エピソード2(脚本)
〇丘の上
一人の少女が深夜の丘に一人佇んでいた。
彼女は一人でここに来ていた。彼女は昨日彼氏から振られ・・・
日向侑香「もう、私ダメなのかな」
そう呟きながら少女は夜空を眺めていた。その瞳には涙を浮かべているようだった。しかし、突然背後から声をかけられた。
女の子「どうしたの?」
日向侑香「えっ!?」
少女は驚いた表情で振り返った。そこには幼い子供の女の子がいた。
女の子「おねーさん大丈夫?泣いているみたいだけど・・・・・・何かあったの?」
日向侑香「だ、大丈夫よ目にゴミが入ったのよ」
女の子「そうなんだ。でも、無理しちゃだめだよ」
日向侑香「うんありがとうね」
少女は笑顔で答えたが内心焦っていた。
日向侑香「(ど、どうしてこんな時間に子供がいるの!?)」
時計を見れば深夜の1時38分をさしていた。
女の子「おねーさんは何してるの?」
日向侑香「私はただ景色を見に来ただけよ」
女の子「そっかぁ~綺麗だもんね!」
日向侑香「う、うんそうだよね!とっても綺麗・・・・・・」
そこで言葉を止めてしまった。
日向侑香「(いや待って・・・・・・この子の背が今伸びたような・・・)」
女の子「おねーさんどうしたの?」
日向侑香「ねぇあなた親御さんとかはいないのかな?」
女の子「いないよ!だってここに来るまでずっと1人だったんだもん!」
すると目の前の少女は顔を伏せて暗い声で言った。
そして顔を上げてこちらを見た。その目は赤くなっていた。
その瞬間少女の顔はまるで別人のように変わっていた。
その顔はとても不気味だった。
日向侑香「そ、そんなことないわよねきっとあなたのお母さんもお父さんもいるはずよ」
女の子「ううん本当にいないよ」
日向侑香「じゃあ兄弟とか姉妹は来ているの?」
女の子「いないよ。だからおねーさん・・・私・・・おねーさんになって良い?駄目なら・・・」
彼女は目の前にいる子が普通ではないことに気がついた。そして恐怖を感じていた。
意味も訳もわからず・・・
日向侑香「良いわよ・・・なれるものならなってみなさいよ」
女の子「それじゃあおねーさん・・・」
女の子は彼女に近づくと抱きついてきて視界が歪む、そして歪みが治ると女の子の身長は彼女と同じに変わっていた。
身体を重ねてくると女の子の身体は彼女と同じに変化し
日向侑香「え!?」
そして彼女の顔に近づきながら・・・メキパキと音を立てて
日向侑香「ひっ!?」
彼女と同じ顔になっていく。髪が艶やかに照らされながら伸びた。違うところが一切見受けられない。
そして変化が終わると2人の少女は見つめ合っていた。すると彼女の顔をした女の子が口を開く。
それは女の子の声ではなく彼女と同じ声で喋り始めた。
日向侑香「ふぅ・・・・・・これでようやく同じになれたわね」
日向侑香「な、何を言ってるの?」
日向侑香「何ってあなたが言ったんでしょ?なれるものならなってみなさいってそれに私が応えてあげたんじゃない」
そう言うと彼女は笑みを浮かべながら両手を顔に当ててきた。
日向侑香「ねぇ、見てほら私達同じになったでしょう?」
彼女と同じスマホを取り出しカメラアプリを起動する。そこに写っている姿を見る。現実を理解してしまった。
もう誰が見ても違いは一切ない何もかも完全に同一人物になっていたのだ。
日向侑香「わ、私が二人に・・・・・・なんでこんな事になってしまったの・・・・・・」
日向侑香「さっきから言っているじゃないあなたが望んだことでしょう?」
日向侑香「私が望んだこと?何を馬鹿なこと言っているのよ」
彼女は否定したが本当は理解していた。だがそれを認められなかった。認めたくなかった。
こんなことになるわけないと思ったことは事実だがそれがこのような結果になるとは思ってはいなかったからだ。
そんな彼女を尻目に彼女は楽しげに話し始めた。
日向侑香「ねぇ・・・私が二人になったんだ・・・これから一緒に楽しみましょう」
日向侑香「いや・・・・・・来ないでっ!」
そう言いながらも後ずさりするしかなかった。
日向侑香「そう言わないでよ」
彼女が一歩近づくと彼女も近づいてくる。逃げられない。逃げることができない。
このままでは捕まってしまう。彼女は必死に逃げようとするが・・・抱き締められてしまった。
日向侑香「離しなさいよっ」
