友だち(脚本)
〇アパートのダイニング
おぼえているか、オレたちが初めて出会ったときのことを······。
裕二(少年期)「学校なんか、つまんねぇ」
オレは小学生のときから学校がなんのためにあるのかもわからず意味がない、
そう思っていて5日に2日しか行かないほどの不登校だった。
両親や周りの大人は「裕二(ゆうじ)、学校にいけ」と連呼してきて「すべてはお前のためだ」なんて言われている。
だからオレはそんな奴らに、
「じゃあ学校いくから◯◯して、約束」といつも大人に約束をさせた。
するとどうだ、ちゃんと学校に行ったのに大人は、苦笑い、約束を破る、言い訳、すっとぼけ、逆ギレなどあまりにもふざけてる。
〇黒
結局は口だけの自分に甘く周りにキツイような連中に、オレの心の中は大人に対する怒りと呆れで声が完全に耳に入らなかった。
あのままだったら、オレは······。
〇教室
2日くらいは学校に行っているオレだが、友だちなんて一人もいない。
根暗で目つきの悪いときたら誰だって近づきたくないし、周りもグループが出来ていたしなおさら。
裕二(少年期)「あ〜、ひまだぜ」
昼休み教室の椅子に座りぼ〜っとしていたら、
優(少年期)「よっ、暇そうだな」
裕二(少年期)「ん、だれ?」
優(少年期)「オレは優(まさる)、お前は?」」
裕二(少年期)「裕二(ゆうじ)」
そいつは優というが会ったこともない初めてのやつだった。
裕二(少年期)「なにかよう?」
優(少年期)「いや、べつに」
裕二(少年期)「じゃあむこうに・・・」
優(少年期)「なぁ聞いてくれよ〜」
裕二(少年期)「は? なんだよ」
この日から突然、優はオレが学校に姿を現すたびにゲームの事や友だちの愚痴、学校の不満などを話してくるようになった。
〇学校の廊下
優(少年期)「──なぁ裕二はこのクエストやったことある? オレ面倒くさくてさ〜」
裕二(少年期)「全部やったよ」
優(少年期)「マジかっ、すげーな、よくできたね」
裕二(少年期)「毎日コツコツやってれば自然に終わる」
1ヶ月くらいだろうか、オレたちは自然と話し合ういわば友だちになっていて良く同じゲームの話で盛り上がった。
優(少年期)「いいな〜、オレもやろうかな〜」
クエスト全部やることに興味があるのか負けず嫌いなのかわからないが、どうやらやろうとしているようだ。
裕二(少年期)「無理はやめとけよ、2日、3日で出来ることじゃない」
もともとオレには集中して携帯ゲームをやり続けるのは無理だからコツコツやっていただけなんだが3日後、
〇教室
裕二(少年期)「全部クエストやったのか!」
優(少年期)「ああっ、いや〜しんどかったけどな」
オレがコツコツやっていたクエストをたったの3日で全部やったと言い内心驚いた。
それからもゲームの話の中でオレがやってきたことを優は短期間でやってのける······。
友だちとして心が少しづつ開くオレはある日に疑問を聞いた······。
〇広い公園
学校の終わりにオレたちがブランコに乗って話していたときに何となく、
裕二(少年期)「なあ、優はどうしてオレとダチになったんだ? みんな恐がって近ずかないってのによ」
こんなに話してくるやつは一人もいなかった。もちろん皆が無視するわけじゃないが、それでもオレを知ろうとする奴はいなかった。
優(少年期)「ウバザメ」
裕二(少年期)「は、なんだ?」
優(少年期)「サメだよサメ、裕二はウバザメみたいなもんに見えたのかも」
優の説明によると一般的に怖がられてるサメ、
実はそうではなく8〜10メートルの大きさのウバザメは大きな口だが動物プランクトンしか食べず人間にとって危険は低いサメ。
優(少年期)「裕二は外見で恐がられてるけど、オレにはそう見えなかったんだ」
裕二(少年期)「はあ」
優(少年期)「ようするに、お前は見た目は恐いけど中身はやさしいってこと」
初めての家族以外にやさしいなんて言われて、正直戸惑った。どう答えていいのかもわからない。
裕二(少年期)「ありがとよ、オレは優が友だちで良かったぜ」
なんとか感謝の気持ちは伝えた。
これが正解なのかどうかはわからないが、独りぼっちのときよりは学校が楽しくなったから······。
そんなオレたちにも転機が訪れる······。
何となく距離が縮まって、気が付いたら友達に、、子供の頃ってこんな感じでしたよね。何だか懐かしく思います。個性豊かな2人の関係がこれからどう進展していくのでしょうか……
ウバザメの話にはジーンとしました。人を見た目で判断してはダメだということをサメに例える優のセンスに感心。ウバザメはバカザメとも呼ばれているけど、裕二には内緒にしておこう。これから大人になった彼らの再会シーンが楽しみです。
遠くからでも近くからでも、自分の内面にあるものに気づいてくれる友人って本当にありがたいと思います。表面だけで評価しがちな人間関係ですが、彼らのようなつながりって素敵です。