エピローグ〜使い魔召喚〜(脚本)
〇謁見の間
ここは人族、魔族、妖精族が存在し、それぞれの王、人王、魔王、妖精王が手を取り合い、裏では牽制し合い均衡を保ってきた世界。
種族間のわだかまりは無くなったが、それでもまだ争おうとする者達をまとめあげ、抑えてきたのがそれぞれの種族王であった
その中で枯れ木のような紫色の木をそこかしこに生やした魔族領の中心に、ひっそりとした城があった。
その建物こそ、三大勢力の一角、現魔王が住む魔王城ミューラデリー・・・・・・というにはとても綺麗な城だった。
ツタも壊れているところも一切見当たらない。少し、暗雲で暗くなっているが、外見は悪くないどころか少し美しかった。
そんな魔王城の現魔王は、眷属召喚魔法の行使のため、魔王城の地下の部屋に丸一日閉じこもっていた。
カルヴァニール「”今ここに再び蘇るサミタルの魔術”」
カルヴァニール「”これは古より伝わりし君主権の絶対行使” ”汝はこれに適する獣の名なり”」
カルヴァニール「”アイテルの底より応え、その牙を持って我が敵を討て!”」
カルヴァニール「”汝の君主、我が名はカルヴァニール!” ”天をも焦がし、地をも従える者なりて!!”」
召喚された集団は瞬時に跪き、頭を垂れた。最後尾の青年がワンテンポ遅れて同じように跪き、頭を垂れる
召喚された使い魔の先頭にいた女魔族が頭を垂れたまま声を上げる。
女戦士「主の召喚に応じて、我ら使い魔七柱。集いました。主よご命令を」
カルヴァニール「俺はお前たちの主、魔王カルヴァニールだ」
カルヴァニール「お前たちにはこれから俺の眷属として魔族の統率者となってもらう。 まずは名前と自分がどれだけ有能か順に俺にアピールをしろ」
赤髪の女性は立ち上がり、1歩前へ進みでて胸に手を添え、慎ましく口を開いた。
リューラン「私の名はリューラン・リバーロマンと申します」
リューラン「私は特攻タイプの前線役。主様が不在の際は代わりに指揮をとることもできます」
ディアナ「自分はディアナ=キルデラント。山賊で、得意なことは情報集め、」
ディアナ「大勢を率いることより少数精鋭を育て、敵の懐に入り、情報によって内部より破壊させるサポート役にございます」
ニーロ「じゃあ次は僕が。 僕はエルフの戦士ニーロ・ウェロサインです。主に遠距離武器による後方支援役ですね」
ニーロ「少々そこの小娘と被ってしまいますが、小娘よりは断然機転がききます」
魔法使いの女の子「ちょっとどういう意味よ、このお子ちゃまが!」
エルフの男の子の言葉に、弾かれたように女の子が立ち上がった
ニーロ「お子ちゃまとは失礼だなぁ エルフだからこれでも120は越えてるよ」
魔法使いの女の子「あんたなんてお子ちゃま以外のなんでもないでしょう?精神がお子ちゃまなのよ、あんたは」
魔法使いの女の子「あ、私は魔法使いキルスィ=サンオルグです主様♪ 仲間の回復もバフやデバフもなんのその」
魔法使いの女の子「万能少女とはまさに私のこと!」
カルヴァニール「俺の前でくだらん喧嘩をするな、見苦しい。喧嘩をするなら殺し合いでもしていれ。次」
ルース「では次は私が。 私はルース=エミクシールと申します。戦略を立てる事を主に得意としている戦略家でございます」
ルース「しかしあくまでも得意としているだけで、主様が命じれば前衛もスパイも、後衛の指揮も全て、つつがなくこなして見せましょう」
アンシャ「”続いていいでしょうか?”」
カルヴァニール「ああ、影人だから喋れないのか。 いい。続けろ」
アンシャ「”ありがとうございます。” ”自分はアンシャ・ツーシュベロン” ”影人族の者です”」
アンシャ「”自分は戦闘はあまり得意とはしていませんが、喋れないことを逆手に取り、無詠唱魔法や暗殺術を使います。”」
アンシャ「”普段はテイマーとして軍を助けることができます”」
カルヴァニール「テイマーか。小動物や大きなモンスター。どこまでの範囲が操れるか今度見せろ。今はまだいい」
カルヴァニール「最後だ。後ろの奴。 何が出来る」
ライズリーク「僕は・・・ライズリーク=リリセルシュです。 僕は戦闘はしたことがない、一般人です。薬草や毒草等の知識は少しありますが」
カルヴァニール「戦いはしたことが無い。それに少しの知識しか無いだって?専門家であれば少しは価値があるものを。魔法もダメか」
ライズリーク「魔法・・・・・魔法媒介でしかしたことが無いので、すみませんが・・・・・・」
カルヴァニール「魔法もできない?なぜお前なんかが召喚されたんだ!!穴埋め役か、お前は!」
アンシャ「”魔法なら自分が少しは教えられるから頑張ろう?”」
カルヴァニール「リューラン!あいつはもういい。要らん。 魔族領から追い出せ。サミタルの魔術では解術もできない」
リューラン「はっ!しかしよろしいのですか?既に我らの情報を少しですが持っていますが」
カルヴァニール「ならば記憶を消せ。 実力だめしだ、できるだろう?キルスィ」
キルスィ「わかりましたわ、主様。ええ、ええ!必ずやお役に立ちますとも!」
アンシャ「” ーーッ!”」
カルヴァニール「魔族領郊外の森にでも放り出しておけ」
リューラン「は!」
カルヴァニール「さて、ではそれぞれに役割を与えるリューランは・・・・・・・」
〇けもの道
エルマナ「ウォルマ様!向こうに倒れてる人がいますよ!」
ウォルマ「わ!ほんとだ!どうしたんだろう? おーい!君、大丈夫かい!?」
エルマナ「大丈夫ですかー!?そこのお兄さん! 起きません、ウォルマ様」
ウォルマ「幸い、怪我とかは無いようだから連れ帰ろうか。ここで倒れたままだと魔物に襲われてしまう」
エルマナ「わかりました。念の為、戻ったら診てみますね」
ウォルマ「ああ、頼む。ところで・・・・・・彼は大丈夫かい?」
エルマナ「・・・今は寝ているので少しなんとも言えない状況ですが、大丈夫だと思います」
ウォルマ「そうか、じゃあ今日は早く戻ろうか」
エルマナ「わかりました!」
バラエティに富む使い魔たちのスキル紹介、読み応えがありました。タイトル通りの展開だとすれば、失格者が前魔王と一緒にどのような反撃に出るのか楽しみです。