗せている。急ぎ帰還する」
工藤 真斗(総理・・・着いたらまた必ず救助を出しますから!)

〇国際会議場
「うわああああああ!!! 奴があ!奴が入ってきたああ!!」
風間 智和「来たか」
風間 智和「やられたか・・・。 この国会議事堂ももうじき崩れるか・・・」
「こっちに来るなあ!」
「うわあああああああ!!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
風間 智和「お前が未確認飛行物体か・・・」
風間 智和「羽に・・・天使の輪・・・ まるで神のようだ・・・」
ゴッド「シャアアアアアアアアア」
風間 智和「しかし・・・ここで安々とやられる訳にはいかない。 最期の仕事だ・・・」
風間 智和「喰らえ」
ゴッド「オオオオオオオオオオ」
風間 智和「鉛玉一発でも当たれば上的か・・・」
風間 智和「湯雪さん・・・ 今、貴方の元へ向かいますよ・・・」
ゴッド「アアアアアアアアアアアア」
風間 智和「さようなら・・・皆・・・」

〇川沿いの公園
  ──4時間後
  埼玉県さいたま市
戦車「日が昇ってきた・・・そろそろだ・・・」
  未確認飛行物体を肉眼で確認!
  総員、作戦に基づき遂行せよ!
  了解!
  第7戦車隊、砲撃開始!!
戦車「撃てえええええ!!」

〇空

〇川沿いの公園

〇川に架かる橋

〇川に架かる橋

〇センター街

〇荒廃したセンター街

〇荒廃した教会

〇荒廃したショッピングモールの中

〇荒廃した遊園地

〇空

〇行政施設の廊下
  埼玉県は既に未確認飛行物体によって蹂躙され、第二防衛線も崩壊し立て直せる状況ではなかった・・・
  避難した内閣閣僚職員も、未確認飛行物体の攻撃に巻き込まれ、現場への指示すら出せなくなっていた・・・。
  自衛隊は殆ど全滅。政府中枢機能も失われ、悲惨な状況となっていた・・・
  私には・・・総理の代わりは務まらなかった・・・
  未確認飛行物体はゴットと名付けられたが、ゴットは数々もの防衛線を突破し、埼玉県すらも一瞬で崩壊した・・・
  奴は・・・ゴットは神だ・・・。
  とても我々人類には敵いやしない・・・。
  総理・・・私は貴方のようになりたかった。憧れだった・・・。
工藤 真斗「でも私は貴方のようにはなれなかった・・・」
  これで・・・もう終わりか・・・
工藤 真斗「総理・・・私も今すぐ貴方の元へ・・・!」

〇ビルの裏
阿笠藁 霞「・・・はあ・・・はあ・・・」
阿笠藁 霞「うう・・・もう、大丈夫・・・かな?」
阿笠藁 霞(おじいちゃんからいざという時に使いなさいって言われて変な石を持たされたけど・・・)
阿笠藁 霞「ぐす・・・怖いよう・・・ママぁ!」
阿笠藁 霞「みんな居なくなっちゃったし、 どうすればいいのお!?」
「・・・ファアアアアアアアアア」
阿笠藁 霞「っ! またこの音!やめて!こっち来ないで!」
阿笠藁 霞「どうして・・・! どうしてこうなっちゃったの!? 誰か、誰か助けてえ!!」
ゴッド「シャアアアアアアアアア」
阿笠藁 霞「いやああああああ!!こっちに来ないでええええ!!」
阿笠藁 霞「来ちゃ駄目ええええ!」
ゴッド「や・・・めろ・・・」
ゴッド「そ・・・れを・・・ち・・・かづけ・・・るな!」
阿笠藁 霞「嫌だ!!あっち行って!!」
阿笠藁 霞「あれ!?石が光って・・・!」
ゴッド「あ・・・アアアアアアアアアアアア」
ゴッド「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
阿笠藁 霞「逃げて・・・行った・・・?」
阿笠藁 霞「助かったの・・・?」
阿笠藁 霞「グス・・・グス・・・」
阿笠藁 霞「うわあああああん!! 怖かったよおおお!」
阿笠藁 霞「お母さああああん!!!」
阿笠藁 霞「おじいちゃあああああん!!」
阿笠藁 霞「・・・!! 石がまた光ってる・・・!?」
阿笠藁 霞「え?あっち?あっちに行けばいいの?」
阿笠藁 霞「・・・わかった」

〇ニューヨーク・タイムズスクエア
  アメリカ•ニューヨーク•タイムズ
男性「はあ・・・はあ・・・!」
男性「こっちに来るなああああ!!」
ゴッド「ファアアアアアアア」
男性「うわあああああああ!!」
ゴッド「キュルルルルルルルルル・・・」
ゴッド「ファアアアアアアア」

〇黒
  出演
  風間智和
  間宮雪
  工藤真斗
  湯雪勝俣
  野々村菊夫
  阿笠藁霞
  遠藤忠義
  周防正隆
  自衛隊職員の皆様
  会社員の皆様
  米軍の皆様
  市街地の皆様
  制作監督
  こう89
  制作
  こう89
  タップノベル運営の皆様
  プロデューサー
  こう89
  原作
  「ゴッド•ゼロ」
  作画監督
  タップノベル
  作画
  タップノベル運営の皆様
  音響監督
  こう89
  音楽
  タップノベル運営の皆様
  制作協力
  タップノベル、こう89の家族、こう89の友達、
  脚本監督
  こう89
  編集
  こう89
  エンディング主題歌
  「届かない思い」
  制作委員会
  こう89
  タップノベル
  制作プロダクション
  こう89
  総監督
  こう89

コメント

  • 自衛隊や米軍兵士による戦闘の描写にここまで特化したストーリーは珍しいんじゃないでしょうか。映画のシン・ゴジラを彷彿とさせる総理周辺の緊迫感溢れる話し合いのシーンやストーリー展開も読み応えありました。

  • 凄く長かったけど、めちゃくちゃ面白かったです!
    ゴッドが現れたところから、自衛隊が出動したり、住民が避難したりするまでの流れが、とてもリアルですごいなと思いました。とても惹きつけられるような面白さに、感動しました!続編期待してます!

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