読切(脚本)
〇コンビニのレジ
12月24日、クリスマスイブの夜
キラキラと彩られた街中には友達同士やカップル、多くの人々が行き交っている。
そんな中で、俺こと松野セイヤは何をしているかというと・・・
一人寂しくコンビニバイトに勤しんでいた。
セイヤ「・・・虚しいな」
セイヤ「(大学の友達は皆実家帰りしちゃってるし、恋人・・・なんてもんはそもそもいないし・・・)」
セイヤ「今年もまたクリぼっちか・・・」
セイヤ「いやまあ、これで三年目だし慣れっこだけどさ・・・」
ミタ「・・・あのー」
セイヤ「ん?あ、いらっしゃいませ!」
ミタ「!?」
セイヤ「(やべっ、今の聞かれてたか・・・!?)」
ミタ「・・・」
セイヤ「えっと・・・どうされました?」
ミタ「・・・もしかして私のこと見えてます?」
セイヤ「・・・はい?」
セイヤ「(・・・何言ってんだこの人)」
セイヤ「いや、まあ見えてますけど・・・」
ミタ「・・・!!」
ミタ「まさかこんな所で出会えるなんて・・・!」
セイヤ「・・・」
セイヤ「(なんか・・・やばい人に出会っちゃったか?これは・・・)」
ミタ「あ、そういえばさっきクリぼっちだとか言ってましたよね?」
セイヤ「え、あー・・・そういえば・・・」
セイヤ「(しかも聞かれてたし!)」
ミタ「実は私も今日は一人でして・・・良ければ少し話相手になってもらいたいなって」
セイヤ「・・・えーと」
セイヤ「(唐突に・・・本当に意味わからん人だな・・・)」
セイヤ「(・・・まあ、どうせこの時間ほとんど人も来ないだろうし・・・)」
セイヤ「まあ・・・少しくらいなら」
ミタ「ありがとうございます!」
ミタ「あ、申し遅れました。私、ミタって言います!」
セイヤ「ミタさん・・・どうもご丁寧に」
セイヤ「(明るい人だな・・・)」
セイヤ「(それに外国人・・・っぽいのに日本語ペラペラだし)」
男「・・・あのー会計いいっすか?」
セイヤ「え、あ、申し訳ありません!大丈夫ですよー」
セイヤ「えーと・・・二点で520円になります」
男「んじゃこれで・・・レシート大丈夫っす」
セイヤ「かしこまりました。ありがとうございます、またお越しくださいませー」
〇小さいコンビニ
女「遅いー何してたのよ」
男「悪ぃ、悪ぃ。なんか一人で喋ってる店員がいてさ」
女「何それ、怖っ。やばい人じゃん(笑)」
〇コンビニのレジ
セイヤ「・・・?」
セイヤ「(さっきの人、なんか気になることを言ってたような・・・)」
ミタ「しっかりしてますねぇ、店員さん」
セイヤ「いやまあ、これが普通ですし」
ミタ「その謙虚な姿勢もグッド!偉いですね~」
セイヤ「どこ目線なんですかそれ・・・」
ミタ「いやいや、こんな日に嫌そうな態度一つ見せず働けるのはすごいですよ。”頑張って”ますねぇ」
セイヤ「・・・なんか、遠回しにぼっちなの馬鹿にしてません?」
こんな感じで俺とミタさんは色々と話を続け・・・
気付けば俺のバイトの上がる時間になっていた。
〇小さいコンビニ
セイヤ「・・・お疲れ様ですーっと」
ミタ「はーい、お疲れ様でーす」
セイヤ「!? ・・・って、あなたまだいたんですか・・・」
ミタ「帰っても暇なんで待ってました」
ミタ「それに・・・大事なことをあなたに聞いてませんでしたし」
セイヤ「大事なこと・・・?」
ミタ「はい・・・そういえば店員さんのお名前を聞いてませんでした。よろしければ教えていただいても?」
セイヤ「えっと、松野セイヤですけど・・・」
ミタ「ではセイヤさん・・・あなたはサンタクロースはいると思いますか?」
セイヤ「・・・また唐突な質問ですね」
ミタ「大事なことなんです!確かに今の時代、サンタは親だなんだと信じ込んでいますが・・・もしそれとは別で本物が存在するとしたら?」
ミタ「少年の頃の気持ちを思い出して・・・お答えくださいっ!」
セイヤ「えぇ・・・」
セイヤ「・・・まぁ、いるんじゃないですか?」
ミタ「!!」
セイヤ「そもそも本物がいたからこういう文化が根付いた訳ですし・・・多分」
ミタ「・・・なるほどなるほど!分かりました!」
ミタ「では最後にもう一つだけ!」
セイヤ「は、はいっ」
ミタ「セイヤさんが今欲しいものはなんでしょうか!」
セイヤ「これまた唐突な・・・」
ミタ「なんでも良いですよ!人でも物でも、なんなら星とかでも!」
セイヤ「いや星は流石にいらんでしょ・・・」
セイヤ「まぁ、強いて言えば・・・高品質のイヤホンとか」
ミタ「イヤホン・・・なるほど!了解です!」
ミタ「ではでは私はここらでおいとまさせていただきます!」
ミタ「色々お話聞いてくださってありがとうございます!またどこかで!」
セイヤ「え!?ああ、ちょっと!」
セイヤ「・・・何だったんだあの人」
セイヤ「(終始訳の分からん人だった・・・)」
セイヤ「(最後の質問とかなんで聞いたんだって感じだし・・・)」
セイヤ「(・・・でもまあ、なんだかんだ気はまぎれたし・・・一人で寂しくバイトしてたよりかマシか)」
セイヤ「・・・ケーキでも買って帰るか」
〇本棚のある部屋
・・・翌朝
セイヤ「・・・ふあぁ」
セイヤ「・・・眠ぃ」
セイヤ「・・・?枕元に何か・・・」
セイヤ「・・・なんだこれ」
セイヤ「こんなもん買った覚えないけどな・・・」
セイヤ「とりあえず・・・開けてみようか」
パカッ・・・
セイヤ「!?これって・・・!!」
セイヤ「欲しかったイヤホン・・・」
セイヤ「でもなんで・・・相当値段するはずだし流石に買ってたら忘れないし・・・」
セイヤ「・・・ん?」
セイヤ「手紙・・・?」
セイヤさんへ
”頑張る”あなたへささやかなプレゼントです。
サンタより
セイヤ「・・・サンタって・・・あの?」
セイヤ「いやでも一人暮らしなのになんで・・・」
セイヤ「・・・そういえば昨日もこんな話・・・ミタさんとしたような」
セイヤ「ミタさん・・・」
セイヤ「ミ・・・さん・・・タ」
セイヤ「・・・サンタ?」
セイヤ「いや・・・まさかそんな・・・」
セイヤ「でも確かに・・・いろいろ不思議な人だったし・・・」
セイヤ「まあ、変に探っても仕方ないし・・・大事に使わせてもらうとするか」
セイヤ「サンタさん・・・ありがとうございます」
〇星
ミタ「メリークリスマス♪」
クリスマスイブという日の意味あいが本来のとはどんどん賭けは離れてきてしまっているこの時代に、もう一度その幸せな雰囲気を感じさせてくれる素敵なストーリーでした。
いいお話しですね、頑張っている姿は誰かが見てくれているって信じたいですよね。優しいお話しで心をホッとさせて頂いたお話しでした。
寂しいクリスマスを過ごす人にとって、突然何かが起こらないかなぁという妄想は一度はするものかもしれませんね。そんな妄想をファンタジーっぽくうまく表現していると感じました☆