妹がぐうの音も出ないほどやらかしたら、出世した件。(脚本)
〇貴族の応接間
オスカル「で、弁明はあるか?」
ソフィア「ありますわ」
オスカル「ではソフィア、お前が自ら行ったことを、もう一度述べてみよ」
──ハートフィリア家当主オスカルの言葉に、妹ソフィアは堂々と言った。
ソフィア「ジョセフ様(ソフィアの婚約者)に我が家のワンコたちをけしかけましたわ」
オスカル「あ、っほ―――――!!」
オスカル「おま、おまえ! ジョセフ殿は犬嫌いだって知ってるだろうが!」
オスカル「あれだけうちのワンコたちは近づかせるなって言ったのに! しかもうちの主催するお茶会で!!」
ソフィア「お待ち下さいお兄様。これには深い理由があるのです」
オスカル「・・・・・・深い理由?」
ソフィア「ええ」
ソフィア「・・・・・・これには山よりも深く、海よりも高い理由がございますの」
オスカル「地盤沈下起きてるじゃん」
オスカル「・・・・・・ごほん」
オスカル「いいか。我が家の爵位は子爵。そしてジョセフ殿は伯爵だ。うちは代々、ジョセフ殿の家の補佐をしてきた」
オスカル「うちのワンコは賢いから、噛みつく等はせずじゃれついたり吠えたりする程度だったが、犬嫌いの人にとっては、相当怖かっただろう」
オスカル「今回の件は婚約破棄どころか、精神的に苦痛を与えたとして、過失傷害罪として我が家の爵位剥奪も考えられる」
オスカル「・・・・・・それなりの理由があるんだろうな?」
ソフィア「勿論ですわ」
オスカル「よし。じゃあ改めて聞こう」
オスカル「・・・・・・なぜこんなことをした?」
ソフィア「・・・・・・・・・・・・それは、お兄様」
「これには海よりも高く、山よりも深い理由が」
オスカル「ループしてるじゃねえか!!」
オスカル「後それ言うなら『山よりも高く海よりも深い』だろうが! お前大して深い理由ねぇんだろ実は!」
ソフィア「そんな。この目が信用なりませんの!?」
オスカル「あー、そう言って最後のいちご食べてたのは覚えてるわー!」
──過去の食べ物の恨みから、兄妹喧嘩が勃発しそうになったその時。
シモン「失礼します」
国家憲兵のシモンが、オスカルの執政室に入った。
オスカル「え、逮捕? 俺逮捕されるの???」
ソフィア「あ、シモン様。こんにちは」
シモン「こんにちは、ソフィア嬢」
シモン「いやあ、大手柄でしたよ。あの伯爵、麻薬に手を染めていました」
オスカル「・・・・・・・・・・・・は?」
オスカル「ま、・・・・・・麻薬? ど・・・・・・どゆこと?」
ソフィア「実はあのワンコの中に、麻薬探知犬もいたのです。お兄様」
オスカル「え、マジで? ・・・・・・いくら多いって言っても、うちのワンコ、全部覚えてるつもりだったんだけど」
ソフィア「お兄様に黙って訓練してたので」
オスカル「おい」
シモン「いやあ、あの伯爵は犬嫌いで有名でしたから」
シモン「どうやって近づかせられるか悩んでいたところ、ソフィア嬢が買って出てくれたんですよ」
ソフィア「どうも我が家のお茶会を利用して麻薬を流出させようとしていたようですの」
ソフィア「犯行が明るみになっても、我が家に濡れ衣を着せることもできますから」
シモン「しかし現場を取り押さえたことで、伯爵は言い訳すらできなくなりましたよ」
シモン「これもソフィア嬢づてに提案してくださった、子爵のおかげです」
オスカル「あ・・・・・・はい。よくわかりませんが、はい」
──翌日。
このオスカルに新たな爵位(「伯爵」)が与えられた。
オスカル「なにが・・・どうなった・・・」
妹がぐうの音も出ないほどやらかしたら、出世した件
~完~
カクヨム版でも読んでいましたが、TapNovelになるとアニメっぽくなりますね!
オスカー兄さま、こんなイメージだったのですね(^^*
オスカルがいいキャラしてますね☺️
台詞回しも上手でテンポ良く読めました🙌
続きが楽しみです🌟
オスカルが間違えようもないほどに見るからにバカ貴族なので、この立ち絵を見つけた瞬間に作者さんは勝ったも同然でしたね。最後は、ソフィアに本当に山よりも深く海よりも高い理由があったことに驚きました。