楽しそう!(脚本)
〇荒地
現代の日常は滅び、人々は不毛の土地で暮らしていた。
そんな世界の、二人の少女の話──
ミア「フローラ、「クリスマス」って知ってる?」
フローラ「・・・知らない、なに?」
ミア「私ね、おばさんから聞いたことがあるの」
ミア「部屋をキラキラに飾って、ケーキを食べて、サンタさんからプレゼントを貰う日があったんだって!」
ミア「それが「クリスマス」!」
フローラ「・・・・・・」
フローラ「ケーキってなに?」
ミア「うーんなんだろうね?」
フローラ「ミアもわからないのね・・・」
ミア「でも、なんだか楽しそうじゃない?」
ミア「やってみようよ!」
フローラ「ミアが、そういうなら」
ミア「やったー!じゃあまず飾り付けから探そう!」
〇荒野
ミア「フローラー!」
フローラ「・・・ミア」
フローラ「集まった?」
ミア「こんな感じ!」
フローラ「枝と草・・・木の実も見つけたのね」
ミア「うん、でも──」
ミア「──花は見つけられなかった」
フローラ「これだけ見つけられたら充分よ」
ミア「ありがとう・・・フローラは?」
フローラ「あたしは石しか・・・」
ミア「大丈夫、すごくいい感じだよ!」
フローラ「・・・そう」
フローラ「あっ──」
ミア「あー!ザックだー!」
ザック「・・・ん?」
ミア「ザックーー!」
ザック「お前ら・・・」
フローラ「ここにいたんだ」
ザック「俺は見回り中だからな」
ザック「・・・おい、それはなんだ」
フローラ「これはクリスマスの・・・」
ザック「は、クリスマス?」
フローラ「ザックはケーキって知ってる?」
ザック「いや──」
ミア「──じゃあサンタさんは?」
ザック「誰だそいつは」
ミア「プレゼントをくれる人なんだって!」
ザック「・・・話が見えないが、どれも知らない。 聞いたこともないな」
ミア「そっかー」
ザック「俺は知らない」
ザック「・・・集落のやつらなら知ってるかもな」
ミア「──! そうだね!」
ミア「行こうフローラ!」
フローラ「あ、待って・・・」
ザック「・・・・・・」
〇戦線のテント
女性「ケーキ?なによそれ、知らないね」
男性「サンタって誰だ?ここにいたかな」
商人「ケーキ?ああ、旅先で聞いたことがあるよ」
商人「確か、甘いものって言ってたな」
商人「え、欲しいの?」
商人「うーん、安いものじゃないからな・・・」
商人「・・・そうだね」
商人「その木の実と交換なら、あげるよ」
商人「いいんだね?交渉成立だ」
商人「・・・え?サンタ?」
商人「サンタは俺もわからないんだ、ごめんね」
〇荒地
フローラ「できた・・・!」
ミア「飾り付け完成ー!!」
フローラ「・・・木の実が無いのは残念ね」
ミア「でも、代わりに「ケーキ」があるよ!」
フローラ「・・・そうね」
フローラ「サンタさんもわからなかったけど・・・」
ミア「誰も知らなかったもんね!」
フローラ「・・・でも、」
フローラ「楽しかった」
フローラ「ありがとう」
ミア「私も!楽しかったね!」
ザック「・・・・・・」
ミア「あれ?ザック?」
フローラ「見回りは終わったの?」
ザック「・・・ほらよ」
ミア「え!これって・・・」
ミア「花だー!!」
フローラ「・・・すごい、どうやって見つけたの」
ザック「・・・拾ったんだよ」
ミア「そっか!」
ミア「ザックは、サンタさんだったんだね!」
ザック「・・・は?」
ミア「だってプレゼント持ってきてくれたもん!」
フローラ「・・・そうね、サンタさん、ありがとう」
ザック「・・・勝手にしろ」
ザック「・・・・・・」
ザック「・・・楽しかったか?」
ミア「もちろん!」
ミア「最高の「クリスマス」だよ!」
この世界において、これが彼女たちにとっての最高の”クリスマス”なのでしょうね。モノやテンプレ様式ではなく、精神的な豊かさに溢れるクリスマスですね。
楽しそうにクリスマスツリーを作ろうとしてる彼女たちが、純粋でかわいいと思いました。
ケーキも手に入ってよかったです。
プレゼントもあって、素敵なクリスマスです。
純粋な心温まるですね。二人のセリフや外見も純粋な話にぴったりでした。