サンタクロースと嘘つきトナカイ

戸羽らい

サンタクロースと嘘つきトナカイ(脚本)

サンタクロースと嘘つきトナカイ

戸羽らい

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〇宇宙空間
  何故、サンタクロースの相棒はトナカイなのか
  機動性を考えたらもっと他の動物の方が適しているのではないか
  誰もが一度は疑問に感じたことがあると思う
サンタクロース「トナカイや!今年も順調で何よりじゃ!」
トナカイ「はい!」
  サンタクロースの相棒がトナカイである理由
  それは──子供の心が読めるから
  子供たちが欲しいものを正確に読み取ることができるから
  だからサンタクロースはプレゼントを配る時に必ず、トナカイの力を借りる
サンタクロース「次はあの家じゃ!ゆくぞ!」
トナカイ「いえっさー!」
  今年も僕はサンタさんと共に夜を駆ける
  でもそれは「サンタとトナカイ」というお決まりの2人ではなく・・・
  ・・・
  実は僕、トナカイじゃなくてただの鹿なんだよね

〇女の子の一人部屋
女の子(zzz・・・)
サンタクロース「ふぉっふぉっふぉ よく眠っておる」
鹿「くぅん」
サンタクロース「トナカイや、プレゼントはどれじゃ」
鹿「これです」
サンタクロース「ほう、これは何じゃ?」
鹿「これはですね」
  勿論、ただの鹿に子供の心は読めない
  でも僕をトナカイだと信じているサンタさんの期待には応えたい
  そのために僕は前持って子供たちをよーく観察してきた

〇ヨーロッパの街並み
  あの子にはあれがいい

〇住宅街の公園
  この子にはこれがいい

〇電器街
  そしてこの子には・・・

〇女の子の一人部屋
鹿「最新のゲームソフト 「ロムちゃんの異世界冒険譚3」 初回限定版の特典付きです」
サンタクロース「ハイカラじゃな!」
  勿論適当な気持ちなんかじゃない
  絶対にこれだというものを念入りに選んでる
サンタクロース「ん?」
サンタクロース「なんじゃこれ?」
  サンタさんへ
  私はロムちゃんのコスプレ衣装が欲しいです
サンタクロース「ふむ」
鹿「コスプレ衣装・・・」
サンタクロース「最近の子はハイカラじゃな」
鹿「・・・」
サンタクロース「続きがあるようじゃ」
  あ、もし子供用の衣装がなかったら
  その時はゲームでもいいです!笑
鹿「・・・」
サンタクロース「まあ小さな子供がコスプレはハイカラすぎじゃしのう」
鹿「そうですね・・・ ハイカラすぎますしね・・・」
サンタクロース「・・・」
鹿「・・・」
サンタクロース「まあそんなこともあるじゃろ!」
サンタクロース「次行くぞい!」
鹿「はい・・・」

〇豪華なベッドルーム
男の子C(むにゃむにゃ)
サンタクロース「さて」
サンタクロース「この子のプレゼントは」
鹿「こちらです」
鹿「妖精少女エルフちゃんの等身大フィギュアです」
サンタクロース「は・・・ハイカラじゃの・・・」
男の子C(むにゃむにゃ)
男の子C(ミーナちゃん・・・)
鹿「・・・」
サンタクロース「み、ミーナちゃんとは・・・」
鹿「エルフちゃんの友達の妖精ですね・・・」
サンタクロース「じゃあこの子が欲しいのは その、ミーナちゃんとやら」
鹿「そうかもしれません・・・」
サンタクロース「やはりそうなのか・・・」
男の子C(むにゃむにゃ)
男の子C(エルフちゃんは・・・ ミーナちゃんの次に・・・好き)
サンタクロース「まあ、喜んでくれるじゃろう!」
鹿「そう願いたいものです・・・」
サンタクロース「よし! 次は子供たちが一番欲しいものを届けるぞい!」
鹿「・・・」

〇宇宙空間
  その後も僕たちはプレゼントを配って回った
  それが本当に子供たちの求めるものなのか、不安を感じながら
  サンタさんは気付かないふりをしているけど、きっと、僕がトナカイじゃないってことを察してる
  ・・・
  本当のことを言おう
  このままトナカイを演じ続けても、誰も幸せにならない