日向侑香「いやよ・・・・・・絶対に逃さないわよ。もっと私を見て・・・あなたがくれた私よ、この白くて綺麗な肌、可愛い顔」
顔と顔が近づき頬と頬が重なる
日向侑香「やめてぇ・・・・・・」
日向侑香「あぁ・・・私の声こんなに綺麗だったのね・・・鏡でもあまり見たことがないけどこんなに可愛かったなんて知らなかったわよね?」
日向侑香「知らない知りたくない!」
日向侑香「私なのに随分と強情なのね。それとも・・・・・・認めちゃったら?」
日向侑香「ち、違・・・・・・」
日向侑香「ふふっ図星みたいね」
日向侑香「違うっ!」
声を荒げ否定するが・・・・・・無駄だった。口でも否定するも身体は正直に反応してしまう。
日向侑香「(嫌だ・・・・・・こんなの嘘だ・・・・・・)」
日向侑香「ねぇ、この胸大きいよね?触ってみてよ?」
日向侑香「いやよ・・・・・・」
日向侑香「いいから、遠慮しないで・・・・・・」
手が掴まれ胸に持っていかれる。
日向侑香「やめ・・・・・・」
日向侑香「どう私の胸これもあなたがくれたのよ。柔らかいでしょ?」
日向侑香「やだ・・・・・・」
日向侑香「あなたが感じてるのもわかるわよ。だって私はあなたの感覚を共有しているもの」
日向侑香「うそ・・・・・・やめて・・・・・・」
日向侑香「こんなにも綺麗な身体してるのに・・・・・・勿体無いわよ」
日向侑香「いや・・・・・・」
日向侑香「ふふっ」
耳元で囁き始める。
日向侑香「ねぇ・・・・・・気持ち良いでしょう?」
日向侑香「んっ・・・・・・あぁ」
日向侑香「ほら、素直になりなさいよ」
日向侑香「うぅ・・・・・・ひゃうん」
日向侑香「可愛い声出しちゃってさ」
日向侑香「ああ・・・・・・うう・・・・・・」
日向侑香「ふふっ」
日向侑香「はう・・・・・・」
彼女は恥ずかしさで顔を真っ赤にしてしまっていた。
日向侑香「ねぇ、私の髪を見て・・・凄く手入れされた黒髪を・・・艶々で・・・サラサラしてるてしょ・・・これもあなたがくれたのよ」
日向侑香「だから何なのよ!どうでもいいわよそんなこと」
日向侑香「そんなこと言わないで・・・彼氏のために頑張ったのよ。少しでも良く見られたくて」
彼女の記憶まで同じなんだと
日向侑香「頑張ったのは私よ!あなたじゃない!」
日向侑香「そうよ!ならもっと私を見なさいよ!今の私はあなたの全てを持っているのよ!」
そう言うと彼女の頬に手を当て
日向侑香「・・・キスしましょう」
日向侑香「!?嫌よ・・・私にそんな趣向はないわよ」
日向侑香「あら・・・おかしいわね・・・これはあなたの願望でもあるのだから」
日向侑香「そんなわけない!」
彼女は叫ぶが彼女はイヤらしく微笑み
日向侑香「じゃあ試しに目を閉じてあげようか?」
日向侑香「そ、それは・・・・・・」
確かに目の前の彼女が言うように彼女にはそういう趣向はないが、確かに自分とならキスしたいとも思っていたが・・・
日向侑香「ほらやっぱりそうなんでしょう?」
面倒向かって言われると
日向侑香「違う・・・・・・違うわ・・・・・・私はそっちの・・・」
日向侑香「じゃあやってみましょう・・・確かめてあげるわよ・・・」
日向侑香「ううっ」
彼女は渋々と目を閉じる。
日向侑香「じゃあ行くわよ」
日向侑香「う、うん」
唇が重なり合う。その瞬間に彼女の脳に電流が走るような感覚が襲ってきた。
身体が熱くなり心臓の鼓動が早くなる。
身体が熱くなり心臓の鼓動が早くなる。
そして頭がボーっとしてくる。思考が鈍ってくる。何も考えられなくなる。
そして彼女を求め始めた。
日向侑香「ん」
日向侑香「んっ」
彼氏よりも柔らかい唇、果汁が溢れるように瑞々しい唇はねっとりしてて彼女の顔や唇から甘い香り、心地よい感触。
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すごく面白いストーリー展開でした。失恋した彼女の心の葛藤のようなものが、別の人物ではなく自身を作り出していく様がある意味自然な感じもしました。
途中からこれはまさかあの…と思ったらそのまさかのドッペルゲンガーシリーズでした。ラストのシーンで、人間に擬態して現世に留まろうとする何者かが、一つの戦略としてドッペルゲンガーを利用していることがわかって新鮮な驚きがありました。