30話 お兄さまなら(脚本)
〇綺麗な教会
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さま・・・遅いわ 何かあったのかしら」
ブリエステ・カルタラテン「あら? 貴方は確か・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あ、貴方はあの女とつるんでた・・・」
ブリエステ・カルタラテン「こんなところで何をしているの? また悪巧み中? それとも、新しい男を作って待っているところかしら?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私はあの女に謝ったわ もう二度と関わる気はないの」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「それに今は新しい相手のことなんて考える暇はないわ」
ブリエステ・カルタラテン「謝った? 今までエウレットにしたことをみんなに伝えてみんなの前でごめんなさいとでも言ったの?」
ブリエステ・カルタラテン「謝るだけじゃなくて罪を償う姿も見せて欲しいわね 手紙だけで謝って、全部許してもらおうだなんて舐めてるとしか思えないわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「みんなに伝えるですって? あの女だって私に色々なことをしてきたわ そもそも私に謝ってすらないじゃない」
ブリエステ・カルタラテン「自分も謝ったから、謝るべきだと思っているのね? 頭が空っぽだと思っていたけど、中身がなければ外側も枯れているのね」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私に何をして欲しいの? どうすれば放っておいてくれる?」
ブリエステ・カルタラテン「出て行きなさい、この国から エウレットの前に現れないで。彼女の耳に貴方の名前を聞かせないで」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「国から出ても魔法学校には通うわ それすらダメだと言いたいの?」
ブリエステ・カルタラテン「枯れ切った頭じゃ説明しないと理解できないのかしら?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私の将来を潰したいのね それはあの女が決めたことなの?」
ブリエステ・カルタラテン「将来を潰す?」
ブリエステ・カルタラテン「そんなことで彼女の不安が晴れるわけないじゃない 消えてもらいたいのよ、私も彼女も」
ブリエステ・カルタラテン「貴方の存在を感じなくなるなら、その方法を取らないでと彼女に言ってあげる 彼女がどう判断するかは自由だけれど?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「もういいわ 存在を隠したって無駄じゃない。何をしたって命を狙うと言うんでしょう?」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「私は出て行かないわ」
ブリエステ・カルタラテン「ふん・・・どうなるか楽しみね」
ブリエステ・カルタラテン「まずは魔法学校から追い出さなくちゃ──噂は聞き放題だし、姿も見放題だもの・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「・・・・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「──ねえ、カルタラテン令嬢?」
ペルゼシア・マレオッサ「こんなところでって、言ってたけど、ここは別に人気がない場所ではないのよ?」
ブリエステ・カルタラテン「ま、マレオッサ令嬢──!?」
ペルゼシア・マレオッサ「魔法学校から追い出す──とか何とか言ってたけど、それは貴方たちが決めることじゃないわね」
ブリエステ・カルタラテン「そ、それは・・・!」
ペルゼシア・マレオッサ「魔法学校の運営にはマレオッサ家も協力しているの。と言うか、各国の代表として選ばれた運営グループです」
ペルゼシア・マレオッサ「誰が必要で誰が不要かも私たちが判断しているのです」
ペルゼシア・マレオッサ「生徒会長と言う仕事は、学園の様子や生徒を観察してお父さまに報告することも仕事なのは知ってる?」
ペルゼシア・マレオッサ「貴方たちのことは報告させていただくわね」
ブリエステ・カルタラテン「お待ちくださいマレオッサ令嬢」
ブリエステ・カルタラテン「私たちの話を聞いていたのなら、この女が今まで悪事を働いてきたと言うことも聞いたはずです」
ブリエステ・カルタラテン「エウレット・ヘヌシアン公爵令嬢がしてきたことは正当防衛です レバノスタン侯爵令嬢だけを追い出すべきでは?」
ペルゼシア・マレオッサ「あら? 反省しているのでしょう? 実際に、悪巧みをしているのは”貴方たち”だけじゃない」
ブリエステ・カルタラテン「え・・・?」
ペルゼシア・マレオッサ「まあ、バレていないとでも思っているのかしら? ふふ、頭が空っぽなのは貴方じゃない」
ブリエステ・カルタラテン「な・・・!? 私を誰だと──」
ペルゼシア・マレオッサ「貴方こそ私を誰だと思っているのです? 確かに貴方たちは公爵令嬢だけれど、マレオッサ家は歴史的に格上の名家でしょう?」
ブリエステ・カルタラテン「う・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「頭空っぽさん? 学校の外のことは調べる必要はないけれど、学校の中であれば徹底的に調べ上げなければなりません」
ペルゼシア・マレオッサ「貴方たちのしてきたことは、知っていますよ。全部、上に報告しています」
ペルゼシア・マレオッサ「もちろん、貴方も、ヘヌシアン公爵令嬢も、レバノスタン侯爵令嬢も、関わったその他の方々も、全員もれなく減点されています」
ペルゼシア・マレオッサ「そして、3人とも退学寸前でした レバノスタン侯爵令嬢はクズ男と別れてから、ピタリと止んだので、減点されていませんが──」
ペルゼシア・マレオッサ「”貴方たち”はまだまだ減点され続けていますよ?」
ブリエステ・カルタラテン「貴方たちって・・・わ、私とエウレットのことなの!?」
ペルゼシア・マレオッサ「うふふ、頭すっからかんだわ」
ブリエステ・カルタラテン「私たちの点数は今どうなっているんです──!?」
ペルゼシア・マレオッサ「さあ? 教えることはできませんから そろそろ学園からお手紙が届くのでは?」
ブリエステ・カルタラテン「な、なんてことなの・・・! エウレットに知らせなくちゃ──!!」
ブリエステ・カルタラテン「失礼します──!!」
ペルゼシア・マレオッサ「うるさい人だったわ。静かになって良かった」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「あ、あの・・・」
ペルゼシア・マレオッサ「貴方もまだ点数は低いですから、善行を積んで加点をもらいなさい 貴方のことをもう少し観察させていただきたいのよ」
ペルゼシア・マレオッサ「あ、それから 早々に返事が来て婚約は断れたらしいわ わざわざ頼む必要はなかったようです」
ペルゼシア・マレオッサ「素敵な家族ね、大事にしなさい」
ペルゼシア・マレオッサ「あら、貴方の待ち人が来たようね。何となく気まずいから失礼するわ」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「助けてもらった・・・のよね お礼を言っても”仕事だから”って返事が来そうだけど・・・」
アゥルペロ・ミルス・レバノスタン「お兄さまなら、きっと”ありがとう”って伝えるわ」