〇豪華な部屋
サンタクロース「お疲れ様じゃ!」
鹿「お疲れ様です」
サンタクロース「今年も良いクリスマスじゃった!」
鹿「サンタさん、先程の件ですが」
サンタクロース「なあに気にするでない! 誰だってミスはある!」
鹿「いえ、トナカイはミスしないんです」
サンタクロース「どゆことじゃ?」
鹿「トナカイは子供たちの心が読めるので」
サンタクロース「そうじゃったっけ?」
鹿「ずっと黙ってましたけど・・・」
鹿「僕、ただの鹿なんです・・・」
サンタクロース「・・・」
サンタクロース「確かによく見ると、鹿じゃな」
鹿「はい、鹿です・・・」
サンタクロース「今までわしを騙しておったのか?」
鹿「・・・はい」
サンタクロース「ふっ」
サンタクロース「ふぉっふぉっふぉっ!」
サンタクロース「そんなの初めから知っておったわい!」
鹿「サンタさん・・・」
サンタクロース「トナカイや、プレゼントは気持ちが大事じゃ」
鹿「トナカイじゃなくて鹿です」
サンタクロース「ええんじゃ。トナカイで」
サンタクロース「お前さんは毎年一生懸命子供たちのためにプレゼントを選んでくれておった」
サンタクロース「心なんか読まなくても、それで十分じゃ」
鹿「サンタさん・・・!」
サンタクロース「まあ、わしもサンタじゃないしのう」
鹿「誰!?」
おじさん「サンタに憧れるしがないおじさんじゃ」
鹿「えぇ・・・」
鹿「今までのはコスプレだったってことですか?」
おじさん「そうじゃ」
おじさん「そもそもサンタなんて存在せん」
おじさん「トナカイだって心は読めん」
おじさん「全部誰かの嘘じゃ!作り話じゃ!」
鹿「そんな・・・」
おじさん「しかし、そんな嘘が誰かを救うんじゃ」
鹿「嘘が・・・ですか?」
おじさん「そうじゃ」

〇女の子の一人部屋
  サンタクロースはプレゼントの他に子供たちに夢を与えておる
  それは一夜限りの夢──
  サンタクロースの存在
  それこそが子供たちの夢であり、希望でもあるのじゃ

〇豪華な部屋
おじさん「そのためにわしは嘘をつく」
鹿「結果的に騙すことになっても・・・?」
おじさん「ふぉっふぉっ サプライズとは元よりそういうものじゃ」
鹿「サプライズ・・・」
鹿「・・・」
鹿「そうですね・・・!」
おじさん「完璧なんて求めなくていい わしらができることをすればいいんじゃ」
鹿「ところでおじさん いえ、サンタさん」
おじさん「おじさんでいいぞい」
鹿「これ、何ですか?」
おじさん「ふむ、なんじゃろう プレゼントは配り終えたはずじゃが」
鹿「何か書いてありますね」
  メリィ〜
  クリスマ〜〜ス!!
おじさん「ほほう」
鹿「え、何ですかこれ!?」
鹿「おじさんが用意したんですか?」
おじさん「わしじゃない」
鹿「じゃあ誰が!?」
おじさん「・・・」
おじさん「ふぉっふぉっふぉっ」
おじさん「誰じゃろうなぁ!」
鹿「え〜〜」
鹿「一体誰が・・・」

〇幻想空間
「ホ〜ホッホッ〜〜!!」
「やはりクリスマスは最高じゃのう〜!」
「祝福は子供にだけと天界で定められておるが」
「ワシからしてみれば君らも子供じゃあ!」
「ほんの気持ちじゃが 受け取りたまぇ〜!」
「メリィ〜 クリスマ〜〜ス!!」
「ホ〜〜ホッホッ〜!!」

コメント

  • 寒い冬に心が温まる素敵なお話です!
    クリスマスに一生懸命働いてる2人に、最後にプレゼントも用意されていて完璧ですね👍
    なんだか O ヘンリーの短編を読んでいるようでした😃

  • おじさんと鹿の心温まる作品でした。
    トナカイだと心が読めるみたいですが、おじさんの言う通り、鹿さんが子どもたちを思って考えたプレゼントは良いものだと思うんですよ。

  • 優しいおじさんと鹿さんの気持ちが毎年子供達に夢を与えてくれていて、そんな事を考えるとサンタクロースなんか本当は存在しないとわかっている大人でも、彼らが実在すると信じたくなりますね。とても素敵なお話でした。

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