〇オフィスのフロア
時田課長「みんな・・出払ってるのか？」
嵐動 触流「ですね。私以外は」
時田課長「じゃあ・・ちょっといいかな？」

〇小さい会議室
　　最近、課長は俺を避けている・・
嵐動 触流（・・ま、まさか）
時田課長「キミは宇宙人・・」
嵐動 触流「え、え、え！ ば、バレた？　バレた？　ついにバレた?!」
時田課長「・・を信じるかね？」
時田課長「い、いや。実は相談されてね。 社長の奥様から」
時田課長「別荘でお嬢さんが目撃したというのだよ、その・・UFOを」
嵐動 触流「・・」
時田課長「いや。私もUFOとか、宇宙人とかは信じちゃいないよ。あり得ないしね。 いるなら会いたいぐらいだ」
嵐動 触流（・・いま会ってますけどね）
時田課長「ただ何度もUFOの話をされるので気味悪く思われたらしく、誰かを寄越して確認させて欲しいと」
嵐動 触流「僕が？」
時田課長「わ、私に不満があることはわかってる・・」
嵐動 触流「は？」
時田課長「だが、何をパワハラだと感じたのか？ 教えて欲しい。 恥ずかしい話だが、思い当たるフシがまるでなくて」
　　思い出した！
　　スキャパムから呼び出しがあった夜だ

〇高級マンションの一室
スキャパム・スレグラル「と言うことで、地球観光に訪れていたスチャンダラ氏が、プレイ中に、その女をチギッてしまったわけだ」
　　スチャンダラは放蕩三昧で知られた宇宙資産家だ。
　　プレイ・・の内容については尋ねる気にもなれない
スキャパム・スレグラル「だが、安心するがいい。 女は財産目当てや趣味で48件もの殺しを繰り返してきたシリアルキラーだ」
スキャパム・スレグラル「スチャンダラ氏もメッタ刺しにされた上での対応だ」
嵐動 触流（それは見た。「トラヒゲ危機一髪」状態のスチャンダラを。 プレイ内容も推測できる・・）
嵐動 触流（けど、不死身の宇宙人に正当防衛は成立しない）
スキャパム・スレグラル「では、よろしく！」
　　要は「証拠隠滅せよ」ということだ。
　　俺は清掃ロボットを呼び出した・・
　　清掃ロボット「ケイコ22」
嵐動 触流「すべてキレイに片付けてくれ」
ケイコ２２「かしこまりました！」

〇高級マンションの一室
　　掃除は一瞬だった
　　ケイコ22はすべて片付けた・・自分の衣服も含めて！
　　最近、調子が悪いようだ

〇小さい会議室
　　翌日、勢いまかせに「職場環境についてのアンケート」に書いてしまったのだ!!
　　スキャパムへの不満を！
　　罪滅ぼしに依頼を引き受けた

〇雪山
　　社長夫人がひとり娘とクリスマスを過ごしているのは、雪山の別荘だった
　　旦那は海外出張中らしい。
　　けど、クリスマスの時期になぜ？

〇貴族の応接間
化粧坂 瑠璃子「遅かったわね」
嵐動 触流「申し訳ありません。できる限り急いだのですが、なにぶん交通の便が・・」
化粧坂 瑠璃子「ヘリを使えばいいじゃない。 アタシたちはいつもそうよ」
嵐動 触流（ま、UFO使えるけど・・問題がさらにコジレるしなあ。そもそもUFO事件を宇宙人に相談してる時点でアレだけど）
化粧坂 瑠璃子「娘は塾だから、戻るまでに書斎と広間と客室２つを掃除しといて！」
嵐動 触流「え？　私は掃除に来たわけでは」
化粧坂 瑠璃子「ウチの社員でしょ。 だったらウチのために働くのは当然よ」
　　こういう人種がまだ生き残っていたとは！
　　・・地球人に対する理解がまだまだ足りなかったようだ

〇屋敷の書斎
嵐動 触流「じゃ、掃除を頼むよ」
ケイコ２２「全部片付けますか？」
嵐動 触流「待って！ 片付けるのはゴミだけ、ゴミね！」
ケイコ２２「片付けました！」
化粧坂 凉音「あ、裸の女のひと！」
嵐動 触流「い、いや。違うんだ！ こ、これには訳が・・って、キミはここのお嬢ちゃん？」
化粧坂 凉音「うん。凉音・・すず、でいいよ」
嵐動 触流「UFO見たって？」
化粧坂 凉音「うん、見たよ。森に着陸してた。 いるよ、いまも」
嵐動 触流「ホ、ホントに？」
化粧坂 凉音「ホントだよ。 でも、ママは信じてくれないの」
嵐動 触流「案内頼める？　明日にでも」
化粧坂 凉音「いま行こうよ。 明日はピアノのお稽古なの・・UFOだって、いなくなっちゃうかもしれないし」
嵐動 触流「じゃ、じゃあ、行こう」
化粧坂 凉音「そのひとも？」
化粧坂 凉音「そうだ！　ママの衣装がある」

〇雪山
　　ケイコはサンタの衣装を借りることになった
化粧坂 凉音「ママがパパとの「プレイ」のときに着たんだって」
嵐動 触流（詳細は聞かないでおこう）
　　出かけるのに夫人の了解をもらおうとしたが、不在だった
　　携帯にも応答がない
ケイコ２２「クリスマスなのに、パパはいないの？」
嵐動 触流（余計なコトを・・）
化粧坂 凉音「うん。ガールフレンドと海外だよ」
ケイコ２２「ママは怒らないの？」
化粧坂 凉音「ママはママで、ボーイフレンドがいるの。 最近知り合った目つきの鋭いひと」

〇けもの道
　　森の中に、それはあった！
化粧坂 凉音「ね。言ったとおりでしょ？」
　　ただのお皿みたいに見えるけど
　　・・紛れもなくUFO！
　　それもスキャパムの月面基地所属の機種。
　　なぜ、ここに？
ケイコ２２「あれ？　山荘の灯りが消えたわ」
　　UFOに乗員の気配はない
　　・・ということは

〇貴族の部屋
　　ふたりを残して一足先に、すずちゃんから聞いた夫人の寝室に駆け込んだ
　　夫人はベッドに横たわっていた・・
嵐動 触流（あれ？　ごく最近、似た状況が・・）
　　!?
　　来馬来人!?
嵐動 触流「どうして!?」
　　かって犯罪現場を見つかり、スキャパムの標本室に送られたはずの男だった！
来馬 来人「ふっふっふ。 面白半分でスキャパムに改造されたのさ」
来馬 来人「隙きを見て逃げ出して、UFOで戻ってきたんだ」
嵐動 触流（ったく、スキャパムめ。 余計なコトを！）
来馬 来人「俺を「ゴミ」扱いした借りを返させてもらう。いくら貴様でも強化サイボーグにはかなわないぞ！」
ケイコ２２「え？　「ゴミ」ですか？」
来馬 来人「おっ！　いい女を連れてるな。 ステキなクリスマスプレゼントだぜ」
ケイコ２２「じゃ、ゴミ掃除します！」
来馬 来人「わああ！」
　　・・一瞬で掃除は済んだ

〇貴族の応接間
　　夫人が寝込んだと知って、すずちゃんのパパも帰国することになった・・
化粧坂 凉音「わ～い。パパが戻ってくる！」
　　メデタシ、メデタシではない気もするが、すずちゃんなら強く生きていくだろう
　　帰ったらケイコの修理が必要だな
　　ともかくも
　　メリー・クリスマス！
　　～おしまい～